僕の名は靖麻呂

高校生 政治厨 軽度の神経衰弱

日本は詰んでない

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 皆様、明けましておめでとうございます。お正月は如何お過ごしでしたか。わたしは色々あって、頭を抱えながら寝正月ならぬ「病み正月」を送っておりました。

 人はこのように、例え正月であろうと時に頭を抱える生き物です。その理由は人によって様々あることでしょう。将来の不安、他者との関係、自己嫌悪、過去の嫌な記憶、等等等。現在も社会の片隅で誰かが悩んでいます。

 わたしはそうした人が愛しいものですから、何かしてあげたいものなのですが、わたしはただの経済オタクです。心理士でもお坊さんでもないので、自分を救うのでさえ精一杯です。けれども、そんなわたしにもできるささやかなことが一つだけあります。

 それが、「日本は否応なく沈み行く」という言説の否定です。

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「日本はオワコン(近頃のネットスランディング。「終わったコンテンツ」の略。腐りきった、滅びかけである、末期、等の意)」「政治ではどうしようもない」「海外へ逃げて自己防衛しかない」等、ある種の終末論をネットでよく散見致します。もちろん、政治経済の問題が主たる悩みとなるのはよほど変わった人であろうと思いますが、多少なりとも人々の不安を深くせしめていると考えるものであります。

 では、この言説を論理的に祓い落とすことができれば、ほんの少しだけ日本を明るくできるのではないでしょうか。本稿では、「日本は終わった」という言説を(斬る……と書くのは縁起がよろしくないので、)開きまして、日本はもっと豊かにできるということを証明して参りたいと存じます。令和二年の年明けを記念致しまして、珍しくも気分が少し晴れやかになる記事をお贈りしたいです。

 

少子高齢化で財政がヤバい?

 昨年話題になった「老後二千万円」問題や消費増税の問題が報道される際、ニュースではよく「少子高齢化が背景にある」と解説されてきました。曰く、「年金を貰う高齢者が多くなるのに、年金を払う労働者が少なくなるから、年金制度がヤバい」とか「国に支えられる高齢者が多くなるのに、国を支える労働者が少なくなるから、財政がヤバい」という具合です。

 これらの解説は確かに説得力があります。ですから、ぼんやりとした絶望感や危機感が国民に広がっていったのではないかと思います。このままでは、若者と高齢者の間で軋轢ができていくのではないかとわたしは予想します。

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 現に高齢者を敵とするような若者の言説は確かに散見できます。わたしは現役の高校生なのですが、同級生のこんな会話が耳に入りました。

 

「老人って多いよね」

「マジそれ」

「あんな老人多いと税金足りなくなるんじゃね?」

「マジそれ」

「あんな多いから経済悪いんだよ」

「マジそれ」

「定年とかなくして死ぬまで働かせたら良いんじゃね?」

「マジそれ」

「俺、日本の大統領なろっかな」

 

 もしこんなことを高齢者が聞いたら「最近の若者は老人に対する敬意がない。もう若者なんか大っ嫌いだ!」と怒るのではないでしょうか。同じ国民同士が憎む合うのは悲しいことだと思います。

 実は、上記の日本の大統領を目指す高校生の主張は徹頭徹尾間違っています。まずは

「あんな老人多いと税金足りなくなるんじゃね?」

 という部分。このデフレ下の日本国において、税金が足りなくなるなどという事態はあり得ません。詳しく書くと長くなりますが、我が日本国政府はお金をいくらでも刷ることができます。そのお金は「日本銀行から借りた借金」ということになりますが、日本銀行は政府の子会社なので、日本銀行が突然政府にお金を返せということはありません。ですから日本銀行からの借金は別に気にしなくても良いわけです。この別に気にしなくても良い借金を経済学で「通貨発行益」と言います。

 というわけで、高齢者が増えてたくさんのお金が必要になったら、その分通貨発行益を増やせば簡単に調達できるのです。

「そんな夢みたいな話があるか!」と思われるのがまともな感性です。しかし「そんな夢みたいな話」は確かに実在します。これは歴史上よく使われてきた手です。

 例えば明治時代、明治新政府太政官札というお金を発行して様々な改革を行いました。f:id:miyukiyasmaro:20200109213317j:image

 先の戦争の時も、政府は日銀から借金をする形で資金を調達していました。この国はお金が足りなくなった際、通貨発行益を利用してきたのです。つまり、夢みたいな話ではなく、現実に既に存在する事実なのです。

 よく勉強された方は「でも、あまり無闇にお金を発行したら、ハイパーインフレになるのでは?」という疑問を持たれるかもしれません。

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 つまり「お金が増えるからお金の価値が下がり、物の値段が高くなって大変なことになるのでは?」ということです。

 

 ここが実に重要です。確かに高すぎるインフレになると様々な問題が生じてしまいます。つまり、インフレこそがお金を発行する上限であると言えるわけです(逆に言うとインフレさえ注意していればお金はいくらでも発行できるわけで、これは「MMT(現代貨幣理論)」と呼ばれます)。

 しかし、そのことについては大丈夫です。我が国は深いデフレ(インフレとは逆の状態)下にあるので、そうそう簡単に高いインフレにはなりません。というより、デフレから脱却してインフレにしたいと言われているのです。政府がどんどんお金を使ってインフレになれば、それは嬉しいことではないでしょうか。

 勿論、インフレが激しくなれば様々な問題が発生します。しかしその時は、落ち着いて適切な対策を施せば良いだけの話です。

 インフレとはお金が激しく流通する為に起こる現象です。ならばインフレを抑える為には、お金の流通を緩やかにすれば良いのです。

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 その手段としては増税をしたり、緊縮財政(政府の支出を節約すること)を実施したり、公定歩合を引き上げる(この説明は長くなるので割愛させて頂きます)など、たくさん挙げられます。

 このように、不景気の時は政府が気楽にお金を使いまくり、減税をする。インフレが激しくなればお金を節約して増税をする。この繰り返しによって、わたしたちの経済は持続可能な進歩を続けることができるのです。よく減税論を唱えると「目先のことしか考えていない!」と批判されがちですが、わたしが述べたことは遥か未来まで続く繁栄を保証するものなのです。

 

少子高齢化で人手不足がヤバい?

 少子高齢化は働き手が減り(少子)、客が増える(高齢)ことも意味します。

 これでは人手不足がどんどん深刻になり、ヤバいということがよく言われており、その対策として外国人労働者の受け入れや定年の引き上げが既に進められているわけです。

 しかし、これらの対応は間違っていると言えます。なぜなら、現在の日本にとって人手不足は必要不可欠なものだからです。人手不足がもっと進んでいくと、デフレは解決します。

 そもそもデフレの原因は何でしょうか。f:id:miyukiyasmaro:20200111121336j:image

 デフレは供給(物の生産)が需要(物が買われること)より大きいことによって繰り返されます。従ってデフレを解決するには需要を供給より高めれば良いのです。そして、需要が供給より高い状態とは即ち人手不足であるわけです。

 勿論、「人手不足でインフレになったは言いが、そのままどんどん人手不足が深刻になれば物が買えなくなるし、高すぎるインフレになるじゃねえか」という懸念もあるでしょう。しかし、景気が良くなれば企業は自ずと人手不足を解消してくれます。

 どのように解消するかというと、それは外国人労働者の受け入れでも、定年の引き上げでもありません。もっとワクワクする方法です。それが設備投資による生産性の向上です。

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 設備投資とは、物を生産する為の新しい機械などを買ったり、開発することです。新しい機械が導入されるわけですから、物の生産は効率的になります。そうなると人手不足は解消していくことになります。

 このような生産性の向上は、現状の人手不足を解決するのみならず、新しい人手不足を作り出してくれます。というのは、生産性が向上することで企業の利益が上がれば、労働者のお給料は上がります。お給料が上がればわたしたちが使うお金は増えていく、つまり需要が増えていきます。そうすると新しい人手不足がやって来るわけです。f:id:miyukiyasmaro:20200109213525j:image

 人手不足を解消して世の中を豊かにし、それによってやってくる更なる人手不足を解消して世の中を豊かにする。この繰り返しこそが経済成長なのです。

 

 さて、以上の主張について、このように反論する方がいらっしゃいます。

 「日本の企業は既に生産性の向上を頑張っている。日本の産業には機械化がどんどん導入されている。それでも経済は良くならないのだから、生産性の向上は経済を良くしない」

 しかし、

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 これは「資本装備率」という数値で、労働者一人当たりに物を生産する設備がどれくらい配備されているかというもの。つまり、設備投資がどれだけ進んでいるかという数字です。

 かつて資本装備率はどんどん伸び、それに伴って我が国の経済は成長していきました。しかし1997年に日本がデフレに突入するや否や、経済はどんどん萎縮していきます。同時に資本装備率は伸び悩むようになったわけです。つまり、我が国では不景気の為に、産業の機械化は全く進んでいないのです。

 また、こういう反論もあります。

「日本の生産性が上がらないのは、日本が既に先進国として発展しきったからだ。これ以上生産性は上がらない」

 1997年に日本がデフレに陥ってから、その二十年後、日本のGDPはほとんど増えていません。それに対し、アメリカやカナダのGDPは約2・5倍に増え、イギリスは2倍以上に増えています。この違いは労働者が増えた為ではありません。アメリカ、カナダ、イギリスがこの間に増やした就業者数は1.2~.3倍程度でした。

 つまり、アメリカ、カナダ、イギリスが成長した要因は生産性を向上させた為です。先進国であっても生産性の向上は可能なのです。

 他の先進国が生産性の向上に成功したのですから、我が国にもできるはずです。

  ではどうすれば日本の生産性は向上するのでしょうか。答えは簡単です。もっと人手不足を深刻化させるのです。

 先に述べた通り、デフレは供給>需要の状態が原因で起こる現象です。少子高齢化は供給が減り、需要が増えていく現象ですから、経済が復活する機会となる流れでした。

 しかし、わたしたちの政権は「このままでは財政破綻する」と言って消費増税や緊縮財政を進めたのです。その結果わたしたちは貧しくなり、お金を節約せざるを得なくなり、即ち需要が減ることになったのです。f:id:miyukiyasmaro:20200111215851j:image

 加えて外国人労働者は急激に増え、即ち供給が増えました。「働く人が増えたらその分支払われる給料が増えるから、需要も増えるはずだ」という主張もありますが、外国人労働者は比較的低賃金で雇われるので、やはり生み出される需要よりも供給の方が多くなってしまうのです。

 このように供給が増え、需要が減らされる政策が連続的に行われた為、わたしたちの経済は萎縮していきました。日本の没落は仕方のないことではなかったのです。政権とその存在を許してしまったわたしたちの失敗が原因なのです。

(ここで一つ念を押したいのですが、わたしには安倍さんの支持者や大人たちに対する怒りや怨みなどはありません。人間に未来が完全には知り得ない限り、失敗は致し方ないことです。だからこそ失敗は学説を実らせる為の土壌としたいと考えます。そうである限り、いくら前の世代の失敗であっても、それは「わたしたちの失敗」と呼称したいのです。ここのところは未熟な若造とは一線を画すものですが、もちろん大人に迎合して尻尾を振るつもりもなく、おかしいと思うことは誰が相手であっても指摘するつもりです)

 そして、これは政治の問題のみならず様々なことに通用することですが、問題の原因に人間の失敗が見出だせる限り、状況を良くする可能性は絶対に存在します。

 

■あとがき

 ではその可能性を解放するにはどうすれば良いのか。それは簡単で、失敗から反省することです。消費増税が駄目だったのだから消費減税を行えば良いのです。緊縮財政が駄目だったのだから財政出動(政府がお金を使うこと)を拡大すれば良いのです。移民受け入れが駄目だったのだから移民の規制を行えばいいのです。

 そうすれば需要は増え、生産性の向上が進み、わたしたちの生活は豊かになっていきます。

「減税や財政出動に効果なんかない!」という主張も聞きますがそんなことはありません。

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 上の線グラフはわたしたちの消費で、下は公共事業関係費(政府が工事などをする際に使うお金。つまり政府がばらまいたお金)です。2003年から10年まで公共事業関係費は民主党政権下で厳しく削減されていました。その後、安倍政権が始まるや否や公共事業は増やされました。しかし二年後、安倍政権は、突然緊縮財政を始めたのでした。

(「いや2013年から15年までえげつなく伸びてるじゃねえか」と思われるかもしれませんが、この時期、安倍政権は予算の分類の仕方を変えています。以前の計算の仕方だと、安倍政権の公共事業関係費は民主党時代と同じくらいの水準です)

 一方、家計消費指数というわたしたちの消費の動向を表す数値は、公共事業関係費と連動するように動いています。

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 政府が公共事業を減らすと景気は悪化し、反対に公共事業を拡大させると景気が良くなることが分かります。つまり、政策次第で景気は良くすることができるのです。

 ではその政策を実現させるにはどうすれば良いのか。それも簡単なことです。上述の政策を行ってくれそうな政治家にあなたの意志を託せば良いのです。

「政治家なんかどうせ裏切るだろ」とどうしても疑ってしまう方も、その懐疑を捨てないまま票を投じれば良いのです。裏切られたなら直ぐに見捨てて下さい。そしてまた新しい投票先を見つけて下さい。馬鹿馬鹿しいようですが、この繰り返しが重要です。そうすることによって「国民を裏切れば政権を維持できない」ということを政治家たちが思い知ることになります。そうして、政治家は金持ちや権力ではなく、わたしたち国民に忖度するようになるのです。

 もしどうしても政治のことを考えたくない方がいらっしゃったら、何もしなくても結構です。無理をしてまで嫌なことを考えるような義務はないと思います。政治厨を自称するわたしも、人に思想を強要することはありません。

 しかしもう既に本稿で述べた理論と同様なものは広がりつつあり、昨年はその現出ともいえる出来事がたくさんありました。「れいわ新選組」の台頭などはその代表といえるでしょう。

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 本党の政策には問題点もたくさんありますが、「消費税廃止を訴える政治運動が盛り上がった」という事実自体は長期的には重要な意味を持ちます。

 また、消費増税財政破綻論の問題点を徹底的に指摘した漫画「私立Z学園の憂鬱」も盛り上がりました。f:id:miyukiyasmaro:20200111221924j:image

 これは芸人の中田敦彦さんのYouTubeチャンネルでも紹介されています。

 冒頭で述べた「MMT(現代貨幣理論)」という理論も批判こそあったものの盛り上がり、今でも書店に行くとMMTに関連する本が何冊か置いてあったりします。

 日本は既に豊かになろうとしているのかもしれないのです。

 この可能性を追うことが政治について考える最大の楽しみだと思います。

(先ほど「無理をしてまで政治を考える義務はない」と書きましたが、「政治について考えるべきだ」と言われているのはそれが義務だからというより、楽しい権利だからではないかと思うものです。昔、福沢諭吉という方が民主主義について本を出すと政治が盛り上がったことがあります。これは日本人たちが「これからわたしたち自身が政治を考えるんだ。この国はわたしたちが考えていくことでどんどん豊かになれるんだ」とわくわくしたからだと思います)

 もしこの勢いが呆気なく砕け散ったとしてもわたしは「日本は豊かになれる」と断言します。

 なぜならこのわたしが生存しているからです。わたしは経済学者になり、その知力と権威を総動員して日本を豊かにする変動を起こして見せます。それが起こるまでは今から約十年程度後、遅くとも二十年後。何れにしても、その時、あなたには極めて面白いものをご覧に入れて見せます。どうぞご期待下さい。

 長くなりましたが最後までお読み下さりありがとうございました。

 では良いお年を!