僕の名は靖麻呂

高校生 政治厨 軽度の神経衰弱

週刊誌が嫌いです

 愚民とは、結論から言って不幸な人々のことです。銀行預金や学歴、顔の良さ、友達の数、腕時計や車の高さなどをめぐって血眼になって争い、誰かが不幸になるとよろこび、出所不明の噂を根拠とする「正義」を振りかざして大勢で誰かをいじめる人たちのことです。本当の幸せは数値化できるものではなく、誰かが決めることではなく、誰かの不幸や失敗などでもありません。だから愚民は幸せになれないのです。

 近頃の週刊誌などは、愚民が愚民であり続ける為に仕事をしているように思えてなりません。芸能人の不倫(疑惑)やアイドルの恋愛(疑惑)、そして特に皇室の方々への誹謗中傷。

 週刊新潮悠仁殿下への根拠なき侮辱を行っていることには憤りを感じてなりません。どんな報道かというと、それはあまりにも馬鹿馬鹿しいのでここではしませんが、冷静に見れば真実ではないことだけは誰にでもお分かり頂けることでしょう。

 少なくとも、「真実」ではないものが人を救うことはないと考えます。人間の癖に真実などと言うのはおこがましいことかもしれませんが、あのような上っ面な記事に、幸福を我々に示すような真実などあろうはずがありません。さもなければ、幸せに似た全く空虚な感覚に浸り続けるしかなくなります。

 勿論、たかだか十六年の薄弱な経験しか持ち合わせていない僕が完全なる「真実」を知っているわけではありません。しかし、真実を知るべく自己否定を続けてきたこの人生は、少なからず僕に思想とか主義などの財産を与えてくれました。こういう財産こそ、真実の断片であり、幸福を形作るものです。もっとも、この財産もいつか自己否定の為に手放す日が来るかも知れません。しかし、そもそも真実に向かう姿勢こそが重要なのです。空虚な嘘に抵抗する姿勢、尊厳のある姿勢こそが重要なのです。

 まあ、真実だの思想だの大袈裟なことを書いておりますが、こうしたものは皆様の近くに宿っております。小説、絵画、音楽、漫画、アニメ。こうしたものたちが、少しずつ我々に真実を伝えてくれているのだと思うのです。

 愚民とは、たまたま「幸福」の意味を知らなかった人々のことです。もし可能なら、私が持ち合わせる真実のほんの断片を、私なりに伝えていきたいです。いつか私が救われたように。

 

 何か気取った文ですが、僕の癖なのでご容赦下さい。

 本稿とは関係のないことですが、僕はほぼ毎週土曜日に駄文を投稿しておりました。が、テスト期間につき、来週はお休み。もし毎週楽しみにして下さっている優しい方がいらしたら申し訳ございません。

 最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。もしよろしければ、二週間後再びお会いしましょう。では。

 

 

「結果」だけを求めていると人は近道をしたがるものだ……………

近道した時真実を見失うかもしれない

やる気もしだいに失せていく

大切なのは『真実に向かおうとする意志』だと思っている

向かおうとする意志さえあれば

たとえ今回は犯人が逃げたとしても

いつかはたどり着くだろう?向かっているわけだからな

 

荒木飛呂彦ジョジョの奇妙な冒険 37」

集英社文庫より

 

「経済がいい」って何? 後編



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(「ドラえもん」藤子・F・不二雄 小学館第21巻より)

前編のあらすじ

 「経済が良い」とか、「景気が良い」というのは一体何のことなのでしょうか。株価やインフレ率(物価)など、景気の基準とされていた数字は、実は経済の良さを表すものではありませんでした。

 なぜなら、株価も物価も、私たちの豊かを保証してくれないからです。

 そこで、実質賃金(物価の影響を加味した賃金)を経済の良さとする考えが現れました。実質賃金こそ、国民の真の豊かであると考えられるからです。

 ところが、その実質賃金を基準とする考えにも鋭い異論を呈する方もいます。その代表が、経済評論家の上念司さんなのであります。

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(↑上念司さんhttps://mobile.twitter.com/smith796000より)

 上念司さんは実質賃金を基準とする考えを論破しました。そして、失業率や就業者数(働いている人の数)などの「雇用」こそが経済の良さだと唱えました。

では、経済の良さとは「雇用」だったのだ!……かと思われましたが、

 この主張に異論を唱える経済評論家が現れます。

それが、三橋貴明という方だったのです。


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(↑三橋貴明先生https://images.app.goo.gl/SQqGEDNUH4pJh3Di7より※結構昔の写真ですが、この頃が一番イケメンなので採用)

 

第七節 ちょっぴり変人!上念三橋

 早速どのような反論が展開されるかを見たいところですが、ここで上念さんと三橋さんがどのような人物なのかを確認したいと思います。物語を理解する上で、キャラクターを覚えることは重要だからです。

 

上念司

経済評論家

1969年5月4日生まれ 東京都出身

 

 進学塾の取締役をしていた彼は、「日本の景気が悪いのはなぜか」という疑問を持ち、独学で経済の勉強に没頭します。

 今ではテレビやラジオ、ネットにて経済を論じております。

 彼には経済の他に、もう一つ専門分野があります。それが「ゾンビ」です。

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https://mobile.twitter.com/yumi_suginami/status/1035131248237137920より)

 詳しくは是非ググって下さい。

 

 三橋貴明

経済評論家 経世論研究所長

1969年11月22日生まれ 熊本県出身

 

 経営コンサルタントをしていた彼は、情報を集め、分析することが得意でした。この能力を活かし、2chで経済を論じていきます。すると凄まじい好評を博し、その活躍が出版社の目にとまって作家デビュー。三橋さんは今でも人気者で、多くの人に影響を与えています。

 三橋の専門分野は実に広く、「歴史」「地政学」、そして「アニメ」においても驚くべき知識をお持ちです。選挙における集会でコスプレをし、「自民党コスプレ事件」という伝説を残したこともあります。詳しくは是非おググり願います。

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http://siorin3962.seesaa.net/category/1505279-5.htmlより)

 両者ともに少し変わった方ですが、どのような激論が繰り広げられるのでしょうか。

 

第八節 ニューカマーは嘘だッ! by三橋

 

 これは、三橋貴明先生が作成されたグラフです。
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https://38news.jp/economy/12434より)

 実質賃金の「上昇率」(前年とくらべて何%上昇したかという率)と、就業者の「増加率」(上昇率と同じ)のグラフです。

 上念司さんの「ニューカマー効果」という主張が正しければ、就業者(働いている人)が増えれば実質賃金は下がるはずです。しかし、このグラフを見ると大体、就業者数が増えるにしたがって実質賃金も増えているのであります。就業者が増えているのに実質賃金が減っているのは、2013年度以降だけです。

 つまり、「2013年以前は、就業者が増えれば平均の賃金も上がっていた」ということです。これはどういうことなのでしょうか。

 三橋さんはこの事実を、このように分析します。

実質賃金は、
労働分配率(※企業が儲けたお金の内、何%が従業員のお給料になったかという率のこと)と生産性で決まります。

就業者数が増え、
同時に実質賃金が低迷するとは、

「企業が労働分配率を減らしているか、
生産性が低下しているか、
あるいはその双方である」

という意味を持ちます。

( (※)内は三幸が補足)

 つまり経済が悪くなったので、企業が生産性を高めることができなかった。なぜなら生産性を高めるには、高い装置を買ったり、開発するなど、リスクのあることをしなくてはならない(これを設備投資とよびます)。生産性が低い以上、従業員に高いお給料を払うのも困難になるので、やむを得ずお給料を減らさなくてはならない。ところが生産性が下がると物が作れなくなるのでさらに人を雇わないといけない。

 こういった恐ろしい現象が起きていると三橋先生は考えられるのです。

 したがって、三橋さんは「ニューカマー効果」なる説明は嘘であるとします。

 

 また、企業は人件費(お給料)を安くしたいあまり、女性や高齢者を雇いまくっているともしています。

 そして、景気が悪いからこそ、昔のように「父が一家の大黒柱となり、妻や子供、祖父母を養う」といったことにならないのだと指摘するわけです。

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(「亡国のメガロポリス三橋貴明 彩図社より)

 このグラフを見ると、確かに就業者数が増えたのは女性と高齢者だけです。男性の雇用はどちらかというと、減っているわけです。

 

上念司さんはTwitterにてこのように主張していました。

①2009年からの民主党政権で働く人は115万人減った
②2012年末からの安倍政権で働く人は394万人増えた

どっちが幸せか考えるまでもない。

 https://mobile.twitter.com/smith796000/status/1093039669531545601?lang=jaより

 しかし、三橋貴明先生は、就業者数が増えることは不景気によっても起こることだとするわけです。

 

第九節 食らえッ「名実逆転」ッ!by上念

 これは上念さんのツイートです。

 名目>実質ならデフレ脱却、名目<実質ならデフレと覚えておきましょう。

https://mobile.twitter.com/smith796000/status/436636947508129793より

 名目賃金が実質賃金を上回る状態ならデフレ(不景気)ではなく、名目賃金が実質賃金を下回る状態ならデフレだと言うわけです。

 なぜそうなるのでしょうか?

 ミソは、物価の動きの方が賃金の動きより早いところにあります。
 つまり、好景気になるとまず物価が上がり、それに続いて名目(ありのままの)賃金が上がるわけです。不景気も同様に、物価がまず下がり、それに続いて名目賃金が下がります。
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 では、この表に実質賃金をつけ足すとどうなるでしょうか。

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 なんと、好景気にも関わらず実質賃金が下がったり、不景気にも関わらず実質賃金が上がったりするわけです。なぜなら、好景気のはじめには名目賃金は上がらずに物価が上がり(物の値段が高くなる)、不景気には名目賃金が下がらずに物価が下がっていく(物のが安くなる)からです。

 

 この景気の変わり目の時、実質賃金と名目賃金が逆転する場合があります。もう一度さきほどのグラフを見て下さい。f:id:miyukiyasmaro:20190622155652j:image

 不景気になった時、実質賃金が名目賃金を上回り、逆転します。これを「名実逆転」とよびます。

 上念さんはこの名実逆転こそが好景気、不景気を見分けるポイントだとするわけです。そして、実質<名実なら、物価が上がっている(インフレ)ので好景気。実質>名実なら、物価が下がっている(デフレ)ので不景気だとするのです。

 ちなみに、この理論でいうところの好景気な名実逆転(実質名実)は最近起こりました。このグラフでいうところの2014年です。f:id:miyukiyasmaro:20190622155548j:image

 上念さんの理論に従うと、2014年から日本は好景気になったということになります。

 ただし、私が前稿で述べたように、物価は景気だけで動くものではありません。増税や石油の高騰によってインフレになりますが、このインフレだと国民の生活は苦しくなるだけです。

 ちょうど、この名実逆転があった2014年には安倍総理による消費増税があったので、それによって物価が上がっただけでしょう。

 というわけで、私が思うに今は好景気などではありません。

 そして、名実逆転も景気の基準では決してありません。

 

最終節 止揚(しよう)で真実を明らかに「しよう」

 以上が三橋さんと上念さんの熾烈なバトルでした。

 少しややこしい文章ではありましたが、ここまで読んでくださってありがとうございます。

 

 さて、ここで我々が考えるべきことは、「どっちの方が勝ちなのか」ではありません。ネット上には勝ち負けを争って長きに渡る仁義なき「レスバトル」を繰り広げる方がよくいらっしゃいますが、こうした思考はよくありません。

「議論」とは、口喧嘩ではないからです。

「議論」とは、真実を手に入れる為の協力行為です。

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↑協力しあう上念司さん(左)と三橋先生(右)

(ドラえもん」藤子・F・不二雄 小学館第21巻より)

本日の哲学用語

止揚(しよう)」

 異なる説を比較し、正しい部分を合体させ、間違った部分を切り捨てる。そのようにして新しく、より優れた説を導くことを止揚とよびます。

 では、三橋さんと上念さんの主張を止揚し、経済の良さを定義してみましょう。

 

三幸靖麿呂の結論

「経済が良い」とは、

①実質賃金が高くなっている

②物価が良い要因で動いている

③ハッピーな感じに雇用が改善している

この三つが揃った状態のことである。

 

 これが私の定義する好景気です。

 因みにこの定義だと、今は不景気だということになります。

 

あとがき

 少し難しい文章でしたが、最後までお読み下さりありがとうございました。止揚はその人のセンスによるものですから、もし僕と異なる定義をお持ちの方はコメント欄にてお聞かせ下さると嬉しいです。

 

 そして、これは本稿とは関係のない話ですが、僕の過疎ブログにも希薄ながら暖かい風が吹きはじめています。

 アクセス数もまったく0ではなくなり、ほぼ毎日、どなたかがお読み下さっております。また以前、僕の作品を称賛してくださった方がいて、心より嬉しいです。

 どなたかが読んで下さる以上、読みやすく、そして有意義なブログにしたいと思います。

 最後までお読み下さったあなたにもう一度ありがたく申し上げて、筆を置きます。

 ディ・モールトグラッツェ

 

 

「経済がいい」って何? 前編

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(三幸 画)

 テレビなどで「アベノミクスで景気好調!でも実感はあまりない……どうしてだよ!」といったことがよく報じられます。そういうわけで、我々は今、経済が良いのか悪いのかが今一つはっきりしない状態ではないかと存じます。

 そもそも、「経済が良くなる」とはどういうことなのでしょうか。

 本日は「経済が良い」とか「悪い」といった状態について、明確な定義を明らかにしたいと思います。我々がなんとなく思っているであろうイメージから、偉い評論家や学者さんがする定義に至るまで、この女性と間違われたことが四回もある三幸靖麿呂が徹底検証します。

 ただし、できるだけ手短に、そしてやさしく解説するつもりでございやーす。

 

第一節 株価かな?

 テレビなどでたまにやっている「経済のニュース」というと、大体「今月のにっけー平均株価はどーたらこーたらでございやーす」といったものを思い出されるかと存じます。そして、不景気のニュースだと「不景気で株価が暴落…」といった調子で、最近よくあるニュースだと「株価が過去最高に」といった感じです。

 ですから経済が良いとか悪いって結局株価のことだよね?」というイメージが根強いように思われます。

 しかし!これをご覧下さい。(*1)f:id:miyukiyasmaro:20190613082530j:image

 これは、日本の株価(日経平均株価)とアメリカの株価(NYダウ)の推移です。

 よく見ると、2005年からこの二つの折れ線グラフはほぼぴったり寄り添って移動しているのです。実は、日本の株価はアメリカの株価の影響を受けて、それを軸に動いているのです。

 したがって、日本の景気が良くなろうと、悪くなろうと、株価にはちっとも反映されません。

 そもそも日経平均株価は上場した大企業(一言ではちょっと説明しにくいですが、とにかくすごいということ)の株価の平均であって、我々庶民の生活には大して関係のないものです。

 

 株価は経済の良さにあらずッ!

 

第二節 もうググってしまえッ!

 もう面倒臭いのでググってみましょう。

・ 好景気(こうけいき) : モノがよく売れたり、収入が多くて生活が楽な時代や状況のことを 好景気(こうけいき、英:boom) あるいは 好況(こうきょう) と言う。

https://ja.m.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E7%A4%BE%E4%BC%9A_%E5%85%AC%E6%B0%91/%E6%99%AF%E6%B0%97%E3%81%AE%E5%A4%89%E5%8B%95%E3%81%A8%E7%89%A9%E4%BE%A1

(↑このhttp長過ぎ)

 例えば神様が私に100兆円お与え給(たも)うとします。そうすると私は極めてウハウハになり、父に高級のゴルフクラヴを贈り、母にブランドの服を贈り、「ジョジョの奇妙な冒険」全巻と「岸辺露伴は動かない」を揃え、荘厳な屋敷を建て立派な本棚を設置して、ニートになった友人に毎月お金を送ることでしょう。このように、人は経済的にウハウハになると、「消費」するようになります。

 私が消費した多額のお金はスポーツメーカー、ファッション企業、書店、集英社、建設業者といった「企業」に伝わっていきます。消費が多くなればなるほど、企業はウハウハになります。ウハウハになった企業は私と同様に色々なことをはじめます。技術開発や設備投資(生産性を上げる為、より便利な機械などを買うこと。物不足を防ぐと同時に企業による企業への消費となります。)、新しい店を開いたり、また、その為にもっと人を集めるべくお給料を上げたりするでしょう。

 お給料が上がるとさらに消費者がウハウハして消費しまくります。そうなると企業もさらにウハウハします。ウハウハした企業は技術開発、設備投資、そしてお給料も上げます……

 と、このようにしてお金が国中を巡り、経済的なウハウハをどんどん伝えていく状況を経済が良いとか、好景気というわけですf:id:miyukiyasmaro:20190615115242j:image

(↑好景気の図 筆者作)

 前述の通り、好景気になると消費が増えます。これは消費者に余裕が出てきたからです。ということは、ちょっと高いものでも買ってくれる人が出てくるわけです。

 そうなると一円でも儲けたい企業たちは商品の値段を上げます。商品の値段が上がると必然、物価(値)が上がります。値上げしても景気が良いので売上はやっぱり増えます。給料も上げれます。さらに値上げしても大丈夫になります。また物価が上がります。

 このように、好景気になると物価がどんどん上がっていく現象が始まるわけです。

 そして物価が上がり、お金の価値が下がっていくことをインフレーションといいます。

 反対に経済が悪いと、物価が下がってお金の価値が上がり(詳しくはこちらに解説しております)、これをデフレーションといいます。

 その為、

「好景気=インフレ」

「不況=デフレ」

 といった解説がされることがよくあります。

 

第三節 物価かな?

 そう考えると、物価の高さが景気の良さと定義できるような気もします。

 しかし、物価が上がるのは上記のようなハッピーな要因ばかりではありません。例えば石油の価格が上がると、我が国の製品の多くは石油でできているので、企業は苦しくなり、値段を上げざるを得ません。

 これでは経済が良いとはとても言えないわけであります。

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(↑石油危機直後の狂乱物価と呼ばれた時代https://images.app.goo.gl/Ty3RCDEMHEvUr9hk7

 また、消費増税も事実上、強制的に物価を引き上げる政策ですが、不景気をもたらし、最終的にはデフレになります。詳しくは拙稿の消費増税シリーズをご参照下さい。

物価は経済の良さにあらずッ!

 

第四節 平均給与かな?

 先ほど引用したwikibookの文章には、好景気について

収入が多くて生活が楽な時代や状況のこと

 とありました。

「じゃあ平均のお給料が上がっていたら好景気じゃん!」と思われる方がいらっしゃるかと存じます。

 では、僕が二秒で考えた架空の存在、さとし君の例を見てみましょう。


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 さとし君のお父様のお給料は確かに上がりました。しかし、いざスーパーマーケットへ向かえば、物価が急激に上がっていたのです。これでは満足に物が買えず、さとし君の家庭は貧しくなってしまうわけです。

 物価が上がった要因は第三節で述べたような、石油の高騰だったり、消費増税が原因だったりするのでしょうが、いずれにしても物価が上がる(インフレになる)とお給料は増えるものです。

 なぜなら、インフレとは物の価値が上がり、お金の価値が下がる現象なのですから。

 ですから、お給料が上がったから好景気、というわけにはいきません。

 

平均給与は経済の良さにあらずッ!

 

第五節 実質賃金かな?

 では、お給料から物価の動きを加味(かみ)すれば問題なくなるのではないでしょうか?つまり、物価が上がったせいで裕福になったように錯覚した分を差し引けば、本当の大きさが分かるのではないでしょうか。

 例えば、先月のお給料が30万円だったとします。今月は40万円でした。そして物価は先月よりも1.5倍上がりました。この場合、物価が1.5倍上がったせいで、その分豊かになったように錯覚してしまっているわけです。では、1.5で割れば本当の大きさに戻るわけです。

 

本日の経済用語

実質賃金……平均賃金に物価の動きを加味したもの。実質的な賃金

 

 この場合、実質賃金は先月を基準にして(40÷1.5)万円なので、約26万7000円になります。つまり、先月よりも実質賃金が3万3000円減り、貧しくなったことが明らかとなるわけです。

 そういうわけで、実質賃金こそ我々の豊かなのであります!

 

結論 実質賃金は経済の良さの程度である!

 

 と、思っていたのですが、実はこの考えについても色々と論争が繰り広げられているのです。

 

第六節 実質賃金じゃないのかな?

 それは、飽(あ)くまで実質賃金は平均値であるということです。その為に、「ニューカマー効果」なるものが指摘される場合があるのです。

 

本日の経済用語

ニューカマー効果……失業問題が解決するがニューカマー(新しい従業員)が来る影響で、平均賃金が下がってしまう現象。

 

 ニューカマー効果については経済評論家の上念さんが分かりやすく解説しております。f:id:miyukiyasmaro:20190614235339j:imagef:id:miyukiyasmaro:20190615000139j:image

(チャンネルくららよりhttps://youtu.be/BXCti99aWmI

 この図には、Aさん、Bさん、Cさんの三人の人物が登場します。Cさんは去年、失業者で、給料も当然0でした。

 ところが今年、経済が良くなってCさんは職を得ます。経済が良くなると、企業はもっと人を雇おうとするからです。さらに、AさんBさんのお給料も上がります。この状態は紛(まご)うことなき「好景気」であると言えます。

 しかし、好景気であるのに関わらず、この場合平均賃金が下がってしまうのです。

 なぜなら、ニューカマー(新参者)であるCさんはまだ高い給料を貰っていないからです。去年、Cさんのお給料は0でしたが、失業者なのでこの0は平均賃金の計算に含まれていなかったのです。

 上念司さんはこのニューカマー効果を唱え、実質賃金を重視する人を「実質賃金ガー」と揶揄(やゆ)しています。

 そして、本当の経済の良さは実質賃金ではなく、失業率や就業者数(職いた)などの「雇用」の状態を表す数値を見れば分かると断言しました。なぜなら、前述の通り、経済が良いと企業が人をたくさん雇おうとするからです。

 

実質賃金は経済の良さにあらずッ!
雇用こそ経済の良さであるッ!

 

 と思いきや、これにもまた反論をする方が現れます!

 どんな反論かというと、それは次回をお楽しみに!それではまた来週!

 

*1 「グラフメーカー」によって、筆者がYahooファイナンスを元に作成、

「一人で死ね」再考

 

「一人で死ね」という言葉が誰も救わないということだけは確かだと思っています。

 川崎市の彼は社会に、「一人で死ね」と言わんばかりに散々爪弾きにされたのだろうと思います。だから彼は、社会そのものを心の底から憎んで、自ら攻撃するに至ったのです。

 この国には彼と同じように、社会を呪っている人が密かに生きていることでしょう。そんな人たちが「死にたいやつは一人で死ね」などと聞いたら、より一層社会に対する恨みを深くする筈です。そしてこの恨みこそが、無差別殺人の犯人なのです。

 自分語りになりますが、私はかつてその「彼ら」の一人でした。窮屈な校舎の中で、人間のくだらなさや醜さにうんざりしました。そして、社会というものは全員自分の敵なのだと信じました。皆死ねば良いなどということも何度も思いました。自分を苦しめた社会への仕返しとして、自分の手で手当たり次第に人を殺す様子を夢想したこともありました。

 恥ずべきことですが、僕は本気で人を殺すことを考えていたのです。それは自分以外の人間は皆無価値で、冷たい鉄のような物質と同類だと思っていたからです。そんなことばかり考えていたから、自分自身冷たい鉄のような物質になっていました。

 今、僕は物質ではなく、温みのある生き物として、喜びとか悲しみを感じながら生きています。たまにうんざりしますが、それでも生きています。僕が持っているこの熱のようなものは、自分の手で作り出したものではありません。誰がか伝えてくれたものです。言葉や、音楽、絵を通じて、数えきれない人たちが与えてくれたものです。

 もしもこの熱を誰も伝えてくれなかったなら、僕は彼と同じことをしたかもしれません。

 

(ちょっと陰鬱な話になってしまったかもしれませんが、飽くまで過去の話でございます。現在の私は別に晩年の芥川ムードである訳ではなく、そこそこにウハウハやっておりますので、どうかお気になさらず)

 

 あなたが今生きているのも、誰かから伝えられた熱があなたの中に残っているからだと思います。失礼なことを言いますが、あなたが自殺したり人を殺していないのは、あなたの周りの人々のおかげだと思うのです。彼は多分、誰にも熱を伝えられなかったのか、心ない人に奪われたのか、知らずの内に少しずつ手放してしまったのだろうと思います。

 その為に、小さい子どもが苦しんで泣けば必ず起こるであろう痛みを、彼は失ったのです。そう思えば彼も不幸なのです。

 こんなことを言えば、

「あいつは悪くないというのか」

 と恐ろしい剣幕で怒鳴る人が必ずいます。

 確かに彼は悪い人です。人の命を奪いました。ご遺族の悲しみや怒りは計り知れません。ご遺族にとって、この事件が解決する日などずっと来ないのです。取り返しの付かないことをしたのです。

 しかし、殺人を繰り返し大きな声で糾弾することが、事件を減らすことに繋がるのでしょうか。小さな子どもの痛みさえ感じない者に、「死にたいやつは一人で死ね」などという言葉でその感情は伝わるのでしょうか。

 あの時、彼は不審な様子は一切呈さず、静かに近づいて犯行に及んだと言います。防犯対策をどれだけ強めようと、こればかりは防げなかったのです。

 ならばこの事件を教訓にする為には、我々自身がもう少しだけ、人の弱さや痛みに歩み寄るべきだと思います。「人」が「憂」いに寄り添うと、ほら、「優」という字になるでしょう。

 元犯罪者予備軍の分際で言うのも何ですが、優しさをどうか大事にして下さい。そして、あなたの温みを伝えて下さい。

 

 乱雑でちょっと不愉快な文にも関わらず、最後まで読んでくれたあなたに、心よりありがたく申し上げて筆を置きます。

【財政・増税問題】こんな教科書は嫌だ2 その③


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 その①、②にて、私は日本の財政に問題はないことと、消費増税をすると確実に消費が落ち込み経済を悪化させることを証明してご覧に入れました。

 では、そんな消費増税に果たしてメリットはあるのかどうか。今回はテスト期間でも執筆する男、三幸靖麿呂が、それを徹底的に検証して消費税についての解説を終わりにします。

第七節 少子高齢化の何が悪いッ!

消費増税が実行されると、国民は社会保障が安定するメリットが得られます。

なぜ消費税は8%から10%に増税されるのでしょうか。財務省は「社会保障財源のため」と説明しています。社会保障とは、年金や医療保険介護保険生活保護などのことです。

社会保障費は元々多額の費用を必要としていましたが、それが少子高齢化によって膨れ上がっているのです。
そのため安定した税収が必要であり、増税は避けられませんでした。
https://www.keigenzeiritsu.info/article/19577

 少子高齢社会なので、このままでは社会保障(国が社会を保障すること)が困難になる。  少子高齢化とは、働かない高齢者が増え、働く若者が減っていくことですから、国がどんどん小さくなってしまう。その状況で社会保障を維持する為には若者がもっと税金を払わなければならない。というロジックになります。

 そうしたイメージを表現すると、次の図のようになるかと思います。


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(朝日学生新聞社 ジュニア朝日よりhttps://www.asagaku.com/jkp/2013/8/0831.html)

 しかし、よくよく考えるとこれはおかしい話です。なぜなら、少子高齢化がどれほど進行しようと、それ以上の速さで働く人の『力』が大きくなれば何ら問題はないのですから。

 『力』とは、物を作る力です。この世に価値を生み出す力です。

 例えば、「千年前のお掃除サービス」を想像して見て下さい。千年前ですから、箒や雑巾などの道具を荷車に引いて、何軒ものお客様のところへ汗水足らして駆け回らなくてはならないでしょう。

 一方、「現代のお掃除サービス」を想像して見て下さい。高圧洗浄機、掃除機など、箒や雑巾よりも強靭(きょうじん)な道具はお店で購入することができます。それを自動車で運ぶと、荷車を引くよりも遥かに速く、労力もかかりません。

 では、「千年前のお掃除サービス」と「現代のお掃除サービス」は、どちらの方が力があると言えるでしょうか?

 もちろん、「現代のお掃除サービス」です。現代のお掃除サービスの方が、より多くのお客様に、より品質の良いサービスが可能であり、従ってより多くのお金を稼げます。
 もっと言えば、より多くの税金も払えるし、より多くの消費をしたり、より多くGDPを大きくできたりする訳です。つまりそれは国を大きくすることで、大きくなった国は財政も安定するし、社会保障だってできます。

 働く人の力を大きくするとは、こういうことなのです。

 私が言いたいことはつまり、本当に「少子高齢化に向けて社会保障を維持しよう」とするならば、より多く税金をとるのも一つのアイデアですが、もっと働く人の力を大きくするということも無視できないはずなのです。
 これは落合陽一さんがTwitterで発表したイラストです。

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(落合陽一さんのツイートよりhttps://mobile.twitter.com/ochyai/status/863280246140698624より)

 落合さんの描くイラストの中で、働く人たちはAIなどの機械を操るなど、より強大な『力』を手に入れています。ご老人たちへの社会保障も軽々としています。

本日の経済用語
設備投資

………生産性(物やサービスを生み出す力)を向上するために、より高い技術をもった設備(道具、装置など)を買ったり、開発すること。

このような社会を目指す上では、企業が生産性を高める為に、どんどん技術を向上させていく必要があります。その為には投資をしなくてはなりません。これを「設備投資」と言います。

 では、設備投資をするにはどうすれば良いでしょうか。不景気であれば、少なくともリスクのある設備投資を行うのは、企業としては気が引けます。
 つまり、好景気であれば好景気であるほど設備投資は盛んになります。

では、好景気にする為にはどうすれば良いでしょうか。

増税しないこと。
減税することです。

 景気を良くすれば国が大きくなり、社会保障を維持できるし、もっと充実させることだってできます。
というか、景気が良くなれば将来の不安が解消し、お給料も上がって余裕ができるので、子供をつくる人が増えます。つまり景気を良くすれば少子化が解決します。

 以上の理由から、少子化高齢化でヤバいというのなら、尚更(なおさら)増税してはならないのです。減税すべきなのです。


第八節 詐欺の真実を暴いて何が悪いッ!

 政府は「消費税引き上げ分は全額社会保障に当てます」としています。しかし実は、国債を返済することも実は社会保障と見なされています。政府に言わせると「借金のない社会を保障するのだから間違いじゃねえだろ!」ということにでもなるのでしょうが、その理屈だと軍事費も公共事業費(道路とか学校など、公共の施設を作るという事業をする為のお金)も社会保障に分類できます。

 恐らく、ほとんどの方が想像する社会保障とは、子供やお年寄り、貧困に陥っている人たちを、皆で手助けすることであると思います。
 その根拠に、大抵の消費税を論ずる人は、消費増税でお年寄りや子供たちが助かると予想しているのです。

例えば近年話題に上がることの多い待機児童問題については、受け入れ施設を増やすことや育児休暇の取得支援、育児休暇中の生活支援などがあります。

また、高齢者の医療費負担の軽減、施設などの利用・入居支援などの社会保障の充実が期待されます。
https://tech-camp.in/note/pickup/53430/#i-7

高齢者などを支えるためにも社会保障は必要ですし、年金問題などにより不安視されている年金制度を安定させるためにも必要です。つまり、国に納付される消費税が増えれば私たちの社会保障制度お(が)より安定することになるのです。
https://keiei.freee.co.jp/articles/t0100042

(※()内の修正は三幸が行いました)

消費増税が実行されると、国民は社会保障が安定するメリットが得られます。

なぜ消費税は8%から10%に増税されるのでしょうか。財務省は「社会保障財源のため」と説明しています。社会保障とは、年金や医療保険介護保険生活保護などのことです。

社会保障費は元々多額の費用を必要としていましたが、それが少子高齢化によって膨れ上がっているのです。
そのため安定した税収が必要であり、増税は避けられませんでした。
https://www.keigenzeiritsu.info/article/19577

怪我や病気をした際に医療費の一部を負担してくれる健康保険や一定の年齢に達すると受け取ることができる年金保険。
これらは現在働いている現役世代が負担することで制度が成り立っていますが、少子高齢化によって以前よりも現役世代への負担は大きくなっています。

消費税の一部はそういった社会保障制度の財源としても使用されており、増税されればさらに多くの財源をまわすことが可能となります。
https://business-textbooks.com/consumption-tax-hike/

これにより、消費税増税の本来の目的である財政健全化に寄与し、急速な高齢化、少子化で問題とされている社会保障制度が安定する。
(中略)
また、消費増税の直接のメリットではありませんが、幼児教育・保育や低所得者向けに大学の無償化を実施するとしていますので、幼児等を持つ家庭にはメリットがあるようです。
https://sportsmania1.com/consumption-tax-10%EF%BC%85-advantages-disadvantages/

 ブロガーさんや大手新聞社までもがこのように誤解してしまっています。いや、「詐欺」されてしまっている、と言った方が正確でしょうか。

「重箱の隅をつつくな!揚げ足を取るな!国債返済とかどうせ大したことのない額だろ!」

などという指摘があるかもしれません。
では、今年予定されている10%の増税ではどれだけの額が国債の返済に当てられるのでしょう。5%かな?10%かな?


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政府広報よりhttps://www.gov-online.go.jp/tokusyu/syaho/naze/minna.html

 半分以上であります。この事実を把握している人がこの国に果たして何人いらっしゃるでしょうか。

 因みにこれは今回に限った話ではありません。

 2014年度の8%の増税の時も、増収5兆円の内、我々の考える社会保障に使われたのは5000億円。2017年度は増収分8.2兆円のうち、1.35兆円です。

(ソースhttps://lite-ra.com/2018/11/post-4346_2.html

 今回の場合は「幼児教育無償化」といった目標を明らかにしています(条件や学費によって無償化の対象外になる場合もあります)。   しかしながら、その為にお金を使ってしまえば、果たしてただでさえ少ない保育所や幼稚園の数を増やすことはできるのでしょうか?ただでさえ少ない保育士の数やお給料を増やすことはできるのでしょうか?もしできなかったら、保育所、幼稚園の負担はさらに重くなり、教育の質は悪くなります。
 また、「貧しいままで忙しくなるばっかりで馬鹿馬鹿しいッ!こんなものは辞めだッ!」ということで、保育士さんがさらに辞職し始め、益々(ますます)教育の質が落ちるという悪循環も予想されます。幼児教育の無償化と謳いながら、幼児教育そのものが困難になるかもしれません。このような事態は「社会保障の充実」とは呼び難いものです。
 その上消費増税で家計が圧迫されるとなると、更に子育ては苦しくなるでしょう。

 では突然ですが、今回の内容を復習する為に、読者の皆様に問題です。

少子高齢化が進んでいるにも関わらず、増税で国の力(経済)を縮小させ、増収分の多くは国債の返済に当てるという方法で社会保障は充実しますか。

 答えは、実際に我が国の社会保障がどうなったかを見れば分かります。
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堤未果氏「日本が売られる」幻冬舎新書より)

 

第九節 国債の返済に意味なしッ!

 前稿に於(お)いて、私は誰がどれだけ国債を持っているのかという「国債保有者割合」の表をお見せ致しました。

 日本銀行の部分を無視すると、ほとんどの国債が銀行や保険などの「金融機関」の手の中にあります。では、なぜ金融機関は国債をたくさん保有しているのでしょうか?

 私は、景気が悪いからであると考えます。

 景気が悪いともちろん企業は弱ります。企業が弱っているとなると、そこに努めている人たちの収入も不安定になります。
 金融機関は、そうした状態では安心して誰かにお金を貸すのが困難になります。遂には「貸し渋り」し始めます。かと言ってお金を増やすことができなければ、彼らはいずれおしまいです。そこで、「企業やサラリーマンよりかは安全な国債を借りよう」ということになるのです。

 その為、不景気になればなるほど、国債金利が低くなっているのです。国債が危険で「返されるか分からない」というリスクを孕(はら)んでいるならば、その分リターンがないと誰も買わないので、金利は高くなります。しかし、現実には下がりに下がってほとんど0に近くなっています。


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(【三橋貴明】本当の意味の「将来世代の悲劇」よりhttps://38news.jp/economy/12691

 こうした状態で国債を返済するとどうなるでしょうか?金融機関にお金が返ってきますが、そのお金は再び国債となるでしょう。
というわけで、現在に於ける国債の返済は無意味であると言えます。

 

最終節 経済と財政 再考

 増税について議論する際、しばしば「要するに財政を選ぶか、経済を選ぶかだよね」といった声を聞きます。

 しかしながら、良い財政は良い経済なくしては成り立ちません。
 なぜなら、前述の通り、経済が大きくなれば国が大きくなり、より多くの借金をすることが可能になります。
 また、そもそも税金とは、我々の経済活動(物を買ったり、働いてお給料を貰ったりだとか)の一部から、政府へ納めるものなのです。こうした経済活動の一年の合計をGDPと呼びます。つまり、税金とはGDPの一部なのです。
 仮にGDP10兆円の国に10%の税率を課すと、税収は1兆円です。
 が、GDP100兆円の国に5%の税率を課すと、税収は5兆円です。

そう考えてみると、現在の日本の財政を良くしたいのなら(そもそも良いのですが)、負債(借金)を減らすか、国を大きくするかの二つが考えられます。

 そして、それを確かめる為の対照実験は既に行われたのです!

 90年代。デフレ下で赤字国債に騒いだ日本。
 同じく90年代。デフレ下で赤字国債に騒いだアメリカ。
どちらも何とかして財政を良くしようと頑張っていました。
 日本は、私が前に投稿した「消費増税の歴史」で確認した通り、増税などで借金を減らすことで財政を良くしようとしました。
 一方、アメリカは日本とは逆に、経済を良くすることで財政を良くしようとしました。

 これは正(まさ)しく対照実験です。同じ環境の実験対象に、別々の刺激を与え、その反応を比較する実験です。
 借金を減らすべきか、国を大きくするべきかが明らかになる極めて壮大な対照実験が、偶然にも行われたのです!こんな実験は滅多にあったものではありません。

 ではその結果を確認してみましょう。

 これは90年代に於ける日本の赤字国債の推移です。
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(植草一秀氏「現代日本経済政策論」岩波書店より)
 少し見辛いかもしれませんが、97年の増税をきっかけに、我が国の財政は凄まじい勢いで悪化しています。経済も財政も却って酷くなるという悲惨極まりない結果になってしまいました。

 ではアメリカはどうでしょうか?
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(同書より)
 年々赤字国債は減り、アメリカの財政はみるみる黒字になったではありませんか!これは単に赤字国債の額ですが、この上経済が好転し、国が大きくなったことを考えると、この表が表すよりももっとアメリカの財政は安定したと言えます。

 この実験結果から分かる通り、現在に於ける消費増税は経済を悪化させるのみならず、財政をも悪化させてしまいます。


あとがき

 問題のそもそも根源は、政治家とか官僚だとかではなく、我々国民にあります。 多角的な数字、データ、客観的事実を積み重ねず、テレビに繰り返し繰り返し流される『印象』を信仰する国民の態度にあります。

 印象を信仰するという態度は、消費税のみならず様々な悲劇を起こし続けており、挙げればきりがありません。

 印象はテレビによって簡単に作れます。テレビはお金の力で簡単に動きます。我々は強い者の奴隷なのです

「大衆」という名の奴隷から脱却し、本当の意味での自由で幸せな「国民」となる為には、あなたがあなた自身の手で真実を探し始めることです。
 そしてそれは、決して難しいことではないのです。

 長文乱文ではありましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。もしご質問やご反論等ございましたら、参考にさせて頂きますので、どうぞコメント欄にてお寄せ下さい。可能であれば真摯な態度で返信させて頂きます。

 我が日本国の繁栄とあなたの幸福を心よりお祈りして、筆を置くとします。

【財政・増税問題】こんな教科書は嫌だ2 その②

【財政・増税問題】こんな教科書は嫌だ2 その②

 

(※その①を見てない人は前稿を先に見てね)

 本稿は前稿の続きです。というわけで、今回もこの、見知らぬ金髪小学生に通りすがりにブスと罵詈(ばり)された経験を持つこの三幸靖麿呂が、消費増税についてなるべく分かりやすく、そして深く解説していきたいと思います。

 また今回より、読者一人突破を記念して「本日の経済用語」というくだらぬコーナーを始動します。そしてこのコーナーの恐ろしさとは、読者がこれを忘れた時に唐突に襲いかかってくることなのです。これは予言です

 


第四節 政府の借金と呼んで何が悪いッ!

「日本が借金をしている」というフレーズはよく聞きますが、この文章において「日本」とは「日本政府」のことを指します。しかし通常は国家とは「国民と政府の共同体」を指します。

 ですから、「国が借金している」と聞くと何か罪悪感を抱いてしまうのが常識ではあります。しかしながら、厳密には日本というより日本政府が借金をしている訳で、よく言われる一人八百万円以上の借金というのは語弊(ごへい)があるのです。

「屁理屈言ってんじゃあねえ!」

 と言われるかもしれませんが、この違いが実に重要なのです。もし国民が一人ずつ八百万円以上の借金をしているのなら、実に絶望的な状況です。進路も陸(ろく)にイメージできておらず、ニートにもなりかねない僕にはまさにお先真っ暗です。

 一方、「日本政府」が千兆円借金をしているという話なら、何ら罪悪感を抱く必要もなく、深刻な話でもありません。何故なら前稿で述べたように、我が日本政府は世界二位の経常黒字国であり、世界一の純資産を保有し、そしてギリシャとは違い、いざという時には通貨発行権連打という裏技を発動できる強みがあるのです。


第五節 国債保有者割合を把握して何が悪いッ!

 そして、「日本が借金している」の「借金をしている」というのは、誰から借金をしているのかというと、それは日本国民でもあり、外国人でもあり、日銀でもあります。問題は誰がどのくらいの割合で保有しているのかということで、それはグラフを見なければ分からないでしょう。という訳で下の表を見て下さい。

f:id:miyukiyasmaro:20190524180159j:imagef:id:miyukiyasmaro:20190524180212j:image
財務省http://www.mof.go.jp>saimu2018-1-3

 これは国の負債(国債国庫短期証券)の保有者の割合です。一番目立つのが日銀の割合です。日銀は4割以上もの政府の負債を保有しています。しかしよく考えると、日銀は政府の子会社です。という訳で、日銀が「政府!金返せこの野郎!」と催促するといった事態はあり得ない訳です。

という訳で、ちょっと乱暴に聞こえるかもしれませんが、この部分は実は無視しても構わないということが言えるのです。

 そしてその次が銀行。約20%。その次に損害保険や基金等などが並び、これら金融機関を纏(まと)めると45%。日銀が保有している部分を無視すると75%以上が日本の金融機関が保有しているのです。なぜ多く保有しているのかというと、それには重大な理由があるのですが、次稿にてお話致します。

 また、これに家計の保有する分1%を足すと、つまり国民が保有する率は46%、日銀を無視すると78%以上です。国民は大体国の借金の八割を貸しているのです。

 国にお金を貸しているのはほとんどが国民なのです。これを知ると、一層「国民一人当たり八百万の借金」という表現に違和感を感じて頂けるのではないでしょうか?国民が貸したのに関わらず、国民が借りていることになっている訳です。

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↑(消費税反対bot氏「私立Z学園の憂鬱」より https://note.mu/zouzei0percent

 日本の財政に問題はないとする証明は以上と致します。

 

第六節 経済を重んじて何が悪いッ!

 増税の第一の目的が財政を良くすることなのにも関わらず、財政に問題がないとなると、あとはもうデメリットしかないでしょう。

 既にご存知かもしれませんが、増税は経済を悪化させます。

①「たった2%くらい誰も気にしないでしょ」
②「10%だと計算しやすくなるから逆に消費が増えそう」

と言った主張はよく聞きます。しかしながら、実はこれらは間違いであると言えます。

仮に国民の100%が、100円の商品が102円になろうとどうでも良いという性格だとしましょう。

しかし、物の価値が上がる訳ですので、生活費の減りは絶対に早くなります。
月末には
「あれ?いつもよりお金が少ないぞ」
ということになり、消費者は節約するか、貯金に充てるお金を減らすかという岐路(きろ)に立たされます。そして前者の節約を選ぶ人は、日本経済に影響を与えるほど多いのです。

論より証拠。このグラフを見て下さい。
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三橋貴明氏「新世紀のビッグブラザーへ」より http://mtdata.jp/data_61.html#JS18Jul
 2014年4月(jan14)を注目して下さい。この時、消費税率8%への引き上げがありました。引き上げの直前、グラフの線がグィィィンと急激に上昇しているのですが、これは駆け込み需要と呼ばれる現象です。これは有名な言葉なので読者はご存知かもしれませんが、物価(物の値段)が上がるとなると、その前に買っておいた方が得なので、こぞって消費が一時的に上がるということです。消費増税は物価を強制的に上げる政策ですので、必ずこういった現象が起こります。

そして、既に物を買ってストックしておいた以上、当分その商品を買う必要はありません。となると、駆け込み需要の後には急激な落ち込みが訪れるのです。その変動はまるでジェットコースターのよう。

そして問題はその後です。当時、政府や経済評論家、経済学者の多くは、「『V字回復』する」としていました。駆け込み需要が来て、その後落ち込むが、そこからまた急激に消費が回復し、アルファベットのVのような形になるというのです。

しかし結果はこの通り、駆け込み需要から急激に落ち込んだ後、そのまま回復せずに低迷しました。この形がアルファベットのLに似ているので、「L字低迷」と呼ばれています。

 このグラフから、消費税の影響で節約しようとする多くの人々の姿が見えてくる筈です。

②確かに10%だと計算しやすくなります。しかしそのことが消費を促進させるかというと、実はその逆なのです。

これまでは「一割以下だしややこしいから無視しちゃえ」としていた消費者が多くいたかもしれません。それが計算しやすくなるからこそ、無視できなくなるのです。

 理論家を自負する私がこのように断言するのは、単なる憶測ではなく、明確なデータがあるからに他なりません。

 京都大学藤井聡という有名な教授は、この問題を心理実験で検証し、消費税率が10%になれば消費の落ち込みがより深刻になるということを証明されました。

この実験では、様々な商品を買うシチュエーションを想定し、その状況下で様々なパターンでの「増税」を被験者に呈示しました。そしてそのそれぞれで「商品を買い控えするかどうか」を測定しました。こうして、どういう増税がどれだけのインパクトを持つかを測定したわけです。
実験参加者は男性女性100名ずつの合計200名。この皆さんに5つの増税仮想状況を呈示し、それぞれでの「買い控え」の程度を測定しました。
(実験の詳細はこちらを参照下さい。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1182904721810469&set=a.236228089811475.38834.100002728571669&type=3&theater )
(中略)
実験の結果得られたデータを統計分析したところ、「10%への2%増税」は、これまでの「1.4倍もの消費縮退効果」を持つことが示されたのです。

 

『「新」経世済民新聞 【藤井聡】「10%消費増税」が日本を滅ぼすメカニズム~京都大学消費者心理実験より~ 』より
https://38news.jp/economy/11318

(※中略は三幸によるもの)

このように、消費税を引き上げると消費は落ち込みます。

消費が落ち込めば、企業は損をします。大企業は規模が多く、安い物を提供できるので、主な被害者は中小企業や零細(れいさい)企業でしょう。損をすると、企業も節約せざるを得ません。

その為に人件費(人を雇う費用)も下げざるを得ません。人件費を下げる為には、人を雇わないようにするか、人のクビを切るか、人の給料を下げなければなりません。

クビになった人や、給料を下げられた人は、やはり節約します。そうすると消費が落ち込みます。

消費が落ち込めば、企業は損をします。大企業は規模が多く、安い物を提供できるので、主な被害者は中小零細企業でしょう。人件費を下げざるを得ません。

クビになった人や、給食を下げられた人は、やはり節約します。そうすると消費が落ち込みます。

消費が落ち込めば……


このように、終わりのないのが終わり。それが、

本日の政治経済用語
デフレスパイラル

 賢い方はピンと来たかもしれませんが、ここ数十年「デフレで不景気だ」と言われ続けている一つの原因に増税があるのです。

 デフレとは、お金の価値が上がり、物価(物の価値)が下がることです。

 増税をすると国民の生活は貧しくなります。そうするとより安いものが求められるようになり、安くないものはどんどん淘汰(とうた)されていきます。その淘汰から逃れる為に、企業は商品を値下げ(この時点で物価が下落)しなくてはなりません。前述の通り、その為には人件費を下げなくてはならない。そうすれば給料が減ったり、失業者が増えて消費が落ち込み、また安い物が求められ……あとはもう言うまでもありませんね。

 このような無限地獄デフレスパイラルと呼びます。デフレ=不景気とされているのはこういうわけがあるのです。

 このように、消費増税はデフレを深刻化させ、人々の暮らしを貧しくしてしまうのです。人々というのは、貴方(あなた)自身も含まれているかもしれないし、あなたの家族かもしれない。そして私かもしれない。

 それを阻止したいのなら、貴方自身が増税反対派として立ち上がる必要があります


次回予告

 財政・増税問題という宿痾(しゅくあ)に三幸靖麿呂(もちろん偽名)が遂に終止符を打つ。その時、財政とは何か。税とは何かが全日本国民の前に明らかとなるのだッ!
次回!こんな教科書は嫌だ2 最終回!「俺は増税を許さん!お前はもう減税だ」(仮)

 

請うご期待。

【財政・増税問題】こんな教科書は嫌だ2その①

 

 結論から言って、現時点の増税は何の観点から見ても無意味です。現時点の増税は経済を萎縮(いしゅく)させ、そして実は財政をも悪化させます。
 もっと言えば、財政を健全化する必要すらないと考えます。

 

 という訳で、今回はこの、体育の時間でボーッとしていたら選(よ)りに選って不幸な脳みその下俗な同級生に罵声を浴びせられ「貴様こそ他の教科で積極性が微塵も見られない癖に私を指摘する資格があると思っているのか。貴様は結局正しさではなく自分の感情に支配されたまま猿のように喚き散らすしか能がないということを自ら露呈しているに過ぎないし、そこから進歩することも有り得ない哀れなやつなのだ」と反論しようと思っても怖くてできず深く傷ついている三幸靖麿呂が、何故そういえるのかを誰でも分かるように、そして深く解説していきたいと思います。

 

 まず、増税賛成派の方々がなぜ増税は必要かというと、それは前稿でも述べた通り「財政がヤバいから」であります。
 そろそろ本稿のタイトルを回収しないと読者がぶちギレる恐れがありますから、僕のお兄さんが使っていた教科書を参照して見ましょう。

日本の財政は, とても深刻な状況にある。218頁のグラフからわかるように, 2014年度予算では, 国債の発行額が41兆2500億円で歳入総額の43.0%, 国債の累積残高は2014年度末で780兆円に達する。国民1人当たり約615万円の借金をかかえている計算になる。

高校現代社実教出版
221頁 政府の役割と財政・租税

 その「218頁のグラフ」はこのようになっております。

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 簡単に纏(まと)めると、こういうことです。

 

一、国債をどんどん刷っているせいで、借金が増え続けているから、財政がヤバい。

 一見すると非の打ちどころのない話です。債務(いつか返さなければならないという義務)がどんどん大きくなることは由々しき事態で、解決しなければならないことのように見えます。
しかし!この理屈には重大な欠陥があるのです。

 

第一節 借金を増やして何が悪いッ!

 それは、債務者(債務を持つ人)の大きさの変化を考慮していないということです。債務の大きさよりも、もし債務者の力が大きくなれば、何ら問題は深刻化しないのです。
 分かりやすくする為、少し極端な例え話をしますが、例えば、私のような一介の高校生が100万円の借金をするとしたら、それは絶対にヤバい事態です。
 では、ホリエモンこと堀江貴文さんが100万円の借金をするとしたらどうでしょうか?
一体これは、ヤバい事態でしょうか。いいえ、違います。
 当然のことですが、この違いは、私にはせいぜいアルバイトをしてお金を稼ぐしか「力」がないのに対し、堀江さんは民間ロケットを飛ばすほどの「力」があることに因(よ)ります。
 力があれば、計画的に借金を返済することができますから、借り手貸し手の双方ともに何ら問題はないのです。
 要するに、国が債務に見合うほどに力を大きくしていくのなら、借金が増え続けるのは何ら問題ないことであるし、もっと言えば、国とは常に大きく成長していくものなのだから普通のことなのです。
論より証拠。この図が示す通り、我々は100年以上前から債務を膨らませ続け、そして成長してきたのです。

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財務省が日本を滅ぼす 三橋貴明 小学舘

より

 小学生程度の思考能力がらあれば誰でも分かる当たり前のことではありますが、債務が債務者の能力に見合う大きさなら、借金が増え続けることに問題はありません。では問題は、日本の借金は日本の身の丈に合ってるの?合ってないの?という話になるかと思います。

 

第二節 金持ちで何が悪いッ!

 

 熱心に日本の財政を考えておられる方はしばしばこのように仰ります。
「日本は赤字国債GDP比率が先進諸国で最悪の水準である」
 赤字国債GDP比率とは、赤字国債(借金)をGDP(大雑把にいうと国の経済の大きさ)で割った数値です。
 実際に財務省ホームページの画像を参照してみるとこのようになります。
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 確かに諸外国と比較すると最悪です。そして、これに則(のっと)り「日本の借金はやはり身の丈に合っていない」と主張される訳です。
 では、例えば「俺は100万円も借金しちまった!借金地獄だ!」といいながら、300万円の銀行預金がある人がいたらどう思いますか?財産が債務以上ある癖に借金地獄だと主張する訳です。
 正しい訳がありません。
 同様に、日本が債務以上に資産を持っている可能性だってあるのに、赤字国債GDP比率だけで財政の善し悪しを判断するのは早計であると思います。
 実は、日本の資産は債務以上にあります。そして資産が債務以上にあるという状況は先進諸国の中では珍しいことなのです。
では、日本はどれほど資産を持っているのでしょうか?


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https://www.jiji.com/sp/graphics?p=ve_eco_general20180525j-02-w380
 何と日本の対外純資産(資産-負債)は世界一なのです。

 資産というのは、インフラ(道路やダムなどの国が持つ設備)やアメリカ国債など、すぐにはお金に変えられないものも確かにありますが、「借金が1000兆円」というのと、「借金は1000兆円で資産は1000兆円」というのは、政府の財務状況としてかなりの違いがあります。
 また、日本は世界屈指の経常収支黒字国です。経常収支が黒字というのは、国内のお金で政府の借金を賄うことができるということです。
屈指というのは、「指で数えて何本目かくらいに入る」という意味ですが、実際のところ何本目なのでしょうか。


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https://ecodb.net/ranking/imf_bca.html
 二本目です!因みにドイツは世界一ィィィです。「日本は衰退している」というイメージをもっておられる方からすると信じられないことかもしれませんが、このように多角的に見ると、日本の財政は逼迫(ひっぱく)しているとは言えないのです。

 

第三節 過去に財政破綻した例があって何が悪いッ!

 真面目な方は、2009年のギリシャや、戦後間もないドイツ、また非常に詳しい方は、戦後間もない日本の例を挙げ、「このように、世界には財政破綻した例がたくさんあるのだ。財政を楽観視すべきではない」といったことを叫ばれることがあります。
しかしながら、現在の日本とそれらの例とは、重大な違いが二つあります。それが、

通貨発行権がある
② 極端な供給能力不足に陥っていない

①まず通貨発行権とは、通貨(お金)を発行する権利です。
極稀に日本銀行(通貨発行権を持っている)は民間会社なので、日本には通貨発行権がないという主張を聞きます。が、日本銀行の50%以上の株式は政府が持っているので、日本銀行は事実上政府の子会社であり、通貨発行権も政府がしっかり握っています。
 となると、日本にはある裏技ができるということになります。それは、お金を刷りまくって返すということです。
 万一「政府金返せ!」と国債保有する人が押し掛けてきたなら、お金を刷りまくって返せば良いのです。
 とこのように書くと、真面目に現代社会や歴史を勉強してきた方は十中八九憤慨されることでしょう。以前、ネットで同様の発言をしたところ、「インフレになったらどうする!馬鹿!」といった指摘を受けました。そこで私は「インフレになったら喜ぶ!阿呆!」と返答させて頂いたのです。
 というのは、現在の日本はデフレに陥っており、経済が縮小していき、貧困に喘(あえ)ぐ人がどんどん増えているという状態で、政府はどうにかして再びインフレに戻し、経済成長しようと目指しているところなのです。ですからもし、この裏技を使ってインフレになったら万々歳の訳であります。

 しかし残念ながら、お金を刷るだけでは、今のところインフレにはなりません。
詳しくはまたの機会に述べますが、事実、下のグラフのように、マネタリーベース(国の中にあるお金の量)とインフレ率は比例していないのです。

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https://youtu.be/ynVn-3tLhj4


という訳で、日本はお金を刷るべきところにあって、「通貨発行権連打」という裏技は、実は全く危険ではないのです。
恐らく、私に反論をしたあの方が想像したインフレとは、極端にお金の価値が下がり、紙屑同然となるハイパーインフレのようなものだったと思われます。

「じゃあ戦後日本、戦後ドイツその他発展途上国通貨発行権があったのに、何で財政破綻したのだ!」というご指摘もあるかもしれません。しかし良く考えてみると、戦後日本、戦後ドイツとは、どちらも恐ろしい戦渦によって国の力が極端に傷つけられていました。この状態で財政破綻が起きるのは至極当然であり、そして現在のように経済が機能している日本と比較することはナンセンスであると言えます。
 発展途上国も、「発展」が「途上」なのですから、経済がまだ萌(も)え始めた状態か、経済が停滞している状態か、経済が衰退している状態である訳でして、財政破綻は極めて起きやすいのです。また、発展途上国の多くは紛争地帯でもあり、現在の日本と比較するには極端なケースです。
 因みに、これらの例を挙げて「こういった国々はハイパーインフレに陥った。従って①は間違いである」と指摘する方がいらっしゃるかもしれませんが、前述の通り、これらは全て供給能力が極端に乏しい状態で現在の日本と比較するべきではありません。供給能力が乏しいと物はなくなります。物がなくなると、物は貴重になり、物の価値は上がります。物の価値が上がると相対的にお金の価値が下がります。これをインフレという訳です。ですから私はむしろ、「本当にハイパーインフレを恐れるのならば、日本の経済が滅ばない為にも増税を阻止せよ!」と声を大にして叫びたいものであります。

 

続く(かも)