僕の名は靖麻呂

高校生 政治厨 軽度の神経衰弱

【財政・増税問題】こんな教科書は嫌だ2 その③


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 その①、②にて、私は日本の財政に問題はないことと、消費増税をすると確実に消費が落ち込み経済を悪化させることを証明してご覧に入れました。

 では、そんな消費増税に果たしてメリットはあるのかどうか。今回はテスト期間でも執筆する男、三幸靖麿呂が、それを徹底的に検証して消費税についての解説を終わりにします。

第七節 少子高齢化の何が悪いッ!

消費増税が実行されると、国民は社会保障が安定するメリットが得られます。

なぜ消費税は8%から10%に増税されるのでしょうか。財務省は「社会保障財源のため」と説明しています。社会保障とは、年金や医療保険介護保険生活保護などのことです。

社会保障費は元々多額の費用を必要としていましたが、それが少子高齢化によって膨れ上がっているのです。
そのため安定した税収が必要であり、増税は避けられませんでした。
https://www.keigenzeiritsu.info/article/19577

 少子高齢社会なので、このままでは社会保障(国が社会を保障すること)が困難になる。  少子高齢化とは、働かない高齢者が増え、働く若者が減っていくことですから、国がどんどん小さくなってしまう。その状況で社会保障を維持する為には若者がもっと税金を払わなければならない。というロジックになります。

 そうしたイメージを表現すると、次の図のようになるかと思います。


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(朝日学生新聞社 ジュニア朝日よりhttps://www.asagaku.com/jkp/2013/8/0831.html)

 しかし、よくよく考えるとこれはおかしい話です。なぜなら、少子高齢化がどれほど進行しようと、それ以上の速さで働く人の『力』が大きくなれば何ら問題はないのですから。

 『力』とは、物を作る力です。この世に価値を生み出す力です。

 例えば、「千年前のお掃除サービス」を想像して見て下さい。千年前ですから、箒や雑巾などの道具を荷車に引いて、何軒ものお客様のところへ汗水足らして駆け回らなくてはならないでしょう。

 一方、「現代のお掃除サービス」を想像して見て下さい。高圧洗浄機、掃除機など、箒や雑巾よりも強靭(きょうじん)な道具はお店で購入することができます。それを自動車で運ぶと、荷車を引くよりも遥かに速く、労力もかかりません。

 では、「千年前のお掃除サービス」と「現代のお掃除サービス」は、どちらの方が力があると言えるでしょうか?

 もちろん、「現代のお掃除サービス」です。現代のお掃除サービスの方が、より多くのお客様に、より品質の良いサービスが可能であり、従ってより多くのお金を稼げます。
 もっと言えば、より多くの税金も払えるし、より多くの消費をしたり、より多くGDPを大きくできたりする訳です。つまりそれは国を大きくすることで、大きくなった国は財政も安定するし、社会保障だってできます。

 働く人の力を大きくするとは、こういうことなのです。

 私が言いたいことはつまり、本当に「少子高齢化に向けて社会保障を維持しよう」とするならば、より多く税金をとるのも一つのアイデアですが、もっと働く人の力を大きくするということも無視できないはずなのです。
 これは落合陽一さんがTwitterで発表したイラストです。

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(落合陽一さんのツイートよりhttps://mobile.twitter.com/ochyai/status/863280246140698624より)

 落合さんの描くイラストの中で、働く人たちはAIなどの機械を操るなど、より強大な『力』を手に入れています。ご老人たちへの社会保障も軽々としています。

本日の経済用語
設備投資

………生産性(物やサービスを生み出す力)を向上するために、より高い技術をもった設備(道具、装置など)を買ったり、開発すること。

このような社会を目指す上では、企業が生産性を高める為に、どんどん技術を向上させていく必要があります。その為には投資をしなくてはなりません。これを「設備投資」と言います。

 では、設備投資をするにはどうすれば良いでしょうか。不景気であれば、少なくともリスクのある設備投資を行うのは、企業としては気が引けます。
 つまり、好景気であれば好景気であるほど設備投資は盛んになります。

では、好景気にする為にはどうすれば良いでしょうか。

増税しないこと。
減税することです。

 景気を良くすれば国が大きくなり、社会保障を維持できるし、もっと充実させることだってできます。
というか、景気が良くなれば将来の不安が解消し、お給料も上がって余裕ができるので、子供をつくる人が増えます。つまり景気を良くすれば少子化が解決します。

 以上の理由から、少子化高齢化でヤバいというのなら、尚更(なおさら)増税してはならないのです。減税すべきなのです。


第八節 詐欺の真実を暴いて何が悪いッ!

 政府は「消費税引き上げ分は全額社会保障に当てます」としています。しかし実は、国債を返済することも実は社会保障と見なされています。政府に言わせると「借金のない社会を保障するのだから間違いじゃねえだろ!」ということにでもなるのでしょうが、その理屈だと軍事費も公共事業費(道路とか学校など、公共の施設を作るという事業をする為のお金)も社会保障に分類できます。

 恐らく、ほとんどの方が想像する社会保障とは、子供やお年寄り、貧困に陥っている人たちを、皆で手助けすることであると思います。
 その根拠に、大抵の消費税を論ずる人は、消費増税でお年寄りや子供たちが助かると予想しているのです。

例えば近年話題に上がることの多い待機児童問題については、受け入れ施設を増やすことや育児休暇の取得支援、育児休暇中の生活支援などがあります。

また、高齢者の医療費負担の軽減、施設などの利用・入居支援などの社会保障の充実が期待されます。
https://tech-camp.in/note/pickup/53430/#i-7

高齢者などを支えるためにも社会保障は必要ですし、年金問題などにより不安視されている年金制度を安定させるためにも必要です。つまり、国に納付される消費税が増えれば私たちの社会保障制度お(が)より安定することになるのです。
https://keiei.freee.co.jp/articles/t0100042

(※()内の修正は三幸が行いました)

消費増税が実行されると、国民は社会保障が安定するメリットが得られます。

なぜ消費税は8%から10%に増税されるのでしょうか。財務省は「社会保障財源のため」と説明しています。社会保障とは、年金や医療保険介護保険生活保護などのことです。

社会保障費は元々多額の費用を必要としていましたが、それが少子高齢化によって膨れ上がっているのです。
そのため安定した税収が必要であり、増税は避けられませんでした。
https://www.keigenzeiritsu.info/article/19577

怪我や病気をした際に医療費の一部を負担してくれる健康保険や一定の年齢に達すると受け取ることができる年金保険。
これらは現在働いている現役世代が負担することで制度が成り立っていますが、少子高齢化によって以前よりも現役世代への負担は大きくなっています。

消費税の一部はそういった社会保障制度の財源としても使用されており、増税されればさらに多くの財源をまわすことが可能となります。
https://business-textbooks.com/consumption-tax-hike/

これにより、消費税増税の本来の目的である財政健全化に寄与し、急速な高齢化、少子化で問題とされている社会保障制度が安定する。
(中略)
また、消費増税の直接のメリットではありませんが、幼児教育・保育や低所得者向けに大学の無償化を実施するとしていますので、幼児等を持つ家庭にはメリットがあるようです。
https://sportsmania1.com/consumption-tax-10%EF%BC%85-advantages-disadvantages/

 ブロガーさんや大手新聞社までもがこのように誤解してしまっています。いや、「詐欺」されてしまっている、と言った方が正確でしょうか。

「重箱の隅をつつくな!揚げ足を取るな!国債返済とかどうせ大したことのない額だろ!」

などという指摘があるかもしれません。
では、今年予定されている10%の増税ではどれだけの額が国債の返済に当てられるのでしょう。5%かな?10%かな?


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政府広報よりhttps://www.gov-online.go.jp/tokusyu/syaho/naze/minna.html

 半分以上であります。この事実を把握している人がこの国に果たして何人いらっしゃるでしょうか。

 因みにこれは今回に限った話ではありません。

 2014年度の8%の増税の時も、増収5兆円の内、我々の考える社会保障に使われたのは5000億円。2017年度は増収分8.2兆円のうち、1.35兆円です。

(ソースhttps://lite-ra.com/2018/11/post-4346_2.html

 今回の場合は「幼児教育無償化」といった目標を明らかにしています(条件や学費によって無償化の対象外になる場合もあります)。   しかしながら、その為にお金を使ってしまえば、果たしてただでさえ少ない保育所や幼稚園の数を増やすことはできるのでしょうか?ただでさえ少ない保育士の数やお給料を増やすことはできるのでしょうか?もしできなかったら、保育所、幼稚園の負担はさらに重くなり、教育の質は悪くなります。
 また、「貧しいままで忙しくなるばっかりで馬鹿馬鹿しいッ!こんなものは辞めだッ!」ということで、保育士さんがさらに辞職し始め、益々(ますます)教育の質が落ちるという悪循環も予想されます。幼児教育の無償化と謳いながら、幼児教育そのものが困難になるかもしれません。このような事態は「社会保障の充実」とは呼び難いものです。
 その上消費増税で家計が圧迫されるとなると、更に子育ては苦しくなるでしょう。

 では突然ですが、今回の内容を復習する為に、読者の皆様に問題です。

少子高齢化が進んでいるにも関わらず、増税で国の力(経済)を縮小させ、増収分の多くは国債の返済に当てるという方法で社会保障は充実しますか。

 答えは、実際に我が国の社会保障がどうなったかを見れば分かります。
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堤未果氏「日本が売られる」幻冬舎新書より)

 

第九節 国債の返済に意味なしッ!

 前稿に於(お)いて、私は誰がどれだけ国債を持っているのかという「国債保有者割合」の表をお見せ致しました。

 日本銀行の部分を無視すると、ほとんどの国債が銀行や保険などの「金融機関」の手の中にあります。では、なぜ金融機関は国債をたくさん保有しているのでしょうか?

 私は、景気が悪いからであると考えます。

 景気が悪いともちろん企業は弱ります。企業が弱っているとなると、そこに努めている人たちの収入も不安定になります。
 金融機関は、そうした状態では安心して誰かにお金を貸すのが困難になります。遂には「貸し渋り」し始めます。かと言ってお金を増やすことができなければ、彼らはいずれおしまいです。そこで、「企業やサラリーマンよりかは安全な国債を借りよう」ということになるのです。

 その為、不景気になればなるほど、国債金利が低くなっているのです。国債が危険で「返されるか分からない」というリスクを孕(はら)んでいるならば、その分リターンがないと誰も買わないので、金利は高くなります。しかし、現実には下がりに下がってほとんど0に近くなっています。


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(【三橋貴明】本当の意味の「将来世代の悲劇」よりhttps://38news.jp/economy/12691

 こうした状態で国債を返済するとどうなるでしょうか?金融機関にお金が返ってきますが、そのお金は再び国債となるでしょう。
というわけで、現在に於ける国債の返済は無意味であると言えます。

 

最終節 経済と財政 再考

 増税について議論する際、しばしば「要するに財政を選ぶか、経済を選ぶかだよね」といった声を聞きます。

 しかしながら、良い財政は良い経済なくしては成り立ちません。
 なぜなら、前述の通り、経済が大きくなれば国が大きくなり、より多くの借金をすることが可能になります。
 また、そもそも税金とは、我々の経済活動(物を買ったり、働いてお給料を貰ったりだとか)の一部から、政府へ納めるものなのです。こうした経済活動の一年の合計をGDPと呼びます。つまり、税金とはGDPの一部なのです。
 仮にGDP10兆円の国に10%の税率を課すと、税収は1兆円です。
 が、GDP100兆円の国に5%の税率を課すと、税収は5兆円です。

そう考えてみると、現在の日本の財政を良くしたいのなら(そもそも良いのですが)、負債(借金)を減らすか、国を大きくするかの二つが考えられます。

 そして、それを確かめる為の対照実験は既に行われたのです!

 90年代。デフレ下で赤字国債に騒いだ日本。
 同じく90年代。デフレ下で赤字国債に騒いだアメリカ。
どちらも何とかして財政を良くしようと頑張っていました。
 日本は、私が前に投稿した「消費増税の歴史」で確認した通り、増税などで借金を減らすことで財政を良くしようとしました。
 一方、アメリカは日本とは逆に、経済を良くすることで財政を良くしようとしました。

 これは正(まさ)しく対照実験です。同じ環境の実験対象に、別々の刺激を与え、その反応を比較する実験です。
 借金を減らすべきか、国を大きくするべきかが明らかになる極めて壮大な対照実験が、偶然にも行われたのです!こんな実験は滅多にあったものではありません。

 ではその結果を確認してみましょう。

 これは90年代に於ける日本の赤字国債の推移です。
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(植草一秀氏「現代日本経済政策論」岩波書店より)
 少し見辛いかもしれませんが、97年の増税をきっかけに、我が国の財政は凄まじい勢いで悪化しています。経済も財政も却って酷くなるという悲惨極まりない結果になってしまいました。

 ではアメリカはどうでしょうか?
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(同書より)
 年々赤字国債は減り、アメリカの財政はみるみる黒字になったではありませんか!これは単に赤字国債の額ですが、この上経済が好転し、国が大きくなったことを考えると、この表が表すよりももっとアメリカの財政は安定したと言えます。

 この実験結果から分かる通り、現在に於ける消費増税は経済を悪化させるのみならず、財政をも悪化させてしまいます。


あとがき

 問題のそもそも根源は、政治家とか官僚だとかではなく、我々国民にあります。 多角的な数字、データ、客観的事実を積み重ねず、テレビに繰り返し繰り返し流される『印象』を信仰する国民の態度にあります。

 印象を信仰するという態度は、消費税のみならず様々な悲劇を起こし続けており、挙げればきりがありません。

 印象はテレビによって簡単に作れます。テレビはお金の力で簡単に動きます。我々は強い者の奴隷なのです

「大衆」という名の奴隷から脱却し、本当の意味での自由で幸せな「国民」となる為には、あなたがあなた自身の手で真実を探し始めることです。
 そしてそれは、決して難しいことではないのです。

 長文乱文ではありましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。もしご質問やご反論等ございましたら、参考にさせて頂きますので、どうぞコメント欄にてお寄せ下さい。可能であれば真摯な態度で返信させて頂きます。

 我が日本国の繁栄とあなたの幸福を心よりお祈りして、筆を置くとします。