僕の名は靖麻呂

高校生 政治厨 軽度の神経衰弱

イギリス総選挙を分かりやすく

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十二月十二日、イギリス総選挙の投開票が始まりました。翌日、ボリス・ジョンソン現大統領率いる保守党の圧勝が確定し、我が国のニュースでも取り上げられました。

 本稿では、この圧勝により何がどのように変わるのかをなるべく分かりやすく解説したいと思います。

 

■イギリスがEU離脱

 とは言っても、日本人でイギリスの事情を把握している方はなかなかいらっしゃらないでしょう。「総選挙って何だよ!AKBかよ!保守党って何だよ!」と叫ばれた方も少なからずいらっしゃったはずです。

 今回の総選挙は、イギリスの議会のうち、庶民院の議員を選ぶものです。f:id:miyukiyasmaro:20191214150912j:image

庶民院」というとあまり聞き馴染みのない単語ではないでしょうか。イギリスの議会は庶民院貴族院の二つに分かれており、庶民院は国民によって選ばれた議員が話し合いをする議院です。

 因みに貴族院はその名の通り貴族の議員による議院です。「えっ!?今時貴族なんかいるの!?しかも権力持ってんの!?」と驚かれる方がいらっしゃることでしょう。わたしも最近知った時は大層驚きました。もちろん、イギリスも民主主義という形で政治が行われておりますから、現在はこの貴族院の権限は小さく、庶民院がイギリスの政治をコントロールしていると理解できます。

 さて、今回の総選挙はそんな庶民院の議員を決める選挙です。庶民院には我が日本国の国会にように様々な政党がありますが、ある二つの大政党以外は極めて瑣末な勢力です。従って、イギリスの議会ではこの二つの勢力が争っていると言えます。

 その二つの勢力の一つは現在の与党、「保守党」。イメージカラーは青。EUから離脱しようと訴えております。

もう一つは「労働党」。イメージカラーは赤。EUには残るべきだとしております。

 以前、保守党は与党で労働党は野党でしたが、その勢力はほぼ互角でした。EU離脱の騒ぎがグダグダで、なかなか進展を見せなかったわけはここにあります。

 しかし、この度の圧勝によって事態は急展開を見せました。保守党の議席過半数を超えたのです。

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 議会でEU離脱に関する採決をとった際、EU離脱派は確実に勝ちます。

 もちろん、保守党の議員の全員がEU離脱派というわけではありません。しかしイギリスの大政党では、党の意向通りに投票を行う圧力が極めて強いものであります。その為もあって、与党が提出した法案が通らないことは滅多にございません。

最後に政府提出法案が庶民院で否決されたのは1986年の営業時間法案であり、このようなことは20世紀中に3回しかなかった。

Wikipedia

 結論を申し上げましょう。イギリスは99.9%、EUから離脱します。但し、100%とは言ってないので、もし離脱しなくても嘘つきと言わないで下さいね。

 

■離脱したらどうなるのか

 イギリスのEU離脱について、マスメディアは色々と報じてきました。よく取り上げられるのが「北アイルランド」の問題です。f:id:miyukiyasmaro:20191216213232j:image

 イギリスは北アイルランドスコットランドイングランドウェールズの連合国です。これらがチームとなってイギリスとなっているわけですが、その内の北アイルランド人の多くは「自分はイギリス人なんかじゃない」と思っています。北アイルランドはその名の通りアイルランドの北部にあるところ。元々はアイルランドの一部だったのですが、イギリスに支配されたわけです。

 では、ここでイギリスがEUから離脱するとどういうことが起こるのか想像してみて下さい。EU加盟国の間では物や人が自由に移動できました。国境がなかったといっても過言ないでしょう。従って、アイルランド北アイルランドの間にも国境はありませんでした。

 しかし、イギリスがEUから離脱するとアイルランド北アイルランドの間に国境ができてしまいます。そうすると北アイルランド人が怒るのではないかという懸念が出てくるわけです。

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 昔、北アイルランドには「北アイルランドをイギリスから独立させよう」と武器を手に蜂起した人々が多くいました。北アイルランドアイルランドに国境を築けば、こうした連中が復活するのではないかという可能性も指摘されています。

 以上が北アイルランドの問題です。ここまで抑えると恥をかくようなことはまずないでしょう。上司に「君、EU離脱が進んでいるけど北アイルランドが大変だよねえ。もちろん知ってるよねえ。社会人ともあろうものがねえ」と言われた際もきちんと対応でき、「こいつ、やるな」と一目置かれることでしょう。

 しかし、わたしのブログは品質を売りにしておりますから、更にレベルの高い知識を解説して参りましょう。先程の上司と部下のやり取りは「北アイルランドが大変だけどどうするんだろうねえ」という次元の話。ここからは「北アイルランドが大変だけどきっとこうするのだろう」という次元の話です。

 実はボリス・ジョンソン首相は既に対策を考えております。それは、北アイルランドに限っては物が自由に行き来できるようにするということです。先程申し上げました通り、EUとは人や物が自由に行き来できるグループです(他にも様々な要素がありますがここでは立ち入りません)。この人と物の内、物が自由に行き来できた状態はそのままにしようというのがジョンソン首相の対策です。ですから、北アイルランドアイルランドの間で物が貿易される際、そこに関税は掛からないわけです。

 もちろん、これで北アイルランド人の怒りがゼロになるわけではないでしょうが、少なくともジョンソン首相は何も考えずにEU離脱を行っているわけではありません。

 

■香港が救われる!?

 イギリス総選挙といえばEU離脱EU離脱といえばイギリス総選挙というのが常識です。上司に「ねえ君、イギリス総選挙ってどう思う?」と聞かれた際、「ああイギリス総選挙ですか。保守党はEU離脱をしようとしていますね」と答えれば馬鹿にされるということはないでしょう。しかし、このように答えて意表をつけば上司をびっくりさせることができるかもしれません。

「ああイギリス総選挙ですか。保守党は香港の問題に熱心ですよね。これからイギリスは香港と密接な関係になっていくでしょうね」f:id:miyukiyasmaro:20191221210755j:image

 実は今回の総選挙は、香港の命運を左右するものであったと言えます。EU離脱が無事に終われば、イギリスは香港への支援を始めることでしょう。

 これは今年七月の記事です。

ジョンソン氏はロイターのインタビューに対し、「香港の人々を支持しており、彼らのために喜んで声を上げたい」とし、「中国に対し、『一国二制度』はこれまでも機能してきたが、現在も機能しており、これが揺らぐことがあってはならないと強調したい」と述べた。
https://www.newsweekjapan.jp/amp/stories/world/2019/07/post-12470.php?page=1

 香港市民を支持するのはジョンソン首相のみならず、外務大臣の「ドミニク・ラーブ」さんもかなり熱心です。

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香港での問題をめぐっては、ラーブ氏が9日、香港政府トップの林鄭月娥行政長官と電話会談を行い、平和的手段での抗議活動は容認すべきだと強調していた。
https://www.sankei.com/world/amp/190814/wor1908140010-a.html

  また、彼は亡命した香港市民を受け入れ、香港政府へは制裁を加えようとしているようです。

 

 このようなイギリスの熱心な姿勢には、歴史的な要素が絡んでいます。そもそも香港は、イギリスの植民地でした。それからなんやかんやあって、香港が中国に返還されたわけですが、ここである約束がなされます。それが「一国二制度」です。

 

 これは、中国と香港はつのだけど、中国と香港の制度は二つで別にしろというもの。要するに、名目上は中国と香港は同じ国ということにしといてやるが、香港の政治には口を出すなということです。しかし、徐々に中国政府は香港へ触手を伸ばして行きました。いまや中国政府はその傀儡たる林鄭月娥行政長官(行政長官というのは、香港を支配する地位と考えて良いでしょう)を介して、香港市民のデモを弾圧しています。このように約束を破られた張本人であるイギリスは、香港の問題と密接な関係があるわけです。

 それにも関わらず、イギリスが香港市民への具体的な支援ができなかったのはEU離脱で忙しかった為ですが、皆様ご案内の通りEU離脱は確実に決着がつくわけです。f:id:miyukiyasmaro:20191221210834j:image

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 イギリスが香港を支援する際、南シナ海に空母を駐留させるのではないかという指摘があります。空母はとても大きな軍艦で、戦闘機が離着陸する為の滑走路がついています。言うなれば、水上を移動する空軍基地です。そんなものが南シナ海にあれば、中国政府にはとてつもない圧力が掛かるはずです。中国政府が軍を出撃させてデモ隊を鎮圧しようとすれば、イギリスの戦闘機が攻撃してくるかもしれないという恐れが出てくるのです。

 以前わたしは「トランプ大統領が香港への支援を始めた」ということを書きました。そしてこのトランプに続き、イギリスも香港へ加勢することが見込まれるわけです。

 さて日本はどうするのか?決めるのはわたしたち自身です。最後までお読み頂きありがとうございました。

 

歴史を取り戻せ


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 十二月八日、我が国にとってとても重要なことが起こりました。あなたはご存知ですか。

 

 戦争です。

 

 日本の戦闘機が真珠湾の上空から爆弾を投下し、機銃から火を吹き、アメリカの基地を攻撃した日です。「真珠湾攻撃」と呼ばれるこの事件を以て、我が国はアメリカとの戦争を始めます。

 皆様ご存知の通り、この戦争はアメリカによる二発の原爆の投下によって幕を閉じます。真珠湾攻撃から原爆投下に至るまで、三百十万人もの日本人が犠牲となったと言われています。

 なぜ日本は、このような悲惨な戦争を始めたのでしょうか。歴史の教科書に従えば、それは軍部の狂気的な野望が暴走した為だということになります。だから日本は同じ過ちを繰り返さぬよう武器を捨てて「平和」にならなればならない、と続きます。

 しかし、それは本当に正しいのでしょうか。

 本稿では先の戦争を振り返り、教科書の裏にある歴史を確かめたいと思います。

 

■幕末から明治を爆速でおさらい

 真珠湾攻撃の本質を知る為には、いきなりですが幕末辺りまで遡る必要があります。

 それでは、幕末から真珠湾攻撃までの間を爆速でおさらいしてみましょう。

 当時、アメリカや欧州諸国は「列強」と呼ばれ、列強が有色人種を武力で支配していく弱肉強食の時代でした。アジアの国々が列強に飲み込まれていく中、日本の内部では、国の仕組みを根本的に変え、列強に負けないように改革を行おうとする勢力が現れます。彼らは武力によって蜂起し、江戸幕府を倒しました。これが「明治維新」です。f:id:miyukiyasmaro:20191207223314j:image

 幕府に代わって新政権となった明治政府は、大久保利通岩倉具視を中心とした独裁的な政権でした。明治政府の行った改革はあまりにも急速過ぎて、当初は国民から毛嫌いされていました。そうした側面もあり、大久保利通の友人であった西郷隆盛は明治政府を倒そうとしたわけです。これを「西南戦争」と言います。

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 明治政府はこれを鎮圧し、西郷隆盛は死亡しますが、間もなく大久保利通は暗殺されます。

 このように民意に反した明治政府の改革でしたが、この改革によって日本が列強に対抗し得る強い国となったのは確かです。政治の仕組みや国民の生活は近代的になり、技術も急成長し、軍隊も整備されていきます。

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 一方その頃、遥か北で、ある巨大な列強国が大暴れしていました。その国の名は「帝政ロシア」。圧倒的な軍事力により破竹の勢いで南へ侵略し、植民地では残虐な支配体制を敷きました。列強に支配されるということは、名誉も権利も失って彼らの家畜になるということを意味します。

 列強の下での植民地は、具体的には以下のような状態でした。

土地の集約的耕作と輸出用換金作物の大規模栽培は、白人の資本投下によるプランティションで行われたが、それは無料に近い土地で低廉な労働力を使い、莫大な収益をあげるものがほとんどであった。そして、マレーのゴム、インドの綿花というように、特定の一次商品を宗主国に輸出し、完成消費財を輸入するという経済構造に変質したため、従来の自給型農業が決定的な変化を被った。
その結果、水田の減少や失業者の増加により、飢饉に際して多くの犠牲者を出す地域が現れた。ジャワでは人口33万の町が12万に減少したり、インドではイギリスの支配ののち飢饉が増加し、1877年の南インドの飢饉では5百万人が死亡し、1943年での犠牲者はベンガル地方だけで340万にも達した。

(中略)

 列強は植民地支配への反乱については、きびしい弾圧と虐殺でのぞんだ
イギリスは、1857年に起こったセポイの反乱に徹底的な弾圧を加えた。当時のイギリスの『タイムズ』紙は「キリスト教会の破壊1に対し100のヒンドゥー寺院をたたきこわせ。白人殺害1に対し、老若男女を問わず1000人の暴徒を死刑にせよ』と報復を訴えた。事実、イギリスは、みせしめのため捕虜の集団銃撃や焼き殺しなど、珂責ない弾圧と虐殺を行った。
フランスのベトナム支配は、監獄をつくることから始まるといわれた。1940年のメコン河流域の住民蜂起では、6000人のベトナム人が逮捕され、サイゴンの監獄は満員となり多くの囚人が死亡した。1945年、ホーチミン国家主席が読み上げた独立宣言にその怒りが込められている。「…彼らは学校より多くの監獄を建て、容赦なく愛国者を殺害し、蜂起を血の川に溺れさせた。…」
アメリカとて例外ではない。米西戦争に勝ったアメリカは、フィリピンに戦争を仕掛けて8万人の陸軍部隊を送り込み、全域を制圧した。また、1906年アメリカ式の土地制度などに反発したイスラム系住民の反乱の時は、米軍は彼らの砦を包囲し、戦闘員から女子供を含めて6百人全員を皆殺しにしてしまった。https://www.nipponkaigi.org/opinion/archives/847

 この時日本は、断崖に立たされていたと言えるでしょう。このまま行くといずれロシアは朝鮮半島を飲み込むからです。ロシアが朝鮮を支配すれば、そこに軍港が作られる筈です。そうすれば、ロシアはその軍港から日本を侵略することが可能になるのです。

 

■朝鮮や満州への進出

 そういうわけで、朝鮮だけはロシアの手に渡って欲しくない日本。当の朝鮮は清(現在の中国みたいなもの)に従属しきっており、「どうせ清が助けてくれるだろう」という態度です。清は自国以外の国をナメきっており、列強に対抗する力を蓄えようとはしていませんでした。

 このままでは朝鮮はロシアの手に渡ります。そこで、日本はロシアより先に朝鮮を制することにしたのです。当然それを容赦する筈のない清は激怒し、かくして日本と清は朝鮮を巡って戦争を行いました。これを「日清戦争」といいます。

 軍事力で差をつけた日本はこれに圧勝しました。そして、日本は清と条約を結び、賠償として朝鮮の一部、遼東(りゃんとん)半島をせしめることが決定されたのです。f:id:miyukiyasmaro:20191207221429j:image

 しかし、ここで強烈な邪魔が入ります。フランス、ロシア、ドイツが日本に向けて「遼東半島を清に返してあげなさい」という勧告を下したのです。これを三国干渉といいます。流石にこの要求をはねつけるほどの力はなかった日本は、歯を食いしめて遼東半島を手放しました。

 この深い悔しさが日本国民を強く結束させ、日本はさらなる軍事力の強化を行います。そして三国干渉の八年後、ロシアが手にした遼半島の軍港に目掛けて、日本は魚雷を放ちました。こうして日本とロシアは壮絶な戦いを始めます。これが日露戦争です。f:id:miyukiyasmaro:20191207211926j:image

 常識的には日本が勝てる筈はありませんでした。国力や軍事力で圧倒されていたのです。しかし、巧みな戦術を弄した軍人たちの活躍やイギリスの協力などもあり、日本は一時的にロシアを押すことができました。この日本がロシアを押したタイミングで、外国から日本とロシアが仲直りするよう圧力が掛かります。このようにして日露戦争は、日本が勝ったことになったのです。その結果、日本はロシアから満州や朝鮮の一部の権益をせしめます。

 朝鮮へ勢力を進出させた日本は、数年後に日韓併合を行います。

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 これが後に韓国とのいざこざの原因となるわけですが、この際、日韓併合についての誤解を正しましょう。反日デモを行う一部の韓国人は「日本は無理やり韓国を侵略し、植民地にした!」と言います。しかし、実際は法的な手続きを経て日韓併合は行われたわけで、無理やりというのも侵略というのも間違いです。また、「併合」というのは一つの国になることです。韓国と日本が一つになったわけですから、「植民地にした」というのも間違いです。

 このように言うと「そんなのは揚げ足をとっているだけだ。実質は植民地だ」という反論があるかもしれません。しかし、日本は韓国へ莫大な予算を投じていました。その額は日本へ投じられる予算よりも大きかったのです。植民地とは絞りとる為のものです。けれども日本は韓国を絞りとるどころか、韓国へお金を注入しまくったわけです。ですから、名実ともに韓国は日本の植民地だったわけではありません。

 といって、別に韓国へお金を投じたのを恩着せがましくするつもりはありません。韓国への投資は韓国を強くする為であり、ロシアから日本を守る為でもあります。これによって一部の韓国人の尊厳が踏みにじられたのも確かかもしれません。ですから、日韓併合が正義だなどというつもりはありません。

 但し、日韓併合がなければ韓国に優れたインフラが整備されることも、教育が行われることも、ロシアの苛酷な支配から免れることもなかったということは忘れないで欲しいものです。

 

 一方満州では「関東軍」という軍隊が置かれ、治安が維持されましたが、厄介なことが起こります。それが反日です。当時中国は様々な勢力に分かれ、戦国時代さながらに乱れていました。その勢力の一つ、蒋介石(しょうかいせき)を筆頭とする「中国国民党」が激しい反日工作を行っていたのです。f:id:miyukiyasmaro:20191207220041j:image

 彼らの数は三十万人に膨れ上がり、それに対して満州に駐留する関東軍は一万。関東軍の指導者は「このままでは中国国民党に襲われる」と考え、日本政府の許可も得ずに暴走し、中国国民党との戦いを始めました。

 これを満州事変といいます。中国と日本とのバチバチはこれが原点なのかもしれません。

 関東軍一万人は中国国民党員三十万人を追い出し、「満州国」という国家を建設しました。教科書に従っていえば、この満州国は日本の操り人形のような国ということになります。日本政府によって満州の政治はコントロールされていたとのことです。一方、満州国の閣僚は全員満州人であり、日本が満州国を操るのは不可能だという反論もあります。

 

■なぜ戦ったのか

 さて、長らくお待たせ致しました。これらの歴史を踏まえて日本がなぜアメリカと戦ったのかを書いていきます。

 結論から言うと、日本が戦ったのはアメリカにより戦わざるを得ない状況に追い込まれた為です。

 まずアメリカは、日本と敵対していた蒋介石と手を結び、物資を援助しまくりました。また、アメリカ人が中国国民党と混ざって戦闘するということもありました。こうすることによって、日本と戦争をしていないという形で日本を攻撃したのです。

 東京裁判の検察側もこの事実をはっきり認めて、「アメリカ合衆国が中国にたいして、経済的にも、また、軍事材料の形においても、非交戦国としてはかつて見られなかった規模において援助し、かつアメリカ市民の若干の者は、日本の侵略にたいして、中国人とともに戦闘に参加した」とのべている。これは英国も同様であって、記録によれば米英の軍事顧問団だけでも数百名にのぼり、戦闘に参加した米英人は二千名を越えている。

 日本政府は抗議したが、援蒋行為はますます拡大し、アメリカ空軍は軍事物資を重慶に空輸しはじめた。これは明らかに戦争である。

 

林房雄大東亜戦争肯定論」 中公文庫

 アメリカは各国と協力し、外国から日本へ石油が輸出される経路を断絶。これをABCD包囲網といいます。f:id:miyukiyasmaro:20191207215135j:image

 ABCD包囲網により、日本は石油を得る手段を失います。近代的な軍隊、特に海軍にとって血液のように必要不可欠な石油を失った日本は、またしても存亡の危機に立たされます。

 更に、日本はアメリカから「ハルノート」と呼ばれるものを突きつけられます。ハルノートには、「日本は明治維新以降から手に入れた土地を全て手放せ。さもなければ戦争を仕掛けるぞ」という内容のことが書かれていました。

 幕末からの歴史をおさらいした皆様は、このハルノートがどれだけ重大な要求をしているのかお分かりではないでしょうか。日本が領土を拡大したのは、単に野望があったからではありません。確かにそうしたことを考えていた軍人や政治家はいたかもしれませんが、あれは日本を守る為でもあったのです。ハルノートを飲めば、日本は列強から自国を守る術を失ってしまうのです。

 それに、日本は領土拡大の為にかなり苦心してきたのです。大久保利通の時代では、民意を犠牲にして近代的な技術力を築きあげました。そうして日清戦争で清と対決し、けれどもそれは無駄になって、歯を食い締めてさらに努力し、死物狂いでロシアを打ち破りました。そこでは大勢の犠牲者が伴いました。それから韓国を手にし、莫大な国家予算を注入し、近代国家に育てたのです。

 これらの努力を全て無駄にするなどということを、果たして日本国民は納得するのでしょうか?

 血の滲むような長年の苦労を無駄にしてまで丸腰になり、国家を存亡の危機に立たすのか、それともアメリカに歯向かい無謀な戦争を始めるのか。日本の指導者が選んだのは後者でした。

 こうして日本はアメリカとの戦いを始めたのです。

 

大東亜戦争という呼称

 真珠湾攻撃については、教科書では「日本は宣戦布告なしにいきなり攻撃をした。卑怯な奇襲だった」などと書かれています。これに対し、「政府は確かに宣戦布告を行った。大使館がサボってたからアメリカに遅れただけだ」などという反論があり、それに対して「わざと遅らせたに違いない。結局は奇襲だ」という反論もあります。

 これらの議論については検証が難しく、時間が足りなかったので、申し訳ございませんがここでは立ち入りません。ただ、一様に「奇襲」と確定しているわけでなく、様々な見解があるということだけは知って頂きたいものです。

 

 さて、この真珠湾攻撃を火蓋に、日本はいよいよアメリカと戦争を始めます。この戦争は「太平洋戦争」と呼ばれています。アメリカと日本が太平洋を戦場に戦ったというわけで、太平洋戦争というわけです。

 けれども、皆様にはこの戦争に別の呼称があることを知って頂きたいものです。アメリカが日本を占領し、教科書や新聞、本に手を出す以前は、この戦争は別の名前で呼ばれていました。それが、大東亜戦争です。

 当時日本は、白人からの東アジアの解放を掲げていました。東アジアの国々が、各々の権利と誇りを取り戻すべく立ち上がる。いなる東亜細亜(アジア)の戦争。そういう意味を込めて「大東亜戦争」と呼んだわけです。

 勿論、「そんなのは戦争をする大義名分を得る為の建前に過ぎない」という意見もあるかもしれません。そして、それはある意味で正しいのかもしれません。日本も好き好んでアメリカと戦うわけはなく、国民を納得させる為に大義名分を用意する必要はあったはずです。

 しかし、あの戦争が東アジアに与えた影響は決して無視してはなりません。日本は白人から奪った土地にインフラを整備しました。それが近代国家として立ち上がる土壌でもあったのです。

 また、当時は日本人が信頼され、白人を追い出す為の英雄として歓迎された地域も確かにありました。

 ベトナムで戦った元日本陸軍の隊員、東部第50部隊松本連隊所属の「倉石隆之」さんはこのように証言されています。

https://youtu.be/tM5GLD_egsM
https://youtu.be/tM5GLD_egsM

 日本は要するにね、追っ払ってくれって言われてた。今の米英の鼻の高いのを「泥棒だから」

(中略)

 俺たちが外国へ行くでしょ。そうすると何も言う前に「日本軍万々歳」って漢字で書いてくれるんですよ。「日本軍万々歳伝来大歓迎」って書いてくれる。

(中略)

 向こうの人はね、全部友好的にね。

 日本の兵隊は少ないから、私の方も大体歩兵補でね、150人くらいいたんだけどもね、ちょっと足りないもんだから、向こうの人がね、10人くらい手伝いっていうかね、日本の軍隊と同じ格好をして、私たちと一緒に飯食って寝て、毎日同じような行動とってくれました。

 教科書では、日本軍は植民地にしたところから苛酷な搾取を行ったかのように書かれています。しかし、このように現地の方々に信頼され「東アジアの独立」という目標に向かって協力したような地域もあったのです。

 勿論、もしかしたら日本軍が残虐なことをした地域もあったかもしれません。あまねく戦争は悲惨なものです。酷いものです。ですが、我が国の教科書は戦争の負の面ばかりを強調し、わたしたちの祖父が良いこともしたということを抹消するかのようです。これは先の戦争で命を掛けた方々への侮辱ではありませんか。

 

■あとがき

 最後に、真珠湾攻撃から始まった戦争がどのように収束したのかを見てみましょう。

 大日本帝国軍は、極めて迅速に東南アジアへ進出。彼らは圧倒的な兵力の差を覆し、白人たちを追い出しました。

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 しかし、この戦況は僅か一年で逆転し、日本は徐々に追い詰められていきます。次第に政府や軍の体制は病的になり、極端な教育が行われたり、残虐な作戦が決行されるなどしました。戦争の後期では特攻という壮絶な作戦が実施されます。特攻については「多くの若者を犬死にさせた」という見方が主流ですが、敵側には士気の面で大きな影響を与えました。命もろとも投げ出して攻撃する日本の兵士を見て、ノイローゼになる隊員もいたそうです。

 そして、アメリカによって広島に原子爆弾が落とされ、日本は降伏して戦争は収束します。f:id:miyukiyasmaro:20191207221650j:image

 アメリカを中心とする「GHQ」によって日本が占領されると、極東軍事裁判東京裁判)というある種の儀式が始まります。日本の軍人、政治家、言論人が被告となり、戦争犯罪者として裁かれたのです。連合国側が行った虐殺、暴行は棚に上げられ、「被告人全員死刑」という結論ありきで、裁判という体裁のものが進行しました。そんな中、インド人のパール博士は最後まで「全員無罪説」を唱えました。彼の努力も忘れてはなりません。f:id:miyukiyasmaro:20191207221630j:image

 こうして「日本人はアジアの人たちに悪いことをした」という歴史は形作られました。GHQは教科書に手を加え、戦争に名誉を求めた新聞や小説を規制し、わたしたちの記憶を書き換えました。かくして現代の日本は形作られます。

 

 全ての戦争は悲惨で残酷なものです。戦争より話し合いで解決する方が望ましいに決まっています。しかし、国民を守る為には武器をとらざるを得ない状況も想定するべきなのです。

 武器を捨てて無抵抗になり、他国から占領され、虐殺され、名誉も権利も奪われた家畜としていたぶられることを「平和」と呼ぶのなら、そんな平和は放棄するべきです。

 わたしたちの祖父はそうした空虚な意味での平和を放棄しました。そして戦争を選択しました。戦争を選ぶということは、罪のない多くの人を殺すことを意味します。どんな事情があっても、それは確かなことで、わたしたちが背負うべき罪なのです。

 しかしその一方で、わたしたちの祖父が誰かを救ったのも事実です。それは絶対に忘れてはなりません。

 

 最後までお読み頂きありがとうございました。

 毎週お読み頂いている心優しき読者の皆様にお知らせがあります。テスト勉強などの都合がありまして、来週は記事の投稿をお休み致します。もし楽しみにしておられる方がいらっしゃったら、申し訳ございません。

 

香港で古文を勉強しよう!

 いつもわたしの記事を読んで下さる皆様に、(そしてはじめて読まれる方にも)ほんのささやかな報告があります。本ブログの読者数が十名を越えました。

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 読者数十名突破というのは、偉業と呼ぶには些末すぎるものではありますが、わたしとしては嬉しくてたまらないことです。

 本ブログに読者登録して下さった十二名の方々、本当にありがとうございます。この名誉に報いられるような記事を書くよう、尽力していきたいと存じます。

 さて、本稿ではこれを記念致しまして、古文の単語を勉強しながら香港の問題を解説するという変わった趣向のものをやってみたいと思います。どういうことかというと、それは読んで頂ければ理解して頂けることでしょう。

 

■区議会選挙圧勝

 未だニュースでよく出る香港の問題ですが、この前、民主派がまた一歩ゆゆしき前進を遂げました。

 

【ゆゆし】……重大な 立派な 恐ろしい


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 それが十一月二十四日の区議会選挙です。この選挙において、民主派(つまりデモ側の党)が圧勝しました。議会の定数は452議席なのですが、民主派はこのうちの385議席を獲得したのです。つまり、香港の議会の八割以上が民主派となったと言えます。f:id:miyukiyasmaro:20191130122849j:image

https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/11/4753417e0a889126.html

 国民の積極的な活動によって、これほどまでに議会が変わるのは素晴らしいことです。「もう日本は終わってる。国民が頑張ったってどうせ何も変わらない」という悲観的な日本人が多いですが、香港市民の活動がそうした方々の希望となればいいなと思うものです。

 但し、これで香港市民が自由を手に入れたというのは早計です。確かにゆゆし一歩ですが、香港独立という目的地はまだ遠いところにあります。

 というのは、実は香港の区議会というものはあまり権限を持つ機関ではないのです。区議会は飽くまで諮問機関(大雑把に言うと意見を言う機関)であって、予算や法律を作るなど、具体的に香港を改革していくゆゆし力はないのです。

 

■これが香港の政治だ!

 香港のニュースの本質を理解する為には、香港の政治システムをよく理解する必要があります。

「香港の選挙で民主派が勝った」というニュースを聞いて、「あれ?デモしてた人たちって民主主義を訴えていたんじゃなかったっけ?香港って選挙あるの?」と混乱した方がいらっしゃるかもしれません。しかし、本稿を読めば、香港の政治の仕組みがよく分かる筈です。

 結論から申し上げて、香港の制度は市民になめげなるものです。

 

【なめげなり】……無礼だ

 

 三権分立という言葉を聞いたことがあるでしょう。この三権とは、立法(法を作る)、行政(法に基づいて政治を行う)、司法(法に基づいて人を裁く)の三つのことです。我が国を例にすると、立法は国会が、行政は内閣が、司法は最高裁判所がそれぞれ代表しています。

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 そして香港の場合、立法は立法会、行政は行政会議、司法は司法機構が担当します。

 従って立法会は我が国で言う国会にあたるわけです。国会議員はわたしたち日本国民が選挙しているわけですが、香港の場合はどうでしょう。

 香港の立法会議員の半分は香港市民が直接選んでいます。けれどももう半分は、間接選挙という形で選挙されます。間接選挙とは、その名の通り間接的な選挙。議員を選挙する「選挙人」を香港市民が選挙するわけです。

そうすると民意が反映されずらくなり、その分政府が手を加える余地が出てきます。

 このような立法会が制定した法に基づき、行政会議が重要な政策を決定していくわけですが、この行政会議にも問題があります。それは、行政長官という一人のリーダーがこの会議の中で王様のように振る舞っていることです。会議では多数決がとられることがありますが、行政長官にはこの多数決を覆す権限があります。従って、香港の行政は行政長官が独裁していると言っても差し支えないでしょう。

 そして、この独裁的な権限を持つ行政長官は、選挙委員会という組織が選挙して決めます。選挙委員会は千人程度の成員によって構成されますが、その千人には中国共産党により指名された人間も含まれています。これは陰謀論ではなく、公然とした事実です。

 こうしたこともあり、香港のデモ隊は「なめげなり!」と怒っているわけです。f:id:miyukiyasmaro:20191130180951j:image

 因みにこれは現在の香港行政長官、林鄭月峨(りんていげつが キャリーラム)さんです。民主派にはいつも強気な発言をしているので嫌われていますが、区議会選挙の結果を受け、「民意を受け反省したい」等と述べたそうです。その発言の裏に、何か意図があったりするのでしょうか?

 

■区議会選挙の勝利はやらせ?

 この選挙での勝利は中国政府が彼らを油断させる為に仕組んだもので、徒なる物だという指摘があります。

 

【徒(あだ)なり】……中身のない、虚しい

 

 この勝利が仕組まれたものか、そうでないかはわたしには分かりませんが、少なくとも彼らは前進したと考えます。

 中国政府が勝利を仕組んだと仮定しても、政府の狙いは外れたと考えます。デモ側の代表とも言える周庭(アグネス・チョウ)さんは区議会選挙の圧勝について、我が国のメディアの取材に対し、日本語で次のように述べています。

 


YouTube

区議会選挙は、確かに昨日は圧勝的な勝利をとりましたけれども、でも結局区議会選挙は小さい選挙なので。香港の立法会選挙、そして行政長官選挙は民主的な選挙ではありません。

 だから、この二つの選挙を民主的な選挙になれるように私たちが引き続き戦わなければいけないと思います。

https://youtu.be/N9LspTbN2bk

 映像を見ると分かって頂けるかと思いますが、周庭さんは終始笑っていません。彼女が依然、態度を変えていないのは疑えないことでしょう。

 デモ側は彼女を注目している筈です。彼らもこれを見て、これまで通りの活動の続行を決意するだろうと考えます。

 また、前述の通り区議会は具体的な権力のない諮問機関ではありますが、政府に文句を言うことはできます。影響力は少なからずある筈で、必ずしも徒なりとは言えないでしょう。

 

■香港はもう孤立していない

 中国政府という巨大な組織に香港市民が単独で立ち向かうのは困難な話です。しかし、様々な国家が香港の味方となれば、形勢は確実に変わります。そして、既にそういう動きはまめやかに始まっています。

 

【まめやかなり】……本格的である 真面目である 実践的である


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 十一月二十七日、トランプ大統領香港人権法案に署名。アメリカ合衆国は公式に香港市民の味方となりました。また大統領は、香港政府への催眠ガスなどの輸出を禁止する法案にも署名。具体的でまめやかなる援護射撃はもう始まっています。

 また、オーストラリアと香港では貿易協定が交渉中ですが、オーストラリアのスコット・モリソン首相はこの協定に人権条項の追加を検討しているという情報があります。

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 これは、香港政府が市民の人権を守らないと貿易に規制を掛けるというものです。

 イタリアでも香港人権法案のような法律の議論が進んでいます。

 これからも香港市民の味方が現れるかもしれません。勝算は充分にあるわけです。

 但し、この動きは必ずしも喜ばしいばかりではありません。香港を支援しようとする動きの裏には、ひょっとしたら香港市民を利用したいという思惑があるのかもしれません。例えばアメリカ、オーストラリア、イタリアが裏で共謀し、それらの国に都合の良い傀儡(かいらい)政権を作ろうとしているのかもしれません。勿論、これはただの推測で何の根拠もありませんが、歴史を振り返ればそういったことはいくらでも見られます。

 こうしたことを防ぐには、多様な国家から偏りなく支援を受けることが重要であると考えます。例えば、民主派への支援の全てがアメリカによるものであれば、力関係は確実にアメリカが上になり、香港の新政権はアメリカの言いなりになりかねません。しかし、十ヶ国が民主派を支援していて、アメリカはそのうちの一割しか支援していないとなれば、新政権がアメリカの言いなりになる恐れはかなり低くなるでしょう。

 従って香港新政権を如何なる国家の言いなりにもならない、まめやかで主権ある国にする為には、市民への支援の動きを世界中に広げる必要があります。その為には、我が日本政府もこの動きに参加する必要があるのではないでしょうか。

 少なくとも、なめげなる現政権はそうしたゆゆしことをしてくれそうにありません。だからといって、「どうせ日本は変わらない」という徒なることを言うのではなく、香港で戦っている方々のように頑張りたいものです。

 最後までお読み頂き、ありがとうございました。

 

桜を見る会どころじゃない!

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 安倍総理は税金を使い、毎年「国の功労者」を集めてお花見をする「桜を見る会」を開いています。この度騒がれているのは、その「国の功労者」の中に安倍さんの支持者が含まれていたり、桜を見る会の費用が激増していたことです。これでは公私混合だということで野党やマスメディアが騒いでいるわけです。

 確かにこれは重要な事件です。わたしたちが必要としている予算は出さないくせに、桜を見る会の予算を増やしているのは腹立たしいことです。しかし、ここでわたしたちがこの問題に夢中になることは、安倍さんの思う壺です。安倍政権は幾多のやらかしを犯しても「他の党よりマシだし」ということで政権の座を許されてきたのです。この程度のスキャンダルは安倍さんにとって痛くも痒くもないのです。

 国民や野党の目がこうしたことに奪われると、安倍政権は決まって恐ろしいことを行ってきました。例えば、あの森友加計問題におけるどさくさに紛れ、「種子法」という法律の廃止が密かに行われました。松本智津夫麻原彰晃)の死刑のどさくさに紛れ、水道民営化の法案が通されました。

 種子法廃止や水道民営化について、ここで詳しくは立ち入りませんが、いずれも危険性を多分に含む恐ろしいものです。このような重大な悪政の多くは、国民が何かに夢中になっている隙に密かに遂行されます。

 安倍さんがわざとやらかして騒ぎを起こしているのか、たまたま騒ぎが起きた際にここぞとばかり悪政を働いているのか、いずれにしてもわたしたちは世間が騒がしい時こそ注意しなくてはなりません。

 果たして今回、安倍はまたもや恐ろしいことを進めています。本稿ではそれを解説したいと思います。

 

■令和の不平等条約 その名は「FTA

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 今月の十九日、衆議院で「日米貿易協定承認案」が通過しました。与党の目標通りに行くと、来月には参議院で通過、来年の元日には発効されることになります。最終的にこの協定は「日米FTA」というものに発展させられる予定です。

 いつか述べたことがありましたが、不景気の中で自由貿易を進めることは無益です。自由貿易に期待されていることは競争の激化による生産性の向上です。デフレとは供給が需要より多い状態ですから、この状態で生産性が向上しても不景気は悪化するばかりです。また、消費増税でますます衰弱していく我が国の経済が、最近景気の良いアメリカの経済に太刀打ちできるとは思えません。

 従って先ず、貿易協定を結ぶこと自体がよくないことです。

 

 さて、このままでは来年の元日に始まりそうな日米貿易協定ですが、先述の通り、これは日米FTAを目指して結ばれます。本当に恐ろしいのはこの日米FTAなのです。

 FTAがどのような協定になるかはまだ確定しているわけではありませんが、この交渉は明らかに日本側が劣勢です。

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 既にFTAの交渉において、日本は、アメリカからの300万トンもの飼用トウモロコシの輸入が決定しています。いつも輸入している量は100万トンほどですから異常な量です。もちろん、最近急に畜産業が盛んになったなどというわけではありませんから、必要な飼料が増えたわけでもありません。政府によるとこの輸入増の理由は「害虫による食害飼料トウモロコシが不足する可能性があるから」といったものらしいのですが、農産水産省によるとそのような事実は確認できないないとのことです(ソースhttps://www.jacom.or.jp/nousei/closeup/2019/190902-38996.php)。つまり、わたしたちは必要のないトウモロコシをアメリカから大量に買わされることになるのです。一体これをどう処理するのでしょうか。

 自由貿易を推進する方の多くはこうしたことを聞くと「その変わりに日本は自動車で勝てるじゃないか」ということを仰います。確かに日本の自動車はアメリカに勝っていました。アメリカの自動車産業は日本製の自動車に散々悩まされてきました。今も日本の自動車はアメリカに勝てるのかもしれません。しかしそれは、正々堂々と公平に戦った場合です。

普通自動車の2.5%の関税は25年後に撤廃、大型車の25%の関税は29年間現状のまま

https://www.jacom.or.jp/nousei/closeup/2019/190826-38948.php

 何とも馬鹿げたことではありませんか。普通自動車の関税が撤廃されるのは25年後。その頃にはもうわたし(高校生)は四十代です。つまり、遥か先に渡るまで日本の自動車が有利になることなどないのです。大型車に至っては「29年間現状のまま」。そう、29年間後に関税を下げるというわけでもなく、少なくとも29年間同じ税率が保たれるということなのです。これでは日本が得をしたというより、アメリカ側の守りが固まったということではありませんか。

 そもそも日本の自動車産業が潤うならば農業を犠牲にしてもいいなどという話ではありません。日本の農業を守り、食料を自前で用意できるよう努力することは大切です。国際情勢の激動により、海外からの食料の輸入が停止される危険性を考えるべきです。農業とはある種の「国防」なのです。

 また、水田は日本の伝統的な風景として観光資源にもなり、土地を保水するインフラになるばかりか、生物の多様性を維持する場でもあります。わたしは兵庫県民ですから、そこのところはよく分かっています。

 このように、農業は日本にとって極めて重要なものであり、何かと天秤に掛けるなどあってはならないのです。

 

■死ぬ気で競争すれば勝てるだって?f:id:miyukiyasmaro:20191123141324j:image

 中学生の頃、自由貿易について友人と議論したことがあるのですが、友人は農業の関税を下げることに熱烈に賛成していました。曰く、農家が死ぬ気で頑張れば新しい品種が生まれ、農業がより価値のあるものに進化するだとか。

 今回のFTAについてもそのような意見を持っておられる方がいらっしゃるかもしれません。

 アメリカの大規模な農業による商品は絶対に安いはずですが、彼らによると「価格で勝てなければ質で勝負しろ」とのことです。しかし、現在の日本はデフレ経済。デフレは安い物が求められる経済です。国産に拘る人が多くいても、質の良い食べ物に拘る人が多くいても、余裕のない彼らは渋々安いものを選ぶでしょう。

 日本の農業が死ぬ気で努力すれば勝つという考えは極めて困難なのです。……というのは、飽くまで正々堂々と戦ったらの話。FTAの場合、ただでさえ不利な日本の農業はもっと不利になります。

 アメリカ政府のファクトシート(メディアに向けて発表するパンフレット)によると、農作物の分野でアメリカ側が引き下げる予定の関税は四十億円。プロ野球選手の年収程度です。あらゆる危険性を犯して得られる恩恵がたったの四十億円なのです。何とも馬鹿馬鹿しい話ではありませんか。それに対し、日本が引き下げる予定の関税は七千二百億円!文字通りの桁違いなのです!

 自動車の面では当分特をせず、農業の面ではさらに不利になるこの条約。不平等条約としか形容のしようがございません。

 

■為替条項が入ると日本が詰むかもf:id:miyukiyasmaro:20191123141410j:image

 これはまだ可能性の話に過ぎませんが、FTAには「為替条項」というものが追加されるかもしれないと指摘されています。

 為替条項とは、貿易をする相国の為替、つまりお金のレートについての条項です。安定した貿易ができるよう、お互いが自国の為替を身勝手に操作してはいけないというものです。例えば日本とアメリカで考えてみましょう。円が急激に下がったりすると、日本製の物が安くなり、アメリカ製の物は相対的に高くなってしまいます。これではアメリカが不利になります。こうしたことがしょっちゅう起こると安心してビジネスできないから、勝手に為替を動かしてはならないという約束が為替条項なのです。

 では、この為替条項を日本とアメリカの間で結んでしまえばどうなってしまうでしょうか。

 以前わたしは「日本はお金を好きなだけ刷れるんだから財政破綻なんか気にしなくて良い。むしろお金を刷りまくって景気を良くしろ」といった主張をしたことがあります。しかし為替条項を結ぶと、こうしたことができなくなってしまうかもしれません。日本がお金を刷りまくると円安(円が安くなる現象)が起こるかもしれません。そうするとアメリカが為替条項を引き合いに出して文句を言ってくるかもしれません。

 つまり、為替条項は日本政府の通貨発行権(お金を刷る権利)を脅かしかねないのです。国は経済の状況に合わせて様々な政策をとらねばなりません。その政策によっては円が高くなったり安くなったりします。しかしその度に文句をつけられては、国民に必要な政策が取れなくなるのです。

 

■あとがき

 これは本稿のおさらいです。f:id:miyukiyasmaro:20191123134320j:image

 安倍さんが進めているものが不平等条約なら、わたしたちは幕府ならぬ安倍政権を倒さねばなりません。

 幕末と言えば欧州やアメリカといった列強が弱小国を飲み込む弱肉強食の時代。高杉晋作という方はイギリスに飲み込まれ荒れ果てた香港を直接見て、日本もこのままでは支配されてしまうと考え、倒幕を決意しました。現在の韓国はあの頃の香港と同じような状態です。詳しくは立ち入りませんが、韓国は2012年にアメリカとFTAを結びました。その結果、格差が拡大したとのことです。

 現代を幕末のリメイクだと考えるならば、わたしは志士のように激烈に、安倍政権をやっつけたいものです。もちろん今度は武力を使わず、言論の力で。

 忙しくて今回は少ししか書けませんでしたが、最後までお読み頂きありがとうございました。

 

習近平入門!

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 我が日本のすぐ側にとても巨大な国があります。中華人民共和国です。そしてその指導者こそ習近平です。この習近平という方はどのような人なのでしょうか。

 

■ちょっと壮絶な生い立ち
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 習近平は1953年に生まれます。父は副総理大臣だった習仲勲で、恵まれた家庭でした。

 ところが1966年、時の中国の指導者「毛沢東」が文化大革命を起こします。文化大革命とは、中国の繁栄を邪魔する悪い資本主義者をやっつける戦い……という名目で、毛沢東に都合の悪い勢力を排除する為に行われた謀略でした。この影響により、当時中学生だった彼の学校は解散されます。

 まもなく毛沢東の政敵は政界から次々と追放。習仲勲もその一人で、その息子である習近平は激しい弾圧を受け、四度の投獄を経験します。

 やがて中国政府は都市部の労働者を地方に分散する政策「下放」を進め、1969年、習近平は田舎へ追いやられます。

 副総理の息子から一転、社会の激動により徹底的に落ちぶれた習近平。しかし1974年、彼は中国共産党に入党します。ここから彼は着々と浮上し、2013年三月十四日、中華人民共和国国家主席となるわけです。

 

■明を取り戻せ!

 失意のどん底から中国の指導者へ登りつめた習近平は「明(みん)を取り戻す」というキャッチフレーズを唱えました。明は皆様ご案内の通り、昔の中国の名前です(あそこは名前が変わる度に民族が入れ替わったり文化が滅んだりするので、「昔の中国」という表現は正確ではないかもしれませんが)。

 明!その別の名を「大モンゴル帝国」。明はおそらく、史上最大の帝国でした。

 では明を世界の覇権国たらしめていたものは何か。それがシルクロードです。f:id:miyukiyasmaro:20191114195215j:image

 西はローマ、東は京都まで渡る、ユーラシア大陸を包括した巨大な交易路。それがシルクロードです。多様な物や文化が盛んに行き交うシルクロードの真ん中に明は座していました。その恩恵にあずかった明は、世界の覇権を握る国力を得たのです。

 というわけで、もう一度シルクロードを作ろう!という計画こそ一帯一路構想なのです。f:id:miyukiyasmaro:20191114200520j:image

 これまで中国は、密かにゆっくりと力を蓄えていく方針をとってきました。それを習近平は、このように大胆に成長していく方針に一転せしめたのです。絶望から国家主席へ一気に駆け上がった習近平にこそ、思い付けた策と言えるでしょう。

 ……と言いたいところではございますが、実を言うと、この一帯一路という計画は元を辿るとパクりです。2011年七月に、ヒラリー・クリントンが旧シルクロード圏の国々にインフラを建設しようという構想、「ニューシルクロード」を発表しました。その翌年から中国政府は「新しいシルクロードを作ろう」という話をし始めます。翌2013年には、上の画像のような「陸のシルクロード」と「海のシルクロード」を結ぶ構想、「一帯一路」が習近平によって発表されます。よくパクりを指摘される中国ですが、この一帯一路は世界史上最大規模のパクりなのかもしれません。

 さて、一帯一路が発表されて間もなく、習近平は東アジア諸国のインフラに本格的な投資を始めました。我が国のニュースも一帯一路を取り上げたものです。

 わたしが中学生の頃、「ガイアの夜明け」という池上彰さんの番組で一帯一路が取り上げられていました。うろ覚えですが、インドかそれっぽい国、一帯一路によって新しいインフラが建設された都市に住む若者が取材を受けていました。「一帯一路でここも凄く便利になったよ。中国には感謝しかないね」これもやはりうろ覚えですが、概ねこんな感じでした。

 今年の4月には、沖縄県の玉置デニー知事が中国へ訪問した際、中国の副総理と会談し「沖縄を一帯一路の日本への入り口として活用する」などといったことを話しました。

  一帯一路によって中国はアジアを豊かにし、アジアのリーダーとなりつつあるのです。日本はこの波に遅れてはいけません。

 ……というのが多くの方の認識であろうと思うのですが、実はこの裏に、習近平の恐ろしい野望が隠されていたのです。

 

■静かなる侵略

  一帯一路によってできたインフラの一つ、ハンバントタ港を見てみましょう。f:id:miyukiyasmaro:20191116114350j:imagef:id:miyukiyasmaro:20191116114405j:image

 この立派な港の建設費用およそ十三億ドルの大部分は、習近平政権の投資によって賄われました。当時の住民は地元が潤い万々歳でしたが、彼らはこの投資の異常さに気づかなかったようです。何とその金利は最高6.3%という暴利。彼らはこれを返済できなくなります。ここからが実に悪魔的です。

 中国政府は借金を返済する代わりに、次のような取引を要求しました。港の株式70%を99年間握る権利を、十一億ドルで売却しろというのです。彼らはこの要求を飲まざるを得ませんでした。つまり、中国政府は十三億ドルで作られた = 十三億ドル以上の価値がある港を十一億ドルでまんまとせしめたわけです。

 習近平支配下に落ちたハンバントタ港はどのようになったのでしょうか。

5カ所ほどの出入り口があるが、どこにも警備員が立ち、目を光らせている。「かつて港は誰でも自由に入れたんだ。小さい頃はよく魚釣りをした。中国が来てから窮屈になった」と話すのはタクシー運転手のハトタさん(50)だ。海岸沿いに立ち並ぶ住居は空き家が目立ち、すべて港の拡大計画に伴って立ち退きを要求されたという。

(中略)

 港の正門から200メートルほど手前の地点では、ストライキを起こしている港湾労働者が集会を開いていた。僧侶も参加し、シンハラ語で「職か?死か?」と書かれた横断幕を掲げ、シュプレヒコールを上げた。

 労働者側によると、中国側に運営権が移り、地元労働者が大量解雇される危険性が生じているという。スト参加者の一人は「解雇の計画があると聞いているが、政府や中国側からは満足のいく説明がない」と不安と憤りを口にした。

 一方、港湾開発を主導したラジャパクサ前大統領の支持者からは中国側への株式貸与などで「国の財産が外国に移った」として、現シリセナ政権に抗議する活動も起きている。

https://www.sankei.com/world/news/180118/wor1801180016-n1.html

 このように、既にハンバントタ港は習近平政権の領土同然のものとなっています。

 ハンバントタ港のように、闇金じみたやり方によって国土を侵略し、ユーラシア大陸を支配する。それが一帯一路なのです。

 

■あなたも洗脳されているかも!

 とは言え、このように大胆な侵略を行えば国民からの大反発を食らい、失敗するのが普通です。そこで習近平政権はそうならぬよう、世界中の世論を麻痺させているのです。

 

 小原 (中略)中国はお金に物を言わせた工作を極めて活発に行っている。例えば、ニューヨークのタイムズスクエアの巨大なスクリーンを借り切って、中国の広告を流し続けるとか。

桒原 そうです。典型的なPD(※パブリック・ディプロマシー。他国の世論に影響を与える工作のこと)です。他にも、アメリカには「CCTVアメリカ」というTV局があるんですが、これは、二〇一二年頃に中国がアメリカ国内に作ったTV局です。

 

表現者クライテリオン 2019年7月号

(※内は三幸による)

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 このようにして、習近平は報道に介入し、都合の良いように世論を煽動しているのです。何とも狡猾で恐ろしい。

 

■日本も無関係ではない

 わたしたち日本人も対岸の火事としてぼんやりしていてはなりません。習近平による日本侵略は既に始まっています。f:id:miyukiyasmaro:20191116180417j:image

 近年、中国による日本の土地の買い占めが著しくなっています。

現在の日本では、中国人や中国系企業が日本で土地を購入するケースが激増している。具体的には、北海道を中心に水源地、土地や建物などの不動産が中国マネーに買収されていっている。2017年10月25日のレコードチャイナによると、すでに国土の2%が中国資本に買収されたとのことである。国土の2%とは、ちょうど静岡県の広さに相当する。

 

三橋貴明「帝国対民主国家の最終戦争が始まる」ビジネス社

 こうしたことについて「ただの投資じゃないか。バブルの時の日本も同じことをしていたじゃないか」と軽視する人がいます。しかし、この買い占めは単なる投資ではありません。表では中国系企業や中国人が土地を買っていることになっていますが、それを操っているのが習近平であることは疑えません。

すでに、滝川市陸上自衛隊滝川駐屯地が一望できる山林を中国系企業が買収。ニセコ町の隣町である倶知安(くっちゃん)町の陸上自衛隊倶知安駐屯地に隣接する約100ヘクタール(東京ドーム21個分)の土地も、中国系企業に買収された。水源地と違い、自衛隊基地周辺の土地については規制する条例すら制定されていない。
https://biz-journal.jp/2017/09/post_20428_

2.html/amp

 単なるビジネスの目的で基地の間近に土地を爆買いするなどということがあるでしょうか。この買い占めは間違いなく「国家戦略」であり、侵略なのです。

 

■『金 対 愛国心』の世紀

 お金の力で国が侵略されるなどということは、今に始まったことではありません。少なくとも20世紀からずっと、そのようにして世界の歴史は動いてきました。アメリカの軍産複合体はその代表例と言えるのでしょう。ここでは詳しく立ち入りませんが、金持ちがお金で国民の正義を買い、戦争を起こす為の資本としたのです。

 しかし、既にこうした体制は変わりつつあります。世界中で金の力に抵抗し、愛国心を掲げる動きが始まっています。

パキスタンインダス川流域のディアメル・バハシャダム建設に対し、中国側が申し出ていた140億ドルの融資を拒否。インダス川パキスタンの穀倉地帯を流れる大河である。インダス川関連のインフラを支配された日には、パキスタンは中国の属国と化すことになる。

 ネパールは約25億ドル規模の水力発電事業について、事業取り消しを決定。

(中略)

 ミャンマーは北部のカチン州ミッソンにおいて、中国が主導する36億ドル規模のダム建設再開について、明確に拒否の意向を示す。ミッソンのダムは、ミャンマーの旧軍事政権が中国と合意したプロジェクトである。ダム完成の暁には、発電された電気の9割が中国に輸出されるという、露骨な「帝国主義」モデルであった。

 アジアの一部の愛国者は、金による侵略に抵抗すべく既に立ち上がっています。f:id:miyukiyasmaro:20191116175035j:image

 このように世界を「金」と「愛国心」の陣営に二分して見てみれば、トランプ大統領は以外にも愛国心の陣営に分類できるのではないかと考えます。彼は大統領選挙の際、誰からの献金も受け取らず、自腹での選挙活動を全うしました。企業や投資家をスポンサーとする過去の大統領とは違い、国民の為の指導者となったのではないでしょうか。現に彼は対中貿易戦争を指揮しているのです。アメリカの一部の金融資本は中国と深く繋がっているので、対中貿易戦争は「金」の勢力からすると都合が悪いはずです。

 さて、金対愛国心の対決はどちらが勝つのでしょうか。とりわけ習近平対アジアの愛国者及びトランプ大統領の対決の行方はどうなるのでしょうか。

 そしてあなたはどちらの陣営につくのでしょうか。「今だけ金だけ自分だけ」の民として「金」の勢力に立脚しますか。祖先の名誉の為、家族や友人の幸福の為、子孫の未来の為に、自分なりの抵抗を続ける「愛国心」の勢力に立脚しますか。全てはあなた次第です。最後までお読み頂きありがとうございました。

 

安倍政権入門!

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 政権改造からまだ一ヶ月でございますが、安倍政権のやらかしが相次いでおります。

 先ずは小泉進次郎環境大臣。意味不明瞭な発言が幾度批判され、一部の国民から失望されました。十月二十五日、菅原一秀経済産業大臣有権者のお通夜に参列し、香典を渡したやらで辞任。同二十八日、萩生田文部大臣は例の「身の丈発言」を陳謝。同三十日、河合大臣は運動員に法外な報酬を払った疑惑を受けて辞任。

 野党はここぞとばかり、辞任した二人について、安倍首相に任命責任を追及しております。彼らにとっては、政権の息の根を止める絶好の機会なのでしょう。しかし幾度の醜聞を経て尚鎮座しております安倍政権が、これで崩壊すると考えるのは難しいかもしれません。

当たりめえだろ!自民党は野党よりも断然マシなんだよ!」このように仰有る方がたくさんいらっしゃるので、安倍政権はいよいよ史上最長政権となりつつございます。

 本当に安倍政権は野党よりもマシなのでしょうか?というわけで、今回は安倍政権を振り返ってみましょう。

 

民主党が駄目過ぎた

 まずは民主党時代まで遡ってみましょう。簡単に言うとこの民主党による政治は、多くの人にとって悪政でした。f:id:miyukiyasmaro:20191109191423j:image

 第一の悪政は「コンクリートから人へ」。民主党政権以前の自民党は、公共事業(建設企業にお金を払い、インフラを作ってもらうこと)を推進していました。これを民主党は、「土木企業と癒着した無駄遣いだ!」と批判。民主党政権は公共事業関係費(コンクリート)を削減し、そこで浮いたお金を福祉(人)に投じました。

 一見素晴らしいことのように見えますが、これがド悪政でした。公共事業は経済を良くさせる上で重要な政策です。公共事業とは、国が建設企業に仕事を与える政策です。建設企業が仕事に恵まれれば、他の企業の取引や従業員のお給料が増えます。他の企業の取引が増えれば他の企業も潤うし、従業員のお給料が増えれば消費も増えます 。

 このように、公共事業はインフラを充実させるだけでなく、経済にお金が巡るようにさせる重要な政策なのです。これを削減してしまったので、我が国はどんどん貧しくなっていきました。

 また、災害に備えて防災インフラを作ることは、地震大国日本にとっては実に大切です。この度の台風豪雨災害でも、「八ツ場ダムが氾濫を防いだ」ということが注目されました。この八ツ場ダムは、かつて民主党が建設を中止したものだったのです。民主党は「コンクリートから人へ」というスローガンを掲げましたが、コンクリートこそ人を守るものであります。

 このように重要な「コンクリートから」税金を「人へ」投じる民主党の政治ですが、肝心な「人へ」の方も大失態です。福祉制度は何一つ改善しませんでした。

 他にも民主党の悪政はありますが、これ以上書くと民主党を紹介する記事になってしまうので、ともかくこのように民主党政権は良くありませんでした。

 かくして2012年12月17日、自民党民主党から政権を奪還します。

 

アベノミクスとは何か
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 同26日、国会で安倍さんが総理大臣に選ばれます。

「日本を取り戻す」というのが安倍さんのキャッチフレーズでした。民主党政権によって失われたあらゆるものを取り戻すことを目標としたのです。

 早速安倍さんは「アベノミクス」という経済政策を宣言しました。①金融政策②財政政策③規制緩和、これらを行って経済の建て直しを計ろうという政策です。これらの三つは、「アベノミクスの三本の矢」と呼ばれます。
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 ①の金融政策の中身は、主にお金をたくさん刷ることでした。「経済が良い」というのは、概ね「お金が国中にガンガン巡る」ということです。というわけで、国中にガンガン巡らせる為のお金を作る必要があったのです。いわばこれは輸血です。この金融政策でたくさん刷られたお金は銀行に行きます。

 

②の財政政策は、公共事業の拡大です。民主党政権が削減した公共事業を再び拡大させるのです。公共事業を拡大させれば、企業の景気が良くなります。企業の景気が良くなれば、銀行は安心して企業にお金を貸すことができます。この時、銀行が企業に貸したお金は金融政策がたくさん刷られたお金でもあります。つまり、金融政策で輸血されたお金が体中に巡るよう、血行を良くする措置がこの財政政策であると言えます。

 

③の規制緩和は、読んだ字が如く規制を緩和する政策。ルールを緩くする政策です。ルールを緩くして、企業が自由に商売ができるようにしようということです。経済学の主流派は「取り合えず自由にしたら良くなる」というのが基本的な考えで、これを「新自由主義」と言います。安倍さんは新自由主義的な政策を進めようとしたのです。

 

 このアベノミクスは理論的に正しかったのでしょうか。わたしとしては、金融政策と財政政策は正しいものであると考えます。この二つを行わずに不景気を脱した例はありません。経済を復活させる上で不可欠な政策です。

 しかし、規制緩和はあまり適当な政策ではなかろうと考えます。不景気=デフレは、需要が供給を下回ることで起こります。需要が供給を下回るというのは要するに、人が物を買う量が物が作られる量よりも少ないということです。この状態にあると、経済はデフレになり、景気が悪くなります。なぜそうなるのかというメカニズムはここでは立ち入りませんが、ともかくそういうことです。

 ですから、不景気から脱する為には需要を増やす必要があるわけです。けれども、規制緩和という政策は需要ではなく供給を増やす為の政策であります。規制というものは大体、企業を保護するものです。規制を緩くすれば企業は保護されなくなります。そうなれば競争が激しくなります。競争が激しくなると、企業は効率良く物を作らねばならなくなります。その結果、供給が増えるわけです。しかし、供給が増えたところでそれはさらなる不景気を招くだけです。

 ですから、この規制緩和という政策は適当なものではないと考えます。

 さて、アベノミクス三本の矢は、二本が良い矢で、一本は悪い矢であるわけですが、我が国の経済は結局回復したのでしょうか。

 

■安倍さんのお陰で景気は良くなった?

 安倍政権とその支持者の大体の言い分では、安倍政権によって我が国の経済は改善されたとのことです。その根拠はおおよそ株価と雇用です。

 アベノミクスが始まって以降、我が国の日経平均株価は上昇しました。ですからアベノミクスのお陰で日本の経済が良くなったのだと言われております。しかし、この日経平均株価は実はわたしたちの暮らしとはあまり関係がないと言えます。日経平均株価とは、上場企業の平均株価です。上場企業はアメリカの経済の影響を極めて強く受けております。ですから日経平均株価は、アメリカの平均株価を軸にして動いているのであります。
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 もし経済政策によって日経平均株価が動くとしたら、それは一時的なものに過ぎません。ですから日本の経済が良いとか悪いという議論は、株価を見て行われるべきではないと言えましょう。

 次に雇用。安倍さんのおかげで失業者が減り、働く人が増えたので景気は良くなったのだと言われています。確かに失業率は下がり、就業者(働いている人)数は増えました。しかしこれも中身を詳しく見てみると、あまり喜ばしいものではありません。

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 安倍政権下で増えた雇用は女性と高齢者の雇用ばかりです。別に「女とジジイは引っ込んでろ」などと言いたいわけではございませんが、我が国の企業は人件費を抑えるべく、安い人材に固執したわけです。もし景気が良いのであれば、企業は未来に向けて積極的に投資するはずです。しかし、現実には人手不足に対応すべく、渋々安くて済む労働者を買い漁り、その場凌ぎをしているのが現状です。

 ではこの人手不足は何によって起こったのでしょうか。安倍政権及びその支持者によれば、それは安倍さんのお陰で需要が増えたからということになるのでしょうが、果たして本当にそうでしょうか。

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 これは業界別に見た就業者数の変化です。2013年から18年を経て、たくさん就業者数が増えたのは医療や福祉だけです。仮にこれが景気が良くなった為だと考えるとおかしい話です。景気がよくなった人が「最近財布が暖かいんだよねえ。今晩病院行かない?」と言うでしょうか。

 他の産業の場合であれば、際限のない需要の可能性があります。「もっと高い車を買おう」「もっと便利な家電を買おう」「もっとたくさん本を買おう」「もっと広い家を買おう」といった具合に。しかし、医療などといったものに際限のない欲など出ようはずはございません。せいぜい良好な健康状態が維持されれば、それ以上何かを望むことはないからです。

 医療や福祉の就業者が増えたのは、高齢者が増えた為と考えた方が自然でしょう。高齢化によってご老人が増えたことで、医療や福祉への需要が増えたのです。そしてそれは、現在の日本においては決して悪いことではありません。病院や介護施設が潤えば、彼らは新しい設備を買ったり、人を雇ったりするでしょう。このようにして、やがて日本全体が豊かになる可能性を有している現象こそ少子高齢化なのです。

 しかしながら、安倍さんはそのことをあまりお分かりになられていないようなのです。

 

■本当に民主党よりマシなのか

 では、わたしたちの経済は結局、安倍政権の政治によってどのようになったのでしょうか。
 それを知る為には、実質賃金を確認する必要があります。

 実質賃金とは、わたしたちの賃金を物価を考慮して数値化したものです。例えば、去年と今年の給料が変わらず、物価がその間で二倍になったら、実質賃金は去年を100として、今年は50です。つまり「どれだけ物を買うことができるかを表す数値」であると言えます。

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 民主党時代に入った直後、実質賃金は急上昇しました。しかし実質賃金は、下がり始める直前に一時的に上がり、上がり始める直前に一時的に下がる性質があります。この急上昇は下がり始める兆候らしく、間もなく実質賃金が下落して行くのでした。

 問題はここからです。経済の建て直しを目標にして、期待の安倍政権が始まったのですが、実質賃金はいくら経っても上がりません。当初の(というか今も)安倍支持者の経済評論家は「実質賃金が上がるにはタイムラグがあるんだ。きっとこれから上がるに違いない」としていたのですが、そのような気配はないまま現在に至ります。

 このように、安倍さんが目標としていた経済の建て直しはどうやら失敗したようです。では、その原因はどこにあるのでしょうか。

 主たる原因は、アベノミクス第二の矢「財政出動」が、実は放たれていなかったことでしょう。

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 安倍政権が始まった直後、安倍さんは先の震災で傷ついた東北を復興させるべく、公共事業関係費を上げました。しかし2015年以降、公共事業関係費は下げられ、その額は民主党時代と全く変わりません。というか、現在の公共事業関係費は、民主党時代のピークよりも下なのであります。

 意外にも、アベノミクス第二の矢は放たれていなかったのです。

 この状態でお金ばかりがたくさん刷られても、景気が良くなるはずがありません。銀行は安心して企業にお金を貸すことができないからです。

 これは腹立たしいことではありませんか。民主党政権の「コンクリートから人へ」で散々な思いをした人々が、安倍さんを期待したのです。それにも関わらず、安倍さんはそれに背くようなことをしているのです。

 

■破られた約束 ①移民

 安倍さんは野党時代に支持者から期待されたことを踏みにじっています。

 例えば移民政策。f:id:miyukiyasmaro:20191109191616j:image

 安倍政権は人手不足解消を名目に大規模な移民受け入れを進めました。これは野党時代の公約に背くもので、支持者への裏切りとしか形容のしようがありません。

 その結果、我が国は世界四位の移民大国と呼ばれるようになりました。現在でも多くのコメンテーターが「日本は鎖国しては駄目だ。アメリカを見習ってもっと移民を受け入れよう」といったことを言います。

 どうやら「人手不足を解消すれば経済が良くなる」というイメージを持たれる方が多いようですが、現段階ではそれは間違いです。むしろ、我が国にはさらなる人手不足が必要なのです。

 人手が不足するというのはすなわち、人材が貴重になるということです。貴重なものには必ず高い価格がつきます。つまり、わたしたちのお給料が上がるということです。そうしていくといずれ不景気からも脱却するでしょう。

 また「いくら頑張っても人材が手に入らない」という境地に達すると完全雇用が達成されます。

 さらに重要なのはその先で「人材が手に入らないならば、設備投資しよう」という動きが始まります。設備投資とは、新しい機械やシステムなどを導入したり、作ったりすることで、労働者一人当たりの生産性を高めることです。わたしたちは多くの価値を作り出すことができるようになります。それだけでも素敵なことですが、生産性の向上によってわたしたちの価値は更に高くなり、お給料が高くなります。

 実際、高度成長期の日本もそのようにして成長してきました。

少子高齢化で人手不足になって、国が衰退してしまう」といった懸念が蔓延しているのですが、これは間違いなのです。現に少子高齢化の真っ只中にいながらも、経済成長している国はたくさんあるのです。

 

 では、人手不足を外国人労働者によって解消すれば、どのようなことが起こるでしょうか。人件費を抑えたい企業は、海外から流れ込んできた安い人材に飛び付くでしょう。そうすると労働者としてのわたしたちの価値は下がり、お給料が減ったり、中にはクビになる人が出てくるでしょう。

 このように、移民受け入れは経済の悪化を招きますが、悪化するのは経済ばかりではありません。移民を受け入れるということは、文化や価値観の違う人が同じところに住むということです。「多様性が高くなるんだからいいじゃない」という考えの方が多いですが、それは間違いです。

 ロバート・パットナムという社会学者の研究によれば、様々な人種が入り乱れている地域では他の人種への偏見や不信感が高く、逆に特定の人種がある程度統一されている地域では、他の人種への理解や信用が高いことが明らかとなっています。f:id:miyukiyasmaro:20191109193551j:image

 考えてみれば当たり前のことです。もしこの国がいわゆる「多様性の高い国」になれば、文化の衝突が頻繁することでしょう。蕎麦を啜れば白人に嫌われるかもしれません。豚肉を食べればイスラム教徒に怒られるかもしれません。せっかくの休日の朝、ぐっすりと寝ていたら、何とか民族の隣人の騒がしい儀式で起こされるかもしれません。街中の壁には「アート」という名目でスプレーによるペイントが施されるかもしれません。

 これは誰かが悪いという話ではありません。世界の人々にはそれぞれの文化や価値観があるのです。それらは尊重されて然るべきなのです。ですがそれを一ヶ所にまとめてしまえば衝突は必ず起きます。誰も悪くないのに争いが起きます。

 そもそも国境をなくそうという考え自体ナンセンスなのです。それぞれの地域でそれぞれの文化がある世界は、色鮮やかな絵画のように美しいのです。そのような絵も、絵の具を溶かして混ざり合わせればドス黒い液体になるばかりです。

 

■破られた約束 ②TPPf:id:miyukiyasmaro:20191109191641j:image

 TPPは太平洋を取り囲む国々の自由貿易協定です。安倍さんは政権を奪取した三ヶ月後、このTPPの参加を表明しました。

 TPPには毒素条項と呼ばれるものが多く含まれており、その危険性が指摘されています。

 その代表的なものがISDS条項です。これは、その国の中で行われた投資が上手くいかなかった場合、その国の政府を訴訟できるという条項です。要するに、「お前の国の法律のせいでビジネスが失敗したんだ。きっちりと慰謝料を払ってもらうぜ」というヤクザじみた行為が合法化されるということです。

「もしそんなことが起きたらTPPから抜けたらいいだけじゃないか」という意見がありますが、それは楽観的過ぎる見方であると言えます。この国際社会において、我が国は一度交渉の席についた以上、後戻りすることは困難です。TPPの脱退を宣言するや否や「我が国は多大なる時間を費やして日本との交渉を行ったのに、それを踏み躙るつもりか。我々の信頼を裏切るような身勝手な行為が許されるとでも思っているのか」などという圧力がかかりかねません。

 TPP賛成派の多くの方は「農業は不利かもしれないが、自動車産業といった日本の強みである産業はアメリカに勝って大儲けできる」としています。しかし、アメリカの謀略の恐ろしさはわたしたちの想像を上回るものです。

 そもそも、2月22日の日米首脳会談後に発表された日米共同声明では、「日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品というように、両国ともに二国間貿易上のセンシビティが存在する」という表現が盛り込まれました。同時にこの共同声明で聖域なき関税撤廃を「前提とはしない」点も確認されました。つまり、米国は自動車産業を守りたい、日本は農産品5品目は守りたいという考えが共同声明の文面に表示されたわけです。

 ここまでは確かに公平な交渉でした。日本とアメリカ、互いの苦手分野については手出ししないという方向だったのです。しかし問題はここからです。

 ところが、2ヵ月後の日米事前協議では次の3つの重要事項が決定されています。①米国の日本車輸入関税の撤廃をTPP交渉の他のいかなる製品に猶予された最長期間よりもさらに長くする一方、日本政府は日本に輸出される米国車の認証方法を簡素化して輸入台数を2倍以上にする。②日本政府はかんぽ生命の新規保険商品を認可しない。③日本の農産物輸入関税については何も決めない

 

「アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪」植草一秀 講談社

 何ということでしょうか!アメリカ側が不利な自動車の貿易については、徹底的にハンデを強いる一方、日本が不利な農業の貿易については何らの防御策を許さないというのです。

 因みにこの時点で、選挙の際に安倍さんがわたしたちに約束した公約が破られます。「聖域なき関税撤廃を前提とするTPPには参加しない」というものです。農業という聖域に土足で立ち入ることを、安倍さんは受け入れたわけです。

 このように悪魔的なTPPは、トランプ大統領の登場によって運良くご破算となりました。その時中学生だったわたしも、テレビの前で手を打って大喜びしました。しかし、アメリカを抜きにしたTPP、「TPP11」なるものを安倍さんは進めようとしています。今度はどのような毒が仕組まれているのやら……。

 

■安倍さんの憲法改正

「右翼」を名乗る方のほとんどは日本国憲法第九条が嫌いです。わたしもそうです。

 九条は一項と二項によって構成されており、一項には日本が戦争を放棄すること、二項には日本が軍隊を持たないことが明記されています。

 戦争や軍隊がなくなるのは理想的なことではありますが、現実にそれをやってしまえば我が国は侵略されかねません。現に自分で自分を守れない我が国は、多国の理不尽な要求を飲まざるを得ません。いわばジャイアンを前にしたのび太君状態です。そういうわけで、戦後からずっと憲法改正を悲願としていた日本人が多かったのです。

 安倍さんはこの悲願を果たすことを約束しました。七十年以上も不動であった憲法を改正するというのはやはり困難なようで、安倍さんも苦戦している様子です。しかし、安倍政権支持者の方々は憲法改正への敢然たる姿勢を評価し、今も安倍さんを信じているのです。

 ですが、一概に「憲法改正」といっても、何をどのように改正するのかによって良いか悪いかは当然変わります。憲法改正という言葉にキャッチフレーズのように歓喜するだけでなく、その中身を見ることが必要です。

 安倍さんが目指す憲法改正は九条だけではなく、他にも色々ございます。

 例えば「緊急事態条項」。これは、災害時などの緊急事態に限り、総理大臣の権力を一時的にパワーアップできるようにする条項です。

 自民党憲法改正草案によると、緊急事態条項によって総理大臣に付与される権限は四つ。

一、緊急事態の間は衆議院を解散しなくてもいい

二、緊急事態の間は、法律と同じ効力も持つ政令を制定できる

三、緊急事態の間は総理大臣や議員の任期を延長できる

四、緊急事態の間は国民は政府の命令に従わなくてはならない

 この緊急事態条項が悪用されたらと思うと背筋が凍るものです。震災時のどさくさに紛れ、好き勝手なことがやられかねないのです。

 勿論、「政府が速攻で対応しなくてはならない非常事態に備えて、緊急事態条項は必要だ」という指摘はあります。しかし、我が国には五つの災害対策法があり、災害時に円滑な対応を行う準備は既になされているのです。

 堤未果という方はフランスのジャーナリストにこの改正案を見せたところ大変驚かれたようです。

「それにしてもこの99条第1項、これをヨーロッパの人々が見たら烈火のごとく怒り出すでしょうね」

 そう言ってルネが指した、自民党憲法改正案の99条第1項はこうだ。

〈緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる〉

 

「これは、1933年にナチスが成立させた【全権委任法】第1条の、『ドイツ国の法律は、憲法に規定されている手続き以外にドイツ政府によっても制定されうる』と、ほとんど同じ内容ですよ」

 

「政府はもう嘘をつけない」堤未果 角川新書

「日本を独裁国家にしてくれなどと誰が頼んだ」と安倍さんに訊きたいものです。

 

■あとがき

 このように安倍さんを批判するようなものを書くと、「じゃあ他に与党にふさわしい党があるのか」といったことが言われるかもしれません。

 確かに国会の野党は、与党の揚げ足をとってばかりで、具体的な代案を出してくれません。国民民主党は比較的具体的な政策を持った政党ではございますが、旧民主党系勢力となると100%信用できるものではございません。消費税廃止を訴える「れいわ新撰組」は、経済政策は素晴らしいと思いますが、あまりにも安全保障について楽観的であるように思えます。日本第一党や国民保守党は、安全保障も経済も理解した政党であるように思えますが、何というか激烈なところがありまして、安心して支持できるとは言えません。

 しかしそれで良いのです。与党にふさわしい政党というのはわたしたちが作り出すものであって、彼らはその材料です。

 政党は、選挙によって国民に育てられるものです。例えば来年の衆議院選挙で自民党が敗北すれば、「令和元年の消費増税が原因か」という分析がなされるでしょう。そうすると政党たちは世論に忖度し、減税を訴える新しい政党が出てきたり、増税をやむなしとする政党が考えを改めるかもしれません。このように、我が国の政党は選挙による刺激によって教育されるものなのです。

 それにも関わらず、自民党支持者は自民党に何の刺激も加えず、甘やかしています。その結果「公約を破ろうが、景気を悪くしようが、どうせ政権は続くだろう」という怠慢が長きに渡って続いているのです。

 この国を豊かにしたいのであれば、少なくとも自民党以外に投票するべきであろうと考えます。

 最後までお読み頂きありがとうございました。

 

災害は作られているのか



 皆様にちょっと変わった友人をご紹介しましょう。


2019年 10月31日 木曜日 完璧に捉えた プロがやる撮影方法 - YouTube

 彼は「石川しゃちょー」というハンドルネームでYouTubeで活動する者です。その活動は主にケムトレイルについての研究。ケムトレイルとは、人工的に雲を散布し、雨を降らせる行為というかなりぶっ飛んだ陰謀論的概念です。

 そんな研究を行う彼から「動画の視聴回数が伸びないから宣伝してくれないか」という依頼を受けまして、ちょうどネタに欠乏しておりましたわたしは喜んで拝承致しました。そうして皆様の前にご紹介致しました次第です。

 では、今回は親愛なる「石川しゃちょー」とのコラボ企画!このぶっ飛んだ陰謀論ケムトレイルについて検証したいと思います!……と行きたいところですが、いかんせんこの問題については知識が皆無のわたしです。ケムトレイルについての本も読んだことがなく、この話題だとあまり面白い記事が書けそうにありません。

 というわけで、今回はこのケムトレイルからほんのちょっとズレた問題を取り上げようと思います。

 

 では、今回取り上げるのはこちらッ!f:id:miyukiyasmaro:20191102192320j:image

「人工地震だと?……なんか胡散臭いな」

 そう思われるのがまともな反応であろうと存じますが、どうぞそうしたまともな方も、眉に唾をつけつつ是非お読み下さい。

 

■「人工地震」自体は陰謀論ではない

 人工地震とは、読んだ字が如く人工の地震のことです。陰謀論者はしばしば「東日本大震災は人工地震だった」とか「人口削減を目論む結社が人工地震で大量殺戮を行っている」といった、常識からぶっ飛んだことを述べるわけです。

 勿論、これらの主張は学術の場で議論されることは皆無ですから、陰謀論や都市伝説の域に留まります。しかし「人工地震」という概念自体は、実は表の歴史上に登場しており、陰謀論でも何でもありません。そのメカニズムは極単純。地中深くに大爆発を起こせば地震が起こります。
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 ちょっと見辛いかもしれませんが「原爆で人工地震」とか「深夜の人工地震」といった驚くべき見出しの新聞があります。これらの記事は月刊ムーなぞではなく、天下の朝日新聞や読売新聞などの記事です。

 つい二年前も、毎日新聞はこのように報じました。

韓国気象庁は3日、北朝鮮北東部の咸鏡北道(ハムギョンプクド)吉州(キルジュ)郡豊渓里(プンゲリ)付近で3日午後0時29分ごろ、人工地震と推定される地震波が観測されたと明らかにした。聨合ニュースが伝えた。日本の河野太郎外相は、北朝鮮が核実験を実施したと断定した。韓国当局によると、地震の規模を示すマグニチュード(M)は5.7、震源の深さは0キロと推定される。中国地震局はM6.3と発表した。

https://mainichi.jp/articles/20170903/k00/00e/030/202000c

 このように、人為的に地震が起こされる「人工地震」という概念自体は陰謀論ではなく、主要メディアが既に認知しているものなのです。それにも関わらず、彼らはなぜかあまり積極的に人工地震についての報道を行っていません。その為、わたしたちの脳内には人工地震という概念が存在していなかったのです。

 

■「3.11人工地震説」は狂気の沙汰か

 上のような見出しを書くと不謹慎に思われる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、あの震災についてもしも不審な点があれば、それを追及するのはわたしたちの義務であると存じます。わたしは決して楽しもうと思ってこの研究を行っているわけではないのです。

 わたしは先の震災を人工地震と捉えるのは、冷静に考えれば決してあり得ない話ではないと考えます。理由は二つあります。

 

一、 人工地震を起こすことは前説を見るに確かに可能であるから。

二、 国家が他国に何らか陰謀を仕掛け、攻撃するというのは歴史上認められてきたことだし、現代もそれは認知されていることだから。

 

 二については、例えば「PD(パブリック・ディプロマシー)」を調べると誰もが納得することであろうと存じます。PDとは、国家が他国の世論を扇動する行為のことです。PDを最も積極的に行っているのは中国政府と言われています。彼らは外国のマスメディアに圧力を掛けたり、外国にテレビ局を作ったりして世論を操作しようとしています。これは陰謀論ではなく、専門家の間では周知の事実です。大学ではPDを研究するところも稀にあります(本当に稀ではありますが)。

 このような陰謀を行う勢力は確かに存在するのです。従って「他国に震災を起こして成長を阻害してやれ」とする勢力があったとしても、特に不思議ではないと思うのです。

 つまり、人工地震説は物理的に、状況的に考えて、決してファンタジーではないという訳です。

 では、東日本大震災に人工地震説の余地はあるのか検証したいと思います。

 

■人工地震と自然地震は波形が違う?

 東日本大震災はどのような根拠で唱えられているのでしょうか。

 代表的な根拠は「波形」です。
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 普通、地震の波形にはP波とS波があります。P波は弱い横揺れの波です。S波は強い縦揺れの波です。P波はS波より早いので、被災地にはまずP波が到達し、遅れてS波がやってきます。つまり、はじめに小さい横揺れの地震が来てから、突然縦に激しく揺れ始めるというわけです。

 この小さい横揺れの地震を「初期微動」といい、その後に来る大きい揺れを「主要動」と言います。

 

 ところが、3.11陰謀論者によれば、人工地震にはP波による初期微動がないとのことです。そして先の震災の波形にはP波がなかったから、つまり人工地震なのだというわけです。果たしてこれは本当なのでしょうか。

 まず、「人工地震にP波はない」というのは概ねは正解のようです。日本気象協会という財団は「地震波からみた自然地震と爆発の識別について」というレポートで、地震と人工地震の見分け方を幾つか明らかにしました。その内の一つに「S波が発生しにくく、その振幅がP波に比べて小さくなる性質を利用」というものがあります。

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 人工地震にはP波がないのではなく、むしろS波が弱い(ないわけではない)というのが正確なようです。P波があまりにも強過ぎる為にそれがS波に見え、あたかも人工地震にはP波がないように見えるわけです。f:id:miyukiyasmaro:20191102191822j:image

 ちょっとややこしい話になりましたが、要するに自然地震と人工地震に違いがあることは事実です。自然地震は弱い揺れが来てから強い揺れが来ますが、人工地震は弱い揺れと強い揺れの区別が判然としないということです。

 上の太字の部分さえ抑えて頂ければ結構です。

 

■3.11の波形は人工地震の波形か

 これは3.11陰謀論を代表するといっても良い画像です。「東日本大震災 人工地震 波形図」とでも検索すれば、この画像がたくさん出てきます。

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 3.11陰謀論者はこの画像を提示し、「このように、東日本大震災ではいきなりS波(正確にはP波)が来た。P波(正確にはS波)はなかった」と主張するのです。

 しかし、これだけでは証拠として不充分です。

 わたしはこの波形図を友人に見せたことがあるのですが、その時に鋭い指摘を受けました。その友人は中学時代の同級生で、防災の道を志しており、震災にはただならぬ知識を持っております。友人は波形図を見ると即座に「震源地からの距離は?」と言いました。本には載っていなかったので「分からん」と答えると「じゃあこれを人工地震と判断するのは早計だ」と断言しました。曰く、波形は観測地によって異なり、震源地間近であれば自然地震であってもP波は見えなくなるとのことです。

 よく考えれば当然のことです。P波とS波は震源から同時に走り出すのです。震源から間近であれば、P波とS波はほぼ同時に来るはずです。もし例の波形図が震源地近くで記録されたものならば、P波がないように見えても当然のことです。

 

 では、ある程度震源地から遠くの波形図を見てみましょう。

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 こちらは震源地からおよそ400km離れた横浜の波形図です。幾つか波形図にも種類はあるのですが、共通して言えることは

一、P波とS波の違いが明瞭ではない

二、揺れが爆発してから、余震は長続きしていない

三、必ずしも「大きな揺れがいきなり爆発した」とも言えない

 この三つであるかと存じます。

 一と二は自然地震の性質に反し、人工地震の性質と一致する可能性があります。f:id:miyukiyasmaro:20191102180514j:image

 これは人工地震と自然地震の波形図を比較したものです。先にも述べた通り、人工地震にはP波もS波もあります。ただ、S波が弱い為、それがはっきり確認できないのです。その結果、「こっからここまでは初期微動、そっからは主要動」という区別が、一見するだけでは難しくなるわけです。ですから「P波とS波の違いが明瞭ではない」というのは人工地震の特徴であると言えます。

 また、自然地震はS波が来てから揺れは長く続きます。しかし、人工地震には揺れが絶頂を迎えてから直ぐに収まるという性質があります。よって二は人工地震の特徴と言えます。

 ただし、三の「必ずしも大きな揺れがいきなり爆発したとは言えない」というのは人工地震らしくない特徴です。波形図からはある程度は「小さな揺れがやがて大きくなっていった」という様子が確認できます。この小さな揺れが大きくなるまでの時間が短いのか、長いのかが問題となるでしょう。しかしわたしは素人ですから、その基準を知りません。

 

■網状に並ぶ震源
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 こちらは東日本大震災直後の震源地をまとめたものです。恐ろしいことに、震源地が極めて不自然に並んでいます。あたかも線を引かれた台の上に碁を並べたようです。

 これを合理的に説明するには、やはり人工地震説に頼るべきなのかもしれません。例えばこのような推理は如何でしょうか。

「3.11は電磁波を照射することによって起こされた。そのシステムはコンピューターで緯度と経度を入力して起こすものだった。この緯度と経度の指定は0.0数度ほどの単位だった。その為このような並び方になった」

 電磁波による人工地震の技術はまだ陰謀論の範囲です。しかし偶然と見なすよりから、このように考えた方がまだ納得できるのではないでしょうか。

 ただし、直線的な模様というものは必ずしも自然に存在しないわけではありません。人工物のように直線的で、実は自然な地形というものが存在します。ですから、震源地が等間隔に並んだことを根拠に人工地震説を断言することもできないのではないかと考えます。

 つまるところ、先の画像を見て自然地震と考えるか、人工地震と考えるかは、結局は感性によるでしょう。因みにわたしの感性は人工地震かなあと思うものです。

 

■あとがき

 東日本大震災が人工かそうでないかの結論は、皆様にお任せしたいと思います。わたしとしては少なくとも、3.11陰謀説は必ずしも一蹴できるものではなく、偽義として無視できないものであると考えます。

 その為、わたしは悲しいかな自然というものを懐疑的に見ざるを得ません。ぼんやり雲を眺めて綺麗だなと思いつつ、ふと「石川しゃちょーが言ってたみたいにこの雲も人工なのではないか」といぶかることがあります。

 勿論、陰謀論にのめり込んで思考停止するのは注意すべきことですが、「陰謀?あるわけないっしょ片腹痛えwwwww 」と思考停止するのもあってはならないことです。皆様の手で冷静に、学術的に真相を解明しましょう。

 人工地震説に関してそれを裏付ける証拠を提示できる方や反論がある方、その他何らかの情報をお持ちの方は是非コメントを下さい。

 最後までお読み頂き誠にありがとうございました。あなたのところへ、どうか天災が起こらぬよう祈って筆を置きます。