僕の名は靖麻呂

高校生 政治厨 軽度の神経衰弱

香港で古文を勉強しよう!

 いつもわたしの記事を読んで下さる皆様に、(そしてはじめて読まれる方にも)ほんのささやかな報告があります。本ブログの読者数が十名を越えました。

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 読者数十名突破というのは、偉業と呼ぶには些末すぎるものではありますが、わたしとしては嬉しくてたまらないことです。

 本ブログに読者登録して下さった十二名の方々、本当にありがとうございます。この名誉に報いられるような記事を書くよう、尽力していきたいと存じます。

 さて、本稿ではこれを記念致しまして、古文の単語を勉強しながら香港の問題を解説するという変わった趣向のものをやってみたいと思います。どういうことかというと、それは読んで頂ければ理解して頂けることでしょう。

 

■区議会選挙圧勝

 未だニュースでよく出る香港の問題ですが、この前、民主派がまた一歩ゆゆしき前進を遂げました。

 

【ゆゆし】……重大な 立派な 恐ろしい


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 それが十一月二十四日の区議会選挙です。この選挙において、民主派(つまりデモ側の党)が圧勝しました。議会の定数は452議席なのですが、民主派はこのうちの385議席を獲得したのです。つまり、香港の議会の八割以上が民主派となったと言えます。f:id:miyukiyasmaro:20191130122849j:image

https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/11/4753417e0a889126.html

 国民の積極的な活動によって、これほどまでに議会が変わるのは素晴らしいことです。「もう日本は終わってる。国民が頑張ったってどうせ何も変わらない」という悲観的な日本人が多いですが、香港市民の活動がそうした方々の希望となればいいなと思うものです。

 但し、これで香港市民が自由を手に入れたというのは早計です。確かにゆゆし一歩ですが、香港独立という目的地はまだ遠いところにあります。

 というのは、実は香港の区議会というものはあまり権限を持つ機関ではないのです。区議会は飽くまで諮問機関(大雑把に言うと意見を言う機関)であって、予算や法律を作るなど、具体的に香港を改革していくゆゆし力はないのです。

 

■これが香港の政治だ!

 香港のニュースの本質を理解する為には、香港の政治システムをよく理解する必要があります。

「香港の選挙で民主派が勝った」というニュースを聞いて、「あれ?デモしてた人たちって民主主義を訴えていたんじゃなかったっけ?香港って選挙あるの?」と混乱した方がいらっしゃるかもしれません。しかし、本稿を読めば、香港の政治の仕組みがよく分かる筈です。

 結論から申し上げて、香港の制度は市民になめげなるものです。

 

【なめげなり】……無礼だ

 

 三権分立という言葉を聞いたことがあるでしょう。この三権とは、立法(法を作る)、行政(法に基づいて政治を行う)、司法(法に基づいて人を裁く)の三つのことです。我が国を例にすると、立法は国会が、行政は内閣が、司法は最高裁判所がそれぞれ代表しています。

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 そして香港の場合、立法は立法会、行政は行政会議、司法は司法機構が担当します。

 従って立法会は我が国で言う国会にあたるわけです。国会議員はわたしたち日本国民が選挙しているわけですが、香港の場合はどうでしょう。

 香港の立法会議員の半分は香港市民が直接選んでいます。けれどももう半分は、間接選挙という形で選挙されます。間接選挙とは、その名の通り間接的な選挙。議員を選挙する「選挙人」を香港市民が選挙するわけです。

そうすると民意が反映されずらくなり、その分政府が手を加える余地が出てきます。

 このような立法会が制定した法に基づき、行政会議が重要な政策を決定していくわけですが、この行政会議にも問題があります。それは、行政長官という一人のリーダーがこの会議の中で王様のように振る舞っていることです。会議では多数決がとられることがありますが、行政長官にはこの多数決を覆す権限があります。従って、香港の行政は行政長官が独裁していると言っても差し支えないでしょう。

 そして、この独裁的な権限を持つ行政長官は、選挙委員会という組織が選挙して決めます。選挙委員会は千人程度の成員によって構成されますが、その千人には中国共産党により指名された人間も含まれています。これは陰謀論ではなく、公然とした事実です。

 こうしたこともあり、香港のデモ隊は「なめげなり!」と怒っているわけです。f:id:miyukiyasmaro:20191130180951j:image

 因みにこれは現在の香港行政長官、林鄭月峨(りんていげつが キャリーラム)さんです。民主派にはいつも強気な発言をしているので嫌われていますが、区議会選挙の結果を受け、「民意を受け反省したい」等と述べたそうです。その発言の裏に、何か意図があったりするのでしょうか?

 

■区議会選挙の勝利はやらせ?

 この選挙での勝利は中国政府が彼らを油断させる為に仕組んだもので、徒なる物だという指摘があります。

 

【徒(あだ)なり】……中身のない、虚しい

 

 この勝利が仕組まれたものか、そうでないかはわたしには分かりませんが、少なくとも彼らは前進したと考えます。

 中国政府が勝利を仕組んだと仮定しても、政府の狙いは外れたと考えます。デモ側の代表とも言える周庭(アグネス・チョウ)さんは区議会選挙の圧勝について、我が国のメディアの取材に対し、日本語で次のように述べています。

 


YouTube

区議会選挙は、確かに昨日は圧勝的な勝利をとりましたけれども、でも結局区議会選挙は小さい選挙なので。香港の立法会選挙、そして行政長官選挙は民主的な選挙ではありません。

 だから、この二つの選挙を民主的な選挙になれるように私たちが引き続き戦わなければいけないと思います。

https://youtu.be/N9LspTbN2bk

 映像を見ると分かって頂けるかと思いますが、周庭さんは終始笑っていません。彼女が依然、態度を変えていないのは疑えないことでしょう。

 デモ側は彼女を注目している筈です。彼らもこれを見て、これまで通りの活動の続行を決意するだろうと考えます。

 また、前述の通り区議会は具体的な権力のない諮問機関ではありますが、政府に文句を言うことはできます。影響力は少なからずある筈で、必ずしも徒なりとは言えないでしょう。

 

■香港はもう孤立していない

 中国政府という巨大な組織に香港市民が単独で立ち向かうのは困難な話です。しかし、様々な国家が香港の味方となれば、形勢は確実に変わります。そして、既にそういう動きはまめやかに始まっています。

 

【まめやかなり】……本格的である 真面目である 実践的である


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 十一月二十七日、トランプ大統領香港人権法案に署名。アメリカ合衆国は公式に香港市民の味方となりました。また大統領は、香港政府への催眠ガスなどの輸出を禁止する法案にも署名。具体的でまめやかなる援護射撃はもう始まっています。

 また、オーストラリアと香港では貿易協定が交渉中ですが、オーストラリアのスコット・モリソン首相はこの協定に人権条項の追加を検討しているという情報があります。

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 これは、香港政府が市民の人権を守らないと貿易に規制を掛けるというものです。

 イタリアでも香港人権法案のような法律の議論が進んでいます。

 これからも香港市民の味方が現れるかもしれません。勝算は充分にあるわけです。

 但し、この動きは必ずしも喜ばしいばかりではありません。香港を支援しようとする動きの裏には、ひょっとしたら香港市民を利用したいという思惑があるのかもしれません。例えばアメリカ、オーストラリア、イタリアが裏で共謀し、それらの国に都合の良い傀儡(かいらい)政権を作ろうとしているのかもしれません。勿論、これはただの推測で何の根拠もありませんが、歴史を振り返ればそういったことはいくらでも見られます。

 こうしたことを防ぐには、多様な国家から偏りなく支援を受けることが重要であると考えます。例えば、民主派への支援の全てがアメリカによるものであれば、力関係は確実にアメリカが上になり、香港の新政権はアメリカの言いなりになりかねません。しかし、十ヶ国が民主派を支援していて、アメリカはそのうちの一割しか支援していないとなれば、新政権がアメリカの言いなりになる恐れはかなり低くなるでしょう。

 従って香港新政権を如何なる国家の言いなりにもならない、まめやかで主権ある国にする為には、市民への支援の動きを世界中に広げる必要があります。その為には、我が日本政府もこの動きに参加する必要があるのではないでしょうか。

 少なくとも、なめげなる現政権はそうしたゆゆしことをしてくれそうにありません。だからといって、「どうせ日本は変わらない」という徒なることを言うのではなく、香港で戦っている方々のように頑張りたいものです。

 最後までお読み頂き、ありがとうございました。