僕の名は靖麻呂

高校生 政治厨 軽度の神経衰弱

トランプってヤバい人?

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 アメリカの大統領選挙がいよいよ近づいて参ります。現職のトランプさんが選ばれるのか、それとも彼は拒絶されるのか。大統領選挙はこれからの歴史を分ける分岐点となることでしょう。何だかワクワクして来ませんか?

 そこで、「トランプが選ばれる」とは何を意味するのか、「トランプが拒絶される」とは何を意味するのかを明らかにしておきたいものです。その為にはそもそも彼は何者なのかを知る必要があります。

 一般的な認識では、彼は過激な発言や無茶苦茶な政治を行うヤバい大統領ということになるでしょう。そこで、本稿ではニュースや新聞では見られなかったトランプ大統領の意外な一面をご紹介致します。

 今日であなたもトランプファンになるかも?

 

■トランプは金権政治と対峙した英雄(かもしれない)

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 まず、時代をバラク・オバマが大統領に就任した2009年まで遡りましょう。彼は、長年アメリカを蝕み続けてきた問題である金権政治や不平等などの改善を訴えました。アメリカでは、富裕層や大企業による献金が巨額で、政治が彼らを忖度する向きがあったのです。こうした傾向を「チェンジ」すると叫んだのがオバマという人物だったのです。

 しかし、彼は大統領に就任した直後、米韓FTAという貿易協定を結び、数万人もの失業者を発生させました。自由貿易が進められ、大量の雇用を破壊されるというのは、過去の金権政治が抱えてきた問題の一つなのです。

 さらに2013年、オバマ大統領二期目の就任式において、1億2430万ドルという莫大な献金が集まってしまいました。この額はアメリカの最高記録を更新します。

Yes we can」とは彼のフレーズとして馴染み深いものでしたが、少なくとも金権政治の改善という点においては、No he couldn't と断言しておきたいものです。f:id:miyukiyasmaro:20200316103203j:image

 このように、アメリカはお金と権力が癒着してなかなか離れない国家でした。実はここにトランプ勝利の理由の一つが求められます。

 彼は持ち前の財力により、ほぼ自腹で選挙を行ったのです。これは、2016年の大統領に於ける、各候補者の献金総額です。

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 このように、トランプは最も献金を受け取らずに選挙を行った候補なのです。

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 これは政治資金団体「PAC」による献金の比較です。PACによる献金は主に上位1%の富裕層により成っています。つまり、この表は富裕層との関係を表したものと言い換えることができます。

 また、こんな話もあります。

二〇一五年夏、トランプのライバルたちが大挙してコックら(コック兄弟。エネルギー、金融、繊維などで活躍し、アメリカの非公開企業としては第二の売上高を誇る巨大多国籍企業「コークーインダストリー」の支配者たち)に会い、献金を求めるのを尻目に、トランプは、「コック兄弟から資金を乞うためにカリフォルニアに旅行した共和党の候補者全員にグッドラックといいたいね。(やつらは)操り人形なのか?」とつぶやいている。

 

※太字部分は筆者による

https://jp.sputniknews.com/blogs/201611193029655/

 これらを論拠にして、「トランプは潔白で徳の高い人格者だ」などと言うつもりはありません。「財力を利用した演出による、単なる戦略だ」と見ることも充分可能であると思います。人の心の中まで計るのはなかなか困難ですから、そこのところは各々が自由に解釈すれば良いでしょう。

 しかし上述の事実は、少なくとも彼と財界との距離を示しています。そこに彼の魅力があったわけです。

 富裕層とは距離を置いた国民の味方というスタンツは、彼を理解する上で重要な特徴であると考えます。

 

■トランプは世界の救世主(かもしれない)

 トランプ大統領は反グローバリストです。グローバリズムとは、人、物、金の動きを制限する国境を取っ払い、最終的に世界を一つの国にしようとする思想です。「世界を一つにする」ということは多くの人が理想としておられますが、実際にそうしたことが実現すればどのようなことが起こるのか慎重に考える必要があるでしょう。

 国境がなくなるということは、あらゆる文化や信教が同じ空間を共有することになります。そうすると衝突が生じ、却って民族間の軋轢が深くなることもあります。また、国境がなくなれば国々は貿易競争に晒されます。これに追い付けなかった国が産業を破壊され、国民が貧困化することもあります。

 (詳しくは、拙稿「世界は一つなのかな」にて詳しく論じております)

 結果としてグローバリズムによって得をするのは、大抵は競争に勝つことができる強大な多国籍企業です。その為、金権政治の下では往々にしてグローバリズムが進められるわけです。

(とは言え、「自由貿易は悪だ」という単純なことが言いたいわけではありません。時には貿易が必要な場合も勿論あります。ここでいうグローバリズムとは、自由貿易がいかなる場合でも善と盲信され進められる思想です)

 トランプ大統領はこうした潮流にはっきり反対しており、就任演説においても「We will bring back our borders(我々は国境を取り戻す)」と言っております。

 実際、彼は就任以降、反グローバリズム的な政策を次々と敢行しています。メキシコとの国境管理の強化や、TPPの離脱、そして米中貿易戦争などはその代表例と言えるでしょう。

 特に米中貿易戦争は、世界史を大きく変える事件であると存じます。f:id:miyukiyasmaro:20200313134011j:image

 トランプ政権により、中国企業へ関税が課せられたことを発端とする米中貿易。マスメディアの報道では、トランプが理不尽な因縁を中国へ吹っ掛けたことにより、世界経済が損失を被った事件ということになります。しかし、この裏にある中国共産党による謀略については報道されておりません。 f:id:miyukiyasmaro:20200316103647j:image

 中国企業の国際的な活躍は「チャイナ・グローバリズム」と呼ばれますが、その実態は土地の買い占め、報道への侵食、大量の移民の送り込みにより、覇権を握ろうとする中国共産党の政策なのです。

「何を馬鹿な」と思われるかもしれませんが、事実として安全保障に関わる重要、且つビジネスには無関係と思われる土地が買い占められるという不自然な事例が確かにあります。アメリカでは既に中国によってテレビ局が設立されており、親中寄りな偏向報道が為されています。また、多くの国の政界に中国からのお金が流入していることも報告されています。

 詳しくは拙稿、「習近平入門」に書いております。

 とにかく、チャイナ・グローバリズムというものはお金によって国家そのものが買収されていくという恐ろしい性格を有しています。日本もその勢いに飲み込まれつつあり、中国系企業に買収された土地は国土の二%で、これは静岡県の面積に匹敵します。また、宮崎県の「日章学園九州国際高等学校」という学校が、入学生の九割が中国人に占められるという事態も発生しています。

(別に中国人を差別するつもりはありませんし、わたしの親友にも中国人がいます。しかし上記のような事態は、日本が日本であり続ける上で憂慮すべきことではないでしょうか)

 しかし、世界中の指導者はこれに対抗することができませんでした。

 そうした時代にあって、トランプ大統領が就任したのです。彼の就任によって変わったのは単にアメリカという国家ではありません。世界が変わったのです。これは決して過言ではありません。

 欧州では、16年の中国による企業買収などの対欧直接投資の規模が350億ユーロ(約4兆6000億円)に達し、しかも投資先は不動産ではなく、最先端技術を持つ企業やインフラ関連企業がメインだった。例えば、ドイツの世界有数の産業ロボット製造会社クーカは、中国家電大手の美的集団に買収された。中国への「技術流出」が懸念される状況になって当然である。

 というわけで、欧州委員会EU加盟国が連携し、域外からの買収審査を強化することになった。

 

三橋貴明「帝国対民主国家の最終戦争が始まる」ビジネス社

  そもそもグローバリズムを進める為に設立されたEUが、規制を強化する側に転じたのですからこれは凄まじいことです。

 これを皮切りに、ドイツ、オーストラリア、イギリスが動きました。

 ドイツ政府は、ドイツ復興金融公庫(KfW)に対し、送電会社「50ヘルツ・トランスミッション」の株式20%を一時的に取得させた。理由は、中国の国営送電会社国家電網が、オーストラリアの投資会社が持つ「50ヘルツ」の株式20%の獲得に動いたためである。

 さらに、ドイツ政府は18年8月1日、宇宙船や航空機の部品製造技術で名高い独北西部の精密機器メーカー「ライフェルト・メタル・スピニング」に対する、中国企業の買収案件に「拒否権」を行使した。理由はずばり「安全保障上の理由」だ。

(中略)

 オーストラリア政府は8月23日、次世代5Gネットワーク構築に際し、

「オーストラリアの法律と矛盾する外国政府からの指示に従う可能性があるメーカー」

 の製品を禁止した。具体的な国名や企業名は上げていないが、同通達がZTEとファーウェイを意味しているのは明らかだ。

 イギリスのサイバーセキュリティを担当する「国家サイバーセキュリティセンター」は、18年4月時点で英国通信事業者に対し、ZTEの製造する機器を使用しないように警告している。

 

三橋貴明「帝国対民主国家の最終戦争が始まる」ビジネス社

 いずれの政府も自国の安全保障の為に中国資本と対峙し始めたのです。

「トランプは空気を読んでいない」などと批判されることが多いですが、彼は空気そのものを変えたのかもしれません。

 

■あとがき

 以上、トランプ大統領についてマスメディアが報じなかった一面を書いてみました。

 結論として、彼は世界史を180゜変えようとしている極めて重要な人物であると申し上げます。冷戦が終結して以降、世界の潮流であったグローバリズムを転覆させたのです。次回の大統領選挙は、この反動が続けられるか、弱まっていくかを問うものになるでしょう。

  個人的には次回もトランプが勝って欲しいと考えます。とは言え、それによって世界の万事万端が良くなるとは思いません。彼が万能な救世主たるスーパーマンであることを期待すべきではありません。ひょっとすると、彼の再選の影響により反グローバリズムが過激になり、彼が意図するか否かに関わらず、人種や民族の差別が深刻化する場合もあるかもしれません。時代とはいつもそういうものなのです。

 つまりどういう結果になろうと、わたしたちは考えることを続けなくてはならないと存じます。物事の裏側、表層の奥にある実体について考えることを続けるのです。

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 この人形一つとってもそうです。これは父が社内旅行でハワイへ行ったお土産なのですが、この裏を見れば、

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 ん?

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"Made in China "

 

 いやアメリカ製とちゃうんかい!

 このように、万事万端には意外な事実が隠れているものなのです。

 最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。

 

 What truly matters is not which party controls our government, but whether our government is controlled by the people.

 

 真の問題はどの政党が政治を支配するかということではなく、国民が政治を支配できているかということなのです。

                         

                                  ____ドナルド・トランプ

 

第四十五代ドナルド・トランプ大統領就任演説より

訳:三幸靖麻呂

 

安倍政権は野党よりもマシ?

 読者の皆様、誠にお久しぶりです。

 昨日、YouTubeのコメント欄で議論を行おうとしてかなりの長文を書いたのですが、文字数が制限されているのか投稿できませんでした。これを書くのに五時間ほど費やしたもので、せっかくの苦心を水泡に帰すのは残念至極ですので、ここに公表致したいと存じます。

 その前に、ざっとこのその文を書くに至るあらすじを説明させて頂きます。

 まず、

「安倍は辞めろ!とかいう奴いるけどさあ…じゃあどこに入れろってばよお」(原文ではありません)

 などと言う書き込みがありました。そこでわたしは

・れいわ新選組

日本第一党

・国民民主党

・国民保守党

 を自民党よりマシな政党として列挙致しました。

すると、別の方より反論を賜ったのです。それはこのような内容です。

民主党時代は非常に劣悪な政治が為されていた。もし野党に一時でも政権を任せたらそのような事態になりかねない。そうした危険性もあるのに、何を根拠にしてそれらの党をマシとするのか。貴方が本気であるのなら、その視点を伺いたい」

 こうして、YouTubeのコメントとしては正気の沙汰とは言えない、現代の直江状とも言える長文が誕生することとなったのです。一先ずこれを「三幸状」とでも称することに致しましょう。

 それでは、画像や解説が追加されたスペシャルエディッションの三幸状の本文をご覧下さい。

(以下、太字部分は新たに加えた解説)

 

■序

ご返信ありがとうございます。民主党政権時、わたしはまだ小学生だったものですから、非常に貴重な知見と存じながら拝見させて頂きました。
少し考え方を反省致しました部分もありますので、これから三部に分けて回答させて頂きたいと存じます。

 

■第一部 民主党政権時代について

 

 さて、民主党政権についてですが、これについては確かに劣悪な政治が為されていたとわたしも存じます。しかし、それが自民党政権に変わってから比較的に改善されたかというと、経済の観点から見てそれは首肯しかねるものです。
その理由は実質賃金の低下です(実質賃金とは、平均賃金に物価を加味した数値。要するに、わたしたちがどれくらい物を買えるかという数字です)。

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 現在、実質賃金は民主党政権を下回る水準となっております。この点を指摘すると、実質賃金は景気を表す数値として適当ではないという反論をよく受けます。それは以下のようなものです。

①、雇用が改善されると賃金の低い新規労働者が増える為、景気が回復するとそのはじめの段階では必然的に平均賃金が低下する(俗に言うニューカマー効果)。従ってそもそも平均賃金自体が景気と連動しない。

②、景気が変動する際、物価は平均賃金に先立って変動する為、景気が良くなり始めた時には実質賃金は低下し、景気が悪くなり始めた時には実質賃金は低下する。

しかし、民主党政権時のデータでは、就業者数の動きと平均賃金の動きは一致しており、①のような現象は確認できません。この現象はここ数年にのみ観測せられる極めて特殊なものであると言えます。
②については事実であるとは存じますが、安倍政権が始まって以来、八年間も実質賃金は低迷し続けています。

 従って実質賃金の低下は、安倍政権の政策が我々の生活を収斂せしめていることを示していると愚考します。
 もちろん、GDP日経平均株価を見て、アベノミクスを評価する向きはありますが、いずれも論拠としては不充分であると考えます。GDPは日本全体の経済活動を表した数値であってGDPは日本国内で生産された全て物を、円に換算した数字です。従って上のように言うことができるわけです)、一般的な国民の生活が豊かにならなかったとしても上昇し得ます。もちろん、「一般的な国民」の豊かさは富裕層などの豊かさにも確かに関係するでしょうから、GDPは長期的には参考になるかもしれませんが、安倍政権を評価する上では充分なデータではないと考えます。また、日経平均株価は単に上場企業の株価ですからわたしたちの生活と関係があるのか疑わしいものと存じます。

では安倍政権のどのような政策が上記のような問題の原因になっているかというと、わたしの思いつく限りでは公共事業費の削減と消費増税が考えられます。
 アベノミクスにより、民主党政権の所謂「コンクリートから人へ」という緊縮財政路線が改められた、というのがおよそ常識化されていると存じますが、これは間違いであると存じます。財務省の公表する公共事業関係費は会計上の分類が安倍政権下で変化されていますが、当初の計算のままこれを比較するに、現在、安倍政権は公共事業関係費を削減していることが分かります。f:id:miyukiyasmaro:20200303111233j:image

(こちら平均すると、民主党政権を僅かに下回るとのことです!)
 政権交代直後は公共関係費は拡大していましたが、それを除くと民主党政権を下回っています。

 加えて、安倍政権は消費増税を二度も行いました。8%への引き上げの際には、実質民間最終消費支出は急激に逓減しましたが、その衝撃(伸び率の落ち込み)は東日本大震災を上回ります。この前の10%の引き上げも実質GDPの伸び率をマイナス6%にしたものですから、大変なことです。
 このように、財政政策の観点では、「自民党民主党よりマシである」とは言えないと存じます。

 他方、安倍政権は大胆な量的緩和を行い、あなたが仰有るように円安への誘導を成功せしめました。こうした金融政策の面はよく評価されているわけですが、わたしはこれを懐疑します。
 まず量的緩和についてですが、マネタリーベース(国の中にある円の総量です)とコアコアCPI(石油や食料など、国際情勢によって値段が大きく変わる物を除いた物価のことです。この統計を見ることで、「政治によって物価はどのように動いているか」もっと言えば「政府は景気を変化させることに成功しているのか」が分かります)の推移を照合するに、現在この二つは連動しているとは言えません。

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 また、マネタリーベースとGDPも連動は確認されません。

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 もちろん、わたしは量的緩和政策を軽視したい

わけではありません。インフレを実現させる上で、市場に通貨を供給させるのは重要であると考えます。しかし、かといって供給させるだけでは不充分で、重要なのはこれが消費や投資によって流通せられることであると存じます。その為に財政政策が必須であると思うのですが、先述の通り安倍政権はこれを充分に行っていなかったわけです。結果、量的緩和政策は現在何の効果も奏していないと考えます。
 次に円安についてですが、これも景気回復には貢献しなかったのではないかと考えます。現在我が国の輸出と輸入の総額は一致しておりますので、円安による輸出業者への効果は、輸入業者への効果によって相殺されるものと見ております(円安がなぜ良いと言われているのかというと、円安になれば輸出が伸びるからです。「円」が「安」くなるわけですから、日本の商品は外国からすると安くなり、そうすると売れるようになります。しかし輸入業者からすると困ったものです。外国から物を買う際、より多くの円を払わねばならないからです。従って、円安とは輸出業者が得をし、輸入業者は損をする現象と言われています。昔の日本は輸出業者の方が多かったので、円安になれば日本全体の景気が良くなりました。けれども現在はこれらがほぼ同じになっているということです)。
 従って安倍政権の金融政策は評価するに値しないと言って差し支えないものと存じます。

 以上により、安倍政権は経済の観点から見るに、民主党政権と同様のものか、それを下回るものと評価できると考えます。
 その他、憲法改正は進んでおらず、軍事費を拡大したと言っても増えたのは米軍駐留費用ばかりで、悲願であった戦後レジーム(端的にいうと、日米が対等ではない体制。例えるなら、日本がのび太アメリカがジャイアンのような状態を想像して下さい)からの脱却は何一つ進んでいないと言っても過言ではないと存じます。それどころか、外国人労働者(国連の定義等から察するに「移民」と呼称しても差し支えないと存じますが)の増加によって、我々の国民意識はますます薄れてしまっているのではないかと存じます。


 以上の理由により、わたしは自民党政権の復活によって悪政が改善せられたとは言えないと考えます。

 

■第二部 列挙させて頂いた複数の野党が自民党よりマシであると考える論拠について

 続きまして、わたしが列挙致しました複数の野党が、自民党よりマシであると考える理由について述べたいと存じます。

 まず、れいわ新選組についてですが、これは経済政策を評価致しまして挙げさせて頂いたものであります。上述の通り我が国民経済には財政政策が必要であり、本党はそれを全面的に掲げております。
 あなたは「マニフェストばかりを見てはならず、重要なのはその具体的な論拠である」とお考えであると見えました(というのは、相手の方がそうした主旨の書き込みをしていらっしゃった為です)。わたしはこれに心より賛同致しますが、この点から見ても本党は中身が伴っていると存じます。本党は「大胆な政策ばかりを挙げて財源を考えていない」などと批判され過ちですが、富裕層への増税国債の発行などを挙げております。富裕層への増税については、それによってどの程度の増税収が見込まれるかを試算しており(https://youtu.be/V9zvlpOE1TA)、 国債の発行についてもそれをインフレ率2%までとしており、それが問題ではないことを説明しております(https://youtu.be/P_ueNBa_RmM)。f:id:miyukiyasmaro:20200304134558j:image

 このように本党は理想を述べるだけではなく、「どのように実現するのか、それは本当に可能なのか」を誠実に説明する態度をとっております。この点は多くの野党と一線を画すと言えるでしょう。
 他方、経済政策以外の観点、例えば国防などを見てみると、不満な点は多くありますが、軍備拡大には安定した財政が必要となります。安定した財政は強靭な国民経済によって実現せられます。その為、かなり長期的に見ればこの点は自民党よりマシであると考えるものです。

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 続いて日本第一党ですが、これを挙げた理由は憲法改正や移民政策反対や憲法改正、消費税減税を全面に掲げていることです。「日本第一」という党名や、旭日旗を掲げた活動からして、支持層はかなりはっきりした保守に限定されるでしょう。その状況で、現在と同様の政策がとられるとは考えられないと存じます。


■第三部 あなたの返信を拝見した上での再結論

 それから幸福実現党、国民民主党などを挙げましたが、あなたの返信を拝見し、色々と考えた結果、やはりこれらはマシとは言えないと反省致しました。
 ただし、政権交代自体にも意義があるというわたしの知見は変わりません。わたしたち自身が不満のある政治を許しているという現状を変えない限り、政治の質は悪化し続けていくでしょう。ですから、政権は交代させたいものです。
 けれども、だからと言って日本共産党などにいれても良いというわたしの主張は間違いだったと考えております。そこでわたしは考え、投票する政党の基準をこのように結論致しました。
自民党以外の最長四年間政権を預けても何とか耐えられる政党」
 この基準から再考すれば、自民党に不満を持ちつつ自民党に投票している有権者の方々も、新しい候補が見つかるのではないかと期待したいものです。

 では参考までに、わたしが上述の基準から、次の選挙で投票できる党を改めて列挙したいと存じます。

・れいわ新選組
日本第一党
・国民保守党


 かなり長い文になってしまい、大変失礼致しました。わたしの未熟な意見を最後までお読み頂き、恐れ入ります。もしよろしければ、反論やご指摘を頂きたいと思います。

 

■あとがき
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 こうして見ると、何と非常識なことを考えたのだろうかと感得致します。皆様にも、ネット上で議論をする際はなるべく長文は避けることをお薦め致します。

 そして次の選挙では、我が国の繁栄に繋がる政権交代が実現することを心をより願います。

 

 最後までお読み頂きありがとうございました。次回はトランプ大統領について書く予定です。

 

いいか断っとくけどな

かわいい子どもたちの時代の為に

自民党があるっちゅうことを忘れんな

                                       ____浜田幸一

不定期更新決定のお知らせ

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 いつもお読み頂いている心優しき皆様にご報告申し上げます。本ブログ「僕の名は靖麻呂」は毎週土曜日に更新しておりましたが、本日を以て不定期更新に変更致します。

 近頃、どういうわけか嫌なことが立て続けに起こっており、精神が頻繁に不安定になっておりました。加えて学業も次第に忙しくなってございます。そういうわけで、記事の投稿をお休みすることが多くなってしまっており、先週も更新をすっかり忘れてしまいました。読者の皆様には大変申し訳ございません。

 これではせっかく時間を割いてお読み下さっている皆様に、質の低い粗雑な記事を読ませてしまいますので、不定期更新を決心する次第となりました。

 いつも楽しみにして下さっている方々に、心よりお詫び申し上げます。

 ただし、これより投稿する記事はこれまでよりも品質が高く、面白いものであることをお約束致します。

 

 それでは、本日は建国記念日ということで、

日本万歳!

天皇陛下万歳

 と威風堂々書き込んだ上で、いつもお読み頂いている皆様に心より深謝申し上げ、筆を起きたいと思います。

 どうか風邪や感染症等にはお気をつけ下さい。

 

きょうはなんにもないすばらしい1日だった

 

 ぼくのなつやすみ」(PlayStation用ゲームソフト)より

 

「左翼」「右翼」って何?

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 政治の議論をするおっちゃんが、しばしば口に出す言葉が「右翼」と「左翼」です。政治に明るくない方もこれらの単語はお聞きになったことがあるかもしれません。

天皇って偉いよねえ」

 と言うと、

「お前右翼かよ」

 と高確率で言われます。

「俺、何か安倍さん嫌いだわ」

 と言うと、

「お前左翼かよ」

 と高確率で言われます。

 一体、何が右翼で何が左翼なのでしょうか?

 本稿ではそれを解説して参ります。

 因みに、本稿ではわたしは右翼や左翼を肯定したり、否定したりしません。

 

■要するにこういうこと

 結論から申し上げます。右翼はどちらかと言うと「公」を意識し、左翼はどちらかと言うと「個」を意識する人たちのことです。

「公」とはざっくり言うと「みんな」のことです。現在生存している日本人はもちろん全て「みんな」に含まれます。のみならず、遥かな祖先の日本人も「みんな」に含まれます。場合によると、未来に産まれてくるであろう子孫たちも「みんな」に含まれる場合があります。

 というわけで、右翼とはそういう、ちょっと漠然とした「みんな」を意識して物事を考える人たちなのです。

 ここで右翼について多くの人が抱いているであろうイメージをテキトーに列挙してみましょう。

 

一、「天皇陛下万歳」とか言う奴ら

二、軍オタ(軍事オタク)な奴ら

三、韓国とか中国が嫌いな奴ら

四、原発に反対したら怒る奴ら

 

 念を押しておきますが、飽くまでテキトーなので「右翼とはこういう人です」というものではありません。

 これらを公に着目して考えると、何が右翼なのかが明らかに見えて行きます。

 例えば一、「天皇陛下万歳」とか言うやつら。

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 天皇陛下を始めとする皇室の歴史は、わたしたちの祖先を受け継いで来た日本の物語です。天皇陛下は我々の代表となって神様にお祈りしておられます。彼らはそういう「日本」を子孫たちに伝えていきたいのです。このように、「天皇陛下万歳」という言葉には、祖先、現在のわたしたち、子孫という全ての「みんな」が込められております。

二、軍オタなやつら。

 軍隊は国を守る存在です。国とは祖先たちの伝統を背景に、我々が暮らし、子孫たちの未来が眠る場所ですから、これも全ての「みんな」を網羅した「公」そのものです。その「公そのもの」たる国、日本を守る為に、文字通り命賭けで戦ったのがかつての大日本帝国軍で、現在この瞬間も日本を守っているのが自衛隊です。帝国軍や自衛隊の方々は公の為に命をはった、もしくははっているわけですから、右翼は必ずといって良いほど彼らを尊敬するのです。

三、韓国とか中国が嫌いな奴ら

「韓国人や中国人は反日」という偏見が広くなされています。偏見とは言え、一部の韓国、中国の方は確かに反日を叫んでいたりします。彼らの反日は、日本の歴史の汚点を唱えたり、現在の日本を非難するものです。当然、右翼はこれを聞き捨てることはできません。

四、原発に反対したら怒る奴ら

 これについて例外で、右翼という思想とは本来関係のない話です。

 右翼には自民党や安倍さんを支持する方が多くいらっしゃいます。その自民党や安倍さんは原発を推進しようとしています。これがよく批判されるので、彼らはよく「原発反対派=敵」という具合に思考停止してしまっているのです。

 従って「右翼は原発に反対したら怒る」というより、「自民支持者は原発に反対したら怒る」とした方が正確です。

 

 このように、公を意識して物事を考える人々を右翼といいます。

 先述の通り、これに対して左翼は個を意識して物事を考える人々です。公は形などが想像できない、ちょっと漠然とした概念ですが、個はかなり具体的に想像することができます。例えばあなたは個です。また、わたしも個です。つまり、人間一人一人のことです。

 ではここで左翼に関するイメージをテキトーに列挙してみましょう。

一、共産主義者

二、原発反対

三、戦争反対

四、移民賛成

 

 もう一度強調しておきますが、飽くまでイメージをテキトーに列挙したものです。「左翼とはこういう人ですよ」というものではありません。

 

 一、共産主義者

 共産主義とは、政府が経済を完全に管理する仕組みです。お金も仕事も政府が平等に、国民一人一人に漏れなく分け与えます。なぜそのようなことをするのかというと、従来の社会が不平等だったからです。自力で成功できる強い人は豊かになれますが、世の中にはそうでない人もいます。このような弱い立場の「個」に着目したのが共産主義の始まりと言えるのでしょう。

 

二、原発反対

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 原発を進めると、原発の近くに住む人々の生活が脅かされることになります。この人々も勿論「個」です。

 

三、戦争反対

 戦争が始まれば、たくさんの「個」が苦痛を強いられることになります。

 

四、移民賛成

 右翼の立場から見ると、日本人と外国人は背景とする歴史、文化、つまり「公」の面で大きく違います。けれども左翼にはそれがいまいちピンとこない方が多く、「日本人も外国人も同じじゃないか」という考える場合が多分に見られるのです。

 

 このように「公」「個」に着目すると、右翼、左翼が何を指すのか何となく明らかになるのでしょうか。

 

■保守とリベラル

 右翼とほぼ同じ意味で「保守」という言葉があります。左翼もかつては「革新」と呼ばれ、現在は「リベラル」という言葉に言い換えられています。

 おおよその議論では「右翼=保守」「左翼=リベラル」という認識が通用すると考えて良いでしょう。

 なぜこのようになるのでしょうか。

 まずは左翼について考えてみましょう。前述の通り、左翼は個を意識する考え方です。かつて民という個たちは権力によって支配されていました。しかしいつしか民は自由や権利などに目覚め、個が尊重されるように蜂起し始めたのです。


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「個が尊重されるように」するには、既存の権力を破壊し、革新しなくてはなりません。その為、初期の左翼は必然的に何かを革新していくことになったのです。これが「左翼=革新」の所以です。

 しかし、そうした革新が進むにつれて、いつしか古くから持っていた価値観や文化、精神までもが失われていくことになったのです。この反動として、「左翼たちは破壊ばかりにとらわれ、公を忘れているのではないか。変えてはならないものを変えたり、忘れてはならないものを忘れているのではないか」そうした主張をする右翼が表れていきます。左翼による破壊が進むこの時代、公が大事だと言うのなら、必然的にそれが破壊されるのを保守しなければならない。これが「右翼=保守」の所以です。

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 その代表的な人物がオルテガという思想家で、西洋ににおける保守の源流と呼ばれています。

 さて、ある程度破壊が進み、民主主義というものが普及していくと、左翼の勢いは落ち着いていきます。それから各々の地域の思想は、時代に左右されながら(右翼、左翼だけに)動いていくことになったのです。

 ここで日本を注目していきましょう。日本は先の戦争でアメリカに敗れ、占領されると、様々な政策によって公が毀損させられます。間もなく「戦時中は地獄のような時代で、政府によって人権が踏みにじられたのだ。個を尊重しよう!」という動き、即ち左翼=革新の動きが盛り上がります。この動きはやがて多くの若者を熱狂させ、共産主義へ導きました。

 しかし、ソビエト連邦という巨大な社会主義国家(共産主義に基づいた国家)が崩壊すると、その熱は一気に冷え込んでいきます。

 さて、資本主義が正しく、共産主義へと革新させる必要のないことが常識となったのですから、これ以上特に大きく革新すべきことはなくなってしまいました。そこで彼らは革新という名前を捨て、新しい名前が必要となったのです。

 そうして彼らは「リベラル」と名乗ることになりました。リベラルとは寛容という意味です。多数派や過去の価値観といった「公」にそぐわなかった個の意思に対し、我々は見捨てるのではなく寛容に受け入れるのだ、ということを示したのです。

 リベラルによって救われた方もおられるかもしれませんが、一方でそれが病理をもたしたという見方も確かにあります。f:id:miyukiyasmaro:20200125213337j:image

 公が消えることで、若者は「誰にも迷惑を掛けないなら俺の勝手だろ」と叫ぶようになり、非行、売春、学級崩壊などが社会問題となりました。

 こうしたことに怒る右翼(保守)と、権利の解放を訴え続ける左翼(リベラル)との間で、今日も激しい衝突が起こっています。

 

■右翼と左翼は真逆?

 一般に右翼と左翼は真逆の考え方なので仲が悪いという印象があります。実際、右翼を名乗る人と左翼を名乗る人とは意見が対立する場合が多いです。

 しかし、わたしはその状況に疑問を感じています。右翼と左翼は本来対立せざるを得ないものなのだろうかと思うのです。

 右翼は公を意識し、左翼は個を意識すると書きました。しかしそれは突き詰めれば、結局は同じことではないでしょうか。

 わたしたち日本人が受け継いだ「公」が大事だというなら、我々の祖先が納得し、国全体が豊かでなければならないはずです。

 個が蔑ろにされる国の在り方を先人がお許しになるはずはありません。また、一つ一つの個が弱っていけば、国全体も長期的には絶対に衰退していきます。公を保守する為には、個を保守しなくてはならないのです。

 また、わたしたち一つ一つの「個」が大事だというのなら、彼らは孤立してはいけない。強い者だけが生き残り、弱い者は淘汰される世の中であってはいけないはずです。その為に「公」はあります。それは単に社会保障などの話だけではありません。先人が受け継いできた文化や価値観も個にとっては重要です。

 ある社会学者は、カトリック(古いキリスト教)が住む地域はプロテスタント(新しいキリスト教)が住む地域よりも自殺率が低い傾向にあることを明らかにしました。これは、カトリックの価値観が信者に結び付きを義務付ける向きが強い為と指摘されています。だからといってカトリックプロテスタントよりも正しいというつもりはありませんが、ともかく文化や価値観は個の幸福に関わるのです。

 右翼と左翼は、物事を考える入り口が違うだけです。入り口が違っていても、その道は同じ結論に繋がっているかもしれないのです。道は多岐に別れているので、右翼であっても左翼であっても、様々な結論に至ることができるでしょう。

 つまり右翼・左翼同士で違う結論に至ることも有り得るし、右翼と左翼が同じ結論を共有することもあり得ると思うのです。

 しかし現実には、右翼か左翼だけで、どの政策に賛成し、どの政策に反対しているかが大体見当がついてしまっているのです。

 これは右翼や左翼が群れと化してしまっているからではないでしょうか。彼らは自分の属する群れの論調をそのまま飲み込み、それに少しでもそぐわないものを批判する習性を持ってしまっているのです。群れに忠実である限り、群れの仲間からは常に自分の考えを肯定してもらえます。自分の考え方を決めるのも、議論(と呼ばれる行為)を行うのも頭を使わなくても良いわけです。なるほど楽でしょう。しかしそんなことで真実は明らかになりません。

 この国の公、そして一つ一つの個を救う為には、右翼や左翼に分かれて対立するべきではありません。政治を論じる者、のみならず人間は、何が正しいのか、何を受け入れてはいけないのかを、他ならぬ自分の頭と心で考えなくてはなりません。これこそが自由、そして名誉です。

 

 ここで、ある二人の人物を皆様にご紹介して本稿を締めくくりたいと思います。f:id:miyukiyasmaro:20200125214156j:image

 一人は頭山満。日本における右翼(保守)の源流と呼ばれる人物です。日本を中心にしてアジアを西洋から解放させるという思想の元に、「玄洋社」という結社を率いて日本の政治を裏から動かしました。彼は無位無官でありながら、日本の政界のみならず、アジア中の独立運動に影響を与えました。f:id:miyukiyasmaro:20200125214206j:image

 もう一人は中江兆民。日本における左翼の源流と呼ばれる人物です。彼は言葉の力によって、日本人を自由や人権、民主主義に目覚めさせました。ルソーの「社会契約説」という本を日本に伝えたのは代表的な功績で、他にも「自由党」の旗揚げに関わり、その機関誌「自由新聞」の社説を書いたり、「日本出版会社」を設立するなどしています。彼の残した言葉は多くの人物に影響を与え、後の時代を形作っていくことになります。

 興味深いのは、右翼の源流と呼ばれる頭山満と、左翼の源流と呼ばれる中江兆民が友人で、極めて親しかったということです。

 頭山満玄洋社の憲則にはこのような一条があります。

人民の権利を固守すべし

 中江兆民は次のような言葉を残しています。

天子(天皇陛下のこと)様の尊きことはこの上ないことで、我々平民や政府が云々言えるものではない。天子様は政府方、人民方のどちらでもなく、国民の頭上にましまして、その尊いことは神様も同然である。

 

※()内は筆者による

 頭山満は個を尊重し、中江兆民は公を尊重していたのです。その為、彼らが親しかったのは不思議なことではなかったと言えるでしょう。

 右か左かで対立するのではなく、理性のある態度を以て議論が進むような時代を心より求めます。その時には、政治の議論は息苦しいものではなく、楽しいものになるのではないでしょうか。

 長くなりましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。

 

 

 

 

君のこれまでを

いっぺんに語ることができる

名前なんてそうそうないよな

だからどんな風に呼ばれようと

好きにやるべきだと思うよ

君を語る名前が何であろうと

君の行動一つほどには

雄弁じゃない

 

amazarashi 「名前」  より

 

一瞬で分かるイランの問題

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 新年早々とんでもないことが起きたものです。

 一月二日の夜、米軍の無人機がイランのソレイマーニー司令官を爆撃。アメリカの国防庁の発表により、後にこの爆撃はトランプ大統領の命令によるものであることが分かります。ソレイマーニー司令官は死亡し、彼を英雄として讃えていたイラン国民が深く悲しむ様子が報道されます。

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 翌三日、イランの最高指導者ハーメネイー師はアメリカへの復讐を宣言。いよいよ第三次世界大戦が始まるのではないかと世界中が騒いでおり、「WW3」がヒットチャートとなっている次第です。

 一体なぜトランプ大統領はこのような恐ろしい作戦を行ったのでしょうか。そして、本当に第三次世界大戦は起こるのでしょうか。本稿では「イラン危機」について分かりやすく、手っ取り早く、そしてテレビのニュースよりもちょっと深く解説していきたいと思います。

 

■ソレイマーニーは何故殺害されたか

 本件についてのニュースを御覧になって、「またトランプは無茶苦茶なことやってんな。クレイジーな野郎だ」と思われた方が大多数であろうと思われます。また、色々とお詳しい方は「トランプはアメリカの戦争屋とつるんで儲けるつもりだ。因縁をつけて戦争を勃発させるつもりだ」と分析されたかもしれません。いずれにして、ほとんどの方は「トランプはやっぱりヤバい奴だ」という結論に至っていることと存じます。

 しかしわたしは、彼にもそれなりの事情があったわけで、思いつきで爆撃を行ったとか、ドス黒い欲望の為に戦争を図ったとは一概には言えないと考えます(もちろん彼の為に人の命が奪われたことは忘れてはいけません)。

 では「それなりの事情」とは何なのかを説明するとしましょう。

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 結論から申し上げると、トランプ大統領がソレイマーニー司令官を殺害した理由は、イラクの「カタイブ・ヒズボラ」というテロリストがアメリカ人を攻撃したからです。

「え?ソレイマーニー関係ねえじゃん」

 と思われるかもしれませんが、実は関係あるのです。

 ソレイマーニー司令官が率いているのはコッズ部隊という軍隊です。イラクには複数の軍隊があって、ソレイマーニーさんはその内の一つを指揮しているわけです。このコッズ隊は少し特殊で、周辺国の民間武装組織の指導を主な活動としていました。小難しい表現ですが、要するにテロリストを育成していたわけです。

 コッズ隊に育成されたテロリストの一つが先述の「カタイブ・ヒズボラ」です。カタイブ・ヒズボラは昨年の十一月から十二月の二ヵ月間、イラクにある米軍施設やアメリカ大使館に合計十一回の攻撃を仕掛けています。f:id:miyukiyasmaro:20200116215234j:image

 トランプさんからすれば迷惑千万な話でしょう。ソレイマーニー率いるコッズ隊のせいで、同じアメリカ人が傷ついていくわけです。勿論、アメリカ政府はイラクに対し、「お前たちの責任なんだから、警察なり軍隊なり使ってテロリストをどうにかしたらどうなんだ」と文句していたわけですが、イラクは何も対策を講じませんでした。

 さて、貴方がトランプ大統領の立場であられたら如何なさいますか?とにかく人が死ぬことだけは避けたいでしょう。ならばテロリストによるアメリカ人への攻撃が起こらないようにしたい。その為にはイラクに協力して欲しいものです。しかしイラクはなかなか動いてくれません。辛抱強く交渉し続ければ動いてくれるかも?しかし、それが成功するとは限りません。交渉に時間を費やしている間にまたアメリカ人が傷つけられるかもしれません。遂には「トランプはテロリストからアメリカ人を守らない弱腰野郎だ」などと批判される恐れすらあります。

 このように、巨大な権力を握る人は時に善悪を巡って葛藤するものなのです。

 トランプ大統領がこの葛藤の末に選択したのは、テロリストの親分であるソレイマーニー司令官の殺害でした。ソレイマーニーを殺害すればテロリストの勢力は弱まり、イラクへは重大なメッセージが伝わり、彼らが対策を講じるかもしれない。それが彼の答えです。この選択を道徳的にどう評価するかは貴方の心にお任せ致します。

 

第三次世界大戦はあるのかf:id:miyukiyasmaro:20200118180355j:image

 皆様が一番感心なさっているのは、やはりここではないでしょうか。「自分は徴兵されるのではないか」と不安になっている若い方がよくいらっしゃると聞きますが、落ち着いて考えてみましょう。

 戦争が起こるかどうかを判断するには、以下の三つを調べれば良いと思います。

一、トランプさんは戦争をしたいのか

二、アメリカ議会は戦争をしたいのか

三、ハーメネイー師(イランの最高指導者)は戦争をしたいのか

 アメリカ側で宣戦布告(戦争を始めることを宣言すること)の権利を持つ者はトランプ大統領アメリカ議会だけです。また、ハーメネイー師はイランの絶対的な権力者です。したがって、トランプ大統領アメリカの議会が戦争をしようと思わない限り、アメリカはイランに戦争を仕掛けず、ハーメネイー師が戦争をしようと思わない限り、イランはアメリカに戦争を仕掛けません。

 つまり、この三つの条件が一つも満たされない場合は、戦争が起こる可能性は極めて低いと言えます。では、三つの条件を一つずつ検証して参りましょう。

 

一、トランプ大統領は戦争をしたいのか

 

 

 実はアメリカの大統領というものの多くは戦争が大好きです。昔から大統領は他国に因縁を吹っ掛け、正義の名の元に戦争を仕掛けてきました。何故そのような愚かしいことをするのかと言うと、ズバリお金が絡んでいるからです。

 戦争が始まれば、武器や装備を作る「軍需産業」が儲かります。戦争を望む者が存在するわけです。彼らは時に政治家を利用して戦争を起こして貰うということを行ってきました。政治家は彼らの為に戦争を起こす代わりに、政治資金を「献金」という形で受け取るというわけです。f:id:miyukiyasmaro:20200118211009j:image

 このような軍需産業と政府との癒着は「軍産複合体」と呼ばれ、アメリカが戦争に依存する原因としてしばしば指摘されてきました。

 そこで、今回の一件に関して「トランプは軍需産業と結託した。他の大統領のように汚い金を稼ぐつもりだ」と推理する方がいらっしゃるわけです。

 しかし、わたしはそうではないと考えます。大統領が戦争を吹っ掛ける際、必ず行うことを彼はしていないからです。それが「煽動工作」です。

 本来、戦争は誰にも支持される行為ではありません。ですから彼らはテレビを駆使し、支持させるのです。侵略したい国を、残虐な独裁者が無実の民を虐げるディストピアと報道すれば、スーパーマンが大好きなアメリカ国民は勝手に開戦を支持してくれるのです。

 では、トランプ大統領はこのような工作を行っているのでしょうか。

ロイター通信が公表した米国世論調査によると、対イラン先制攻撃を支持すると回答した人は12%だったのに対し、「反対」は60%と、「反対」が「賛成」の5倍にも上った。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/16662?page=2&layout=b

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 因みにブッシュ大統領イラク戦争を始めた際は、国民の90%が開戦を支持していました。それと比較して考えれば、トランプ大統領が煽動工作を行っているとは考えにくいものです。そうであるならば、彼は戦争を始めようとしていないと言えるでしょう。f:id:miyukiyasmaro:20200118212651j:image

 そもそも裕福である彼は、金持ちと癒着するようなことはなく、自らの信念に基づいて政治を行っているように思われます。そうでなければメディアからしつこく袋叩きにされるようなことはないでしょう。

 彼が戦争で利益を得ることがない限り、イランと戦争を始めるメリットはありません。むしろ大統領選挙を控えているこの時期に、そのような無茶なことを行うとは考えられないものです。

 

二、アメリカ議会は戦争をしたいのか

 これはまずあり得ないと断言できます。議会ではトランプ大統領こそ戦争を行おうとするヤバい奴とし、それを阻止しようとする動きが多数派を占めているわけです。

 この前も大統領の交戦権を制限する法案が下院で可決されたくらいです。

米下院は9日、ドナルド・トランプ大統領のイランとの交戦権を制限する決議案を可決した。象徴的な意味合いが強い。

決議案は賛成224、反対194で可決された。下院は野党・民主党が多数派となっている。

アメリカが急襲される場合を除き、イランに対するいかなる軍事行動も連邦議会の承認を必要とする内容。

https://www.bbc.com/japanese/51058579

 

三、ハーメネイー師は戦争をしたいのか

 ニュースでは、ソレイマーニー司令官の葬儀に参加する大勢のイラン国民の様子が報じられました。

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 その為「イランの人たちも相当怒っているな」と感じられた方は多いと思います。実際、わたしもそう思いました。

 けれどもよく調べると、これは演出されたものであることが分かりました。イラン政府はあらゆる学校、商店、会社を閉鎖し、国民にソレイマーニー司令官の葬儀への参加を強制しました。バスや電車などの交通機関も、葬儀が開かれる場所へ運行されるようになり、結果大勢の国民がソレイマーニー司令官の死を嘆いている様相が現れたわけです。

 その為、イラン国民がアメリカへの復讐を望んでいるとは言い切れないものです。f:id:miyukiyasmaro:20200118211117j:image

 一方で、イラン国民は大規模な反政府デモを行っており、既に数百名もの死者が出ています。これは石油価格の高騰など、経済の混乱について訴えたものです。この状態でもし戦争を始めれば、経済は更に混迷を深め、国民の怒りを激化せしめることでしょう。そうなれば革命が起き、政府の崩壊もあり得ないことではありません。

 このように「イランの国民が復讐を訴え、政府もそれに従わざるを得ない」という見方は難しく、むしろ国民は戦争を望んでいないということが言えます。

 また、イランがアメリカに勝つ勝算もないと言えます。

 よく「イランはとても強大な武力を有しており、アメリカとも互角に戦い得る」などと報道されますが、多角的に見るとそうではないのです。

 確かにイランの軍は兵力が多く、兵器も高い精度のものを有しております。しかし、その兵器を使いこなす技術が未熟であるということが指摘されています。

 以前、カタイブ・ヒズボラのトップの人物がイスラエルによって殺害されるという事件がありました。その人物はイランの影響下にあった為、当時マスメディアは「きっとイランがイスラエルに報復を行い、戦争が始まるぞ」と報じました。しかし戦争は起こらなかったのです。これは、イランがイスラエルにミサイルを撃ってもあっさりと打ち落とされるのが明白だったからではないかと言われています。

 また、仮にイランとアメリカの単体の力が互角だったとしても、いざ戦争が始まった時、味方してくれる国に差があります。f:id:miyukiyasmaro:20200118211120j:image

 イラン側に回るのではないかと言われている国は中国とロシアですが、どうやら両国がイランを助ける可能性は低いものです。

 中国は米中貿易戦争で経済が疲弊した挙げ句、豚コレラやら新型肺炎やらで無茶苦茶な状態です。この前、トランプ大統領がようやく中国への規制を緩めてくれたところなのに、わざわざアメリカを敵に回すようなことをして再び経済を混乱させるとは考えにくいものです。「イランを怒らせたら石油を輸出してもらえなくなる」という指摘もありますが、仮にそうなったとしても代わりにサウジアラビアから貰えば事足りる話です。

 ロシアのプーチン大統領トランプ大統領と仲が良いということは言うまでもないと思います。また、ロシアはアメリカと、テロリストの情報を共有する取引をしており、これについてプーチン大統領はとても感謝していると発言しておりました。その為、ロシアがイランを助けるとは限りません。

 中国はまず味方をせず、ロシアも助けてくれるとは限らない。というわけで、確実にイランの味方をするであろう勢力は、コッズ隊が指導する周辺国のテロリストだけということになります。

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 一方、アメリカ側の味方をする勢力は同盟国のサウジアラビアイスラエルが考えられます。特にサウジアラビアはイランとは対立関係にあります。中東で最強の武力を持っているとされており、あまり敵に回したくないものであります。イスラエルアメリカから最新鋭の兵器を援助されており、手強いものです。

 このように、イランがアメリカと対決するというのは無謀なものです。

 さて、以上を踏まえて考えてみましょう。ハーメネイー師は戦争をしたいのでしょうか。

 国民の生活を苦しめ、革命の危機に晒されてまで無謀な戦争をするというのは有り得ないと言えるでしょう。

 

 以上、三つの条件が全て満たされていないので、第三次世界大戦は起こらないと結論致します。

 

■あとがき

 わたしはイランの問題によって第三次世界大戦は起こらないと考えます。とは言え、これをきっかけに若い日本人が戦争というものを意識し始めたことには意味があると考えます。

 仮にイランの問題が穏やかに収束していくとしても、どこかでまた新たな危機が起こらないとは限りません。その危機が日本を巻き込まないとも限りません。

 誰だって戦争は嫌なはずです。自分や家族、友人を戦争に巻き込まない為には、やはり政治に関心を持つべきと言えるでしょう。

 日本が戦争に巻き込まれない為には、自主性を確立していくべきです。アメリカに頼ることなく、自分の国は自分で守るという当たり前の体制を築くことが必要です。

 ではそれは可能なのか。どのようにすれば実現できるのか。考えてみると面白いかもしれません。

 ここで、世界平和を祈って筆を置くと致します。最後までお読み頂きありがとうございました。

 

日本は詰んでない

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 皆様、明けましておめでとうございます。お正月は如何お過ごしでしたか。わたしは色々あって、頭を抱えながら寝正月ならぬ「病み正月」を送っておりました。

 人はこのように、例え正月であろうと時に頭を抱える生き物です。その理由は人によって様々あることでしょう。将来の不安、他者との関係、自己嫌悪、過去の嫌な記憶、等等等。現在も社会の片隅で誰かが悩んでいます。

 わたしはそうした人が愛しいものですから、何かしてあげたいものなのですが、わたしはただの経済オタクです。心理士でもお坊さんでもないので、自分を救うのでさえ精一杯です。けれども、そんなわたしにもできるささやかなことが一つだけあります。

 それが、「日本は否応なく沈み行く」という言説の否定です。

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「日本はオワコン(近頃のネットスランディング。「終わったコンテンツ」の略。腐りきった、滅びかけである、末期、等の意)」「政治ではどうしようもない」「海外へ逃げて自己防衛しかない」等、ある種の終末論をネットでよく散見致します。もちろん、政治経済の問題が主たる悩みとなるのはよほど変わった人であろうと思いますが、多少なりとも人々の不安を深くせしめていると考えるものであります。

 では、この言説を論理的に祓い落とすことができれば、ほんの少しだけ日本を明るくできるのではないでしょうか。本稿では、「日本は終わった」という言説を(斬る……と書くのは縁起がよろしくないので、)開きまして、日本はもっと豊かにできるということを証明して参りたいと存じます。令和二年の年明けを記念致しまして、珍しくも気分が少し晴れやかになる記事をお贈りしたいです。

 

少子高齢化で財政がヤバい?

 昨年話題になった「老後二千万円」問題や消費増税の問題が報道される際、ニュースではよく「少子高齢化が背景にある」と解説されてきました。曰く、「年金を貰う高齢者が多くなるのに、年金を払う労働者が少なくなるから、年金制度がヤバい」とか「国に支えられる高齢者が多くなるのに、国を支える労働者が少なくなるから、財政がヤバい」という具合です。

 これらの解説は確かに説得力があります。ですから、ぼんやりとした絶望感や危機感が国民に広がっていったのではないかと思います。このままでは、若者と高齢者の間で軋轢ができていくのではないかとわたしは予想します。

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 現に高齢者を敵とするような若者の言説は確かに散見できます。わたしは現役の高校生なのですが、同級生のこんな会話が耳に入りました。

 

「老人って多いよね」

「マジそれ」

「あんな老人多いと税金足りなくなるんじゃね?」

「マジそれ」

「あんな多いから経済悪いんだよ」

「マジそれ」

「定年とかなくして死ぬまで働かせたら良いんじゃね?」

「マジそれ」

「俺、日本の大統領なろっかな」

 

 もしこんなことを高齢者が聞いたら「最近の若者は老人に対する敬意がない。もう若者なんか大っ嫌いだ!」と怒るのではないでしょうか。同じ国民同士が憎む合うのは悲しいことだと思います。

 実は、上記の日本の大統領を目指す高校生の主張は徹頭徹尾間違っています。まずは

「あんな老人多いと税金足りなくなるんじゃね?」

 という部分。このデフレ下の日本国において、税金が足りなくなるなどという事態はあり得ません。詳しく書くと長くなりますが、我が日本国政府はお金をいくらでも刷ることができます。そのお金は「日本銀行から借りた借金」ということになりますが、日本銀行は政府の子会社なので、日本銀行が突然政府にお金を返せということはありません。ですから日本銀行からの借金は別に気にしなくても良いわけです。この別に気にしなくても良い借金を経済学で「通貨発行益」と言います。

 というわけで、高齢者が増えてたくさんのお金が必要になったら、その分通貨発行益を増やせば簡単に調達できるのです。

「そんな夢みたいな話があるか!」と思われるのがまともな感性です。しかし「そんな夢みたいな話」は確かに実在します。これは歴史上よく使われてきた手です。

 例えば明治時代、明治新政府太政官札というお金を発行して様々な改革を行いました。f:id:miyukiyasmaro:20200109213317j:image

 先の戦争の時も、政府は日銀から借金をする形で資金を調達していました。この国はお金が足りなくなった際、通貨発行益を利用してきたのです。つまり、夢みたいな話ではなく、現実に既に存在する事実なのです。

 よく勉強された方は「でも、あまり無闇にお金を発行したら、ハイパーインフレになるのでは?」という疑問を持たれるかもしれません。

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 つまり「お金が増えるからお金の価値が下がり、物の値段が高くなって大変なことになるのでは?」ということです。

 

 ここが実に重要です。確かに高すぎるインフレになると様々な問題が生じてしまいます。つまり、インフレこそがお金を発行する上限であると言えるわけです(逆に言うとインフレさえ注意していればお金はいくらでも発行できるわけで、これは「MMT(現代貨幣理論)」と呼ばれます)。

 しかし、そのことについては大丈夫です。我が国は深いデフレ(インフレとは逆の状態)下にあるので、そうそう簡単に高いインフレにはなりません。というより、デフレから脱却してインフレにしたいと言われているのです。政府がどんどんお金を使ってインフレになれば、それは嬉しいことではないでしょうか。

 勿論、インフレが激しくなれば様々な問題が発生します。しかしその時は、落ち着いて適切な対策を施せば良いだけの話です。

 インフレとはお金が激しく流通する為に起こる現象です。ならばインフレを抑える為には、お金の流通を緩やかにすれば良いのです。

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 その手段としては増税をしたり、緊縮財政(政府の支出を節約すること)を実施したり、公定歩合を引き上げる(この説明は長くなるので割愛させて頂きます)など、たくさん挙げられます。

 このように、不景気の時は政府が気楽にお金を使いまくり、減税をする。インフレが激しくなればお金を節約して増税をする。この繰り返しによって、わたしたちの経済は持続可能な進歩を続けることができるのです。よく減税論を唱えると「目先のことしか考えていない!」と批判されがちですが、わたしが述べたことは遥か未来まで続く繁栄を保証するものなのです。

 

少子高齢化で人手不足がヤバい?

 少子高齢化は働き手が減り(少子)、客が増える(高齢)ことも意味します。

 これでは人手不足がどんどん深刻になり、ヤバいということがよく言われており、その対策として外国人労働者の受け入れや定年の引き上げが既に進められているわけです。

 しかし、これらの対応は間違っていると言えます。なぜなら、現在の日本にとって人手不足は必要不可欠なものだからです。人手不足がもっと進んでいくと、デフレは解決します。

 そもそもデフレの原因は何でしょうか。f:id:miyukiyasmaro:20200111121336j:image

 デフレは供給(物の生産)が需要(物が買われること)より大きいことによって繰り返されます。従ってデフレを解決するには需要を供給より高めれば良いのです。そして、需要が供給より高い状態とは即ち人手不足であるわけです。

 勿論、「人手不足でインフレになったは言いが、そのままどんどん人手不足が深刻になれば物が買えなくなるし、高すぎるインフレになるじゃねえか」という懸念もあるでしょう。しかし、景気が良くなれば企業は自ずと人手不足を解消してくれます。

 どのように解消するかというと、それは外国人労働者の受け入れでも、定年の引き上げでもありません。もっとワクワクする方法です。それが設備投資による生産性の向上です。

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 設備投資とは、物を生産する為の新しい機械などを買ったり、開発することです。新しい機械が導入されるわけですから、物の生産は効率的になります。そうなると人手不足は解消していくことになります。

 このような生産性の向上は、現状の人手不足を解決するのみならず、新しい人手不足を作り出してくれます。というのは、生産性が向上することで企業の利益が上がれば、労働者のお給料は上がります。お給料が上がればわたしたちが使うお金は増えていく、つまり需要が増えていきます。そうすると新しい人手不足がやって来るわけです。f:id:miyukiyasmaro:20200109213525j:image

 人手不足を解消して世の中を豊かにし、それによってやってくる更なる人手不足を解消して世の中を豊かにする。この繰り返しこそが経済成長なのです。

 

 さて、以上の主張について、このように反論する方がいらっしゃいます。

 「日本の企業は既に生産性の向上を頑張っている。日本の産業には機械化がどんどん導入されている。それでも経済は良くならないのだから、生産性の向上は経済を良くしない」

 しかし、

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 これは「資本装備率」という数値で、労働者一人当たりに物を生産する設備がどれくらい配備されているかというもの。つまり、設備投資がどれだけ進んでいるかという数字です。

 かつて資本装備率はどんどん伸び、それに伴って我が国の経済は成長していきました。しかし1997年に日本がデフレに突入するや否や、経済はどんどん萎縮していきます。同時に資本装備率は伸び悩むようになったわけです。つまり、我が国では不景気の為に、産業の機械化は全く進んでいないのです。

 また、こういう反論もあります。

「日本の生産性が上がらないのは、日本が既に先進国として発展しきったからだ。これ以上生産性は上がらない」

 1997年に日本がデフレに陥ってから、その二十年後、日本のGDPはほとんど増えていません。それに対し、アメリカやカナダのGDPは約2・5倍に増え、イギリスは2倍以上に増えています。この違いは労働者が増えた為ではありません。アメリカ、カナダ、イギリスがこの間に増やした就業者数は1.2~.3倍程度でした。

 つまり、アメリカ、カナダ、イギリスが成長した要因は生産性を向上させた為です。先進国であっても生産性の向上は可能なのです。

 他の先進国が生産性の向上に成功したのですから、我が国にもできるはずです。

  ではどうすれば日本の生産性は向上するのでしょうか。答えは簡単です。もっと人手不足を深刻化させるのです。

 先に述べた通り、デフレは供給>需要の状態が原因で起こる現象です。少子高齢化は供給が減り、需要が増えていく現象ですから、経済が復活する機会となる流れでした。

 しかし、わたしたちの政権は「このままでは財政破綻する」と言って消費増税や緊縮財政を進めたのです。その結果わたしたちは貧しくなり、お金を節約せざるを得なくなり、即ち需要が減ることになったのです。f:id:miyukiyasmaro:20200111215851j:image

 加えて外国人労働者は急激に増え、即ち供給が増えました。「働く人が増えたらその分支払われる給料が増えるから、需要も増えるはずだ」という主張もありますが、外国人労働者は比較的低賃金で雇われるので、やはり生み出される需要よりも供給の方が多くなってしまうのです。

 このように供給が増え、需要が減らされる政策が連続的に行われた為、わたしたちの経済は萎縮していきました。日本の没落は仕方のないことではなかったのです。政権とその存在を許してしまったわたしたちの失敗が原因なのです。

(ここで一つ念を押したいのですが、わたしには安倍さんの支持者や大人たちに対する怒りや怨みなどはありません。人間に未来が完全には知り得ない限り、失敗は致し方ないことです。だからこそ失敗は学説を実らせる為の土壌としたいと考えます。そうである限り、いくら前の世代の失敗であっても、それは「わたしたちの失敗」と呼称したいのです。ここのところは未熟な若造とは一線を画すものですが、もちろん大人に迎合して尻尾を振るつもりもなく、おかしいと思うことは誰が相手であっても指摘するつもりです)

 そして、これは政治の問題のみならず様々なことに通用することですが、問題の原因に人間の失敗が見出だせる限り、状況を良くする可能性は絶対に存在します。

 

■あとがき

 ではその可能性を解放するにはどうすれば良いのか。それは簡単で、失敗から反省することです。消費増税が駄目だったのだから消費減税を行えば良いのです。緊縮財政が駄目だったのだから財政出動(政府がお金を使うこと)を拡大すれば良いのです。移民受け入れが駄目だったのだから移民の規制を行えばいいのです。

 そうすれば需要は増え、生産性の向上が進み、わたしたちの生活は豊かになっていきます。

「減税や財政出動に効果なんかない!」という主張も聞きますがそんなことはありません。

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 上の線グラフはわたしたちの消費で、下は公共事業関係費(政府が工事などをする際に使うお金。つまり政府がばらまいたお金)です。2003年から10年まで公共事業関係費は民主党政権下で厳しく削減されていました。その後、安倍政権が始まるや否や公共事業は増やされました。しかし二年後、安倍政権は、突然緊縮財政を始めたのでした。

(「いや2013年から15年までえげつなく伸びてるじゃねえか」と思われるかもしれませんが、この時期、安倍政権は予算の分類の仕方を変えています。以前の計算の仕方だと、安倍政権の公共事業関係費は民主党時代と同じくらいの水準です)

 一方、家計消費指数というわたしたちの消費の動向を表す数値は、公共事業関係費と連動するように動いています。

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 政府が公共事業を減らすと景気は悪化し、反対に公共事業を拡大させると景気が良くなることが分かります。つまり、政策次第で景気は良くすることができるのです。

 ではその政策を実現させるにはどうすれば良いのか。それも簡単なことです。上述の政策を行ってくれそうな政治家にあなたの意志を託せば良いのです。

「政治家なんかどうせ裏切るだろ」とどうしても疑ってしまう方も、その懐疑を捨てないまま票を投じれば良いのです。裏切られたなら直ぐに見捨てて下さい。そしてまた新しい投票先を見つけて下さい。馬鹿馬鹿しいようですが、この繰り返しが重要です。そうすることによって「国民を裏切れば政権を維持できない」ということを政治家たちが思い知ることになります。そうして、政治家は金持ちや権力ではなく、わたしたち国民に忖度するようになるのです。

 もしどうしても政治のことを考えたくない方がいらっしゃったら、何もしなくても結構です。無理をしてまで嫌なことを考えるような義務はないと思います。政治厨を自称するわたしも、人に思想を強要することはありません。

 しかしもう既に本稿で述べた理論と同様なものは広がりつつあり、昨年はその現出ともいえる出来事がたくさんありました。「れいわ新選組」の台頭などはその代表といえるでしょう。

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 本党の政策には問題点もたくさんありますが、「消費税廃止を訴える政治運動が盛り上がった」という事実自体は長期的には重要な意味を持ちます。

 また、消費増税財政破綻論の問題点を徹底的に指摘した漫画「私立Z学園の憂鬱」も盛り上がりました。f:id:miyukiyasmaro:20200111221924j:image

 これは芸人の中田敦彦さんのYouTubeチャンネルでも紹介されています。

 冒頭で述べた「MMT(現代貨幣理論)」という理論も批判こそあったものの盛り上がり、今でも書店に行くとMMTに関連する本が何冊か置いてあったりします。

 日本は既に豊かになろうとしているのかもしれないのです。

 この可能性を追うことが政治について考える最大の楽しみだと思います。

(先ほど「無理をしてまで政治を考える義務はない」と書きましたが、「政治について考えるべきだ」と言われているのはそれが義務だからというより、楽しい権利だからではないかと思うものです。昔、福沢諭吉という方が民主主義について本を出すと政治が盛り上がったことがあります。これは日本人たちが「これからわたしたち自身が政治を考えるんだ。この国はわたしたちが考えていくことでどんどん豊かになれるんだ」とわくわくしたからだと思います)

 もしこの勢いが呆気なく砕け散ったとしてもわたしは「日本は豊かになれる」と断言します。

 なぜならこのわたしが生存しているからです。わたしは経済学者になり、その知力と権威を総動員して日本を豊かにする変動を起こして見せます。それが起こるまでは今から約十年程度後、遅くとも二十年後。何れにしても、その時、あなたには極めて面白いものをご覧に入れて見せます。どうぞご期待下さい。

 長くなりましたが最後までお読み下さりありがとうございました。

 では良いお年を!

 

クリスマスの謎

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 今更ながらメリークリスマス。皆様は楽しいクリスマスをお過ごしになられましたか。わたしは恋人もなく、家族もそこまでクリスマスに拘っていないので、特にこれといって変化のないクリスマスでした。

 さて、ところでクリスマスとは何の日なのでしょうか?なぜ十二月二十五日に、サンタは子供たちにプレゼントを配送するのでしょうか?なぜ恋人たちがイチャイチャするのでしょうか?なぜアルバイトは著しく忙しくなるのでしょうか(by経験者)?

 多くの方はこの疑問を鼻で笑い、このように答えられることでしょう。

「イエスの誕生日だからだぜ」

 二千余年前、かつて救世主(キリスト)として中東の人々を愛の道へ導いたイエス。クリスマスは彼の生誕を祝う日であるというのが常識です。

 しかし、この常識は間違いであろうと言えます。論理的に考えて、十二月二十五日がイエスの誕生日であると考えるのはかなり困難です。それではクリスマスとは一体何なのでしょうか?本稿ではこの奇妙な謎に迫りたいと思います。

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 今年最後の投稿、どうぞお楽しみ下さい。

 

■クリスマスはイエスの誕生日か

 クリスマスがイエスの誕生日ではないと考えられる第一の理由は聖書にあります。新約聖書キリスト教の教典ですから、これ以上絶対的なソースはないと言えるでしょう。

 これより引用するのは、イエスが誕生して間もなく、天使が降臨して人々に「救世主が生まれたから喜びな」と伝えるというシーンです。

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さて、この土地に、羊飼いたちが、野宿で夜番をしながら羊の群れを見守っていた。すると、主の使いが彼らのところに来て、主の栄光が回りを照らしたので、彼らはひどく恐れた。御使いは彼らに言った。「恐れることはありません。今、私はこの民全体のためのすばらしい喜びを知らせに来たのです。きょうダビデの町で、あなたがたのために、救い主がお生まれになりました。この方こそ主キリストです。あなたがたは、布にくるまって飼葉おけに寝ておられるみどりごを見つけます。これが、あなたがたのためのしるしです。」

 

ルカの福音書 2.8-12

 注目すべきは「この土地に、羊飼いたちが、野宿で夜番をしながら羊の群れを見守っていた。」という部分です。「この土地」というのはイエスの生誕された「ベツレヘム」という町です。

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 ベツレヘムは地中海性気候に属しており、冬になると寒くなります。f:id:miyukiyasmaro:20191228172959j:image

 その為、この土地において冬に羊を放牧するとは考えられないと指摘されているのです。

 従って、このシーンが十二月二十五日及びその直後と仮定する、即ちイエスの誕生日が十二月二十五日と考えるのは難しいと言えます。

 

 そうすると、イエスの本当の誕生日はいつなのかということが気になります。しかし、それはわたしたちが知ることは絶対に不可能だし、イエス御本人すら存じられておられないということが言えるでしょう

 なぜなら、イエスの誕生日は誰も記録していないからです。当時中東の庶民の間では、人の命日は記録されましたが、誕生日を記録するという習慣はありませんでした。貴族などの間ではそうしたこともあったようですが、イエスは極普通の家庭でお生まれになったわけです。

 そういうわけで、そもそも「イエスの誕生日は何月何日だ」と明言すること自体が不可能なのです。

 

■クリスマスの正体を暴け!

 それでは、十二月二十五日とは何なのでしょうか。なぜイエスの誕生日は十二月二十五日という常識が広まるに至ったのでしょうか。

 その鍵が「冬至」です。かつて、十二月二十五日は一部の地域で冬至とされていました。冬至とは、一年の内で昼が一番短い日です。言い換えれば、太陽が一番弱い日です。「太陽が一番弱い日」、これは逆に言えば「太陽の衰退が底を打ち、そこからはひたすら栄えていく日」ということが言えるわけです。

 では、もし太陽を崇拝する宗教があれば、冬至はどんな日として捉えられるでしょうか?

 太陽を神聖なものや神として崇拝する教え(以下「太陽崇拝」とします)は多くの地域に存在しました。それらの太陽崇拝の多くは12月25日を祭りの日としたわけです。f:id:miyukiyasmaro:20191228165556j:image

 ローマの「ミトラ教」もその一つ。かつてローマではミトラ教という信仰が根づいていました。ミトラ教は十二月二十五日を祭日にし、それはローマの人々の生活に定着していました。

ローマ帝国時代、12月25日(冬至)にはナタリス・インウィクティと呼ばれる祭典があった。この祭典は、ソル・インウィクトゥス(不敗の太陽神)の誕生祭るものである。このソル・インウィクトゥスとミトラスの関係をミトラス教徒がどう考えていたかは、当時の碑文から明白である。碑文には「ソル・インウィクトゥス・ミトラス」と記されており、ミトラス教徒にとってはミトラスがソル・インウィクトゥスであった。

Wikipedia

 そこへキリスト教が進出していくことになります。当初、キリスト教は異端の教えとして政府から弾圧されていましたが、やがてその勢いは押さえきれないほど強大になり、ローマはキリスト教の中心地となります。

 ここで、キリスト教の教会側の視点に立って考えてみましょう。ミトラ教が根づいていた地域であるローマで、キリスト教を円滑に運営していくにはどうすればいいかということを。ローマ人に抵抗のない形でキリスト教を広める為には、どのような戦略が考えられるかということを。

 ここで十二月二十五日が利用されたのではないでしょうか?

 ミトラス教の祭日を、救世主の誕生を祝う日として設定すれば、ローマ人にキリスト教が広まるのではないか。そうした策略があったのではないでしょうか。

 実に、「クリスマス」が生まれたのはちょうどこの辺りの時期です。

 その為、多くの学者は以上の説を唱えています。

 

■あとがき

 そういうわけで、クリスマスはイエスの誕生日ではないのですが、だからどうしたと聞かれると困ったものです。

 まあ、誰かが「クリスマスはキリスト様の誕生日だよね」などとを言った際、「いや実はそれはミトラ教の祭日なんだよ。あと厳密にいうとキリスト様じゃなくてイエス様だよ。キリストは救世主って意味だからイエス単体を指さないよ。どう、僕物知りでしょ」と言えるようにはなります。その際はどうか嫌われないようにご注意下さい。

 それとも、あえて教訓めいたものを見出だすとしたら、「常識を疑おう」とでも言っておきましょうか。思えばわたしのブログも、大体は常識への挑戦であったと言えます。そう考えると本稿は今年最後の投稿としてふさわしいものかもしれません。

 

 さて、筆者は近頃色々あって、精神的に少し不安定なので、来週の投稿はお休みさせて頂きます。最近休みをとったばかりですが、申し訳ございません。

 いつもお読み頂いている皆様。今年はこのようなブログにお付き合い下さりまして本当にありがとうございました。また、本稿で始めてお読みになるという方も、お読み頂きありがとうございます。みんな大好きです。

 それでは、


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