安倍政権は野党よりもマシ?
読者の皆様、誠にお久しぶりです。
昨日、YouTubeのコメント欄で議論を行おうとしてかなりの長文を書いたのですが、文字数が制限されているのか投稿できませんでした。これを書くのに五時間ほど費やしたもので、せっかくの苦心を水泡に帰すのは残念至極ですので、ここに公表致したいと存じます。
その前に、ざっとこのその文を書くに至るあらすじを説明させて頂きます。
まず、
「安倍は辞めろ!とかいう奴いるけどさあ…じゃあどこに入れろってばよお」(原文ではありません)
などと言う書き込みがありました。そこでわたしは
・れいわ新選組
・国民民主党
・国民保守党
を自民党よりマシな政党として列挙致しました。
すると、別の方より反論を賜ったのです。それはこのような内容です。
「民主党時代は非常に劣悪な政治が為されていた。もし野党に一時でも政権を任せたらそのような事態になりかねない。そうした危険性もあるのに、何を根拠にしてそれらの党をマシとするのか。貴方が本気であるのなら、その視点を伺いたい」
こうして、YouTubeのコメントとしては正気の沙汰とは言えない、現代の直江状とも言える長文が誕生することとなったのです。一先ずこれを「三幸状」とでも称することに致しましょう。
それでは、画像や解説が追加されたスペシャルエディッションの三幸状の本文をご覧下さい。
(以下、太字部分は新たに加えた解説)
■序
ご返信ありがとうございます。民主党政権時、わたしはまだ小学生だったものですから、非常に貴重な知見と存じながら拝見させて頂きました。
少し考え方を反省致しました部分もありますので、これから三部に分けて回答させて頂きたいと存じます。
■第一部 民主党政権時代について
さて、民主党政権についてですが、これについては確かに劣悪な政治が為されていたとわたしも存じます。しかし、それが自民党政権に変わってから比較的に改善されたかというと、経済の観点から見てそれは首肯しかねるものです。
その理由は実質賃金の低下です(実質賃金とは、平均賃金に物価を加味した数値。要するに、わたしたちがどれくらい物を買えるかという数字です)。
現在、実質賃金は民主党政権を下回る水準となっております。この点を指摘すると、実質賃金は景気を表す数値として適当ではないという反論をよく受けます。それは以下のようなものです。
①、雇用が改善されると賃金の低い新規労働者が増える為、景気が回復するとそのはじめの段階では必然的に平均賃金が低下する(俗に言うニューカマー効果)。従ってそもそも平均賃金自体が景気と連動しない。
②、景気が変動する際、物価は平均賃金に先立って変動する為、景気が良くなり始めた時には実質賃金は低下し、景気が悪くなり始めた時には実質賃金は低下する。
しかし、民主党政権時のデータでは、就業者数の動きと平均賃金の動きは一致しており、①のような現象は確認できません。この現象はここ数年にのみ観測せられる極めて特殊なものであると言えます。
②については事実であるとは存じますが、安倍政権が始まって以来、八年間も実質賃金は低迷し続けています。
従って実質賃金の低下は、安倍政権の政策が我々の生活を収斂せしめていることを示していると愚考します。
もちろん、GDPや日経平均株価を見て、アベノミクスを評価する向きはありますが、いずれも論拠としては不充分であると考えます。GDPは日本全体の経済活動を表した数値であって(GDPは日本国内で生産された全て物を、円に換算した数字です。従って上のように言うことができるわけです)、一般的な国民の生活が豊かにならなかったとしても上昇し得ます。もちろん、「一般的な国民」の豊かさは富裕層などの豊かさにも確かに関係するでしょうから、GDPは長期的には参考になるかもしれませんが、安倍政権を評価する上では充分なデータではないと考えます。また、日経平均株価は単に上場企業の株価ですからわたしたちの生活と関係があるのか疑わしいものと存じます。
では安倍政権のどのような政策が上記のような問題の原因になっているかというと、わたしの思いつく限りでは公共事業費の削減と消費増税が考えられます。
アベノミクスにより、民主党政権の所謂「コンクリートから人へ」という緊縮財政路線が改められた、というのがおよそ常識化されていると存じますが、これは間違いであると存じます。財務省の公表する公共事業関係費は会計上の分類が安倍政権下で変化されていますが、当初の計算のままこれを比較するに、現在、安倍政権は公共事業関係費を削減していることが分かります。
(こちら平均すると、民主党政権を僅かに下回るとのことです!)
政権交代直後は公共関係費は拡大していましたが、それを除くと民主党政権を下回っています。
加えて、安倍政権は消費増税を二度も行いました。8%への引き上げの際には、実質民間最終消費支出は急激に逓減しましたが、その衝撃(伸び率の落ち込み)は東日本大震災を上回ります。この前の10%の引き上げも実質GDPの伸び率をマイナス6%にしたものですから、大変なことです。
このように、財政政策の観点では、「自民党は民主党よりマシである」とは言えないと存じます。
他方、安倍政権は大胆な量的緩和を行い、あなたが仰有るように円安への誘導を成功せしめました。こうした金融政策の面はよく評価されているわけですが、わたしはこれを懐疑します。
まず量的緩和についてですが、マネタリーベース(国の中にある円の総量です)とコアコアCPI(石油や食料など、国際情勢によって値段が大きく変わる物を除いた物価のことです。この統計を見ることで、「政治によって物価はどのように動いているか」もっと言えば「政府は景気を変化させることに成功しているのか」が分かります)の推移を照合するに、現在この二つは連動しているとは言えません。
また、マネタリーベースとGDPも連動は確認されません。
もちろん、わたしは量的緩和政策を軽視したい
わけではありません。インフレを実現させる上で、市場に通貨を供給させるのは重要であると考えます。しかし、かといって供給させるだけでは不充分で、重要なのはこれが消費や投資によって流通せられることであると存じます。その為に財政政策が必須であると思うのですが、先述の通り安倍政権はこれを充分に行っていなかったわけです。結果、量的緩和政策は現在何の効果も奏していないと考えます。
次に円安についてですが、これも景気回復には貢献しなかったのではないかと考えます。現在我が国の輸出と輸入の総額は一致しておりますので、円安による輸出業者への効果は、輸入業者への効果によって相殺されるものと見ております(円安がなぜ良いと言われているのかというと、円安になれば輸出が伸びるからです。「円」が「安」くなるわけですから、日本の商品は外国からすると安くなり、そうすると売れるようになります。しかし輸入業者からすると困ったものです。外国から物を買う際、より多くの円を払わねばならないからです。従って、円安とは輸出業者が得をし、輸入業者は損をする現象と言われています。昔の日本は輸出業者の方が多かったので、円安になれば日本全体の景気が良くなりました。けれども現在はこれらがほぼ同じになっているということです)。
従って安倍政権の金融政策は評価するに値しないと言って差し支えないものと存じます。
以上により、安倍政権は経済の観点から見るに、民主党政権と同様のものか、それを下回るものと評価できると考えます。
その他、憲法改正は進んでおらず、軍事費を拡大したと言っても増えたのは米軍駐留費用ばかりで、悲願であった戦後レジーム(端的にいうと、日米が対等ではない体制。例えるなら、日本がのび太でアメリカがジャイアンのような状態を想像して下さい)からの脱却は何一つ進んでいないと言っても過言ではないと存じます。それどころか、外国人労働者(国連の定義等から察するに「移民」と呼称しても差し支えないと存じますが)の増加によって、我々の国民意識はますます薄れてしまっているのではないかと存じます。
以上の理由により、わたしは自民党政権の復活によって悪政が改善せられたとは言えないと考えます。
■第二部 列挙させて頂いた複数の野党が自民党よりマシであると考える論拠について
続きまして、わたしが列挙致しました複数の野党が、自民党よりマシであると考える理由について述べたいと存じます。
まず、れいわ新選組についてですが、これは経済政策を評価致しまして挙げさせて頂いたものであります。上述の通り我が国民経済には財政政策が必要であり、本党はそれを全面的に掲げております。
あなたは「マニフェストばかりを見てはならず、重要なのはその具体的な論拠である」とお考えであると見えました(というのは、相手の方がそうした主旨の書き込みをしていらっしゃった為です)。わたしはこれに心より賛同致しますが、この点から見ても本党は中身が伴っていると存じます。本党は「大胆な政策ばかりを挙げて財源を考えていない」などと批判され過ちですが、富裕層への増税、国債の発行などを挙げております。富裕層への増税については、それによってどの程度の増税収が見込まれるかを試算しており(https://youtu.be/V9zvlpOE1TA)、 国債の発行についてもそれをインフレ率2%までとしており、それが問題ではないことを説明しております(https://youtu.be/P_ueNBa_RmM)。
このように本党は理想を述べるだけではなく、「どのように実現するのか、それは本当に可能なのか」を誠実に説明する態度をとっております。この点は多くの野党と一線を画すと言えるでしょう。
他方、経済政策以外の観点、例えば国防などを見てみると、不満な点は多くありますが、軍備拡大には安定した財政が必要となります。安定した財政は強靭な国民経済によって実現せられます。その為、かなり長期的に見ればこの点は自民党よりマシであると考えるものです。
続いて日本第一党ですが、これを挙げた理由は憲法改正や移民政策反対や憲法改正、消費税減税を全面に掲げていることです。「日本第一」という党名や、旭日旗を掲げた活動からして、支持層はかなりはっきりした保守に限定されるでしょう。その状況で、現在と同様の政策がとられるとは考えられないと存じます。
■第三部 あなたの返信を拝見した上での再結論
それから幸福実現党、国民民主党などを挙げましたが、あなたの返信を拝見し、色々と考えた結果、やはりこれらはマシとは言えないと反省致しました。
ただし、政権交代自体にも意義があるというわたしの知見は変わりません。わたしたち自身が不満のある政治を許しているという現状を変えない限り、政治の質は悪化し続けていくでしょう。ですから、政権は交代させたいものです。
けれども、だからと言って日本共産党などにいれても良いというわたしの主張は間違いだったと考えております。そこでわたしは考え、投票する政党の基準をこのように結論致しました。
「自民党以外の最長四年間政権を預けても何とか耐えられる政党」
この基準から再考すれば、自民党に不満を持ちつつ自民党に投票している有権者の方々も、新しい候補が見つかるのではないかと期待したいものです。
では参考までに、わたしが上述の基準から、次の選挙で投票できる党を改めて列挙したいと存じます。
かなり長い文になってしまい、大変失礼致しました。わたしの未熟な意見を最後までお読み頂き、恐れ入ります。もしよろしければ、反論やご指摘を頂きたいと思います。
■あとがき
こうして見ると、何と非常識なことを考えたのだろうかと感得致します。皆様にも、ネット上で議論をする際はなるべく長文は避けることをお薦め致します。
そして次の選挙では、我が国の繁栄に繋がる政権交代が実現することを心をより願います。
最後までお読み頂きありがとうございました。次回はトランプ大統領について書く予定です。
いいか断っとくけどな
かわいい子どもたちの時代の為に
自民党があるっちゅうことを忘れんな
____浜田幸一