僕の名は靖麻呂

高校生 政治厨 軽度の神経衰弱

新しいエネルギー

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 今、わたしの部屋の窓からは、綺麗な夜景が見えます。星を散りばめたような幾つもの光が輝いているのです。

 しかしこの輝きは環境破壊や危険性によって担保されています。環境破壊がいつ取り返しのつかないことに発展するのか、危険性がいつ爆発して恐ろしい事態が起こるのか、それは近い未来かもしれないし、ひょっとしたら明日かもしれません。

 例えば明日、大規模災害が起きて、原発事故が発生するかもしれない。その放射能によって犯されるのはあなたの家族かもしれません。

 ではこの心配を解決する為に、原発を廃止するとどうなるでしょうか。原発がなくなれば原発事故の心配はなくなります。

 しかし、それと引き換えに電力が足りなくなるかもしれません。北海道では電力不足でブラックアウトが起きたこともあります。そうすると代わりのエネルギーが必要です。

 では火力発電を代わりのエネルギーにしてみるとどうでしょうか。実は、我が国の火力発電所の半分は使われていません。言い換えれば、火力発電は二分の一しか本気を出していないということです。火力発電が本気を出せば、原発を廃止することができるでしょう。

 しかし、その代わりにわたしたちは別の危険性に晒されることになります。そもそも、火力発電とは化石燃料を燃やした熱で水を蒸発させ、タービンを回す発電。化石燃料を必要とする発電です。化石燃料は限られた資源ですから、遠い先枯渇するかもしれません。

 また、我が国の石油は中東からの輸入に依存しています。中東の情勢の変化で、石油が高騰するかもしれません。この時、石油に依存していればいるほど、その影響で物価が上がることになります。

 そもそも、石油や天然ガスなどの化石燃料をほとんど輸入できなくなる恐れさえあります。我が国に入る化石燃料のほとんどはホルムズ海峡というところを通るのですが、ここが封鎖されるとあじゃぱあです。f:id:miyukiyasmaro:20191019221143j:image

 実際、ホルムズ海峡付近は治安が悪く、そうしたことが起きないとは言えません。ホルムズ海峡封鎖のリスクは、化石燃料に依存すればするほど高くなるのです。

 では、再生可能エネルギーを使えばどうでしょうか。教科書には、太陽光、風力、地熱などの発電は、環境に優しい再生可能エネルギーだと書いてあります。

 しかし、もし(俗に言う)再生可能エネルギーだけで電力をまかなったとしても、やはり問題は発生します。風力発電はわたしたちの健康を脅かしますし、太陽光発電も石油を使うからです。詳しくは前稿「環境問題"破"門」をご覧下さい。

 では、わたしたちはやはり原発事故や、ホルムズ海峡封鎖の危機にビクビクしながら生活してゆくしかないのでしょうか。できれば環境に優しく、そして何らかのリスクもないエネルギー源が欲しいものです。それが難しいものだと分かっていても、諦められないのが素直な感情です。

 そこで今回は、新しいエネルギー源について考えてみようと思います。

 

■海底のロマン

「日本みたいなちっぽけな国は外国にエネルギーを輸入するしかない」と考えている方は多いと思います。確かに地球儀を見れば、ユーラシア大陸の端っこで細く、小さく佇んでいる島が日本です。

 しかし、それは領の話に過ぎません。我が国の領域は、神より賜った広大なを含みます。

 何と我が国の排他的経済水域は、世界六位です!(排他的経済水域とは、調査や開発を独り占めにできる海のことです)この国はちっぽけな国なんかではありません!我が日本国は大国なのです!

 ではこの偉大なる海の、遥か奥の海底に思いを馳せてみましょう。海底には様々な資源が眠っていると言われています。具体的には次のような資源です。f:id:miyukiyasmaro:20191018105346j:image

 レアアースといった金属資源もなかなか魅力的ですが、ここで注目して頂きたいのはメタンハイドレート(メタンガスが氷状に固まった物質)と石油・天然ガスです。これらの物資がたくさん手に入れば、我が国は外国からの輸入に頼らずにエネルギー問題を解決することができます。ホルムズ海峡が閉鎖されても大丈夫なのです。

 ただし、海底でどれだけの資源が取れるかはまだ調査中です。謎が多い分ロマンがあります。

 このように書くと「結局調査中なのかよォどうせすっからかんなんだろォ?」と嘲笑する人がいるかもしれませんが、海底資源の可能性は極めて高いと言えます。

 それを知る為には、メタンハイドレートや石油・天然ガスがどのようにして生まれるかを知る必要があります。

 人類が活動する遥か昔、海底では様々な生き物が活動していました。これらの生命はやはり死に、遺骸となって海をさ迷います。やがてこの遺骸の一部は、海の底に落ち着き、長い眠りにつくこととなります。海底では凄まじい圧力がかかっていますから、遺骸は圧縮され、徐々に変質していきます。

 もしこの遺骸が、マグマによる地熱で温められていた場合、これらは長い年月を経て石油や天然ガスとなります。もし冷たい場所に眠っていた場合、これらは長い年月を経てメタンハイドレートとなります。

 このようにして、海底資源はできるのです。

 つまり、海底でメタンハイドレートや石油・天然ガスができる為には二つの条件を必要とするわけです。一つは生物の遺骸、もう一つはそれらを圧縮する水圧です。そして、我が国の海はこれらの条件に恵まれているのです。

 ユーラシア大陸から続く広い大陸棚で生まれた生物の遺骸がこの海域には大量に沈下していったはずで、水深200メートルぐらいでは水圧が足りないが、日本列島付近では水深500メートル、1000メートルといった深海域になるところが多いため、容易にメタンハイドレートの安定領域に達する。つまり大陸棚の縁に位置する日本は、メタンハイドレートの生成においても地理的に非常に有利な条件にあるのだ。

https://imidas.jp/jijikaitai/k-40-081-13-04-g491

 もちろん、わたしはあまり科学には詳しくありませんから「絶対に海底資源はある!」などとは言えません。しかしこのように可能性は多分にあるのですから、政府はもっと海底への調査にお金を出しても良いのではと思うのです。

 

■風車の島

 続いて紹介しますのは、一言で言うと洋上風力です。先ほど申し上げたように、我が国は広大な海を持っておりますから、これを積極的に活用すればたくさんの風車が置けることでしょう。

 また、海の風は力強いものであります。わたしは兵庫県民で、神戸港からブラックコーヒーを片手に黄昏たことがありますが、この時の潮風はとても強いもので驚きました。そこで洋上風力がなぜ支持されているかというのを痛感したわけです。なぜ痛感という表現をしたかと言いますと、わたしは皮膚が弱いものでして、潮が傷口に染みて痛かったわけです。

 このように言いますと、前稿にてわたしは風力発電を完膚なきまでに批判しておりましたので、二重舌のように聞こえるかもしれません。しかし本節にてご紹介しますものは、ちょっと特殊なものです。

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 これは、九州大学が研究しております洋上発電ファームです。この発電システムは、従来の風力発電の欠陥を見事に克服したものです。

 従来の風力発電の第一の欠陥は、大規模な山の開発を必要とすることです。木が伐採されたり、景観が低下することで環境破壊がもたらされるのです。

 しかし洋上風力の場合、山の開発は当然必要ありません。その代わりに海の開発を要するわけで、一時的にこれが汚染されるかもしれませんが、飽くまで工事が行われる間の話です。山の開発とは違い、自然の力で取り返しがつくわけです。

 従来の風力発電の第二の欠陥は、低周波公害です。風車が発する低周波の音が、近隣住民に健康被害をもたらしたことが分かっています。第三の欠陥はバードストライクです。野鳥が回転する風車に衝突し、体を引き裂かれるという痛ましい事件が起こっています。

 この第二、第三の欠陥を克服したのが、風レンズという発明です。上に貼りました画像の風車を見て下さい。輪っかのようなものがついていますでしょう。これが風レンズです。輪っかをつけただけで何の変化があるのか、疑問に思われるかもしれませんが、実はこれによって低周波公害は防止され、バードストライクも起こらなくなるのです。

 なぜそのような変化があるのかというと、画像引用元の「脱原発論」にて、著者は研究所の方に取材をしていますから、そこを引用します。

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この風車は羽根の先から出る渦と、逆向きの渦が輪っかの表面からペアで出るんです。

それが打ち消し合って消えるんですね。

それですごく静かです。

(中略)

普段は鳥がいっぱい来ます。

バードストライクといって、鳥はエサを追ってると風車に注意を払えなくて、高速で回っている羽根に当たることがあります。

でもこれは輪っかがついているから簡単に認識できて、鳥はこの中をわざわざ通っていこうとはしないんです。

回っている時に輪っかの上に止まっていたりします。

 

ゴーマニズム宣言SPECIAL 脱原発論」

小林よしのり 小学館

 また、風レンズは風力の短所を克服するばかりではなく、発電の効率をも高めます。

 そもそも「風レンズ」のレンズは、眼鏡などのレンズです。虫眼鏡で黒い点に光を当てると、煙が出て火がつくのはご存知ですね。あれは広範囲の日光を狭いところに集中させているのです。それと同じように、風レンズは広範囲の風を誘い、集中させることで強力な風力を呼び起こすのです。本書によれば、その発電量は三倍になるとのことです。

 

 ところで、本来の発電というものは環境を犠牲にして電力を取り出す作業です。しかし洋上風力は、環境に貢献しつつ電力を賜ることができます。

 というのは、風車が海に浸かる部分に、藻が生えるということがあるのです。これがプランクトンを繁殖させ、魚を繁殖させ、新しい自然を生み出すという効果が発見されています。

 五島列島で洋上風力が行われた際、そのようなことがありました。

沖合で洋上風力発電設備を運転するためには、地元の漁業協同組合の合意を得る必要がある。五島列島の漁業関係者のあいだには反対意見が多かった。大型の風車が発する騒音や低周波音によって、魚がいなくなる懸念をぬぐえなかった。

 とはいえ人口の減少と高齢化に悩む島の経済を活性化させるためには、新しい産業を生み出さなくてはならない。自然エネルギーを生かした地域産業の振興を目指す五島市役所が仲介役になって、漁業にメリットのある施策を提案した。発電所の建設に漁業関係者が貢献して収入を得られる案である。

 こうして漁業協同組合の合意を得て運転を開始した洋上風力発電設備には、魚を集める効果があった。海中の浮体に海藻が茂り、小魚が集まってくるようになった(写真2)。さらに小魚を求めて大きな魚も寄ってくる。海底の岩に魚が集まる「魚礁」と同じ効果だ。f:id:miyukiyasmaro:20191018225529j:image
写真2 浮体に付着した海藻に集まる魚。
出典:五島市役所
https://www.renewable-ei.org/activities/column/20180111.html

 このように、洋上風力にはたくさんの可能性があります。もっとも、懸念されるデメリットが全くないとは言えず、どのような影響が出るかは分かりませんが、そこのところも国が積極的に研究を進めて明らかにすべきと声を大にして言いたいものです。

 

■縄文の草

 先ほどから海の話ばかりですから、そろそろ日本列島に上陸してみましょう。そして何千年もの彼方の昔に思いを馳せてみるのです。日本人が稲作をはじめるよりもさらに昔です。

 縄文時代の日本、わたしたちの祖父は「麻の実(おのみ)」という種を重宝していました。麻の実は食料としても重要な作物でしたが、注目すべきはそこから育つ葉です。この葉は丈夫で水に強い縄や、汗や汚れを吸収する衣に加工することができました。f:id:miyukiyasmaro:20191019213740j:image

 また、葉から繊維を取り除くと「おがら」が作れます。おがらは茅葺屋根の下敷きに使われました。葉の繊維くずは石灰などと練り合わせ、土壁や漆喰に使われました。

 縄文日本人はこの便利で不思議な草を五穀の一つに数え、神秘的な力を直感しました。f:id:miyukiyasmaro:20191019213755j:image

 こうしてこの神秘の草は、神事の際に捧げられるようになったのです。結界を張る「注連縄」や神社の鈴の緒、お祓いに使う御札は、この草によってできています。

 

 では敢えて声を大にして叫びましょう。その草の名は「大麻」!わたしたちが忌み嫌い、危険視する「大麻」です!

「やべえよ……こいついきなり大麻の話してるよ……」と恐れられるのは仕方ないと思いますが、しかしそんなことを言っている場合ではありません。わたしたちが「大麻」という言葉を避け、無視していた間、海外の多くの国は大麻を活用して目覚ましい発展を遂げているのです。

 外国では大麻は「ヘンプ」と呼ばれ、研究や開発が進められてきました。

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 フランスでは1980年代に「カノスモーズ」というヘンプ建材が考案されます。ドイツでは1990年代に、ヘンプ建材を活用する動きがはじまります。ヘンプ建材は加工が簡単なのですが、強度が極めて強く、火にも強く、しかも通気性が高いため、冬も夏も快適な家を作ることができます。

 このような大麻の可能性はエネルギーにも及びます。

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 それが「バイオマスエネルギー」です。バイオマスエネルギーとは、主に植物を燃料とするエネルギーです。石油などの資源は枯渇する恐れがありますが、植物は育てて増やすことができます。したがって、バイオマスエネルギーは再生可能エネルギーと呼ばれているのです。

 バイオマスエネルギーの利点は、石油燃料のように硫黄などの物質が含まれていないため、大気汚染や酸性雨などを引き起こしにくいことにある。そして、バイオマスエネルギーの原料となる植物は、光合成により二酸化炭素を吸収して成長するため、燃焼時に排出される二酸化炭素の量と相殺することが可能である。

(※三幸としては二酸化炭素の相殺は特に必要ないと考えます)

 しかし一方で、作物の種類によっては表土を疲弊し続けてしまうという問題も発生する。

 この従来のバイオマスエネルギーの欠陥を克服するのが、大麻由来のバイオマスエネルギーなのです。

大麻バイオマスエネルギーの原料として大変有効であることがすでにわかっており、EU各国では実用段階に入っている。それでは、なぜ大麻バイオマスエネルギーとして最適な植物なのだろうか。

 大麻は1年草の植物であり、その成長速度が速いことから二酸化炭素の吸収量も多い。そして大麻は、表土を傷めずに輸作を行うことが可能である。それどころか、化学肥料に含まれる硝酸性窒素なども吸い上げ、土壌を改良する力がある。そして、何よりも大麻は農薬を使用せずに育っていく。つまり、大麻によるバイオマスエネルギーは、それを燃焼した場合の二酸化炭素の排出量は成長過程で吸収する二酸化炭素の量よりも少なく、同時に、表土を改善することも可能なのである。

 

大麻 禁じられた歴史と医療への未来」

長吉秀夫 知恵の実文庫

 どうでしょうか。わたしたちが危険視してきた大麻ですが、このようにエコな可能性があるわけです。この可能性を追及する為には、大麻を縛り付けるガチガチな法を緩和する必要があるでしょう。

「そんなことをしたら大麻を吸う人が出てくるのでは?」というのが冷静な意見ではありますが、そもそも大麻の摂取は一概にヤバいこととは言えないようです。というのは、解説すると長くなってしまいますから、残念ながらここでは立ち入りません。ともかく大麻には可能性があります。

 

■あとがき

 いかがでしたか。「日本は小国だから、エネルギーを外国に輸入するしかない」というのが悲しい常識でしたが、本稿で幾ばくかの希望が見えたのではないでしょうか。

 未来はいつも予測困難なものです。したがって豊かな海底資源があるとは断言できませんし、九州大学の洋上風力ファームが上手く行くとも断言できませんし、大麻バイオマスが問題なく成功するとも断言できません。

 しかしだからこそ、無邪気な夢があります。夢の探求こそ、人類の歴史であったと考えます。我が日本は暗い現状に立たされていますが、だからこそ夢を抱きたいものです。もしその夢があっけなく破れたら、新しい夢を。その繰り返しこそ閉塞感を脱するものであると信じます。

 ありがとうございました。

 

■附録「素晴らしき哉 表現」 
    第四回 世界タービン

 

 このコーナーは政治経済の話とはあまり関係がないので、興味のない方は読み飛ばして下さい。

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 さて、皆様は「平沢進」をご存知ですか。

 平沢進さんは1980年代のテクノポップブームの最前線に立っていた方です。ボーカロイドといったものの原型を築いたのも平沢さんです。

 また、平沢さんはエネルギー問題に関心が高く、太陽光発電だけの電力でライブをしたこともあります。

 平沢さんの極めて独特な音楽は、「星野源」や「米津玄師」などのアーティストに影響を与えました。現在も一部の(わたしを含む)若者を夢中にしています。

 なぜそのように人気なのかと言えば、それは彼の音楽を聞けば直ちに分かったり分からなかったりします。

 さて、今回紹介しますのは、そんな平沢進さんの「世界タービン」という曲です。平沢進さんの歌はどれも難解で、世界タービンも歌詞の解釈が分かれる作品です。が、PVや歌詞を考察するに、この曲の背景にニコラテスラの世界システムがあることは疑えない事実とされています。

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 世界システムとは、偉大なる発明家、ニコラテスラが作ろうとした発電システムです。これは地球が帯びている電気を使うという驚くべき構想です。詳しいメカニズムは知りませんが、この発電システムが実現すれば、地球上のどこからでも無限にエネルギーを作り出せるそうで、日本のエネルギー問題も解決します。

 では、この世界タービンという曲はどういう主張の込められた曲なのでしょうか。この曲の最終的な主張はこの歌詞にあるということが断言できます。

大丈夫よ タービンが回る

大丈夫よ タービンが回る

 ここで言う「タービン」とは、地球の自転のことです。地球の自転がタービンであるということは、そこには必ず何らかのエネルギーが発電されます。

 ではこのエネルギーはわたしたちに何をもたらすのか?それは人それぞれ違うはずです。それこそがこの歌の意味と言えるでしょう。

 まあ、とにかく聞いて下されば、この歌がどういう歌なのかが分かるかもしれません。人によっては意味不明瞭で、病的な印象さえします。人によっては、これがきっかけで平沢進の音楽にドハマリすることになります。

 いずれにしても、タービンは今日も回っていますから、大丈夫でしょう。明日もタービンが回っていることを願って、筆を置きます。