僕の名は靖麻呂

高校生 政治厨 軽度の神経衰弱

トランプってヤバい人?

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 アメリカの大統領選挙がいよいよ近づいて参ります。現職のトランプさんが選ばれるのか、それとも彼は拒絶されるのか。大統領選挙はこれからの歴史を分ける分岐点となることでしょう。何だかワクワクして来ませんか?

 そこで、「トランプが選ばれる」とは何を意味するのか、「トランプが拒絶される」とは何を意味するのかを明らかにしておきたいものです。その為にはそもそも彼は何者なのかを知る必要があります。

 一般的な認識では、彼は過激な発言や無茶苦茶な政治を行うヤバい大統領ということになるでしょう。そこで、本稿ではニュースや新聞では見られなかったトランプ大統領の意外な一面をご紹介致します。

 今日であなたもトランプファンになるかも?

 

■トランプは金権政治と対峙した英雄(かもしれない)

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 まず、時代をバラク・オバマが大統領に就任した2009年まで遡りましょう。彼は、長年アメリカを蝕み続けてきた問題である金権政治や不平等などの改善を訴えました。アメリカでは、富裕層や大企業による献金が巨額で、政治が彼らを忖度する向きがあったのです。こうした傾向を「チェンジ」すると叫んだのがオバマという人物だったのです。

 しかし、彼は大統領に就任した直後、米韓FTAという貿易協定を結び、数万人もの失業者を発生させました。自由貿易が進められ、大量の雇用を破壊されるというのは、過去の金権政治が抱えてきた問題の一つなのです。

 さらに2013年、オバマ大統領二期目の就任式において、1億2430万ドルという莫大な献金が集まってしまいました。この額はアメリカの最高記録を更新します。

Yes we can」とは彼のフレーズとして馴染み深いものでしたが、少なくとも金権政治の改善という点においては、No he couldn't と断言しておきたいものです。f:id:miyukiyasmaro:20200316103203j:image

 このように、アメリカはお金と権力が癒着してなかなか離れない国家でした。実はここにトランプ勝利の理由の一つが求められます。

 彼は持ち前の財力により、ほぼ自腹で選挙を行ったのです。これは、2016年の大統領に於ける、各候補者の献金総額です。

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 このように、トランプは最も献金を受け取らずに選挙を行った候補なのです。

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 これは政治資金団体「PAC」による献金の比較です。PACによる献金は主に上位1%の富裕層により成っています。つまり、この表は富裕層との関係を表したものと言い換えることができます。

 また、こんな話もあります。

二〇一五年夏、トランプのライバルたちが大挙してコックら(コック兄弟。エネルギー、金融、繊維などで活躍し、アメリカの非公開企業としては第二の売上高を誇る巨大多国籍企業「コークーインダストリー」の支配者たち)に会い、献金を求めるのを尻目に、トランプは、「コック兄弟から資金を乞うためにカリフォルニアに旅行した共和党の候補者全員にグッドラックといいたいね。(やつらは)操り人形なのか?」とつぶやいている。

 

※太字部分は筆者による

https://jp.sputniknews.com/blogs/201611193029655/

 これらを論拠にして、「トランプは潔白で徳の高い人格者だ」などと言うつもりはありません。「財力を利用した演出による、単なる戦略だ」と見ることも充分可能であると思います。人の心の中まで計るのはなかなか困難ですから、そこのところは各々が自由に解釈すれば良いでしょう。

 しかし上述の事実は、少なくとも彼と財界との距離を示しています。そこに彼の魅力があったわけです。

 富裕層とは距離を置いた国民の味方というスタンツは、彼を理解する上で重要な特徴であると考えます。

 

■トランプは世界の救世主(かもしれない)

 トランプ大統領は反グローバリストです。グローバリズムとは、人、物、金の動きを制限する国境を取っ払い、最終的に世界を一つの国にしようとする思想です。「世界を一つにする」ということは多くの人が理想としておられますが、実際にそうしたことが実現すればどのようなことが起こるのか慎重に考える必要があるでしょう。

 国境がなくなるということは、あらゆる文化や信教が同じ空間を共有することになります。そうすると衝突が生じ、却って民族間の軋轢が深くなることもあります。また、国境がなくなれば国々は貿易競争に晒されます。これに追い付けなかった国が産業を破壊され、国民が貧困化することもあります。

 (詳しくは、拙稿「世界は一つなのかな」にて詳しく論じております)

 結果としてグローバリズムによって得をするのは、大抵は競争に勝つことができる強大な多国籍企業です。その為、金権政治の下では往々にしてグローバリズムが進められるわけです。

(とは言え、「自由貿易は悪だ」という単純なことが言いたいわけではありません。時には貿易が必要な場合も勿論あります。ここでいうグローバリズムとは、自由貿易がいかなる場合でも善と盲信され進められる思想です)

 トランプ大統領はこうした潮流にはっきり反対しており、就任演説においても「We will bring back our borders(我々は国境を取り戻す)」と言っております。

 実際、彼は就任以降、反グローバリズム的な政策を次々と敢行しています。メキシコとの国境管理の強化や、TPPの離脱、そして米中貿易戦争などはその代表例と言えるでしょう。

 特に米中貿易戦争は、世界史を大きく変える事件であると存じます。f:id:miyukiyasmaro:20200313134011j:image

 トランプ政権により、中国企業へ関税が課せられたことを発端とする米中貿易。マスメディアの報道では、トランプが理不尽な因縁を中国へ吹っ掛けたことにより、世界経済が損失を被った事件ということになります。しかし、この裏にある中国共産党による謀略については報道されておりません。 f:id:miyukiyasmaro:20200316103647j:image

 中国企業の国際的な活躍は「チャイナ・グローバリズム」と呼ばれますが、その実態は土地の買い占め、報道への侵食、大量の移民の送り込みにより、覇権を握ろうとする中国共産党の政策なのです。

「何を馬鹿な」と思われるかもしれませんが、事実として安全保障に関わる重要、且つビジネスには無関係と思われる土地が買い占められるという不自然な事例が確かにあります。アメリカでは既に中国によってテレビ局が設立されており、親中寄りな偏向報道が為されています。また、多くの国の政界に中国からのお金が流入していることも報告されています。

 詳しくは拙稿、「習近平入門」に書いております。

 とにかく、チャイナ・グローバリズムというものはお金によって国家そのものが買収されていくという恐ろしい性格を有しています。日本もその勢いに飲み込まれつつあり、中国系企業に買収された土地は国土の二%で、これは静岡県の面積に匹敵します。また、宮崎県の「日章学園九州国際高等学校」という学校が、入学生の九割が中国人に占められるという事態も発生しています。

(別に中国人を差別するつもりはありませんし、わたしの親友にも中国人がいます。しかし上記のような事態は、日本が日本であり続ける上で憂慮すべきことではないでしょうか)

 しかし、世界中の指導者はこれに対抗することができませんでした。

 そうした時代にあって、トランプ大統領が就任したのです。彼の就任によって変わったのは単にアメリカという国家ではありません。世界が変わったのです。これは決して過言ではありません。

 欧州では、16年の中国による企業買収などの対欧直接投資の規模が350億ユーロ(約4兆6000億円)に達し、しかも投資先は不動産ではなく、最先端技術を持つ企業やインフラ関連企業がメインだった。例えば、ドイツの世界有数の産業ロボット製造会社クーカは、中国家電大手の美的集団に買収された。中国への「技術流出」が懸念される状況になって当然である。

 というわけで、欧州委員会EU加盟国が連携し、域外からの買収審査を強化することになった。

 

三橋貴明「帝国対民主国家の最終戦争が始まる」ビジネス社

  そもそもグローバリズムを進める為に設立されたEUが、規制を強化する側に転じたのですからこれは凄まじいことです。

 これを皮切りに、ドイツ、オーストラリア、イギリスが動きました。

 ドイツ政府は、ドイツ復興金融公庫(KfW)に対し、送電会社「50ヘルツ・トランスミッション」の株式20%を一時的に取得させた。理由は、中国の国営送電会社国家電網が、オーストラリアの投資会社が持つ「50ヘルツ」の株式20%の獲得に動いたためである。

 さらに、ドイツ政府は18年8月1日、宇宙船や航空機の部品製造技術で名高い独北西部の精密機器メーカー「ライフェルト・メタル・スピニング」に対する、中国企業の買収案件に「拒否権」を行使した。理由はずばり「安全保障上の理由」だ。

(中略)

 オーストラリア政府は8月23日、次世代5Gネットワーク構築に際し、

「オーストラリアの法律と矛盾する外国政府からの指示に従う可能性があるメーカー」

 の製品を禁止した。具体的な国名や企業名は上げていないが、同通達がZTEとファーウェイを意味しているのは明らかだ。

 イギリスのサイバーセキュリティを担当する「国家サイバーセキュリティセンター」は、18年4月時点で英国通信事業者に対し、ZTEの製造する機器を使用しないように警告している。

 

三橋貴明「帝国対民主国家の最終戦争が始まる」ビジネス社

 いずれの政府も自国の安全保障の為に中国資本と対峙し始めたのです。

「トランプは空気を読んでいない」などと批判されることが多いですが、彼は空気そのものを変えたのかもしれません。

 

■あとがき

 以上、トランプ大統領についてマスメディアが報じなかった一面を書いてみました。

 結論として、彼は世界史を180゜変えようとしている極めて重要な人物であると申し上げます。冷戦が終結して以降、世界の潮流であったグローバリズムを転覆させたのです。次回の大統領選挙は、この反動が続けられるか、弱まっていくかを問うものになるでしょう。

  個人的には次回もトランプが勝って欲しいと考えます。とは言え、それによって世界の万事万端が良くなるとは思いません。彼が万能な救世主たるスーパーマンであることを期待すべきではありません。ひょっとすると、彼の再選の影響により反グローバリズムが過激になり、彼が意図するか否かに関わらず、人種や民族の差別が深刻化する場合もあるかもしれません。時代とはいつもそういうものなのです。

 つまりどういう結果になろうと、わたしたちは考えることを続けなくてはならないと存じます。物事の裏側、表層の奥にある実体について考えることを続けるのです。

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 この人形一つとってもそうです。これは父が社内旅行でハワイへ行ったお土産なのですが、この裏を見れば、

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 ん?

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"Made in China "

 

 いやアメリカ製とちゃうんかい!

 このように、万事万端には意外な事実が隠れているものなのです。

 最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。

 

 What truly matters is not which party controls our government, but whether our government is controlled by the people.

 

 真の問題はどの政党が政治を支配するかということではなく、国民が政治を支配できているかということなのです。

                         

                                  ____ドナルド・トランプ

 

第四十五代ドナルド・トランプ大統領就任演説より

訳:三幸靖麻呂