僕の名は靖麻呂

高校生 政治厨 軽度の神経衰弱

【財政・増税問題】こんな教科書は嫌だ2 その②

【財政・増税問題】こんな教科書は嫌だ2 その②

 

(※その①を見てない人は前稿を先に見てね)

 本稿は前稿の続きです。というわけで、今回もこの、見知らぬ金髪小学生に通りすがりにブスと罵詈(ばり)された経験を持つこの三幸靖麿呂が、消費増税についてなるべく分かりやすく、そして深く解説していきたいと思います。

 また今回より、読者一人突破を記念して「本日の経済用語」というくだらぬコーナーを始動します。そしてこのコーナーの恐ろしさとは、読者がこれを忘れた時に唐突に襲いかかってくることなのです。これは予言です

 


第四節 政府の借金と呼んで何が悪いッ!

「日本が借金をしている」というフレーズはよく聞きますが、この文章において「日本」とは「日本政府」のことを指します。しかし通常は国家とは「国民と政府の共同体」を指します。

 ですから、「国が借金している」と聞くと何か罪悪感を抱いてしまうのが常識ではあります。しかしながら、厳密には日本というより日本政府が借金をしている訳で、よく言われる一人八百万円以上の借金というのは語弊(ごへい)があるのです。

「屁理屈言ってんじゃあねえ!」

 と言われるかもしれませんが、この違いが実に重要なのです。もし国民が一人ずつ八百万円以上の借金をしているのなら、実に絶望的な状況です。進路も陸(ろく)にイメージできておらず、ニートにもなりかねない僕にはまさにお先真っ暗です。

 一方、「日本政府」が千兆円借金をしているという話なら、何ら罪悪感を抱く必要もなく、深刻な話でもありません。何故なら前稿で述べたように、我が日本政府は世界二位の経常黒字国であり、世界一の純資産を保有し、そしてギリシャとは違い、いざという時には通貨発行権連打という裏技を発動できる強みがあるのです。


第五節 国債保有者割合を把握して何が悪いッ!

 そして、「日本が借金している」の「借金をしている」というのは、誰から借金をしているのかというと、それは日本国民でもあり、外国人でもあり、日銀でもあります。問題は誰がどのくらいの割合で保有しているのかということで、それはグラフを見なければ分からないでしょう。という訳で下の表を見て下さい。

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財務省http://www.mof.go.jp>saimu2018-1-3

 これは国の負債(国債国庫短期証券)の保有者の割合です。一番目立つのが日銀の割合です。日銀は4割以上もの政府の負債を保有しています。しかしよく考えると、日銀は政府の子会社です。という訳で、日銀が「政府!金返せこの野郎!」と催促するといった事態はあり得ない訳です。

という訳で、ちょっと乱暴に聞こえるかもしれませんが、この部分は実は無視しても構わないということが言えるのです。

 そしてその次が銀行。約20%。その次に損害保険や基金等などが並び、これら金融機関を纏(まと)めると45%。日銀が保有している部分を無視すると75%以上が日本の金融機関が保有しているのです。なぜ多く保有しているのかというと、それには重大な理由があるのですが、次稿にてお話致します。

 また、これに家計の保有する分1%を足すと、つまり国民が保有する率は46%、日銀を無視すると78%以上です。国民は大体国の借金の八割を貸しているのです。

 国にお金を貸しているのはほとんどが国民なのです。これを知ると、一層「国民一人当たり八百万の借金」という表現に違和感を感じて頂けるのではないでしょうか?国民が貸したのに関わらず、国民が借りていることになっている訳です。

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↑(消費税反対bot氏「私立Z学園の憂鬱」より https://note.mu/zouzei0percent

 日本の財政に問題はないとする証明は以上と致します。

 

第六節 経済を重んじて何が悪いッ!

 増税の第一の目的が財政を良くすることなのにも関わらず、財政に問題がないとなると、あとはもうデメリットしかないでしょう。

 既にご存知かもしれませんが、増税は経済を悪化させます。

①「たった2%くらい誰も気にしないでしょ」
②「10%だと計算しやすくなるから逆に消費が増えそう」

と言った主張はよく聞きます。しかしながら、実はこれらは間違いであると言えます。

仮に国民の100%が、100円の商品が102円になろうとどうでも良いという性格だとしましょう。

しかし、物の価値が上がる訳ですので、生活費の減りは絶対に早くなります。
月末には
「あれ?いつもよりお金が少ないぞ」
ということになり、消費者は節約するか、貯金に充てるお金を減らすかという岐路(きろ)に立たされます。そして前者の節約を選ぶ人は、日本経済に影響を与えるほど多いのです。

論より証拠。このグラフを見て下さい。
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三橋貴明氏「新世紀のビッグブラザーへ」より http://mtdata.jp/data_61.html#JS18Jul
 2014年4月(jan14)を注目して下さい。この時、消費税率8%への引き上げがありました。引き上げの直前、グラフの線がグィィィンと急激に上昇しているのですが、これは駆け込み需要と呼ばれる現象です。これは有名な言葉なので読者はご存知かもしれませんが、物価(物の値段)が上がるとなると、その前に買っておいた方が得なので、こぞって消費が一時的に上がるということです。消費増税は物価を強制的に上げる政策ですので、必ずこういった現象が起こります。

そして、既に物を買ってストックしておいた以上、当分その商品を買う必要はありません。となると、駆け込み需要の後には急激な落ち込みが訪れるのです。その変動はまるでジェットコースターのよう。

そして問題はその後です。当時、政府や経済評論家、経済学者の多くは、「『V字回復』する」としていました。駆け込み需要が来て、その後落ち込むが、そこからまた急激に消費が回復し、アルファベットのVのような形になるというのです。

しかし結果はこの通り、駆け込み需要から急激に落ち込んだ後、そのまま回復せずに低迷しました。この形がアルファベットのLに似ているので、「L字低迷」と呼ばれています。

 このグラフから、消費税の影響で節約しようとする多くの人々の姿が見えてくる筈です。

②確かに10%だと計算しやすくなります。しかしそのことが消費を促進させるかというと、実はその逆なのです。

これまでは「一割以下だしややこしいから無視しちゃえ」としていた消費者が多くいたかもしれません。それが計算しやすくなるからこそ、無視できなくなるのです。

 理論家を自負する私がこのように断言するのは、単なる憶測ではなく、明確なデータがあるからに他なりません。

 京都大学藤井聡という有名な教授は、この問題を心理実験で検証し、消費税率が10%になれば消費の落ち込みがより深刻になるということを証明されました。

この実験では、様々な商品を買うシチュエーションを想定し、その状況下で様々なパターンでの「増税」を被験者に呈示しました。そしてそのそれぞれで「商品を買い控えするかどうか」を測定しました。こうして、どういう増税がどれだけのインパクトを持つかを測定したわけです。
実験参加者は男性女性100名ずつの合計200名。この皆さんに5つの増税仮想状況を呈示し、それぞれでの「買い控え」の程度を測定しました。
(実験の詳細はこちらを参照下さい。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1182904721810469&set=a.236228089811475.38834.100002728571669&type=3&theater )
(中略)
実験の結果得られたデータを統計分析したところ、「10%への2%増税」は、これまでの「1.4倍もの消費縮退効果」を持つことが示されたのです。

 

『「新」経世済民新聞 【藤井聡】「10%消費増税」が日本を滅ぼすメカニズム~京都大学消費者心理実験より~ 』より
https://38news.jp/economy/11318

(※中略は三幸によるもの)

このように、消費税を引き上げると消費は落ち込みます。

消費が落ち込めば、企業は損をします。大企業は規模が多く、安い物を提供できるので、主な被害者は中小企業や零細(れいさい)企業でしょう。損をすると、企業も節約せざるを得ません。

その為に人件費(人を雇う費用)も下げざるを得ません。人件費を下げる為には、人を雇わないようにするか、人のクビを切るか、人の給料を下げなければなりません。

クビになった人や、給料を下げられた人は、やはり節約します。そうすると消費が落ち込みます。

消費が落ち込めば、企業は損をします。大企業は規模が多く、安い物を提供できるので、主な被害者は中小零細企業でしょう。人件費を下げざるを得ません。

クビになった人や、給食を下げられた人は、やはり節約します。そうすると消費が落ち込みます。

消費が落ち込めば……


このように、終わりのないのが終わり。それが、

本日の政治経済用語
デフレスパイラル

 賢い方はピンと来たかもしれませんが、ここ数十年「デフレで不景気だ」と言われ続けている一つの原因に増税があるのです。

 デフレとは、お金の価値が上がり、物価(物の価値)が下がることです。

 増税をすると国民の生活は貧しくなります。そうするとより安いものが求められるようになり、安くないものはどんどん淘汰(とうた)されていきます。その淘汰から逃れる為に、企業は商品を値下げ(この時点で物価が下落)しなくてはなりません。前述の通り、その為には人件費を下げなくてはならない。そうすれば給料が減ったり、失業者が増えて消費が落ち込み、また安い物が求められ……あとはもう言うまでもありませんね。

 このような無限地獄デフレスパイラルと呼びます。デフレ=不景気とされているのはこういうわけがあるのです。

 このように、消費増税はデフレを深刻化させ、人々の暮らしを貧しくしてしまうのです。人々というのは、貴方(あなた)自身も含まれているかもしれないし、あなたの家族かもしれない。そして私かもしれない。

 それを阻止したいのなら、貴方自身が増税反対派として立ち上がる必要があります


次回予告

 財政・増税問題という宿痾(しゅくあ)に三幸靖麿呂(もちろん偽名)が遂に終止符を打つ。その時、財政とは何か。税とは何かが全日本国民の前に明らかとなるのだッ!
次回!こんな教科書は嫌だ2 最終回!「俺は増税を許さん!お前はもう減税だ」(仮)

 

請うご期待。