僕の名は靖麻呂

高校生 政治厨 軽度の神経衰弱

新しいエネルギー

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 今、わたしの部屋の窓からは、綺麗な夜景が見えます。星を散りばめたような幾つもの光が輝いているのです。

 しかしこの輝きは環境破壊や危険性によって担保されています。環境破壊がいつ取り返しのつかないことに発展するのか、危険性がいつ爆発して恐ろしい事態が起こるのか、それは近い未来かもしれないし、ひょっとしたら明日かもしれません。

 例えば明日、大規模災害が起きて、原発事故が発生するかもしれない。その放射能によって犯されるのはあなたの家族かもしれません。

 ではこの心配を解決する為に、原発を廃止するとどうなるでしょうか。原発がなくなれば原発事故の心配はなくなります。

 しかし、それと引き換えに電力が足りなくなるかもしれません。北海道では電力不足でブラックアウトが起きたこともあります。そうすると代わりのエネルギーが必要です。

 では火力発電を代わりのエネルギーにしてみるとどうでしょうか。実は、我が国の火力発電所の半分は使われていません。言い換えれば、火力発電は二分の一しか本気を出していないということです。火力発電が本気を出せば、原発を廃止することができるでしょう。

 しかし、その代わりにわたしたちは別の危険性に晒されることになります。そもそも、火力発電とは化石燃料を燃やした熱で水を蒸発させ、タービンを回す発電。化石燃料を必要とする発電です。化石燃料は限られた資源ですから、遠い先枯渇するかもしれません。

 また、我が国の石油は中東からの輸入に依存しています。中東の情勢の変化で、石油が高騰するかもしれません。この時、石油に依存していればいるほど、その影響で物価が上がることになります。

 そもそも、石油や天然ガスなどの化石燃料をほとんど輸入できなくなる恐れさえあります。我が国に入る化石燃料のほとんどはホルムズ海峡というところを通るのですが、ここが封鎖されるとあじゃぱあです。f:id:miyukiyasmaro:20191019221143j:image

 実際、ホルムズ海峡付近は治安が悪く、そうしたことが起きないとは言えません。ホルムズ海峡封鎖のリスクは、化石燃料に依存すればするほど高くなるのです。

 では、再生可能エネルギーを使えばどうでしょうか。教科書には、太陽光、風力、地熱などの発電は、環境に優しい再生可能エネルギーだと書いてあります。

 しかし、もし(俗に言う)再生可能エネルギーだけで電力をまかなったとしても、やはり問題は発生します。風力発電はわたしたちの健康を脅かしますし、太陽光発電も石油を使うからです。詳しくは前稿「環境問題"破"門」をご覧下さい。

 では、わたしたちはやはり原発事故や、ホルムズ海峡封鎖の危機にビクビクしながら生活してゆくしかないのでしょうか。できれば環境に優しく、そして何らかのリスクもないエネルギー源が欲しいものです。それが難しいものだと分かっていても、諦められないのが素直な感情です。

 そこで今回は、新しいエネルギー源について考えてみようと思います。

 

■海底のロマン

「日本みたいなちっぽけな国は外国にエネルギーを輸入するしかない」と考えている方は多いと思います。確かに地球儀を見れば、ユーラシア大陸の端っこで細く、小さく佇んでいる島が日本です。

 しかし、それは領の話に過ぎません。我が国の領域は、神より賜った広大なを含みます。

 何と我が国の排他的経済水域は、世界六位です!(排他的経済水域とは、調査や開発を独り占めにできる海のことです)この国はちっぽけな国なんかではありません!我が日本国は大国なのです!

 ではこの偉大なる海の、遥か奥の海底に思いを馳せてみましょう。海底には様々な資源が眠っていると言われています。具体的には次のような資源です。f:id:miyukiyasmaro:20191018105346j:image

 レアアースといった金属資源もなかなか魅力的ですが、ここで注目して頂きたいのはメタンハイドレート(メタンガスが氷状に固まった物質)と石油・天然ガスです。これらの物資がたくさん手に入れば、我が国は外国からの輸入に頼らずにエネルギー問題を解決することができます。ホルムズ海峡が閉鎖されても大丈夫なのです。

 ただし、海底でどれだけの資源が取れるかはまだ調査中です。謎が多い分ロマンがあります。

 このように書くと「結局調査中なのかよォどうせすっからかんなんだろォ?」と嘲笑する人がいるかもしれませんが、海底資源の可能性は極めて高いと言えます。

 それを知る為には、メタンハイドレートや石油・天然ガスがどのようにして生まれるかを知る必要があります。

 人類が活動する遥か昔、海底では様々な生き物が活動していました。これらの生命はやはり死に、遺骸となって海をさ迷います。やがてこの遺骸の一部は、海の底に落ち着き、長い眠りにつくこととなります。海底では凄まじい圧力がかかっていますから、遺骸は圧縮され、徐々に変質していきます。

 もしこの遺骸が、マグマによる地熱で温められていた場合、これらは長い年月を経て石油や天然ガスとなります。もし冷たい場所に眠っていた場合、これらは長い年月を経てメタンハイドレートとなります。

 このようにして、海底資源はできるのです。

 つまり、海底でメタンハイドレートや石油・天然ガスができる為には二つの条件を必要とするわけです。一つは生物の遺骸、もう一つはそれらを圧縮する水圧です。そして、我が国の海はこれらの条件に恵まれているのです。

 ユーラシア大陸から続く広い大陸棚で生まれた生物の遺骸がこの海域には大量に沈下していったはずで、水深200メートルぐらいでは水圧が足りないが、日本列島付近では水深500メートル、1000メートルといった深海域になるところが多いため、容易にメタンハイドレートの安定領域に達する。つまり大陸棚の縁に位置する日本は、メタンハイドレートの生成においても地理的に非常に有利な条件にあるのだ。

https://imidas.jp/jijikaitai/k-40-081-13-04-g491

 もちろん、わたしはあまり科学には詳しくありませんから「絶対に海底資源はある!」などとは言えません。しかしこのように可能性は多分にあるのですから、政府はもっと海底への調査にお金を出しても良いのではと思うのです。

 

■風車の島

 続いて紹介しますのは、一言で言うと洋上風力です。先ほど申し上げたように、我が国は広大な海を持っておりますから、これを積極的に活用すればたくさんの風車が置けることでしょう。

 また、海の風は力強いものであります。わたしは兵庫県民で、神戸港からブラックコーヒーを片手に黄昏たことがありますが、この時の潮風はとても強いもので驚きました。そこで洋上風力がなぜ支持されているかというのを痛感したわけです。なぜ痛感という表現をしたかと言いますと、わたしは皮膚が弱いものでして、潮が傷口に染みて痛かったわけです。

 このように言いますと、前稿にてわたしは風力発電を完膚なきまでに批判しておりましたので、二重舌のように聞こえるかもしれません。しかし本節にてご紹介しますものは、ちょっと特殊なものです。

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 これは、九州大学が研究しております洋上発電ファームです。この発電システムは、従来の風力発電の欠陥を見事に克服したものです。

 従来の風力発電の第一の欠陥は、大規模な山の開発を必要とすることです。木が伐採されたり、景観が低下することで環境破壊がもたらされるのです。

 しかし洋上風力の場合、山の開発は当然必要ありません。その代わりに海の開発を要するわけで、一時的にこれが汚染されるかもしれませんが、飽くまで工事が行われる間の話です。山の開発とは違い、自然の力で取り返しがつくわけです。

 従来の風力発電の第二の欠陥は、低周波公害です。風車が発する低周波の音が、近隣住民に健康被害をもたらしたことが分かっています。第三の欠陥はバードストライクです。野鳥が回転する風車に衝突し、体を引き裂かれるという痛ましい事件が起こっています。

 この第二、第三の欠陥を克服したのが、風レンズという発明です。上に貼りました画像の風車を見て下さい。輪っかのようなものがついていますでしょう。これが風レンズです。輪っかをつけただけで何の変化があるのか、疑問に思われるかもしれませんが、実はこれによって低周波公害は防止され、バードストライクも起こらなくなるのです。

 なぜそのような変化があるのかというと、画像引用元の「脱原発論」にて、著者は研究所の方に取材をしていますから、そこを引用します。

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この風車は羽根の先から出る渦と、逆向きの渦が輪っかの表面からペアで出るんです。

それが打ち消し合って消えるんですね。

それですごく静かです。

(中略)

普段は鳥がいっぱい来ます。

バードストライクといって、鳥はエサを追ってると風車に注意を払えなくて、高速で回っている羽根に当たることがあります。

でもこれは輪っかがついているから簡単に認識できて、鳥はこの中をわざわざ通っていこうとはしないんです。

回っている時に輪っかの上に止まっていたりします。

 

ゴーマニズム宣言SPECIAL 脱原発論」

小林よしのり 小学館

 また、風レンズは風力の短所を克服するばかりではなく、発電の効率をも高めます。

 そもそも「風レンズ」のレンズは、眼鏡などのレンズです。虫眼鏡で黒い点に光を当てると、煙が出て火がつくのはご存知ですね。あれは広範囲の日光を狭いところに集中させているのです。それと同じように、風レンズは広範囲の風を誘い、集中させることで強力な風力を呼び起こすのです。本書によれば、その発電量は三倍になるとのことです。

 

 ところで、本来の発電というものは環境を犠牲にして電力を取り出す作業です。しかし洋上風力は、環境に貢献しつつ電力を賜ることができます。

 というのは、風車が海に浸かる部分に、藻が生えるということがあるのです。これがプランクトンを繁殖させ、魚を繁殖させ、新しい自然を生み出すという効果が発見されています。

 五島列島で洋上風力が行われた際、そのようなことがありました。

沖合で洋上風力発電設備を運転するためには、地元の漁業協同組合の合意を得る必要がある。五島列島の漁業関係者のあいだには反対意見が多かった。大型の風車が発する騒音や低周波音によって、魚がいなくなる懸念をぬぐえなかった。

 とはいえ人口の減少と高齢化に悩む島の経済を活性化させるためには、新しい産業を生み出さなくてはならない。自然エネルギーを生かした地域産業の振興を目指す五島市役所が仲介役になって、漁業にメリットのある施策を提案した。発電所の建設に漁業関係者が貢献して収入を得られる案である。

 こうして漁業協同組合の合意を得て運転を開始した洋上風力発電設備には、魚を集める効果があった。海中の浮体に海藻が茂り、小魚が集まってくるようになった(写真2)。さらに小魚を求めて大きな魚も寄ってくる。海底の岩に魚が集まる「魚礁」と同じ効果だ。f:id:miyukiyasmaro:20191018225529j:image
写真2 浮体に付着した海藻に集まる魚。
出典:五島市役所
https://www.renewable-ei.org/activities/column/20180111.html

 このように、洋上風力にはたくさんの可能性があります。もっとも、懸念されるデメリットが全くないとは言えず、どのような影響が出るかは分かりませんが、そこのところも国が積極的に研究を進めて明らかにすべきと声を大にして言いたいものです。

 

■縄文の草

 先ほどから海の話ばかりですから、そろそろ日本列島に上陸してみましょう。そして何千年もの彼方の昔に思いを馳せてみるのです。日本人が稲作をはじめるよりもさらに昔です。

 縄文時代の日本、わたしたちの祖父は「麻の実(おのみ)」という種を重宝していました。麻の実は食料としても重要な作物でしたが、注目すべきはそこから育つ葉です。この葉は丈夫で水に強い縄や、汗や汚れを吸収する衣に加工することができました。f:id:miyukiyasmaro:20191019213740j:image

 また、葉から繊維を取り除くと「おがら」が作れます。おがらは茅葺屋根の下敷きに使われました。葉の繊維くずは石灰などと練り合わせ、土壁や漆喰に使われました。

 縄文日本人はこの便利で不思議な草を五穀の一つに数え、神秘的な力を直感しました。f:id:miyukiyasmaro:20191019213755j:image

 こうしてこの神秘の草は、神事の際に捧げられるようになったのです。結界を張る「注連縄」や神社の鈴の緒、お祓いに使う御札は、この草によってできています。

 

 では敢えて声を大にして叫びましょう。その草の名は「大麻」!わたしたちが忌み嫌い、危険視する「大麻」です!

「やべえよ……こいついきなり大麻の話してるよ……」と恐れられるのは仕方ないと思いますが、しかしそんなことを言っている場合ではありません。わたしたちが「大麻」という言葉を避け、無視していた間、海外の多くの国は大麻を活用して目覚ましい発展を遂げているのです。

 外国では大麻は「ヘンプ」と呼ばれ、研究や開発が進められてきました。

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 フランスでは1980年代に「カノスモーズ」というヘンプ建材が考案されます。ドイツでは1990年代に、ヘンプ建材を活用する動きがはじまります。ヘンプ建材は加工が簡単なのですが、強度が極めて強く、火にも強く、しかも通気性が高いため、冬も夏も快適な家を作ることができます。

 このような大麻の可能性はエネルギーにも及びます。

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 それが「バイオマスエネルギー」です。バイオマスエネルギーとは、主に植物を燃料とするエネルギーです。石油などの資源は枯渇する恐れがありますが、植物は育てて増やすことができます。したがって、バイオマスエネルギーは再生可能エネルギーと呼ばれているのです。

 バイオマスエネルギーの利点は、石油燃料のように硫黄などの物質が含まれていないため、大気汚染や酸性雨などを引き起こしにくいことにある。そして、バイオマスエネルギーの原料となる植物は、光合成により二酸化炭素を吸収して成長するため、燃焼時に排出される二酸化炭素の量と相殺することが可能である。

(※三幸としては二酸化炭素の相殺は特に必要ないと考えます)

 しかし一方で、作物の種類によっては表土を疲弊し続けてしまうという問題も発生する。

 この従来のバイオマスエネルギーの欠陥を克服するのが、大麻由来のバイオマスエネルギーなのです。

大麻バイオマスエネルギーの原料として大変有効であることがすでにわかっており、EU各国では実用段階に入っている。それでは、なぜ大麻バイオマスエネルギーとして最適な植物なのだろうか。

 大麻は1年草の植物であり、その成長速度が速いことから二酸化炭素の吸収量も多い。そして大麻は、表土を傷めずに輸作を行うことが可能である。それどころか、化学肥料に含まれる硝酸性窒素なども吸い上げ、土壌を改良する力がある。そして、何よりも大麻は農薬を使用せずに育っていく。つまり、大麻によるバイオマスエネルギーは、それを燃焼した場合の二酸化炭素の排出量は成長過程で吸収する二酸化炭素の量よりも少なく、同時に、表土を改善することも可能なのである。

 

大麻 禁じられた歴史と医療への未来」

長吉秀夫 知恵の実文庫

 どうでしょうか。わたしたちが危険視してきた大麻ですが、このようにエコな可能性があるわけです。この可能性を追及する為には、大麻を縛り付けるガチガチな法を緩和する必要があるでしょう。

「そんなことをしたら大麻を吸う人が出てくるのでは?」というのが冷静な意見ではありますが、そもそも大麻の摂取は一概にヤバいこととは言えないようです。というのは、解説すると長くなってしまいますから、残念ながらここでは立ち入りません。ともかく大麻には可能性があります。

 

■あとがき

 いかがでしたか。「日本は小国だから、エネルギーを外国に輸入するしかない」というのが悲しい常識でしたが、本稿で幾ばくかの希望が見えたのではないでしょうか。

 未来はいつも予測困難なものです。したがって豊かな海底資源があるとは断言できませんし、九州大学の洋上風力ファームが上手く行くとも断言できませんし、大麻バイオマスが問題なく成功するとも断言できません。

 しかしだからこそ、無邪気な夢があります。夢の探求こそ、人類の歴史であったと考えます。我が日本は暗い現状に立たされていますが、だからこそ夢を抱きたいものです。もしその夢があっけなく破れたら、新しい夢を。その繰り返しこそ閉塞感を脱するものであると信じます。

 ありがとうございました。

 

■附録「素晴らしき哉 表現」 
    第四回 世界タービン

 

 このコーナーは政治経済の話とはあまり関係がないので、興味のない方は読み飛ばして下さい。

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 さて、皆様は「平沢進」をご存知ですか。

 平沢進さんは1980年代のテクノポップブームの最前線に立っていた方です。ボーカロイドといったものの原型を築いたのも平沢さんです。

 また、平沢さんはエネルギー問題に関心が高く、太陽光発電だけの電力でライブをしたこともあります。

 平沢さんの極めて独特な音楽は、「星野源」や「米津玄師」などのアーティストに影響を与えました。現在も一部の(わたしを含む)若者を夢中にしています。

 なぜそのように人気なのかと言えば、それは彼の音楽を聞けば直ちに分かったり分からなかったりします。

 さて、今回紹介しますのは、そんな平沢進さんの「世界タービン」という曲です。平沢進さんの歌はどれも難解で、世界タービンも歌詞の解釈が分かれる作品です。が、PVや歌詞を考察するに、この曲の背景にニコラテスラの世界システムがあることは疑えない事実とされています。

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 世界システムとは、偉大なる発明家、ニコラテスラが作ろうとした発電システムです。これは地球が帯びている電気を使うという驚くべき構想です。詳しいメカニズムは知りませんが、この発電システムが実現すれば、地球上のどこからでも無限にエネルギーを作り出せるそうで、日本のエネルギー問題も解決します。

 では、この世界タービンという曲はどういう主張の込められた曲なのでしょうか。この曲の最終的な主張はこの歌詞にあるということが断言できます。

大丈夫よ タービンが回る

大丈夫よ タービンが回る

 ここで言う「タービン」とは、地球の自転のことです。地球の自転がタービンであるということは、そこには必ず何らかのエネルギーが発電されます。

 ではこのエネルギーはわたしたちに何をもたらすのか?それは人それぞれ違うはずです。それこそがこの歌の意味と言えるでしょう。

 まあ、とにかく聞いて下されば、この歌がどういう歌なのかが分かるかもしれません。人によっては意味不明瞭で、病的な印象さえします。人によっては、これがきっかけで平沢進の音楽にドハマリすることになります。

 いずれにしても、タービンは今日も回っていますから、大丈夫でしょう。明日もタービンが回っていることを願って、筆を置きます。

 

環境問題“破”門

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 毎度のことながら古い話題を取り上げさせて頂きます。皆様は上の画像の少女のことを覚えておられますか?スウェーデンの高校生にして社会活動家というグレタさんです。国連で環境問題を演説し、世界で注目され、我が国でも話題となりました。16歳の少女が号泣しながら、世界の首脳を厳しく批判し、世界の危機を訴える様子は興味深いものです。多分同級生であろうわたしも「よくもまあ、こんな大胆な演説ができたものだなあ」と深く感心致しました。

「こんなか弱き少女が地球の問題を考えているのに、俺たち大人は恥ずかしいなあ。環境問題を解決する為に、ちゃんと努力しなくっちゃなあ」と、世界中の人が思ったのではないでしょうか。しかし、例え高校生であっても、その主張の真偽はきちんと検証されなくてはなりません。っていうか、高校生の主張こそ疑わしいものはありません。高校生なぞの言うことは大体が出鱈目でございます。子供だからといって容赦してはならないのです。

 グレタさんは、二酸化炭素の増加が地球温暖化の原因になっているという常識的な立場をとっています。しかし、過去にわたしが述べた通り、これは間違いです。

  そればかりではなく、社会において常識とされてきた環境問題の知識のほとんどは間違いであると断言します。例えば、太陽光発電風力発電などといった再生可能エネルギーとされているものも、実は環境に悪いものです(なぜ悪いのかは後で詳しく述べます)。

 このような、間違った知識に基づいてわたしたちが努力すると、歴史は間違った方向へ動いてしまいます。今こそ世界の軌道を変えるべく、環境問題入門ならぬ、環境問題『破』門が必要なのです。

 

■地球はそんなにヤバくない!

「地球はヤバいのか」という上の見出しを見て、「うっそだろお前ww異常気象の問題がニュースで散々取り上げられていただろ!お前は無知か!」と思わず叫ばれた方がいらっしゃるかもしれません。 しかしわたしは、そういう方にこそこう訊ねたいものです。異常気象とは、本当に異常な現象なのかと。

 例えば「病気」という現象は、「健康」という基準から観測するに異常な現象です。「異常体調」とでも言えるでしょうか。けれども、わたしたちは風邪を引いた人に「うわっ、お前異常だな!」とは言いません。風邪を引くことはそれほど珍しいことではないからです。最低でも数年に一度は誰しも風邪を引きます。そうではないという方は極めて素晴らしい身体をお持ちで、それこそ異常であると言えます。

 わたしはそれと同じように、異常気象とは風邪のようなものだと考えるのです。実際、遥か太古に我が地球は風邪を引いたことがあります。

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 これは、縄文時代の仙台の海岸における海面の高さです。海岸や海底の堆積物を放射性炭素測定(何かよく分からないけどとにかく凄い測定)して調査しました。

 グラフの左側に注目して下さい。海面が急激に上昇しているところがあります。ここでは海面が45メートルも上昇しています。現在騒がれている異常気象とは比較にならない大病と言えるでしょう。

 そもそも異常気象の原因は、二酸化炭素の排出による地球温暖化であると言われているわけですが、この地球温暖化という現象も所詮は風邪であると考えます。

 縄文時代では、数十年に八度も気温が上昇した時がありました(ソースhttps://youtu.be/bRvwgvxgRH0)。現在心配されている温暖化問題が可愛く思えます。

 このように、人間が高度な文明を築く以前から、この星はしばしば体調を崩す体質だったのです。ですから、地球が風邪を引いたからといって心配する必要はないと考えます。

 

二酸化炭素は無罪!
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 グレタさんの演説は、二酸化炭素などの温室効果が増加した為に地球が温暖化したという圧倒的な常識に則っています。

 しかし、この二酸化炭素犯人説は間違いです。その証明は拙稿の「こんな教科書は嫌だ【環境問題】」できっちり行いました。

 が、今からその要約を致しますので、その投稿を見る必要はありません。

 

 先ず第一に拙稿で申し上げたことは、大気中の二酸化炭素濃度が少ないということです。二酸化炭素は大気中に0.02%しかございません。それにも関わらず、二酸化炭素犯人説の根拠となる実験は、ペットボトルに二酸化炭素を充填させてその温度を計っているのです。「ペットボトルに二酸化炭素をパンパンに詰めたら、普通より温度の冷めるのが遅かった。二酸化炭素には温室効果がある。だから二酸化炭素地球温暖化の原因だ」というわけです。この実験は現実とはかけ離れたものです。

 二酸化炭素犯人説を唱える人はよくこんなグラフを使います。

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二酸化炭素濃度は高くなった。平均気温も高くなった。だから二酸化炭素と気温には関係がある。二酸化炭素地球温暖化の犯人である」というわけです。しかし、もっと細かいグラフを見てみましょう。f:id:miyukiyasmaro:20191008212730j:image

 確かに二酸化炭素と気温には関係があります。しかしその関係というのは「二酸化炭素が増加すると気温が上昇する」という関係ではなく「気温が上昇すると二酸化炭素が増加する」という関係なのです。意外ですよね。っていうか不思議ですよね。なんで気温が上昇すると二酸化炭素が増えるのでしょうか。

 答えは海です。気温が上昇するとともに海が蒸発して、そこに眠っていた二酸化炭素が放出されるのです。 わたしたちの地球において、最も二酸化炭素が眠っているのは海なのです。

 その証拠に、海が熱くなると二酸化炭素の濃度は濃くなっています。f:id:miyukiyasmaro:20191009214523j:image

「あれ?気温が上昇しただけじゃ海面って熱くならないんだよね?」

 という指摘があるかもしれません。実はここに地球温暖化問題の本質があるのです。

「気温が上昇すると二酸化炭素が増加する」といっても「気温の上昇が原因で二酸化炭素が増加する」というわけではありません。気温が上昇するのにはある原因がありまして、その「ある原因」によって二酸化炭素が増加するのです。「ある原因」に反応する早さが、気温の方が早く、二酸化炭素の方が遅い為にこのような具合になるのです。

 では、その「ある原因」とは何でしょうか。

 太陽です。
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 これは太陽の黒点の活動と平均気温の推移です。太陽の黒点というのは、太陽にある磁力を放つ点のことです。この黒点が磁力を放つことにより、太陽の熱は突き飛ばされ、他のところにある熱と重複します。

 

 その為、黒点の活動が活発化すると太陽の熱は強くなり、地球は温暖化するのです。

 また「水は上から温めるだけではそうそう熱くならない」と記しましたが、光を照射するとどうでしょうか。太陽の強烈な光であれば、黒っぽい海面は熱くなり得るでしょう。

 

 このように、わたしは拙稿「こんな教科書は嫌だ【環境問題】」にて、太陽原因説を主張したわけです。

 地球温暖化が太陽の活動によるものであれば、わたしたちは何も心配することはありません。太陽は穏やかで偉大なリズムによって、活動を活発化させたり緩和したりしているのです。太陽こそ、わたしたちの地球の心臓です。心臓がポンプの役割を果たすべく膨張する瞬間を見て「このままでは心臓が破裂する」と危惧する必要はないのです。

 それにも関わらず二酸化炭素氏に無実の罪を着せ続けると、人類には罰が与えられます。その罰を真っ先に受けるのは発展途上国の諸国民です。彼らには二酸化炭素の排出量を抑える技術がありません。彼らの成長は無為に停止せられることになります。二酸化炭素の排出量を抑えられる強い国は「環境保全に貢献した優秀な国」として有利になる一方、発展途上国は不利になるばかりです。

 わたしたち日本国民にもこれは対岸の火事ではありません。「二酸化炭素の排出がない環境に優しいエネルギー源」として原発が支持されるようになるのです。大規模な災害が起こればたちまち放射線をばらまき、多くの人を殺傷するばかりではなく、遥か未来に至るまで国土を呪う自爆装置が建設されるのは、あなたの近くかもしれません。

 もし我が国を滅亡させようとする脅威が現れれば、原発は真っ先に目標となるでしょう。あんなものは対戦車兵器やロケットランチャーを一発でもぶち込めばドカンです。f:id:miyukiyasmaro:20191012193833j:image

 そのような危険性の果てに、低炭素社会という理想が実現したとしても、そこでは新たな環境問題が発生することになります。それは、植物の生育の悪化です。世界中の植物がエネルギー源たる二酸化炭素を欠乏するのです。植物が元気をなくすと、動物も元気がなくなるでしょう。動物が元気をなくすと、わたしたちの元気もなくなるでしょう……。

 

再生可能エネルギーは環境に厳しい!

 太陽光・太陽熱・風力・地熱などの新エネルギーは,再生可能エネルギーであり、環境にやさしいエネルギーである。

 

「高等学校 改訂版 現代社会」第一学習社

 この常識は間違いであると断言します。

 

太陽光発電

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 先ず太陽光発電について考えてみましょう。皆様は「太陽光発電は何を使うか」と訊かれたらなんと答えますか。おそらく「太陽光を使う」と答えることでしょう。太陽光は無限にあるものだから、太陽光発電は環境に優しい、ということになるわけです。しかし、太陽光発電が使うのは太陽光だけではありません。ソーラーパネルも必要となるのです。

 誰でも知っていることですけれども、意外と見落としがちなところです。このソーラーパネルの九割は「シリコン」という素材でできて、このシリコンは石油でできております。

 では、太陽光発電を推進し、ソーラーパネルを作りまくると何が起こるでしょう。即ち石油の大量消費です。もちろん、ソーラーパネルにも寿命はございます。ソーラーパネルの寿命が尽きたら、新しいものを作って設置しなくてはなりません。その為、石油の大量消費は繰り返されることになります。

 また、大規模な太陽光発電を推進する為には環境破壊を伴います。我が日本の国土は平野に恵まれておりませんので、ソーラーパネルをたくさん置く為には山や森林等を開発する必要があります。そこに伴う景観の低下や、森林の現象は無視できるものではありません。

 このように、太陽光発電は火力発電等と同じく石油を消費したり、環境を破壊せしめたりするのです。こんなものが「再生可能エネルギー」と呼べるでしょうか?

 わたしはこの太陽光発電を石油や緑を犠牲にしてまで推進する価値はないと考えます。なぜなら、この太陽光発電は効率がとことん悪いからです。空が曇っていれば全く発電できないし、かといって暑すぎると壊れることもあるそうです。

 以上の理由から、太陽光発電は実は環境に悪いと言えます。

 

風力発電

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 次に風力発電を見てみましょう。

 これも太陽光発電と同じく、山の環境破壊が指摘されています。

 また、風車は騒音や低周波音を出すと言われており、近隣住民の健康の悪化が懸念されます。風力発電低周波公害については、札幌医科大学の山田大邦教授が詳しい論文を書いておられます。

 風車が生む健康被害は、騒音被害とは区別される低周波音・超低周波音(風車の羽が空気を切り裂いて生まれる振動)を主な原因とするもので、それは頭痛、不眠、動悸や胸の圧迫感、息切れ、めまい、吐き気などの自律神経失調症に似た症状を生む。低周波音は騒音と違って反射・吸収が少なく、貫通や乗り越えが顕著なので、二重サッシの防音壁は効果がないどころか逆に被害を拡大するし、騒音が距離を離すと減衰するのに比べて低周波音は遠くまで届く。低周波音による健康被害を解決するには、風車の撤去か住民の転居しかないといわれている。

 この健康被害については、東伊豆(静岡県)、青山高原三重県)、由良町和歌山県)などの住民や医師が訴えている。

https://www.chosyu-journal.jp/shakai/6965

 もしこうした健康被害が人間のみならず、動物にも及ぶとしたらどうでしょうか。動物が弱ると、生態系は大きく乱れることでしょう。

 我が国の環境省は、風車による低周波音の健康被害について否定しております。しかし、風力発電健康被害の因果関係は既にきっちり証明されております。

 2007年末、東伊豆の別荘地では1500㌔㍗×10基の風力発電が運転を始めた直後から、住民のなかで健康被害が続出した。この因果関係を調べるため、事故で風車が停止しているとき、団地自治会が独自に疫学調査を実施した【表1】。不眠、血圧、胸・腹・歯・鼻・耳痛などの症状が、風車が停止することで大きく改善したことがわかる。f:id:miyukiyasmaro:20191012162436j:image

https://www.chosyu-journal.jp/shakai/6965

 

 風力発電による公害は低周波音の他にも、バードストライクが指摘されております。バードストライクとは、バード(鳥)がストライク(衝突)することです。のびのびと飛んでいた罪なき野鳥が、風車によって体を引き裂かれるという痛ましい事件がしばしば起こっているのです。

日本野鳥の会」という財団は、このバードストライクについて調査を行いました。

2010 年 3 月末までに当会で把握している国内での野鳥の衝突死の発見事例は、トビ 18、カモメ類 18、オジロワシ 16、カラス類 11、カモ類 3、イヌワシ 1、オオワシ 1、その他猛禽類 4、小鳥類
12、その他海鳥 4 羽です。

 

風力発電が野鳥に与える影響のまとめ
(財)日本野鳥の会自然保護室 浦 達也

 これは飽くまで本会が発見した野鳥の屍体の数ですから、氷山の一角なのでしょう。

 インターネットで「バードストライク 風力発電」と検索すると、目を背けなくなるような画像が出てきます……。

 

地熱発電

 次は地熱発電を見ましょう。

 地熱発電とは、大を利用して発電するものです。我が地球の地面の奥深くには、マグマによって熱せられている部分があります。この熱によって、水を沸騰させ、その蒸気でタービンを回して発電するというわけです。ちょうど我が国は世界でも稀に見る火山大国。日本は地熱発電に適しているということが言われています。

 しかし、この地熱発電が推進される一方で衰退するものがあります。地熱発電所はマグマのあるところに建設されますが、同じくマグマのあるところに根付く我が国の文化があるのです。それが温泉です。温泉とは地熱によって温められた湯です。温泉の心地よい熱は「大地のエネルギー」によって成り立っているのです。地熱発電を推進すると、この大地のエネルギーが奪われることになります。もしエネルギーが足りなくなれば、ある日突然、天然のお湯が出なくなるなんてことも有り得るでしょう。

 また、温泉の近くに発電所が立てられるとなると、景観も台無しになるかもしれません。絶景温泉ときいて入ってみたら、発電所まみれの風景しか見られなかった時の失望感を想像して下さい。

 

■あとがき

 如何でしょうか。環境問題について、意外な事実が明らかになったのではないでしょうか。本稿が皆様に新しい知識を提供できたなら、この上なく幸いであります。

 本稿を見るに、昨今の環境に関する教育、報道が、あまりにも極端であることは明らかではないでしょうか。なぜこのように極端であるかというと、それはやはりお金の力があるのではないかと思います。二酸化炭素に濡れ衣を着せて喜ぶのは原発で稼いでいる人達です。太陽光発電を推進して喜ぶのは太陽光で稼いでいる人達です。地熱を推進して喜ぶのは地熱で稼いでいる人達です。

 わたしたちの未来を金持ちの搾取から守る為には、あなたやわたしが多角的に物事を見なくてはならないと考えます。

 

 さて、わたしは「再生可能エネルギーは環境に厳しい!」という章において、環境に優しい発電というものの難しさを述べました。では「本当に優しい発電は何か。っていうかそもそもあるのか」ということが気になるでしょう。そこで、来週は新しいエネルギー源について考えていきたいと思います。

 最後までお読み頂きありがとうございました。

 

■付録 素晴らしき哉!表現 第三回
ウルトラマンガイア」
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(このコーナーはあんまり関係ないので、興味のない方はお読み飛ばし下さい)

 

 あらゆる芸術作品に触れ、その考察を行う「素晴らしき哉表現」の時間がやって参りました。今回取り上げるのはウルトラマンです。

ウルトラマンだとォてめえは幼稚園児か」と叫ばれる時代はそろそろ終焉を迎えることでしょう。昨今は様々なオタクによるネット上の活動により、あらゆる趣味が受け入れられるようになりつつあります。特撮もそうです。

 さて、ウルトラマンと聞きますと「遠い惑星からきた三分しか働かないマンが、異星からの悪い侵略者をやっつける寸劇」という認識が常識でございます。

 しかしながら、「ウルトラマンガイア」はシリーズの中でも異彩な作品と評されています。一言でいうと「地球出身の何分でも働けるマンが、悪者とも良い者とも判然としない正体不明の脅威を、やっつけたり、やっつけなかったりする」という話です。

 特に「正体不明の脅威」というのが魅力的な要素。本作では「根源的破滅招来体」という名称で、実に個性豊かです。例えばひたすら石油コンビナートを攻撃する怪獣や、目に見えるけど実体がない怪獣、一匹だけど複数の場所に存在する怪獣など、一回聞くだけだと「は?」となる怪獣が多いです。

 さらに興味深いのは、こうした不思議な様相について、科学オタクの主人公が毎回そのメカニズムを明らかにし、対処法を突き止めるということです。この推理には必ず科学的な根拠があるので、理系の人はミステリーとして楽しむことができます。文系の人は推理によって余計に難解になるのですが、しかし面白いのです。

 さて、ここからはネタバレになるのですが、

 

 

 

 

 

 

 

 この個性豊かな怪獣は、実は宇宙の根源的破滅招来体によって覚醒させられた地球の生物でした。根源的破滅招来体は、地球を蝕む人類を洗濯する為、地球の怪獣を利用したわけです。そういうわけで、ウルトラマンと対峙する怪獣は地球の環境の一部なのです。それが明らかになると、主人公はなるべくこの怪獣をやっつけようとせず、丸く収めようと努力し始めます。

 わたしはこの「怪獣」を、自然災害であると解釈します。災害はしばしば人間の脅威となっているけれども、偉大なる地球の環境です。これは必ずしもやっつけるものではなく、うまく付き合うことができれば良いわけです。その為には科学の知識や努力が必要です。

 本作の最終回では、主人公は根源的破滅招来体の尖兵と対決するのですが、ここにも見所があります。何と怪獣が地球を守る為、根源的破滅招来体に攻撃するのです。

 人類とウルトラマンの決死の奮闘によって、脅威は殲滅。地球は救われます。

 皆様に注目して頂きたいのは、この直後のラストカットです。主人公は地面に咲く花を見つけ、水をやろうとします。すると怪獣の鳴き声が聞こえ、遠方に怪獣の影を錯覚。

「そうか。これが地球なんだ」

 彼が呟くと、カメラが主人公の頭上から遠ざかりながら、エンドロールが開始します。やがて地球が映り、宇宙が映り……。

 わたしはこれほどまでに地球を美しく描いた作品を見たことがありません。

 

 わたしは根源的破滅招来体(環境に関する嘘の情報)と戦い、この美しい地球を守りたいと思います。

 最後までお読み頂きありがとうございました。

 

『美』について

 英語検定と中間テストを同時に控えておりますので、今回は手抜き論考でございます。もし本ブログを楽しみにしておられる方がいらしたら、本当に申し訳ありません。

 さて、突然ですが、皆様は正義とは何だと思いますか。あるいは道徳とは何だと思いますか。もしくは善とか、責任とか、真実とか。

 わたしたちは、これらの概念を巡ってよく言い争いをします。「それは正しくないだろ」「それはお前の責任だろ」「それは証明できてないだろ」という具合に。そしてそれは、かなりの高確率で不毛な水掛け論に帰着します。

 なぜ水掛け論になるかと言うと、ある方は「どちらかが非常識だから」と結論します。ある方は「人によって考え方、感じ方が違うから」という結論します。哲学に明るい人は「そもそも三幸が列挙した概念は全て架空のものであり、存在しないから」という進歩的な答えを下すことでしょう。

 しかし、正義とか善はやはり存在するものと信じたいものです。わたしの心の中には、断固として守りたい何かが感覚として確かに“在”ります。「これは人の根本たるものだ」だと叫びたくなるような光景はたしかに“在”ります。それらについて、わたしはそれぞれ「正義」「善」と名付けているのです。わたしは小さい頃から、こうしたぼんやりしたものの輪郭を掴みたいと思っていました。哲学書を読み耽るような根気こそありませんでしたが、哲学者の真似事のような考え事をよく行っておりました。

 さて、考え続けて幾年か経ちまして、いよいよこの素人哲学が開花致しました。この哲学は「正義、道徳、善、責任、真実」その他諸々の概念は、ある共通の感覚を本質としていることを看破したのです。それはまさしく「美」です。美こそが、数多くの抽象的概念の本質なのです。

 例えば正義について考えてみましょう。ウルトラマンが怪獣をやっつけるのは、ほとんどの人にとって正義です。原爆ドーム前で不謹慎なことをする観光客に、敢然と注意する行為はほとんどの人にとって正義です。

 これらの、わたしたちが「正義だなあ」と感じる光景には必ず美しさが伴っています。すなわち、地球を守るべく怪獣と闘う巨人の美しさ。不心得な行いを看過せず、怒りを訴える勇気の美しさです。

 反対に「これは不正義だなあ」と思うものについては、必ず美しさが伴っていないはずです。例えば国民のお金で天下りをする官僚は不正義ですし、断じて美しくありません。道端に食べおおしたお菓子のゴミを恥ずかしげもなく捨てる男は不正義ですし、醜いこと甚だしいです。このように、正義の本質は美にあるのです。

 善についても同じことが言えます。磔にされ、石を投げつけられながらも「神よこの人たちをお許し下さい」と叫ぶイエスの姿は善いものでありますし、且(か)つ美しいものであります。ヘマを犯してテンパっている後輩に「焦らなくても大丈夫だよ」と優しく言う先輩は善い方ですし、且つ美しいものであります。

 責任もそう。有色人種に残虐無道な支配を行い、数えきれぬほどの拷問、虐殺を行ってきた連合国が、枢軸国の不の面を誇張し、さもわたしたちだけに責任があると主張する図は美しくありません。日本を戦争に追い込んだルーズベルト元大統領や、原爆を投下したトルーマン元大統領にも戦争責任があるとし、彼らを戦争犯罪者として処刑台に掛けるとすればまだ幾分かの美しさがあります。

 このように、誰がどこまで責任を負うのかという基準もやはり美にあります。

 また、多くの学問の発達も実は美に端緒(たんしょ)があります。というのは、こちらをご覧下さい。

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 砂鉄が何か規則的な形に並んでいますね。

 「この砂鉄がこのような形で並んでいるのは、何らかの力が加わっているからだ」という解釈と、「この砂鉄がこのような形で並んでいるのは、ただの偶然に過ぎない」という解釈は、どちらが釈然とするでしょうか。多分、皆様は前者を選ぶと思います。後者の解釈をとるのは、何か気持ち悪いしこりがあります。なぜ気持ち悪いしこりがあるかといえば、砂鉄に見る規則っぽい感じを無視するからでしょう。この規則っぽい感じはどこから来たかというと、やはり美です。美といっても、原始的な次元の美ではありますが、ともかく美です。先ほどの画像を見て規則っぽいなと感じるのは、そうした感性に引っ掛かったということです。

 このように、わたしたちは美に引っ掛かる現象に注目して学問を発展させてきたのです。

 因みに、この「美に引っ掛かる現象」について釈然とする解釈を与えることは「証明」と呼ばれます。画像の例で言うと「砂鉄が規則的な形に並んだ。従って磁石は金属に何らかの力を及ぼす」と唱えることは証明と見なされるわけです。

 

 このように、数々の抽象的概念の本質は美にあるというのがわたしの考えです。この理論は葛藤したり、議論が水掛け論になったりした際、極めて有効であると自賛します。

 例えば「どっちが正義なのか」と頭を抱えるよりも「最終的に美しいのはどっちなのか」と置き換えた方が早く済みます。「どっちの責任か」と腕を組んで首を傾げるよりも、「どのような責任の取られ方が美しいか」と置き換えた方が早く済みます。美は正義や責任とは違い、純粋な感情なのですから。

 

 ……ちょっとどうでもいい話でしたね。お粗末様でした。

 

・付録「心の曼陀羅


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 これはわたしが考案した心の略図です。今回の理論に則って書きました。美が欲に含有されており、別個の物ではないという点は我ながら独特だと思います。なぜこういう形かというと、こう考えた方が釈然とするからです。「飯を食べたい」「眠りたい」などという欲の内、「誰かを救いたい」といった「美しい欲」が美に分類されるのではないかと仮説します。

 最後までお読み頂きありがとうございました。

 

それでも僕は増税反対



 もうすぐ増税となりそうですね。全国民が決起して永田町に集結でもすれば阻止できるのでしょうが、そういうこともやはり起きないでしょう。

 この前、昼ののんびりした日溜りが教室に横たわっていた日のことです。我が(高校生)親愛なる担任の先生のりたまひしく、

「もうすぐ増税だのう。物が高くなるというのは困ったことじゃのう(※個人情報保護の為、方言は出鱈目にしております)」

 するとわたしの友達がこう言いました。

「そもそも増税って意味あるんですかね」

 先生は苦笑しながら、答えて曰く、

「そりゃあ意味あるぞな。ニッポンの財政もヤバいっちゅうしのう。将来の子供たちの為にも仕方ないかもしれんのォ」

 滅多に物を言わないわたしですが、この時ばかりは口火を切りました。

「そ、それは違います。日本の経済が萎縮していけば、財政も悪化していくばかりです。将来にツケを残すのは増税の方なのです」

 先生はイエスのような微笑をたたえ、ゆっくりと頷いて下さいました。

「わいの言う通りじゃ。今増税しても、目先の財政しかよくならないのかもしれんのオ。まあそういう話をしてみるのも、面白いのかもしれんのオ」

 このように、わたしの先生はとても素晴らしい方なのです。

増税、ハア。やめてくれないかなあ」

 と友達。わたしはすかさず、

「消費税なんか、0%でいいんだよ。廃止だよ廃止!」

 この一言で教室は爆笑の渦に巻き込まれたのでした。彼らは、わたしが冗談でこんなことを言ったと思っているのでしょう!もう一人の友達も笑いながら、

「そんなことをすりゃ国が成り立たんべな」

 とぼやきますから抗弁しようと思いましたが、笑い声で声がかき消されます。そうして消費税の話題は終わり、遂に授業へと移ったのでした。

 やはり、我が国の世論は依然「増税やむなし」と考えているようです。

 この現状から脱却するには、声を挙げる他にありません。消費税廃止が不可能ではないことを、繰り返し繰り返し訴えるしかありません。

 そういうわけで、わたしは消費増税を目前にして、増税反対を今一度訴えたいと思います。

 

■無駄の増税

 とは言え、本ブログは既に増税反対論を投稿しました。消費税にまつわる嘘を粉微塵に至るまで粉砕し尽くしたのです。これを既にご覧になられた読者様に、またもや同じ内容のものを読ませるというのも何ですから、今回は過去に書いたこととは別のことを書きます。

 未読の方には、是非過去の投稿をお読み頂きたいものですが、その手間はちょっと面倒かもしれません。そこで、ここにその概略を記しておくとしましょう。

 

 これからあなたにご紹介させて頂きますのは、財政に関しての意見を書いた堂々たる三部作です。形式としては、わたしが間違いだと考える通説、常識に×をつけ、本当はどうなのかということを◯をつけて加える具合です。

× 借金が増え続けるのを止めろ!

◯経済の規模が拡大すれば、借金が増えるのは当たり前。

 

× 日本の財政はヤバい

◯日本の対外純資産は世界一。経常収支の黒字も世界二位。世界的には結構優秀。

 万一、破綻するようなことがあれば、金を刷って返せば済む話。勿論「インフレになるだろ」という指摘もあるが、今は深刻なデフレ。「勉強しろ」と言われたサボりが「これ以上勉強したらノイローゼになる!」と言うようなもの。

×日本の借金は一人当たり八百万円以上

◯日本(日本政府+日本国民)のではなく、日本政府の借金。そしてそのほとんどは日銀(政府の子会社)とわたしたちが貸しているもの。「お前俺に金貸したんだから後でちゃんと返せよ」などという台詞がまかり通っちゃあいけない。

 

×108円のものが110円上がったところで、大した影響はない。

 むしろ10%は計算しやすいから、逆に景気が良くなるかも

◯影響とは、小さな波及がまたたくまに拡大して起こる津波のようなもの。実質消費指数は、増税の度に深刻なL字低迷をきたしていた。

 10%は計算しやすいからこそ、むしろ影響が大きい。京都大学藤井聡教授は実験によってそれを証明した。

 

×増税の目的は社会保障の為

◯引き上げ分のほとんどは国債(政府の借金)の返済と法人税の引き下げの財源となっている。

 このタイミングで国債を返したところで、そのほとんどは銀行に行く。不景気の今、銀行は企業にお金なんか貸さない。結果、銀行は安定している国債を買い、いたちごっこに。

 

×財政の為に増税をするか、経済の為に減税をするか……か。ま、三幸君、気分転換として、タピオカでも飲みに行かないかい?

◯財政は経済の上に成り立つもの。経済を良くするということは財政を良くなること。90年代、アメリカは減税や経済政策によって赤字国債をゼロにした。

 わたしはタピオカが嫌い。カエルの卵のような食感がするし、喉が詰りそうで不安になる。巷のタピオカブームにも気持ち悪いものを感じている。

 

 と、こうしたことを述べたわけです。詳しく知りたいという方は上のリンクから是非ご覧下さい。

 

■抱腹絶倒の軽減税率

 ここ数年は一部の作家の活躍により、増税に反対にする分子(わたしもその一つ)が増えてきているように感じます。その影響もあってか、政府は経済への影響を一応は考慮したという態度を見せようとしています。それが軽減税率です。

 これについては皆様もテレビ等でご存知かと思いますが、一言で言えば主に生活必需品に限っては増税をしないというものです。生活必需品には増税がされないから、弱者への考慮はきちんとされているわけですよ、というわけなのです。

 それでは、皆様がこの軽減税率に対応できるよう、8%の商品と10%の商品の区別を分かりやすくレクチャーさせて頂きます。

 まず、水や食料は命に関わるので8%です。ただし水道水とドライアイスについては10%です。また、お酒は贅沢なので10%です。ただしアルコールが1%未満のものは8%です。学校や老人ホームの給食は8%です。ただし食堂の場合は10%です。ホテルのルームサービスは10%です。ただし、客室冷蔵庫の商品については8%です。新聞は8%です。ただし電子版やコンビニなどで購入するものについては10%です。お菓子は8%です。ただし、おもちゃが主体の商品であれば10%です。果物狩りで獲ったものを食べると8%です。ただし、果樹園内で食べた場合10%です。

 それでは、以上のことをしっかりおさえ、良い10%時代をお過ごし下さい。

 

 

 などと言われたらふざけんじゃねえぞって思いますよね!やはり軽減税率は煩雑なのです。「一体何が難しいんだ」と思われた方がいらしたら心から凄いと思いますが、わたしが紹介したことは極表面的なものに過ぎません。当初、国税庁が発表した軽減税率についてのQ&Aはなんと90問にも及びます。f:id:miyukiyasmaro:20190926161558j:image

 さらにこのQ&A、後に改定され、計121問、106ページに及ぶパワーアップを果たしました。

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 この資料の情報量だけで、大学の入試科目の一つくらい作れそうな気さえします。

 店側がトラブルを避ける為には、少なくともこのQ&Aを頭に叩きこまねばならないでしょう。僕が経営者だったら間違いなく号泣します。

 このように、日本の産業に嫌がらせじみた負荷を加える制度が、果たして「経済への影響を考慮したもの」などと呼べるでしょうか。

 

■衝撃のMMT(現代貨幣理論)

 消費税の問題を語る上では、やはりMMTは触れねばならないものでしょう。「MMT」はテレビやネットではほんの一時期話題になっていましたから、ご存知の方は少なくないかもしれません。これは今、世界で賛否両論を巻き起こしている経済学の理論です。f:id:miyukiyasmaro:20190927231152j:image

 こちらはMMT提唱者の一人、ステファニー・ケルトン教授。この方はYouTubeにて「三橋貴明」という大人気な評論家と対談しました。

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 同じく提唱者の一人、ランダル・レイ教授です。この方の教科書は中野剛志という先生によって翻訳されたところ、販売即売り切れの書店が続出したといいます。

 みんなが知っているというわけではないけれど、少なくとも多くの人が注目している「MMT」ですが、一体どういう理論なのでしょうか。

 それを知るには書店でMMTの教科書を買えばすぐ分かることですが、あいにくわたしの懐も温かくありません。それでは、Wikipedia先生をお訪ねすることとしましょう。

MMTとは「自国通貨を発行する政府は高インフレの懸念がないかぎり財政赤字を心配する必要はない」とする理論である。

 自国通貨を発行する政府。つまり、自分で自分のお金を発行している政府(日本政府もそうです)は、インフレにさえ気をつければ、財政赤字なんか気にしなくて良いということです。

このようにMMT財政赤字の拡大を容認する。政府は財政赤字を気にせず景気対策に専念すべきだとMMTは主張する。

 今の我が国の政府は財政赤字を気にして景気対策ができていませんね。

自国通貨建ての債務であれば、政府の財政的な制約はないため、赤字が増えても財政は破綻しないとされる。MMTは自前の通貨を持つ国がいくら自国通貨建てで国債を発行しても債務不履行(デフォルト)には陥らないとする。

 自国通貨建ての債務とは、自国の通貨で返せる借金です。日本の場合、日本の借金は円で返せますから、「日本の借金は自国通貨建て」と言えます。そうすると、日本はいくら借金しても財政破綻しないことになります!

MMT財政赤字の無制限な拡大を事実上容認しており、論者の中には国の借金が膨張しているのに財政破綻しない日本がMMTの正しさを示す見本だとの主張もある。

 

以上、引用部はhttps://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E8%B2%A8%E5%B9%A3%E7%90%86%E8%AB%96

 結構大胆なことを言っているように聞こえますが、実は結構前から言われています。さきほど名前だけ出した「三橋貴明」先生や「中野剛志」先生という方は、MMTが提唱される遥か前からこうしたことを主張し続けておられました。そして、わたしも本ブログでそのパクりを行ってきたわけであります。

 真面目な方は、2009年のギリシャや、戦後間もないドイツ、また非常に詳しい方は、戦後間もない日本の例を挙げ、「このように、世界には財政破綻した例がたくさんあるのだ。財政を楽観視すべきではない」といったことを叫ばれることがあります。
しかしながら、現在の日本とそれらの例とは、重大な違いが二つあります。それが、

① 通貨発行権がある
② 極端な供給能力不足に陥っていない

 

https://miyukiyasmaro.hatenadiary.com/entry/2019/05/24/193034

 以上、拙稿より引用した文書は、徹頭徹尾MMTと全く同じ内容です。

 WikipediaにおけるMMTの説明には、

MMTとは「自国通貨を発行する政府は高インフレの懸念がないかぎり財政赤字を心配する必要はない」とする理論である。

 と書いてありました。そして拙稿では、

現在の日本とそれらの例とは、重大な違いが二つあります。それが、

① 通貨発行権がある
② 極端な供給能力不足に陥っていない

 と書かせて頂きました。

「自国通貨を発行する政府」とは「通貨発行権がある」政府ですし、「高インフレの懸念がない」とは「極端な供給能力不足に陥っていない」と言い換えることができるのです。

 そして、そうした条件の下では借金なんか気にしなくていいよということを、わたしとMMTは主張するのです。

 さあ皆様、さあご一緒に、

「国の借金なんか気にするな」

 と高らかに叫んでみましょう。

ギリシャ財政破綻したじゃないか」

 という声がこだましてきます。

 しかしギリシャが使っていた通貨はユーロ。ギリシャの意志ではなく、EUの意志で発行される通貨です。ギリシャは「自国通貨を発行する」即「通貨発行権がある」政府ではありません。

 さあ皆様、さあもう一度、

「国の借金なんか気にするな」

 と叫んでみましょう。

「戦後間もないドイツと、戦後間もない日本、その他多くの発展途上国ハイパーインフレになって財政破綻したじゃないか」

 今度はこうした声がこだましてきます。

 しかし、恐ろしき戦禍によって産業をボロボロにされたドイツ、日本は、極端な「供給(物やサービスが作られること)<需要(物やサービスが欲求されること)」に陥ります。これは即ち「インフレ」を意味します。

 また発展途上国は、やはり発展が途上の国ですから、産業が未熟な状態であります。「供給<需要」の状態に陥りやすいわけです。また、紛争なんかのリスクも多分にあります。

 したがって、これらの例は「高インフレの懸念がない」即「極端な供給能力不足に陥っていない」という条件を満たしていません。

 財政破綻の例として挙げられるのは、そうした国だけなのです。

 逆に言えば

・「自国通貨を発行する」即「通貨発行権がある」

・「高インフレの懸念がない」即「極端な供給能力不足に陥っていない」

 この条件さえ満たしていれば、財政破綻なんかしないということでもあるわけです。つまり、日本は財政破綻しません。いくらMMTが異端と呼ばれていようが、非常識と呼ばれていようが、過去の歴史を見るにこれは正しいのです。

 

 しかしながら、マスメディアはうっかり(あるいはわざと)「財政赤字は気にするな」という部分ばかりを強調し、「高インフレにならなければ」という部分を忘れがちです。「政府は無限に借金できるという異端の理論」などという紹介もよくされました。そんなこと言ってないんですどもね。こうした悪質な報道によってMMTは誤解を受け、言われようのない批判を浴びせられるわけです。

MMT理論、現代貨幣理論(Modern Monetary TheoryもしくはModern Money Theory)とか言われてたりするんですが、、、、

国家がいくらお金をバラまいても、国家が破たんしないなら、税金取るの辞めちゃっていいと思うんですよね。

(中略)

MMT信者の人は、無税国家を主張してもいいはずなんですけど、さすがに無税国家が無理ってのを心のどこかで理解してるようで、「国はいくら借金してもいいんだ。だから税金を無くそう!」とかは言ってくれないんですよね。
https://www.excite.co.jp/news/article/Getnews_2199304/

 これは、かの2ちゃんねるを作った「西村ひろゆき」という方が書いたものです。「国がいくら借金しても大丈夫なんだろ?じゃあ税金をなくしてもいいんだな?」というわけですが、MMTは「いくら借金してもいい」などと言っているわけではありません。極端なインフレにならない範囲ではという話なのです。

 無税国家を作ってしまえば、インフレを抑制するものがなくなってしまうのです。そういうわけで、MMTの立場から無税国家を否定することは何ら矛盾しません。

 

 さて、日本ではこうしたMMTを理論の根底として「消費税廃止」を唱えた政党があります。それが、山本太郎率いるれいわ新選組であるわけです。

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 山本さんは正確には「まず5%に減税してから廃止する」という計画を唱えられております。MMTにしたがって考えるに、もし5%にしても充分にインフレにならなかった場合は、廃止しても全然大丈夫であると思います。

 

■幻想の北欧諸国

 わたしは今、テレビの独り言が流れるリビングで本文を執筆しております。先ほどニュースで消費税について取り上げられていました。あるコメンテーターが日本よりも消費税率の高い北欧諸国を挙げ、「こうしたところは消費税が高いかわりに社会保障が充実しています。日本も10%、20%と増税していった方がいいかもしれませんわ。うふん」などと仰有っておられました。こうした北欧と日本を見比べる増税論はいわば伝統的なものですが、これは間違いであると考えます。

 北欧諸国と我が国とは大きな違いがあります

 一つは人口構造。北欧は若者が多く、老人が少ないいわゆる「ピラミッド型」なのですが、日本は反対に若者が少なく、老人が多い「壺型」です。税を負担する人の割合、税で助けてもらう人の割合が大きく違うのに、これらを比べるのは適当ではないと思います。

 もう一つはお金の使い方。f:id:miyukiyasmaro:20190928181826j:image

 こちらは政府が使ったお金とGDPとの比率です。フィンランドスウェーデンデンマークなどの北欧の国は、たくさんお金を使っています。北欧はご案内の通り、税金をたくさん徴収した分、しっかり社会保障に使うので、社会保障が充実しているわけです。しかし日本の場合、徴収されたお金はきちんと我々のもとへ還るわけではありません。安倍さんは前回8%増税の際「引き上げ分は全て社会保障に使われます」などと仰有っておられましたが、結局引き上げ分の半分は国債の返済に充てられました。今回の10%への増税も「借金を返すのは将来の為だから社会保障」という論法で、前回と同様のことが計画されています。国債の返済に充てられたお金は、日本の経済には戻ってきません。

 

■あとがき

 わたしは日本の経済が良くなるその日まで、消費税反対を何度でも叫ぼうと思います。あんな無意味なものの為に、わたしたちの輝かしき未来が奪われるなんて真っ平です。f:id:miyukiyasmaro:20190928154838j:image

 赤い線はわたしたちの消費。消費税とは消費への罰金ですから、当然消費は冷え込みます。問題はその伸び率の変化。消費が増えていく角度が増税の度に緩くなり、ここ数年はほぼ横這いです。青い線は、それまでの角度に基づいた単純なシミュレーションです。青い線と赤い線の差は、わたしたちが増税で失った豊かさです。

 三日後の増税は阻止できないでしょうが、それから先、減税運動を進め、わたしたちの手の中に豊かな未来をもう一度取り戻したい。わたしのこんな過疎ブログが貢献できることなど塵にも等しいくらいですが、何も抵抗せずに悪政を許すなどと屈辱的な真似はしたくありません。

 どうかあなたにも、減税運動への参戦をお願いしたいものです。参戦といっても、皆様はわたしのような暇人ではないからバリバリ活動できるわけではないのかもしれません。しかし、時代を変えるということは、そんな大それたことではないと考えます。無理のない範囲で、自分なりにできる、ほんのほんの少しのこと。そうした些末なことが日本を変えると信じております。物の値段がほんの数%上がるだけで、わたしたちの未来が台無しになったように、わたしたちの意志がほんの数ミリ変わるだけで、この国は劇的に変わると信じております。

 

■付録「素晴らしき哉!表現」第二回
正直者の美学「坊っちゃん

 このコーナーは政治経済とはあまり関係のない文化的なものです。興味のない方はどうぞ容赦なく無視下さい。

 今回取り上げる作品はこちら。

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 言わずと知れた夏目漱石先生の名作「坊っちゃん」です。

 親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。

 この書き出しは非常に有名。主人公の性格が凝縮された一文によって物語がはじまります。

 主人公は負けん気が強く、幼い頃から荒いことを繰り返し、家族から疎まれます。しかし下女の「清」だけは彼を「坊っちゃん」と呼んで可愛いがりました。清は彼の性格を

まっすぐでよい御気性だ

 と肯定します。

 こうした環境下で、主人公の性格は形成されていくのでした。

 主人公が学校を卒業してから八日目のことです。学問を修めたは良いもののこれからどうしようかとしていたところ、校長から教師にならないかという誘いを受けます。例の無鉄砲な性格で、主人公はそれを受けて四国の学校で数学を教えることになりました。

 本作は、そこでの様々な思い出が中心となります。個性豊かな登場人物との奮闘が、漱石先生のユーモアな筆致で楽しめます。

 さて、今回はその思い出の中から「バッタ事件」というものを取り上げようと思います。

 主人公が宿直を担当することになった日のことです。彼が宿直小屋で就寝しようと布団に横たわると、突然バッタが五六十匹、布団の中から飛び跳ねてきました。さては生徒のいたずらだなと気づいた彼は、生徒を呼び出して説教しようとします。しかし飽くまで白を切る生徒たち。

おれはこんな腐った了見のやつらと談判するのは胸糞がわるいから、「そんなに言われなきゃ、聞かなくっていい。中学校にはいって、上品も下品も区別ができないのは気の毒なものだ」と言って六人をおっぱなしてやった。

 しかし、再び布団に入ってうとうとしていると、寄宿舎から騒がしい物音が聞こえます。さらには、叫び声まで聞こえます。注意しようと寄宿舎の階段に足を掛けると急に静まりました。ところが宿直小屋に戻って寝ているとまたうるさくなります。当然激怒する主人公。寄宿舎へ走って寝室を開けようとしますが、押しても引いても開きません。机か何かを積み立てているようでした。

 読者の皆様には、この時の彼の言葉に注目して頂きたいのです。

こんな時にはどうしていいかさっぱりわからない。わからないけれども、決して負けるつもりはない。

(中略)

世の中に正直が勝たないで、ほかに勝つものがあるか、考えてみろ。今夜中に勝てなければ、下宿から弁当を取り寄せて勝つまでここにいる。おれはこう決心したから、廊下のまん中であぐらをかいて夜のあけるのを待っていた。

 彼はうっかりあぐらをかいたまま居眠りしてしまうのですが、ふと目を覚ますと生徒が二人目の前にいるのを発見します。すかさずこれらを取っ捕まえて退治したわけです。

「頑固」というものを、こんなに美しく描いた小説が他にあるでしょうか。

 

 さて、今の世の中は正直ではない政治ばかりが行われています。消費増税もそうです。それをどうしようもないことだと見逃すのではなく「世の中に正直が勝たないで、ほかに勝つものがあるか」と、坊っちゃんのような頑固な姿勢で向き合うことが重要なのかもしれません。

 以上、引用部は

坊っちゃん夏目漱石 角川書店

 より引用しました。

 最後までお読み頂きまして、心より感謝申し上げて筆を置きます。

 

世界は一つなのかな


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(東京にて、子どもたちと戯れるジョンソン首相)

イギリスのボリス・ジョンソン首相がブレグジット(イギリスのEU離脱のこと)に向けて活躍していることは、皆様もテレビ新聞等でご存知のことと存じます。あらゆる人種、民族を同じ「地球市民」とし、全ての国境を取り払う思想を「グローバリズム」と呼びますが、ボリス・ジョンソン首相が行っていることはこれとは逆の「反グローバリズム」な政策であります。

 反グローバリズムといえば、この動きのきっかけとなったのはやはりトランプ大統領であると考えます。彼はアメリカとメキシコの間の壁と、自国の産業を守る為の関税という壁を建設しました。

 フランスでは「黄色いベスト運動」というものが起こります。

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 経済回復の為の減税と財政出動を訴えたこの運動ですが、これらの政策に立ちはだかるのはEUでした。ヨーロッパを一つの国にしたい

EU。しかし、もしそうなればフランスは自国の為の経済政策を行えなくなります。したがって、この運動の本質は反グローバリズムであると指摘されています。

 そして、ブラジルのトランプと呼ばれる「ボルソナロ」大統領は移民の規制を叫びます。

 このように、トランプ大統領就任以来、世界は反グローバリズムという方向へ動きつつあるわけです。こうした変動について、マスメディアの認識はおおよそ危惧的なものです。おおよそこんな具合に、

「世界は一つになろうとしていた。しかしトランプ大統領によって様々な人種、民族の絆が失われようとしている。反グローバリズムという動きは、自分とは違う人を偏見して排斥(はいせき)しようとする動きだ。あるいは、貧困などによる閉塞感から出る疑心暗鬼だ。このままでは世界はバラバラになる」

 そしてこの世界観に基き、こうした物語性を付け加えるわけです。

「世界中の人々と分かりあおう。そしてみんなで世界をもう一度繋ぐんだ」

 以上のことを唱えるメディアや表現者、そしてそれに感化される人々は多いように感じます。

 しかし、わたしは彼らに言いたいのです。もう一度立ち止まり、再考する余地はないかと。本当にグローバリズムは正しかったのかと。「世界は一つ」という考え方に、反省の余地はないかと。

 というわけで、本稿はグローバリズムについて、様々な観点から見直してみます。

 

■「グローバリズムでみんな仲良し」は本当?

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 大体のグローバリストはこう考えます。国境をなくし、色んな人種の人が同じところに住めば、色んな考え方が分かるようになり、したがって仲良くなれると。だから戦争もなくなるんだよ、というのが付け足されている場合も多いです。

 しかし、わたしの教室には、わたしとは全く違うタイプの人間がたくさんいます。派手な髪型をする人だとか、化粧の濃い人だとか。しかし、わたしの考え方は広まるどころか、狭まっていきました。こうして「派手な髪型をする人間即悪人説」と「厚化粧の女即愚か者説」が育まれていきました。わたしは彼らが嫌いなのです。

「ただの偏見じゃあねえかよォ」と思われるかもしれません。そして、それは全くの正論です。しかし同時に「色んな人種の人と一緒に住めば考え方が広がる」というのもまた偏見の一つに違いないのです。なぜなら、その考えは「ある時、自分とは別な人と関わってみると考え方が広まった」という個人の経験に基づくものだからです。

 個人の経験で議論をするというのは途方もないことです。たくさんの目の見えない人が象に触れている様子を想像して下さい。ある人は耳に触れて「これは扇だ」というでしょう。ある人は足に触れて「これは柱だ」というでしょう。

 そういうわけで、わたしたちは個人の経験を超越した視点で物事を考えたいものです。それが「データ」です。

 政治学者のR・パットナム先生は、以上の問題を個人の経験に頼らず、「データ」によって研究しました。

 パットナムらの調査は、アメリカ国内の四十一の地域に住む三万人弱の住民を対象とするもので、二◯◯◯年に実施された。人種や民族は細かく分類すると切りがないため、パットナムらはヒスパニック・白人、黒人、アジア系という大分類を採用し、いずれか一つの人種が大多数を占める地域は「同質的」(多様性が低い)、人種間の比率が拮抗している地域は「異質的」(多様性が高い)と評価することとした。そして同質的な地域と異質的な地域を比較して、「異なる人種感での信頼感」や「同じ人種内での信頼感」にどのような違いがあるかを分析している。

 一部の人種が大多数を占める「同質的」な地域と、多様な人種が拮抗する「異質的」な地域を見比べてみたというわけです。そうするとどうなったか。

 その結果は興味深いものだ。まず、地域が人種的に多様であればあるほど、「人種間」の信頼感が低いという傾向があった。たとえばロサンゼルスやサンフランシスコは特に多様性の高い都市であるが、これらの地域では、自分とは異なる人種の人々を「とても信頼している」と答える住民は極めて少ない。逆に、サウスダコタ州の田舎街ではほとんどの住民が白人であるが、異人種の人々に対する信頼感は全ての都市中でずば抜けて高い。

 

表現者クライテリオン」2019年7月号  啓文社書房より

 川端祐一郎 『「多様性」が社会の活力を奪うという逆説』

 なんということでしょう。様々な人種が距離を詰めれば詰めるほど、彼らの仲は悪くなるのです。

 そういうわけで、住む場所をいっしょにする場合はある程度「こんな民族を共有している」とか「こんな文化を共有している」などの「同質性」があった方がいいということが伺えます。

 

■「グローバリズムで平和」は本当?
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 グローバリズムを進め、国境をなくしていけば、貿易がさかんになります。そうすると、世界の国々は貿易に依存するようになります。そこでグローバリストの方々は、「グローバリズムを進めれば戦争がなくなる」と主張するわけです。何でも、戦争を始めると戦争の相手国との貿易ができなくなるわけですし、周りの国々も制裁を課してくる恐れがでてくるというわけです。

 しかし、歴史を振り返って考えてみると、この理論は疑わしいものです。

 例えば第一次世界大戦。ドイツとイギリスは戦争を行いました。しかしドイツにとってイギリスは最大の貿易相手国ですし、イギリスにとってもドイツは二番目の貿易相手国だったのです(ソース:「世界を戦争に導くグローバリズム 」中野剛志 集英社

 まあ多少の抑止力にはなるかもしれませんが、上の例を見る限りはそれほど強力なものとも考えにくいものです。

 

■「グローバリズムで経済が良くなる」は本当?

 経済学者の主流派達は、法律で企業を縛りつけるより、自由にビジネスをやらせた方がいいと言ってきました。そういうわけで、国境という大きな「縛り」を取っ払うグローバリズムも、正しいことだとしてきました。自由にビジネスをやらせるということは、競争が激しくなることです。競争が激しくなると、企業は生き残る為に努力します。彼らによれば、この努力によって生産性が向上するようです。しかしこのグラフを見て下さい。
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 下の棒グラフは日本の輸出額です。2000年から2009年のリーマンショックが起こるまで、日本の輸出額は急激に伸びて行きました。これはつまり、自由貿易が進んだということです。ところが上の線グラフ。これは我が国の平均給与ですが、輸出額が増えるにともなって、上がるどころか下がったではありませんか!

 経済とは、国民を豊かにする為にあるものです。競争が促進されようが何だろうが、国民が貧しくなっては本末転倒ではありませんか。

 因みになぜ自由貿易が進むにともなって我々が貧しくなったかというと、それは簡単なことです。

 発展途上国に工場を作り、そこで人を雇うとなると、日本から人を雇うよりも安くなります。発展途上国では元々賃金が低いので、比較的安い給料でも人を雇えるのです。そうして、「日本人の労働者」の貴重さは失われていきます。必然、日本国内における賃金は下がっていくのです。

 このように、自由貿易を進めると、先進国の賃金が発展途上国のそれと近づいていくようです。

 

 そもそも、競争を促し、生産性を向上させるのが自由貿易の目的の一つなのですが、これもおかしい話です。我が日本国は、デフレ下にあります。過去の投稿で述べた通り、デフレは供給が需要より多い為に起こる現象です。この状態で生産性を向上させるということは、供給を上げるということです。余計にデフレが深刻化するやんけ!

 つまり自由貿易とは、物不足(需要が供給より多いこと)に陥っている発展途上国や、景気の良いインフレの国にのみ有効な政策なのです。

 

■「グローバリズム→国際分業→合理的」は本当?

「比較的優位論」という理論があります。これは、分業を行えば生産性が高まるという理論です。国にはそれぞれ得意分野があります。ですから、それぞれが得意な分野の生産を行えば、地球上に生まれる物の数が多くなるというわけです。

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 しかし、物の生産を一ヶ所に依存するというのは何とも危険なものです。紛争、不況、災害などの要素で、国の生産が壊滅的になったり、外国から物を輸入できなくなるということは充分にありえます。上の表の例ですと、紛争等の問題が起きて、乙国が甲国より稲を輸入できなくなるかもしれません。何らかの災害が起きて、甲国が大凶作に陥るかもしれません。

 ですから、物の生産はある程度分散されていた方が安全なのです。

 実際に1993年。この時、日本が恐るべき冷害に陥り、「米騒動」と騒がれたのは皆様の記憶に懐かしいものと思われます(わたしはまだ生まれていないけれども)。この時、日本はタイ米を輸入しました。日本人の口にはあまり合わなかったようですが、国民の飢餓を回避したのです。因みにこのタイ米、炒飯などにするとパラパラして、大変美味しかったと聞きます。

 では、もし米の生産が日本の一ヶ所に集中していたとしたらどうでしょうか。タイは他の産業に専念し、日本はタイの分まで農業に勤しんでいたというわけです。この状態下であの米騒動が起きたと考えると、背筋が凍ります。日本はタイに助けてもらえないし、タイも米を得る手段を失うのです。

 このように、国際分業が進み過ぎると、たった一つの事件で世界中がヤバいことになるのです。

 現にその「ヤバいこと」は過去に起こっています。それがリーマンショックです。リーマン・ブラザーズというたった一つの企業の破綻は、世界中に波及したのです。

 

■あとがき

 我々はこれまでグローバリズムを素晴らしいこと、そしてナウなことであるように捉えてきました。しかし、今世界で、特にヨーロッパで起きているのは反グローバリズムへの変動なのです。グローバリズムナウいこととしているのは我が日本だけなのです。

 世界中の人々がグローバリズムの欠陥に気付いている中、わたしたち日本人が未だにグローバリズムを盲信し続けているというのは、危険なことであると考えます。ババを引かされるのはいつも無知な者なのです。

 さて、この日本国において、わたしのような反グローバリズム主義者は「差別主義者だ」と差別されるわけですが、わたしは決してそのような者ではありません。わたしには大変頭の良い中国人の友人がおります。わたしは彼を親愛しておりますし、そのこととわたしの思想は矛盾しないと考えております。

 わたしが申し上げているのは、結局は「距離感」の話です。世界諸国民はわたしたちの友達ですが、友達といえども一定の距離を置かねばならないわけです。ちょっと鬱陶しい友人がいたら、「君は距離感を間違えているぞ」と諭すのは当然のことです。それにも関わらずグローバリストの多くは「友達を大切にしないなんて最低だな!」などと的外れな指摘をするのです。

 これまでの世界諸国は、距離感を間違えてきました。ですから、反グローバリズム自体は正しい動きです。

 

 とは言え、悲しいかな人類はいつも極端です。反グローバリズムが流行すると、今度は病的な個人主義へ向かいはじめる予感がします。国境が必要なら県境も必要だ。県境が必要なら町境も必要だ。町境が必要なら家境も必要だ。家境が必要なら人境も必要だ…といった具合に。そうすると、美しき「日本」は消えてしまうでしょう。ちょっと考え過ぎだと言われるかもしれませんが、現在のこの様子を見るにやりかねないことです。

 なんでもかんでも極端にしてしまう人類の為に、ここでちょうどいい基準を記しておきましょう。それは「国」です。国とは、共通の「国民意識」(ナショナリズム)を有する国民が形作る集団です。

 国民意識とは読んだ字の如く「わたしは日本という国の民だ」という意識です。国民意識は、文化や歴史の上に芽吹くものです。その為、同じ国民意識を有する集団、つまり同じ国民の間では、常識や価値観が共有されるのです。

 わたしたち日本人が同じ日本で住めるのは、わたしたちが同じ国民意識を持つ為です。わたしたち日本人が同じ法律を守るのは、わたしたちが同じ国民意識を持つ為です。わたしたちの企業が、日本の中であれば自由にビジネスできるのは、わたしたちが同じ国民意識を持つ為です。

 もしも国民意識がバラバラの集団が、強引に国という体(てい)をなそうとしたらどうなるでしょう。それは今のヨーロッパを見れば分かります。EUはヨーロッパを一つの国にしようとしました。そうしてヨーロッパ中から国境を取っ払い、人々が自由に行き来できるようにしたのです。しかしその結果、ヨーロッパの多くの国では、他民族への憎悪が爆発し、激しいデモが連続しています。これは、「ヨーロッパ人」という国民意識がなかった証拠です。

 以上のようなことにならぬよう、国境は必要なものなのです。

 わたしたちは日本人であると言い張った上で、諸外国と交流しましょう。彼らもまた、「わたしは何とか人だ」と言い張るでしょう。そして、互いに互いの言い張りを尊重しあうのです。この思想を「インターナショナリズム」と呼びます。

 

■付録 新連載「素晴らしきかな表現!」
第一回 グローバリズムを徹底考察した「メタルギア

 

 これは文化的な啓蒙の為に行うものです。政治経済とはあまり関係ないので、興味のない方はどうぞ容赦なく読み飛ばして下さい。まあ、新連載とは言ってもこれが最初で最後かも知れませんが。

 今回ご紹介する商品はこちら!f:id:miyukiyasmaro:20190921122742j:image

 小島秀夫監督の「メタルギアソリッド」シリーズ。家庭用ゲームです。ゲームを論ずることによって、サブカルチャーに媚を売ってみようと思いました。

 このゲームの特徴は何といっても「ステルスアクション」という画期的なシステムです。従来のアクションゲームといえば、出てくる敵を次々と倒して進んでいく感じです。しかしメタルギアの場合、できるだけ戦闘を避け、敵地を潜入するのが原則となります。この原則が、今までのゲームになかった手に汗握るスリルを呼び起こすのです。

 その他にも、どのゲームにもない「オープンワールド性」や緻密に張り巡らされた「ユーモア」など、メタルギアの魅力を語り出すとちょっと四時間くらいかかりそうなのですが、今回はその「物語」について特筆したいと思います。

 第二次世界大戦終結後、世界は東西に二分された。冷戦と呼ばれる時代の幕開けである。

メタルギアソリッド3 スネークイーターより

 本シリーズ時系列の最もはじめとなる「メタルギアソリッド3」はこのナレーションで開幕。本作の主人公「ネイキッド・スネーク」はアメリカの非公式部隊「FOX」の隊員。ソ連に潜入し、秘密兵器の完成の阻止を目指します。

 しかし、そこで立ちはだかるのがかつての師匠であり、恋人でもあった「ザ・ボス」。彼女はソ連への亡命を宣言し、スネークの任務を妨害します。こうしてスネークは「ザ・ボス」の殺害を命令されるのでした。

 さて、本作にはグローバリストが二人登場します。一人はソ連で秘密兵器の開発を主導していた男「ヴォルギン大佐」。彼は秘密兵器の完成によって圧倒的な軍事力を掌握(しょうあく)し、その力によって東西に引き裂かれた世界を再び一つにしようとします。

 もう一人はザ・ボス。彼女はアメリカで秘密裏に行われた有人宇宙飛行実験の被験者でもありました。

その時私は宇宙からこの星を見た

そして全てを悟った

(中略)

見ればお前にも分かるはず

地球には国境などどこにもない

まして冷戦や東西の線引きなどどこにもない

 彼女は弟子であるスネークとの決闘の前に、こう言い遺すのです。

では敵とは何だ

時間には関与しない『絶対的な敵』とは

そんな敵は地球上には存在しない

なぜなら敵はいつも同じ人間だからだ

『相対的な敵』でしかない

世界はひとつになるべきだ

 

メタルギアソリッド3 スネークイーターより

 しかし、メタルギアのストーリーはここからが重要です。

 

 後に主人公スネークと、彼の司令官であるゼロ小佐はザ・ボスの思想を実現しようとしますがいずれも失敗に終わるのです。

 スネークはザ・ボスを越えた男「ビッグボス」と呼ばれ、国家から独立した民間軍事勢力「アウターヘブン」を組織。これにより、地球上の「力の均衡」を保とうとしますが何やかんや失敗に終わります(1984メタルギア)。

 ゼロ小佐はアメリカの裏で「サイファー」を組織。人類の無意識をAlに接続し、統制することで世界に規律をもたらそうとします。しかし、これも何やかんや失敗に終わります( 2008年 メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット)。

 結局、わたしにはまだ小島監督がグローバリストなのか、反グローバリストなのかは分かりません。しかし、小島監督が誰よりも徹底的にグローバリズムを考察した表現者であることは確かだと考えます。

 グローバリズムを根底とする作品は大抵、「世界は一つになるべきだ→世界を一つにしよう!→みんな仲良く万々歳」という筋書きですが、メタルギアの場合は「世界は一つになるべきだ→じゃあどのように一つにしよう?→あれでもない、これでもない」と、考えさせられるものになっているわけです。

 メタルギアシリーズの物語は「遺伝子」「デジタル」「核抑止」「軍産複合体」など、様々なものがテーマになっています。政治経済に興味のある方には、お薦めしたいゲームです。

 小島監督作品の最新作をプレイしたいという方は、今年の11月8日をお待ち下さい!この日「デスストランディング」という作品が発売予定です。

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 デスストランディングの情報は少しずつ公開されていますが、未だ全貌の見えない謎多き作品です。

小島秀夫によると「DSはステルス・ゲームとは違います。主観で進む事も出来ますが、FPSシューターでもありません。全く新しい繋がり(ストランド)の概念を取り入れた、これまでにないジャンルのアクション・ゲーム、ストランド・ゲーム(ソーシャル・ストランド・システム)と呼んでます。」であるとし、ゲームジャンルについてはいわゆるアクションゲームだが、従来のゲームジャンルには囚われないと語っている。

Wikipediaより

 ソーシャル・ストランドシステムとは一体何なのでしょうか。それが分かるのは、わたしたちがこの作品をプレイした時となりそうです。メタルギアが「ステルスアクション」という新ジャンルを作ったように、この作品が新ジャンルを開拓する予感がします。

 因みにわたしは決してコジマプロダクションの手先ではございません。

 

 今週は蛇足に近い新連載の導入によりかなり長い投稿となりましたが、最後までお読み頂き誠にありがとうございました。

 

サスペンス香港

 むかしむかし、イギリスの植民地に「香港」というところが加わりました。それから百年後、人種平等を支持する国際世論や、日本との対決で力が衰えた為に、イギリスは香港を手放すことになりました。香港は元は中国から奪ったところです。ですから必然、香港は中国に返さなくてはなりません。しかし、香港は中国の一部になることを大変嫌がりました。中国はとても不自由な国だからです。そこで中国は「香港だけには特別に自由を許すよ。香港の政治には手出ししないよ」という約束をしたわけです。こうして香港は中国に所属することになりました。

 今回はそんな香港を取り上げてみたいと思います。

 

 この物語はノンフィクションであり、実在する事件、団体、人物に基づいております。しかし、結構テキトーな部分もありますので悪しからず。

 でははじめます。

 




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 灰色の空がまるごと落ちてきているような音が聞こえる。九月に入ったところだから、そろそろ雨季は終わるだろうか。それにしても、なぜ香港はこうも長い雨季というものがあるのだろうか。

 そう言えば、去年のあの時も、確かにこんな雨が降っていた。

 2015年の十月、夫がいなくなった。夫だけではなく、その仕事仲間も相次いで失踪したらしい。あまりにも突然過ぎた。なぜ消えたのか、どこへ消えたのか、見当もつかなかった。

 ある人は、夫は中国の連中に消されたのだという。本屋をやっていた夫は、習近平共産党を批判する本を置いていたのだ。この噂はどんどん広がり、いつしか夫の失踪はかなり有名になった。

 はじめ、わたしはその推理がどうも納得いかなかった。香港は自由な国なのだ。中国のように、政権批判をすればたちまち弾圧されるようなディストピアではなかったはずだ。ネットだって自由に使える。あちらは「一つの中国」などと言ってはいるが、有名無実だと信じていた。

 しかし、同じような事件を耳にしなかったわけではなかった。中国を批判していた者が、ある日突然消えるという事件を。雨傘革命に参加していた友人も確かこう言っていた。

「香港の政治はまるで自主性がない。考えてもご覧、中国に都合の悪い者は立候補すらできないだろ。こんな選挙、やる意味あると思うかい」

 そうして、わたしは次第に夫に何が起こったのかを理解しはじめた。

「…おや?」

 耳を澄ます。凄まじい雨音の間から、ジリンジリンという金属音が漏れている。急ぎ足で電話の元へ行き、受話器をとった。

「もしもし」

「…………」

 真っ暗な雑音だけが流れている。

「もしもし。林(りん)ですが」

 もう一度繰り返す。

「……俺だ」

 わたしは口を開けたまま何も話すことができなかった。確かにその声は夫だったのだ。数秒間、雑音だけが流れる。

「どこにいたの」

 暫くの沈黙の後、夫は答えた。

「…中国」

「一体何があったの」

「……」

 間もなく、ブチリという鋭い音で雑音は断絶された。そして、灰色の空がまるごと落ちてきているような音が響いている……。

 

 

 さて、冒頭で申し上げました通り、この物語はノンフィクションでございます。舞台である香港は、中国に属しながらも至って自由な社会が成り立っていました。…と、信じられていました。しかし、不自然な事件の頻発に香港国民(ふつう「香港国民」とは呼びませんが、彼らへの賛同の意を込めて本稿ではこう呼称します)が気づき、恐ろしき疑惑が確信へと変わっていくのでした。この恐怖に立ち向かう運動こそ、香港で行われているデモなのです。

 このデモの凄いのは、何といっても若者が中心となっていることですね。f:id:miyukiyasmaro:20190914193344j:image

 中高生が授業のボイコットを行う様子は、テレビでも度々報じられました。高校生である筆者は「ひょっとしたらはわたしは香港人なのでは」などと思ったりします。f:id:miyukiyasmaro:20190914193746j:image

「いきなり何だこの写真は。アイドルか何かか」と思われるかもしれませんが、驚くべきことにこの人は香港デモを率いている学生の一人。名前は周庭(しゅうてい アグネス・チョウ)といいます。タイプだなあ。

 彼らの要求は五つ。

一、逃亡犯条例改正の完全撤回

二、独立調査委員会の設置。警察の暴力を責任追及

三、デモについて「暴徒」などと認定したことについて撤回

四、理不尽に逮捕されているデモ参加者の釈放

伍、普通選挙の実現。林鄭月娥(りんていげつが キャリー・ラム)行政長官の退任

 

 特に注目すべきが「逃亡犯条例改正」です。もし「逃亡犯条例」の改正が行われると、香港で逮捕された人を、中国へ引き渡すことが可能になります。共産党からすれば、都合の悪い香港人の始末が比較的スムーズになるわけです。

 デモの参加者は主催者発表で二百万人。ただし、香港大学の葉兆輝という教授の推定では五十~八十万人。その間をとって六十五万と考えても、香港国民の十一人に一人が参加している計算になります。

 警察は残虐な暴力によってこれを弾圧。しかし香港国民は挫けず、活動を続けました。そして今月の十日、林鄭月娥(りん ていげつが キャリー・ラム)行政長官は逃亡犯条例改正を一時撤回します。

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↑林鄭月蛾さん

 香港国民の要求は完全撤回ですから、もちろん彼らが勝ったわけではありません。しかし、綱引きにおいて、相手が一歩こちら側に引きずられた様子を想像して下さい。国民の運動は僅かながら、政府を引っ張ったのです。この点、日本人は見習うべきだと深く感じます。「どうせ何も変わらない」などと不貞腐れている方が多いですが、必死に活動すれば政治を変えることは可能なのです。国民が努力して政治を動かす、それこそが民主主義であると考えます。

 さて、民主主義をテーマとした壮大な戦いである香港デモですが、わたしはこれに賛同する一方で、懸念する点が二つあります。

 一つは「第二の天安門事件」です。

 

■第一の懸念 天安門事件

 民主化を訴えた国民に対し、中国人民解放軍が戦車のキャタピラでこれを踏みにじった事件。このままではこれが再び起こるかもしれません。ニュースでは香港のデモは激しい部分が取り上げられ、「暴徒」と呼ぶ向きもあります。習近平がこれを利用し、「香港で起きたテロを鎮圧する」という大義名分で軍隊を出動させる可能性は充分に考えられるでしょう。そうなった場合、いくら香港国民の意志が強くても、こればかりはどうにもならないのです。

 つまり香港を守る為には、我々日本をはじめとする国々が中国共産党に圧力をかけることが必要であるわけです。具体的に何をすべきかと言えば、香港のデモが暴徒ではないという認識を広めることが考えられるでしょう。

 そんなことを言うと、こんな指摘があるかもしれません。

「香港のデモが暴徒じゃないだと?じゃあ何でこんなことが起きたんだ!」

香港国際空港を運営する香港空港管理局は、きょう8月12日に香港を出発する全便を欠航すると発表した。ブルームバーグなどが伝えた。

 

https://www.traicy.com/20190812-HKG

 香港国際空港が一度全便欠航をすることがあった。それほど香港のデモは激しかったということだ、というわけです。

 しかし、本当に香港デモが激しかったが為に、同空港は欠航を実施したのでしょうか?f:id:miyukiyasmaro:20190913191103j:imagef:id:miyukiyasmaro:20190913191951j:image

 これは当時の香港国際空港の様子です。確かにデモの参加者は多く、その迫力はただならぬものがあるでしょう。しかし、決して物を破壊したり、暴力によって空港の営業を妨害しているわけではありません。彼らはゲートを自ら築くなど、利用客に配慮して活動を行っているのです。

 同空港が欠航を行った理由は別にあると思います。それは、

一、ボイコットによる人手不足

二、デモを暴徒と印象づける為

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 これは、デモ隊がごみの回収を行っているところです。決死の活動を行いつつも、街を汚さぬように努力しているわけです。f:id:miyukiyasmaro:20190913192633j:image

 こちらは通りがかったタクシーを通す為、道を開けるよう呼び掛けている様子です。

 このように、他の人へ配慮し、規律を以てマナーを守る活動が、果たして「暴徒」と呼べるのでしょうか。

(香港デモの実態についてより詳しく知りたい方は、是非この動画を視聴下さいhttps://youtu.be/0albOgOxwME

 

 もちろん、全てのデモ隊がこうであるとは言いません。しかし、我が国のマスメディアはデモの暴力的な部分ばかりを強調し、さも暴徒であると見せかけようとしているように思います。その理由の一つは中国共産党への忖度かもしれません。周知の事実として、共産党は世界中にお金をばらまき、メディアに影響を与えているのです。

 しかし、もし我々が「彼らは暴徒ではない」と叫べば、共産党は軍を出動させる正当性を失うでしょう。

 

■第二の懸念 香港のアメリカ属国化

 ところで、香港のデモでは多額のお金が使われているのが伺えます。果たして、自分たちだけでこんな活動を維持するようなお金を捻出しているのだろうか、ということで黒幕説を唱える評論家や作家が少なくありません。その黒幕というのは、大方のところアメリカのCIAだと考えられています。

「まァァた陰謀論かよ!いい加減にしろ!」

 と言われるかもしれませんが、国家が他国の世論に影響を与えるというのは陰謀などではなく、公然たる事実です。これは「パブリック・ディプロマシー(PD)」と呼ばれています。パブリック・ディプロマシーは一部のヤバい国が行っているわけではなく、国際社会では当たり前の行為です。やっていないのは日本だけなのです。

 因みに中東やアフリカで起きた民主化運動「アラブの春」についても、アメリカ黒幕説が指摘されています。

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 では仮に、香港デモがアメリカの影響を受けているとしたらどうなるのでしょうか。もし彼らのデモが成功し、習近平に勝利したとしても、今度はアメリカの属国になるかもしれません。香港が真の意味で独立国となる為には、中国から独立を勝ち取るだけではなく、アメリカとも戦わなくてはなりません。

 中国との対決。アメリカとの対決。香港のデモはこの前後編に構成された壮大なものなのかもしれません。前編は勝てたとしても、後編は実に困難です。香港という小さな島が自力でアメリカに勝利するとは考えにくく、かといって中国やロシアなどに頼るとなると、前編への後戻りとなるだけです。

 だからこそ、わたしたち日本の出番なのかもしれません。日本が香港の運動を支援し、本当の意味での独立国「香港」の建国を助けるべきだと考えます。勿論、日本だけの支援に偏ると、香港は日本の属国となる可能性があります。ですから、様々な国から支援を呼び掛け、バランスの良い内訳で支援をしたいものです。

 こうしたことを日本が実行する為には、アメリカ寄りでも、中国寄りでもない政権を誕生させなくてはなりません。それは日本の独立を意味します。少なくとも、安倍総理はそれに当てはまらないでしょう。

 

■あとがき

 ちょっと物騒な話ですが、家畜がなぜ難なく屠殺されるのかご存知でしょうか。一匹ずつ家畜を屠殺していくと、いつか仲間が消えていることに気づく家畜が出てきます。「なぜあいつは消えたのだろう。ひょっとしたら殺されたのではあるまいか。かわいそうだな」なんて思う者もいるかもしれません。しかし、自分が次の番であるとは思いもよらないのです。わたしたち日本も、そうした状態にあるとは言えないでしょうか。f:id:miyukiyasmaro:20190914124859j:image

 現在、北海道では中国資本による土地の爆買いが進んでいます。そのほとんどは、極めて貴重な水源地や、あるいはどう考えてもビジネスには有用でなく、そして軍事的には有用な土地です。

 わたしは断言します。今日の香港は明日の日本であると。そして、何かが起こってから動くのでは遅い、何か起こる前にそれを阻止しなくてはならないのだと。

 最後までお読み頂き……

 あ、そうだ。冒頭の小説に登場した女性の旦那様のことですが、モデルとなったのは銅羅湾書店の林栄基という方です。

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 林栄基さんはやはり中国に拘束されていました。しかし、命が奪われたわけではなく、現在は台湾にいます。そして、台湾で再び書店を開き、香港を守る為の戦いを再開するとのことです。

 

 最後までお読み頂き、ありがとうございました。

 

日韓貿易戦争の戦況


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 前稿にて「クーラーもお役ご免かな」などと書いておりましたが、もう暫く暑い日が続きそうです。特に夜はあと数日間熱帯夜が続くそうなので、クーラーはためらわず使いましょう。

 外出時は扇子の携帯をお薦めします。近頃 気づいたことですが、扇子というのは素晴らしい発明でございます。僅かな力で吹く涼しい風!使わない時は一瞬で小さく折り畳むことが可能!もはや荷物にすらならない軽さ!そして何より、麗しき見た目!扇子ほど爽やかな形をしたものはございません。全く良いセンスでございます。皆様も是非、扇子をお使いになって、もう暫くの暑い日々をお過ごし下さい。

 暑いといえば、近頃どうも日本政府と韓国政府の間はホットでございます。わたしとしては、争い事は少ない方が理想なのですが、いかんせんそうもいかないものですね。ただいま行われている輸出の規制や不買運動のやり合いは「日韓貿易戦争」と呼ばれています。戦争という言葉は物騒なのでなるべく使いたくないものですが、気を引き締める意味も込めまして戦争と呼称致します。

 

■戦争勃発の経緯

 まず、なぜこのような事態になったかという基本的な情報を把握したいと思います。これについては、両国で認識が食い違っております。まずは韓国側の言い分を見てみましょう。

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  日本が徴用工等の件について、まだ賠償金を支払うべきか否かについては、別の機会に検証することとします。

 続きまして、日本側の言い分です。

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 韓国側は歴史問題が、日本側は北朝鮮への物の流出が貿易戦争の発端だとしています。とは言え、度重なる賠償金の支払い命令で日本国内に嫌韓(いかん) ムードが高まっていたことは確かです。そうした世論への忖度がなかったとは言い切れないものです。

 しかしいずれにせよ、このままでは日本の輸出品が北朝鮮の兵器になる可能性は変わりません。したがって、今回の貿易戦争は仕方のないものではあったと考えます。

 

■日韓貿易戦争実況

 それでは突然ながら、これまでの日韓貿易戦争を実況仕立てで解説します。尚、わたしはスポーツ等にはあまり詳しくないので「実況っぽくねえじゃねえか!」等と思われてもどうかご容赦下さい。

 

 いよいよ始まりました「日韓経済バトル」。実況と解説はわたくし三幸靖麿呂が務めさせて頂きます。引用部は皆様お馴染みWikipedia先生が担当しております。(以下引用部https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E9%9F%93%E7%B5%8C%E6%B8%88%E6%88%A6%E4%BA%89_(2019%E5%B9%B4)

 さあ7月1日、先に動いたのは日本。韓国に向けて狙いを定めた。

日本の経済産業省は、半導体材料3品目(レジスト、高純度フッ化水素、フッ化ポリイミド)について包括的輸出許可から個別輸出許可へ切り替えると発表。同時に、輸出管理上のカテゴリーにおいて韓国をホワイト国(旧名称、現:グループA)から除外する件について、パブリックコメントの受付を開始した。事実上はホワイト国からの除外の予告。

 個別輸出許可への切り上げであります。簡単に説明すると、半導体スマホを製造する時に不可欠な物)を輸出する際、企業が政府との間で行う手続きが極めてめんどくさくなります。ビジネスはスピードが命!韓国の半導体メーカーに大打撃であります。半導体といえば、韓国の主要産業の一つ。日本はアキレス腱とも言える弱点を狙ったのであります。

 さらにホワイト国からの除外を予告。堂々たる宣戦布告。

 7月3日、韓国はどうでるか。

韓国政府は半導体材料や装置の国産化支援に毎年1兆ウォンの予算を充てる構想を発表。

 来る攻撃に備え、守りに入りました。

7月4日 - 日本の個別輸出許可への切り替えが発効。

 日本は攻撃を実行。先制攻撃であります。

 おっと、ここで世界貿易機関WTO)から中継が入っております。

7月24日 - 世界貿易機関WTO)の一般理事会で、日本が実施した半導体材料の対韓輸出規制が議題になったが、日韓以外からの発言は無かった。メディアの取材に対して複数の国が、複雑な歴史が絡む日韓の対立に巻き込まれることは望んでおらず、2国間で対処すべき問題だとコメントした。

 仲裁を行う様子はまるでございません。一対一のサシの決闘が暫く続く見込みであります。

 さて八月に入り、夏休みが始まりました。因みにわたくし三幸靖麿呂は、この時点で宿題を終わらせていた!

 さあ、ここで河野選手が動く。

8月1日 - 日本の河野太郎外相と韓国の康京和外相がタイのバンコクで会談し、韓国側はGSOMIAに影響を与えることを示唆した。

 日・米・韓が情報を交換し、北朝鮮に対抗するGSOMIA。韓国がこれを破棄するという展開も予想されます。

8月2日 - 日本政府は、韓国をホワイト国から除外する旨を定めた輸出貿易管理令の一部を改正する政令閣議決定した。また、「ホワイト国」の名称を廃止し、新たにグループ制に切り替えると発表した。韓国は「グループB」に割り当てられた。同日、韓国の洪楠基経済副首相兼企画財政部長官は日本を韓国の「ホワイト国」から外すと示唆した。

 日本が再び韓国に狙いを定めた。そして、お互いにホワイト国から外し合います。いよいよ戦いが本格化しつつあるのでしょう。

8月7日 - 日本の「輸出貿易管理令の一部を改正する政令」が公布。

  早くも二発目の発射準備完了。これが発動すれば半導体のみならず、兵器への転用の恐れのあるものの輸出はめんどくさくなります。さあ韓国、今のところやられっぱなしですが、反撃は来るのでしょうか。

8月8日 - 韓国環境省は、「火力発電所から排出されセメントの材料となる石炭灰の輸入にあたって、従来は一部に限っていた放射線検査を全てに義務付ける」と発表。

 おっと、何でしょうかこれは?ちょっと不思議な攻撃だ。放射線濃度は韓国の方が高いはずです。これは「日本は放射線まみれ」という印象を世界にばらまく為の嫌がらせなのでしょうか。

8月22日 - 韓国大統領府である青瓦台は、国家安全保障会議NSC)の常任委員会を開き、日韓で防衛秘密を共有する日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)の破棄を決めた。

 遂に出ましたGSOMIA破棄!マスメディアは安全保障の危惧を一斉に叫びます。

 おっと!噂をすれば北の方から不気味な閃きが!8月24日に北朝鮮より、二発の飛翔体が発射されました。GSOMIAが破棄されるのを見て、我々を舐めてしまっているのでしょうか。

 さあ、日本。そろそろ二発目の攻撃が繰り出される予感。

8月28日午前0時 - 日本の「輸出貿易管理令の一部を改正する政令」が発効。

 決まりました。輸出貿易管理の一部を改正する政令。いよいよ試合も白熱して参りましたが、本日はここで実況を中断致します。では、これからの主な決定事項をご確認下さい。

9月 - 韓国の「ホワイト国」から日本を除外する方針が実施(予定)。
11月23日 - 8月22日の日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)破棄決定により、午前0時にGSOMIAが効力を失う(予定)。

以上、引用部https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E9%9F%93%E7%B5%8C%E6%B8%88%E6%88%A6%E4%BA%89_(2019%E5%B9%B4)

 

 さて、ここまでが一般的な教養としての基礎情報であります。恐らく、以上のことを把握していれば、少なくとも恥をかくようなことはないかと考えます。

 では、ここからはあまりニュースでは報じられないような情報を記していきます。

 

■韓国は貿易戦争なんかやってる場合じゃない

 時を遡(さかのぼ)り、日韓貿易戦争が始まるちょっと前の話をしましょう。今年の四月でございます。桜の花弁がわたしに桃源郷を思わせた一方その頃、韓国ではウォンが暴落。これは米中貿易戦争の影響と言われています。韓国経済は中国への輸出に依存していたのですが、中国が苦しめられることで主要産業に次々と打撃。耐えかねた韓国経済は遂に体調を崩し、ウォン暴落という深刻な症状が顕(あらわ)れたのです。

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 このままでは韓国は通貨危機になるのではないかと予想されております。ところで、韓国はこれまでにも二度通貨危機を経験したことがありました。どのようにしてこれを乗り越えたのでしょうか。実はどちらも日本の援助を受けて回復したのでした。そういうわけで、今回も日本に頼りたいところだったのですがこの有様。日本が助ける見込みがなくなります。「日本が助ける見込みがなくなる」ことが更なるウォンの不信認を招きます。『「日本が助ける見込みがなくなる」ことが更なるウォンの不信認を招く』ことが更なるウォンの不信認を招きます……。

 このように、韓国は戦う前から劣勢だったのです。

 

■両国の貿易依存度

「韓国は中国、アメリカに次ぐ日本との貿易相手国だ」このように聞くと、日韓貿易戦争が深刻なもののように思えます。実際、韓国が三番目の貿易相手国というのは確固たる事実です。

 しかし、そもそも日本の貿易依存度は意外と低いものです。つまり、日本がやっている貿易の内で韓国との貿易は大きい割合を占めていますが、「貿易」そのものの割合が低いわです。そこのところを考慮しないと、日本経済において韓国との貿易が大事であるかどうかは分かりません。

 というわけで、わたしは日本経済がどのくらい韓国に依存しているかという、正真正銘の「韓国依存度」を突き止めてみました。それが次のグラフです。

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 左側の赤い棒が、日本経済が韓国への輸出(入)にどれだけ依存しているかという統計。名付けて「日本経済の韓国輸出(入)依存度」です。その値は1.9%。今回の貿易戦争でこのほんの1.9%の一部が失われると考えると、あまりヤバいことのようには思えません。

 右側の緑の棒は先ほどの逆、「韓国経済の日本輸出(入)依存度」です。韓国の方が遥かに高く、不利であることが分かります。

 因みにこれらのグラフを作るのには大変苦労しまして、計四時間くらいかかりました。疲れましたが楽しかったです。

 

■GSOMIA破棄は本当にヤバいのか

 日米韓が情報を交換しあい、北朝鮮などの脅威に立ち向かう条約GSOMIA。韓国はこれを破棄してしまい、ヤバいことになったぞということでマスメディアは大騒ぎしております。では、実際のところにどうなのでしょうか。

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 これは、各国が運用する人工衛星の数です。これを見て分かる通り、韓国はあまり多くの人工衛星を持っておりません。これでは、他の国が知らないような北朝鮮関連の情報を調べるのは困難です。このような未熟さもあって、韓国は不正確な情報を発表をしてしまうことがあるようです。

 

韓国国防省は二十六日、北朝鮮が二十五日に発射した飛翔体は、飛行距離が二発とも約六百キロだったと明らかにした。二十五日の発表では一発目が四百三十キロ、二発目は六百九十キロとしていたが、米韓で分析した結果として修正した。

東京新聞(https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201907/CK2019072602000290.html)より

 こうして見ると、韓国と情報を共有することは、あまり重要なことではないように思えます。

 但し、GSOMIA破棄の途端に北朝鮮が飛翔体を撃った事実は無視できません。日本の情報力が大して変わらないとしても、結果として北朝鮮に舐められたわけです。そういうわけで、これは全然楽観視できるというわけでもありません。

 

■あとがき

「どちらが有利か」という話になると、断然日本の方が有利です。ですからこの貿易戦争は日本の勝ちということになるでしょう。

 しかし、問題は勝ち負けではないと考えます。勝ちだろうが負けだろうが、被害が少ない方が望ましいことは確かです。わたしは「日本経済の韓国輸出入依存度」で、日本経済全体は韓国に依存していないことを明らかにしました。とはいえ、一部の観光業界には甚大な被害が与えられるかもしれません。そうした方々の為にも、国が何らかの対策を講じるべきです。具体的には減税や財政出動などが考えられます。

 また、もし韓国も日本も豊かになることができるwin‐winの道があるならばそちらの方が望ましいものです。具体的には、韓国の「反日親北朝鮮」をやめさせるとか。

「韓国人はみんな反日なんだからそんなの無理だよ」

 という指摘があるかもしれませんが、そんなことはありません。韓国に行ったことがある知人によると「韓国で反日を言っているのは年寄りだけで、若者は親日が多い」とのことです。何より、韓国では「反日種族主義」という大変革が始まっています。f:id:miyukiyasmaro:20190907180407j:image

 李栄薫(イ・ヨンフン)という経済史学者が著したこの本については、ニュースでもちょくちょく取り上げられておりますので皆様はご存知かもしれません。これは「日本は加害者で韓国は被害者」という韓国を支配してきた歴史感に挑戦し、「反日」というものが政治によって人工的に作られたものであることを訴える書物です。

 ここでは立ち入りませんが、韓国の(日本もそうですが)歴史認識は確かに歪んでいます。この歪みを正せば、日韓が本当の意味で仲良く歩める未来を築けるかもしれません。

「そんな本読んでんの、どうせほんの一部だろ」

 そんな指摘もあるかもしれませんが、とんでもありません。この本は一時期、韓国国内でベストセラーになりました。

反日種族主義」が韓国を変え、日韓が互いを尊敬しあう平和な未来を想いながら筆を置きます。最後までお読み頂きありがとうございました。