僕の名は靖麻呂

高校生 政治厨 軽度の神経衰弱

【財政・増税問題】こんな教科書は嫌だ2その①

 

 結論から言って、現時点の増税は何の観点から見ても無意味です。現時点の増税は経済を萎縮(いしゅく)させ、そして実は財政をも悪化させます。
 もっと言えば、財政を健全化する必要すらないと考えます。

 

 という訳で、今回はこの、体育の時間でボーッとしていたら選(よ)りに選って不幸な脳みその下俗な同級生に罵声を浴びせられ「貴様こそ他の教科で積極性が微塵も見られない癖に私を指摘する資格があると思っているのか。貴様は結局正しさではなく自分の感情に支配されたまま猿のように喚き散らすしか能がないということを自ら露呈しているに過ぎないし、そこから進歩することも有り得ない哀れなやつなのだ」と反論しようと思っても怖くてできず深く傷ついている三幸靖麿呂が、何故そういえるのかを誰でも分かるように、そして深く解説していきたいと思います。

 

 まず、増税賛成派の方々がなぜ増税は必要かというと、それは前稿でも述べた通り「財政がヤバいから」であります。
 そろそろ本稿のタイトルを回収しないと読者がぶちギレる恐れがありますから、僕のお兄さんが使っていた教科書を参照して見ましょう。

日本の財政は, とても深刻な状況にある。218頁のグラフからわかるように, 2014年度予算では, 国債の発行額が41兆2500億円で歳入総額の43.0%, 国債の累積残高は2014年度末で780兆円に達する。国民1人当たり約615万円の借金をかかえている計算になる。

高校現代社実教出版
221頁 政府の役割と財政・租税

 その「218頁のグラフ」はこのようになっております。

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 簡単に纏(まと)めると、こういうことです。

 

一、国債をどんどん刷っているせいで、借金が増え続けているから、財政がヤバい。

 一見すると非の打ちどころのない話です。債務(いつか返さなければならないという義務)がどんどん大きくなることは由々しき事態で、解決しなければならないことのように見えます。
しかし!この理屈には重大な欠陥があるのです。

 

第一節 借金を増やして何が悪いッ!

 それは、債務者(債務を持つ人)の大きさの変化を考慮していないということです。債務の大きさよりも、もし債務者の力が大きくなれば、何ら問題は深刻化しないのです。
 分かりやすくする為、少し極端な例え話をしますが、例えば、私のような一介の高校生が100万円の借金をするとしたら、それは絶対にヤバい事態です。
 では、ホリエモンこと堀江貴文さんが100万円の借金をするとしたらどうでしょうか?
一体これは、ヤバい事態でしょうか。いいえ、違います。
 当然のことですが、この違いは、私にはせいぜいアルバイトをしてお金を稼ぐしか「力」がないのに対し、堀江さんは民間ロケットを飛ばすほどの「力」があることに因(よ)ります。
 力があれば、計画的に借金を返済することができますから、借り手貸し手の双方ともに何ら問題はないのです。
 要するに、国が債務に見合うほどに力を大きくしていくのなら、借金が増え続けるのは何ら問題ないことであるし、もっと言えば、国とは常に大きく成長していくものなのだから普通のことなのです。
論より証拠。この図が示す通り、我々は100年以上前から債務を膨らませ続け、そして成長してきたのです。

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財務省が日本を滅ぼす 三橋貴明 小学舘

より

 小学生程度の思考能力がらあれば誰でも分かる当たり前のことではありますが、債務が債務者の能力に見合う大きさなら、借金が増え続けることに問題はありません。では問題は、日本の借金は日本の身の丈に合ってるの?合ってないの?という話になるかと思います。

 

第二節 金持ちで何が悪いッ!

 

 熱心に日本の財政を考えておられる方はしばしばこのように仰ります。
「日本は赤字国債GDP比率が先進諸国で最悪の水準である」
 赤字国債GDP比率とは、赤字国債(借金)をGDP(大雑把にいうと国の経済の大きさ)で割った数値です。
 実際に財務省ホームページの画像を参照してみるとこのようになります。
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 確かに諸外国と比較すると最悪です。そして、これに則(のっと)り「日本の借金はやはり身の丈に合っていない」と主張される訳です。
 では、例えば「俺は100万円も借金しちまった!借金地獄だ!」といいながら、300万円の銀行預金がある人がいたらどう思いますか?財産が債務以上ある癖に借金地獄だと主張する訳です。
 正しい訳がありません。
 同様に、日本が債務以上に資産を持っている可能性だってあるのに、赤字国債GDP比率だけで財政の善し悪しを判断するのは早計であると思います。
 実は、日本の資産は債務以上にあります。そして資産が債務以上にあるという状況は先進諸国の中では珍しいことなのです。
では、日本はどれほど資産を持っているのでしょうか?


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https://www.jiji.com/sp/graphics?p=ve_eco_general20180525j-02-w380
 何と日本の対外純資産(資産-負債)は世界一なのです。

 資産というのは、インフラ(道路やダムなどの国が持つ設備)やアメリカ国債など、すぐにはお金に変えられないものも確かにありますが、「借金が1000兆円」というのと、「借金は1000兆円で資産は1000兆円」というのは、政府の財務状況としてかなりの違いがあります。
 また、日本は世界屈指の経常収支黒字国です。経常収支が黒字というのは、国内のお金で政府の借金を賄うことができるということです。
屈指というのは、「指で数えて何本目かくらいに入る」という意味ですが、実際のところ何本目なのでしょうか。


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https://ecodb.net/ranking/imf_bca.html
 二本目です!因みにドイツは世界一ィィィです。「日本は衰退している」というイメージをもっておられる方からすると信じられないことかもしれませんが、このように多角的に見ると、日本の財政は逼迫(ひっぱく)しているとは言えないのです。

 

第三節 過去に財政破綻した例があって何が悪いッ!

 真面目な方は、2009年のギリシャや、戦後間もないドイツ、また非常に詳しい方は、戦後間もない日本の例を挙げ、「このように、世界には財政破綻した例がたくさんあるのだ。財政を楽観視すべきではない」といったことを叫ばれることがあります。
しかしながら、現在の日本とそれらの例とは、重大な違いが二つあります。それが、

通貨発行権がある
② 極端な供給能力不足に陥っていない

①まず通貨発行権とは、通貨(お金)を発行する権利です。
極稀に日本銀行(通貨発行権を持っている)は民間会社なので、日本には通貨発行権がないという主張を聞きます。が、日本銀行の50%以上の株式は政府が持っているので、日本銀行は事実上政府の子会社であり、通貨発行権も政府がしっかり握っています。
 となると、日本にはある裏技ができるということになります。それは、お金を刷りまくって返すということです。
 万一「政府金返せ!」と国債保有する人が押し掛けてきたなら、お金を刷りまくって返せば良いのです。
 とこのように書くと、真面目に現代社会や歴史を勉強してきた方は十中八九憤慨されることでしょう。以前、ネットで同様の発言をしたところ、「インフレになったらどうする!馬鹿!」といった指摘を受けました。そこで私は「インフレになったら喜ぶ!阿呆!」と返答させて頂いたのです。
 というのは、現在の日本はデフレに陥っており、経済が縮小していき、貧困に喘(あえ)ぐ人がどんどん増えているという状態で、政府はどうにかして再びインフレに戻し、経済成長しようと目指しているところなのです。ですからもし、この裏技を使ってインフレになったら万々歳の訳であります。

 しかし残念ながら、お金を刷るだけでは、今のところインフレにはなりません。
詳しくはまたの機会に述べますが、事実、下のグラフのように、マネタリーベース(国の中にあるお金の量)とインフレ率は比例していないのです。

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https://youtu.be/ynVn-3tLhj4


という訳で、日本はお金を刷るべきところにあって、「通貨発行権連打」という裏技は、実は全く危険ではないのです。
恐らく、私に反論をしたあの方が想像したインフレとは、極端にお金の価値が下がり、紙屑同然となるハイパーインフレのようなものだったと思われます。

「じゃあ戦後日本、戦後ドイツその他発展途上国通貨発行権があったのに、何で財政破綻したのだ!」というご指摘もあるかもしれません。しかし良く考えてみると、戦後日本、戦後ドイツとは、どちらも恐ろしい戦渦によって国の力が極端に傷つけられていました。この状態で財政破綻が起きるのは至極当然であり、そして現在のように経済が機能している日本と比較することはナンセンスであると言えます。
 発展途上国も、「発展」が「途上」なのですから、経済がまだ萌(も)え始めた状態か、経済が停滞している状態か、経済が衰退している状態である訳でして、財政破綻は極めて起きやすいのです。また、発展途上国の多くは紛争地帯でもあり、現在の日本と比較するには極端なケースです。
 因みに、これらの例を挙げて「こういった国々はハイパーインフレに陥った。従って①は間違いである」と指摘する方がいらっしゃるかもしれませんが、前述の通り、これらは全て供給能力が極端に乏しい状態で現在の日本と比較するべきではありません。供給能力が乏しいと物はなくなります。物がなくなると、物は貴重になり、物の価値は上がります。物の価値が上がると相対的にお金の価値が下がります。これをインフレという訳です。ですから私はむしろ、「本当にハイパーインフレを恐れるのならば、日本の経済が滅ばない為にも増税を阻止せよ!」と声を大にして叫びたいものであります。

 

続く(かも)