僕の名は靖麻呂

高校生 政治厨 軽度の神経衰弱

アンパンチ再考

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 いつの間にか涼しくなりまして、クーラー君も今年はお役ご免だなと考えておりますと、はや二学期が目前に臨んでおりました。

 さて、今回はちょっと古い話題ですが「アンパンチ論争」について色々考えてみましたので、ここに記したいと思います。

 といっても、この問題は連日取り上げられたわけではありませんから「アンパンチ論争?そんなもん話題になってねえよ!」と仰有る方がいらっしゃるかもしれません。この問題は、皆様ご存知「アンパンマン」という作品に登場する「アンパンチ」という描写についての論争です。何でも「アンパンチは暴力的な表現で、教育上こどもたちに悪影響を与える」という意見がネット上で注目されているだとか。

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 もちろんこれは馬鹿馬鹿しい話です。

 アンパンチを問題ある表現とするならば、あらゆる表現が規制されなくてはならなくなり、きりのない事態に発展します。遂には芸術そのものが機能不全に至るでしょう。

 そのような多大な損失をもたらす選択をするより、「何でもかんでも真似するもんじゃありませんよ」とお母さんが子どもに諭す方が合理的です。

 仮にアンパンチの描写が原因で子どもが暴力をはたらいてしまうなら、それはそれで良いことです。アンパンチで子どもに暴力を促すということはつまり、子どもに失敗をする機会を与えるということでもあります。子どもが失敗をすれば、辛い目にあったり、大人や友達から指摘されます。その度に子どもは自分の行いを顧みて、変わります。これを「成長」というわけです。子どもの暴力は取り返しのつかない事態に発展することはないので、この頃が失敗をさせる絶好の機会と言えるでしょう。いわば予防接種です。f:id:miyukiyasmaro:20190831191841j:image

 ですから、我々は「アンパンチは問題ない」と認識するべきなのです。

 このように、このアンパンチが健全な表現であることは論を俟(ま)ちません。そして、このままではわたしは、しょーもない愚論を論破して満足するくだらぬ男になってしまうのですが、話はここで終わりではありません。

 

 この馬鹿げた命題ですが、わたしはここから着想を得て次のような新しい命題を作ってみました。

 アンパンマンは脅威に対処する手段としてアンパンチしか実施しない。これは子どもたちの想像力の発展に貢献しない。

 どうでしょうか。アンパンチは時に「暴力」と呼ばれ、時に「一時的に脅威を遠ざける為のまほう」と解されるわけですが、何れにしても腕力に訴えて半ば強制的に問題を解決していることには変わりありません。そして、こうした展開が常態化しているわけです。 これでは「問題を如何にして解決するか」という思考を子どもに促すことはできません。

 逆に言えば、アンパンマンという作品がこの問題を克服するか、あるいはこの問題を克服した新しい作品が生まれれば、我が国の教育は発展できるのです。

 具体的にどのようにして克服するかと言えば次のようなものが挙げられます。

・毎回、脅威に対処する手段が異なる(暴力、交渉、和解…等等等)。

・脅威に対処する前に「テレビのみんなどうすればいいのか考えてみよう」等という形で子どもたちに思考を促す。

・三幸靖麿呂が作品を監修する。

 どうでしょうか。このような作品を見て育つ子は、想像力や論理的思考が豊かになるとは思いませんか。

 そうだ!わたしがこういう作品を作ってやろう。この三幸靖麿呂がやなせたかしに次ぐ絵本作家となるのだ……というのはほんの冗談です。

 ともかく、一見馬鹿みたいな命題も深く考えると飛躍的に発展します。「この主張は丸かバツか」という見方では、馬鹿げた命題は馬鹿げた命題のままです。「この主張は明らかに間違っているが、ここから着想を得てもっと面白い問いを発見できるだろうか」という見方もあると、より豊かな議論ができるかもしれません。

 最後までお読み頂きありがとうございました。

平和の自由研究(下)

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(↑タオイ族の少年ネプ。彼の母はベトナム戦争で、米軍が散布した枯葉剤を浴びました。その影響で彼の右手は湾曲して麻痺しています。左手の屈伸もできません)

 

前編→https://miyukiyasmaro.hatenadiary.com/entry/2019/08/17/205613

 

■平和の自由研究(下)

  皆様、戦争はなぜ起こるのでしょうか。人によってこの問いの答えは様々あると思います。「人間に憎しみや怒りという感情があるから」「考え方や信じるものが同じではないから」「支配への欲望があるから」等、等、等。いずれも無視できない要素ではあると思います。

 しかし現代において、そうした理由で起きた戦争はそこまで多くないと考えます。ほとんどの戦争は、そうした理由に見せかけてもっと別な理由で起きたものだと思うのです。では、その別な理由とは何でしょう。

 それを知る為に、過去に起きた三つの戦争を振り返ってみましょう。

 

ベトナム戦争トンキン湾事件
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 1964年8月3日。北ベトナム沖、トンキン湾にて、米軍の哨戒船に二発の魚雷が撃たれる事件が起きます。アメリカ政府はこの犯人をベトナム軍とし、これをきっかけにベトナム戦争が起こります。しかし、ニューヨークタイムズという新聞が、これをアメリカの自作自演だと報道しました。ベトナム戦争に参加する口実が欲しい為、被害をでっち上げたとしたのです。当初この主張はとるに足らない「陰謀論」や「都市伝説」として一蹴されるばかりでした。しかし、ニューヨークタイムズは後に決定的な証拠を掴みます。「ペンタゴン・ペーパーズ」と呼ばれる政府の機密文書です。この文書にはトンキン湾事件アメリカによる工作であることが記されていました。以降、ベトナム戦争がヤラセであったという事実は陰謀論ではなく、確定した歴史となります。

 

湾岸戦争のナイラ

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 1990年10月10日。トムラントス人権委員会にて、クウェート人を名乗る十五歳の少女「ナイラ」が証言台に立ちます。

イラク軍が爆弾や銃で民衆を襲撃しています。また、全ての病院施設に押し入り、新生児を連れ出しています。生命維持装置は切られています。抵抗したり、クウェート軍や警察と一緒にいる所が見つかれば、拷問を受けかねません。

 

—Evacuee’s description as reported in St. Louis Post-Dispatch

 彼女が涙を流しながら証言する様子は広く報じられ、アメリカ世論では反イラクの感情が沸騰します。間もなく、アメリカはイラクに侵攻し「湾岸戦争」が始まるのでした。

 しかし、ナイラの証言は事実ではありませんでした。彼女は駐米クウェート大使の娘で、クウェートの地を踏んだことは一度もありません。これはアメリカが参戦する口実を得る為に、クウェートアメリカの一部の勢力によって捏造された嘘だったのです。このことが明らかになるのは、大量の市民が殺されて湾岸戦争が終わった後でした。

 

リビア革命のカダフィ

 2010年10月18日。中東にてアラブの春と呼ばれる大規模な民主化運動が起こりました。これにより、チュニジア、エジプトが革命によって民主化されます。そして次に注目されたのが、アフリカのリビアという国です。


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リビアの指導者であったカダフィは、日本や欧米のメディアによって残虐な独裁者と報じられます。その際、よく流されたのが「カダフィが無抵抗の市民に無差別爆撃する」という映像でした。

 そこで現地の反カダフィ勢力やアメリカをはじめとするNATO軍が自由と平等を掲げて立ちあがり、リビア革命が勃発。カダフィ政権は倒され、カダフィは殺害されます。ブラウン管の向こうでは民衆が歓喜し、新聞には「民主主義の勝利」などといった見出しが躍るのでした。

 しかし、この一連の流れには怪しげな点が幾つもあります。

 まず、メディアによって繰り返し流された「カダフィが市民に無差別爆撃する」という映像ですが、よく見ると実に不可解なものです。戦闘機が映っておらず、爆撃音もないのです。また、一部始終を衛星中継で記録していたロシア軍によると、そのような空爆は確認されないとのことです。

 

 これは中東専門家の重信メイさんによるレポートです。かなり長い引用ですが、お読み下さい。

 あるとき、アルジャジーラ(※アラブ最大の放送局)の電話取材を受けた人が「いま、リビア政府軍が一般住宅を空爆しました。一◯◯◯人以上が亡くなりました。虐殺です」と叫びました。そしてすぐにアルジャジーラが「民間の住宅地が空爆され一◯◯◯人の犠牲者が出た」というテロップを流し続けたのです。私はこのとき、CNNやBBC(※アメリカを代表する放送局)も見ていたのですが、ほんの数分後には、アルジャジーラの情報をもとに緊急ニュースとして、同じニュースを流しました。そして、この報道がきっかけとなり、数日後の国連で、国際的な軍事介入を認める決議が出ました。

 私はこのニュースを見たとき、違和感を感じました。まず、電話取材だけで、なぜこの無名の人の言ってることが正しいと言えるのだろう。誰もウラを取っていないのに。一◯◯◯人という犠牲者の数もどこから出てきたのか。ジャーナリストであれば誰もが疑問に思うことが疑いもなく報道されていたのです。

(中略)

 実はリビア政府軍が空爆したのは一般住宅地ではなく、政府の軍事施設でした。反政府勢力が軍事施設を襲い、武器を奪おうとしたために、それに応戦するかたちで空爆を行ったのでした。そこで空爆されましたが、同時に、反政府勢力もその混乱のなかで武器を奪うことに成功しました。その過程で十数人の犠牲者が出ましたが、戦闘中のできごとなので、非難はできないでしょう。

 しかし、この事実を報道したのは一部のメディアだけでした。その後、リビア攻撃のきっかけになったこの誤報について検証することもされていません。

 

「「アラブの春」の正体」 重信メイ 角川書店

 

(※)内は三幸によるもの。

 

 また、カダフィが残虐な独裁者であったとは到底考えられないような事実も幾つかあります。

 2011年7月1日、リビア「緑の広場」にて170万人もの国民が集まりました。彼らはNATOの攻撃に抗議したのです。この170万という数は、当時のリビア国民の約三分の一にあたります。本当にリビアの人々がカダフィを嫌っていたとしたら、ちょっとあり得ないことではないでしょうか。

 アルゼンチンのヴェロニカ・ランソデールという方はこのように証言しております。

「私はリビアにたくさん友人がいるけれど、彼らは高学歴・高福祉の国であるリビアを誇りに思っています。アフリカ大陸で最も生活水準が高いリビアでは、教育も医療も無料で、女性も尊重されている。日本の人たちは、そういうことを知っていますか?国民は電気代の請求書など見たことがありません。42年間政権を維持できたことには、ちゃんと理由があるんです」

 

「政府は必ず嘘をつく」堤未果 角川新書より

 

 ベトナム戦争湾岸戦争リビア革命。これらの戦争のきっかけはヤラセでした。戦争を始めるにあたって必要な大義名分が捏造されたわけです。こうした工作を「偽旗作戦」といいます。この偽旗作戦は歴史上あまり珍しいことではなく、古くから多くの国が行ってきました。

(因みに、先の戦争のきっかけになった真珠湾攻撃、シリア内戦のきっかけになった9.11テロについてもヤラセ説があります。これらについては資料が不足しているので、今回は取り上げませんでしたが、事実だったとしても不思議ではないと考えます)

 

 アメリカは偽旗作戦をはじめとする印象操作を行い、戦争を起こしてきました。その為に何の罪もない人が何人も殺されてきたと考えると、腹立たしくて仕方ありません。では、彼らはなぜわざわざそんなことをしたのでしょうか。

 

財政出動

 一つには財政出動のつもりだったと指摘されています。

財政出動ってなんやねんという方は、拙稿「誰でも分かる!景気を良くする方法」をご覧下さいhttps://miyukiyasmaro.hatenadiary.com/entry/2019/07/27/194236

 戦争では様々な産業が必要となります。兵器、弾薬、燃料、食糧等、等、等…。それを政府がお金を使って買うわけです。そうすると莫大な需要(仕事)が創られるので、景気が良くなる。アメリカは自国の経済の為に戦争を起こしたという指摘です。

 では実際に、アメリカの経済と戦争に関係があるのか検証してみましょう。f:id:miyukiyasmaro:20190823191118j:image

 これは米国の経済成長率(実質値)の推移に、アメリカが関与した戦争を追加したものです。アメリカが戦争を始めた翌年の成長率に注目して下さい。そのほとんどが上昇しています。

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 これはアメリカの国防費の推移と、先ほどのアメリカの経済成長率を合わせてみたものです。国防費が下がったら成長率が下がり、国防費が上がったら成長率が下がっているという関係は見えます。但し、成長率が4.46%の時(左端)よりも、2.21%の時(右端)の方が軍事費が遥かに高い点を見ると、微妙ではあります。

 結論として、この説については何とも言えません。

 

軍産複合体犯人説

 アメリカでは、政治献金の上限がありません。つまり、政治家に何ドル献金しようと不正にはならないということです。となると、大金持ちからすればアメリカの政治を操るのは極めて楽です。日本では賄賂と呼ばれるようなことも、別にこっそりしなくて良いのですから。

 こうした金持ちの金持ちによる金持ちの為の政治が、軍産複合体という怪物を育てたのです。

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(三幸作成)

軍産複合体」とは、軍需産業、政治、軍が複合した(くっついた)構造です。

 

①軍隊が使うものを作る産業(軍需産業)が政治家に献金をする

②政治家は軍需産業に忖度して、軍隊に予算を回す

③軍隊がお金を使い、軍需産業が儲かる。①に戻る

 

 厳密にはもっと多くのやり取りがありますが、このように政治家、軍隊、軍需産業が共謀して利益を得ていく仕組みが軍産複合体なのです。

「おいおいおいおいおいおいおいおい、テレビの見すぎじゃあねえのォ。会社ごときが政治を動かせると思ってんのかよォ。お前最近陰謀論ばっかりだけどよォ、ハマってんのかよォ」という指摘があるかもしれません。しかしアメリカでは、実際に企業による献金が政治を動かしたことがあります。

 2010年10月。アメリカ政府はサウジアラビアとの間で六百億ドルという巨額の武器輸出契約を結びます。この契約に大きく貢献したのがあのヒラリー・クリントンさんなのですが、彼女は二ヶ月前にボーイング社(世界最大の軍需産業)から九十万ドルもの献金を受け取っていました。(ソース:「政府はもう嘘をつけない」堤未果 角川新書)

 

 さて、これを踏まえて「なぜ偽物作戦が行われるのか」を再考してみましょう。戦争が起これば、政治家が軍に予算を回す口実ができます。軍に予算が回れば軍需産業が儲かります。なるほど、戦争を起こした犯人は軍産複合体かもしれません。

 では、軍需産業と戦争の関係を見てみましょう。

 こちらはアメリカ屈指の軍需産業ロッキード・マーチン」という企業の株価です。

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 こちらは世界最大の米軍用機メーカー「ボーイング社」の株価です。

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 戦争をきっかけに株価が急上昇しているように見えます。

 

■あとがき

 いずれにしても、戦争は誰かの利益の為に起こされ得るものです。工作や印象操作によって、我々の正義感が煽られるのです。

 だとすれば、我々がすべきことは報道を疑う姿勢をとることではないでしょう。鵜呑みにするのではなく、様々な角度から見るのです。わたしごときが言うのも何ですが、騙されにくい国民になりましょう。利用されにくい国民になりましょう。それが平和を実現させる手段の一つではないかと考えます。

 戦争で亡くなった人々のご冥福と、世界平和の実現を心より祈り、筆を置くとします。

 長い記事になりましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。

 

 

平和の自由研究(上)


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靖國神社。黒船来航以来、戦争や事変で亡くなった全ての軍人の魂を祀っています)

 

 七十四年前の八月十五日、昭和天皇による玉音放送をもって先の戦争が終結したのは皆様もご存知でしょう。ですから毎年この日は、テレビなどで戦争の特集をします。戦争の悲惨さを伝えます。そして今上陛下と我々国民は亡くなった方々に祈祷し、平和が続くよう深く願います。

 しかし、わたしは毎年疑問に思うのです。我々はそこで満足してしまっているのではないかと。そこで満足してしまって良いのかと。

 確かに戦争は悲惨です。いつまでも戦争の悲惨さを伝え続けなくてはなりません。亡くなった方を想うことも大事です。平和を祈ることも人間として大事です。大事ではありますが、それだけでは平和という理想は実現し得ないと思うのです。

 理想とは、現実を踏まえた努力があってはじめて実現するものです。

 つまり我々は、戦争の悲惨さを学び、亡くなった方への祈祷をした上で、どのようにすれば平和を築き、守ることができるかを考えるべきです。かく言うわたしも、平和については深く勉強したわけではなく、生意気なことを言えた身分ではありません。

 ですから本稿において、わたしは平和について自分なりに考えてみることにしました。

 

■そもそも平和とは何か
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「平和とか何か」という問いに対して、多くの人は「戦争の対義語」であるとか「戦争のない状態」と答えるでしょう。わたしはまず、この認識こそ改めるべきだと考えます。戦争のない状態が、必ずしも平和であるとは限りません。

 仮に現在、北朝鮮が今まさに日本に向けて、ミサイルを発射しようとしているところだとしましょう。今まさにミサイルにガソリンが注入され、残り数分で日本の領土が攻撃されようとしているところだとしましょう。そして日本は、このミサイルを打たんとする基地を爆撃し、発射を阻止する能力があるとしましょう。

「平和=戦争の反対」という考えに従えば、我々が北朝鮮の攻撃を阻止すると平和ではなくなります。一方、北朝鮮の攻撃を許して多くの国民を犠牲にすれば、平和は守られるわけです。しかし、わたしはそんな平和を望まないし、ほとんどの人もそうだと思います。わたし達が希望する平和において、たくさんの人が殺されてしまうなんてことはあってはならないのです。

 小林よしのりという漫画家がこのように仰有ったことがあります。「平和の反対は混乱、戦争の反対は対話」であると。戦争のあるなしに関わらず、混乱のない状態こそ平和なのです。

 だからこそ、平和は難しいのです。人類は時に混乱と戦争のどちらかの選択を強いられるのです。その時はどちらにしても、平和は失われるのです。

 

 そうすると、武器を手放し、戦争を絶対に放棄という考え(これを「絶対的平和主義」と言います)では平和の実現は困難だと思われます。武器がないのをいいことに、他国が日本を侵略すればそこに平和はありません。

 

■力の均衡

 平和は力の均衡(きんこう バランスのこと)によって成り立つという考えがあります。例えば、ジャイアンは強大な体躯(たいく)を有しているので喧嘩が得意です。それに対して、のび太君は運動が極端に苦手な子です。この場合、ジャイアンのび太の間における力の均衡は完全に崩壊しております。のび太に対してジャイアンが過剰に力を持っているのです。そうすると何が起こるか、


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 一方的な侵略です。

 このように、平和を成立させる為には、力の均衡が重要なのです。

 

 この理論に従って、わたしはかつてこんな考えを思いつきました。

 全ての国々が核武装すれば、力の均衡が世界に成立する。戦争がなくなるだけではなく、発展途上国も、新興国も、先進国と対等な関係に立てる。ハレルヤ!

 我ながら少し過激な考えかもしれませんが、果たして理にかなっているのでしょうか。

 

■理性
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 力の均衡は平和の最低条件だと考えます。とは言え、力の均衡さえ保たれていれば平和が成立するとも言えません。

「我が国と相手の国は力が均衡している。もし戦争すればこちら側も大損害を被る。だから戦争はやめておこう」

 力の均衡による平和は、このように判断する「理性」を前提としています。

 しかし、現実には全ての国に理性が備わっているとは言い切れないものです。無謀にも他国に侵略したり攻撃するような国があるかもしれません。従って、力の均衡は重要ではありますが、平和の全てではないのです。

 

 さて、前節にて紹介した「世界中に核武装を」という過激な意見でしたが、これについて再考してみましょう。

 もし世界中の核武装を進めると、幾つかの「理性なき核武装国家」が誕生するかもしれない。もしその国が無謀な核攻撃を始めたら、被害を受けた国は核で復讐する。そうして恐ろしい核戦争が始まる。なるほど、平和ではないですね。

 一方、万が一、世界の国家196ヶ国全てに理性が備わっていたとしましょう。この場合は戦争のない状態が暫く訪れます。しかし、ある国にて狂暴な政権が誕生すれば「理性なき核武装国家」が誕生します。また、ある国にて過激なテロリストによる政府転覆が起これば「理性なき核武装国家」が誕生します。

 このように、「核が平和をもたらす」という知見は困難のようです。

 

 どうでしょう。平和とは複雑なものだと思いませんでしょうか。もし平和実現への画期的なアイデアとか、平和について思うこと、あるいは「三幸君、そりゃあ間違えてるぜ」といったことなどがあれば是非コメント下さい。

 次回は、戦争が起こる恐ろしい原因について述べる予定です。最後までお読み頂きありがとうございました。

 

■附録
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・中学時代の三幸が描いた靖国神社

 色使いが微妙だったり線が歪だったりはしておりますが、気に入っている作品です。靖国の静謐なる空気と英霊の温みが、感じられませんでしょうか。さて、これぞ文字通りの自画自賛でございます。

 学校名と本名を隠しておりますから心配はいらないとは思いますが、くれぐれもわたしの正体を特定しようなどと試みないで下さるようお願い申し上げます。

 

 

続く

【政治】本当にあった怖い話

 

 

 ご機嫌ようございます。政治経済のことしか話さぬ男、三幸靖麿呂でございます。暑い日が続いておりますので、今回は怪談めいたものを一つご紹介致します。

 

■彼らの「共通点」は
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 この人は「田中角栄」といって、昔総理大臣をやっておりました。大変人気者でしたが、賄賂を受けとっていたことが分かって捕まってしまいました。世にいう「ロッキード事件」です。そこから一転し、彼は不正義を働いた悪者として世間から総スカンされ、政界を退きます。

 ところが「田中角栄は無罪だ」なんて主張もあります。何でも、証言が二転三転しているにも関わらず有罪になったとか。あるいは多くの事件の関係者が突然亡くなっただとか。

 もちろん、こういった主張は世間に「陰謀論」と一蹴されるばかりです。

 

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 この方は小沢一郎さん。田中角栄と同じく不正をはたらいたとされる方です。難しい言葉を使うと「政治献金の虚偽記載」を犯しました。

 政治家は献金を頂くことがあるのですが、その際には誰から献金をもらったかということをきっちり、正直に、報告書に書かないといけません。

 ところが、この小沢さんは本当は「西松建設」という会社からお金をもらったにも関わらず、さも別のところからもらったように嘘をついたのです。その報告書には「未来産業研究会」と「新政治問題研究会」というところから献金をもらったと書いてありました。検察によると、この二つの団体は実体のない架空の団体なのです。

 しかし、これについても疑問を呈(てい)する指摘があります。何でも、先ほど申し上げた「未来産業研究会」、「新政治問題研究会」から献金をもらった、と報告書に書くのは、普段なら問題ないと判断されていたとか。それにも関わらず小沢さんの時だけは「不正だ!」と指摘されたとか。

 

 「未来産業研究会」と「新政治問題研究会」による献金対象者は小沢一郎氏だけではなかった。下記の政治家への献金事実も存在した。

 

西松建設OB団体の献金先(パーティー券含む)

(二〇〇四~〇六年総務省届け出分。単位は円、役職名は当時のもの)

 

・睦山会(小沢一郎民主党代表)新政治研一一〇〇万、未来研三〇〇万

・新しい波(二階派)新政治研四六六万、未来研三一二万

・幸政会(尾身幸次財務省)新政治研四〇〇万

・春風会(森喜朗元首相)新政治研四〇〇万

自民党東京参院比例第一一支部(藤野公孝参院議員)新政治研四〇〇万

民主党参院比例第九総支部(渡辺秀央改革クラブ代表)新政治研二〇〇万

・賢友会(山岡賢次民主国対委員長)新政治研二〇〇万

藤井孝男後援会(藤井孝男元運輸相)新政治研一六〇万、未来研四〇万

政経創造研究会(山口俊一衆院議員)新政治研二〇〇万

・加納時男後援会(加納時男参院議員)新政治研一〇〇万、未来研一〇〇万

・白凰会(川崎二郎元運輸相)新政治研六〇万、未来研四〇万

・地域政経研究会(山本公一衆院議員)新政治研六〇万、未来研四〇万

平成研究会(旧橋本派)新政治研六〇万

 

 これらの政治家の資金管理団体も収支報告書に、「未来産業研究会」あるいは「新政治問題研究会」からの献金として記載して報告した。

(中略)

 それでも西松のケースについて虚偽記載を認定して刑事責任を問うのなら、上記政治家すべての責任を問わなければおかしい。金額の多寡を指摘する向きがあるが、検察内部には「一億円」の立件基準が存在した。小沢氏のケースは一億円の内規にまったく届かない。「法の下の平等」に反した摘発であったことは明白である。

 

植草一秀「日本の独立 主権者国民と「米・官・業・政・電」利権複合体の死闘」(飛鳥新社)より

 普段なら合法として認められていたのに、突然不正扱いになった。確かに不可解ではあります。


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 この方は中川昭一さんです。財務大臣をされておりました。財務省は省庁の中でも一番偉い、エリート中のエリート。その大臣を務めるのですから責任重大です。そんな中川さんは、G20という国際会議の会見で問題を起こしました。あろうことか、酔っ払ったような状態で会見に出たのです。

 

 酒を呑んでいたとか、持病のせいだったとか色んなことが言われています。この事件は連日報じられ、もちろん中川さんは財務大臣を辞職。その後衆院選挙に出馬しますが、落選し、間もなく死去しますf:id:miyukiyasmaro:20190810152403j:image

死因についても色々言われています。落選を気に病み睡眠薬で自殺したとか、持病が悪化したとか。

 

 この事件についても、不審な点が多いと指摘されています。

 これは作家の山本正樹氏が書いたものです。

(前略)9月26日には都内で行われた環境フォーラムで講演。関係者によると、講演後の懇談会は終始笑顔で、「無職の中川です。選挙は負けると覚悟していた。4年間は無職なのでいろいろ勉強します。家計が苦しいから、何でもやるよ」とおどけてみせたという。

 ただ死亡直前の数日間は体調がすぐれなかったようだ。2日に帯広市で行われた地元紙主催のパーティーには、「風邪で体調が悪く、インフルエンザの疑いもある」との理由で欠席。亡くなる前日の3日は、友人と都内で行われたプロ女子テニスの試合観戦を約束していたが、友人が自宅まで迎えに行ったところ、「具合が悪くて行けない」と断ったという。

家族によると、3日は午前中からベッドで横になり、妻が外出先から午後9時頃に帰宅した際も寝ていたという。(読売新聞20 時04分 )

上記報道から、少なくとも26日までは元気だったことがわかる。その後、急激に体調が悪化していったことがわかる。風邪のような症状からはじまり、やがて動けなくなるほどに悪化していっているのだ。であるから、警察発表のような死因が睡眠薬使用や循環器系の持病による可能性は薄いといわざるを得ない。いや、警察はすでに分かっているのかもしれない。本当の死因を。敢えて伏せているとも言える。

 なんとこの人は警察の発表に異議を唱えているのであります。「風邪のような症状から始まり、急激に動けなくなる状態に悪化する」この様子が睡眠薬、持病のそれとは矛盾していると言うのです。

 では本当の死因は何なのでしょうか?続けて読んでみましょう。

これは、放射性物質ボロニウム摂取による体内被曝から生じる多機能不全である可能性が極めて高い。このボロニウムは、ウランの100億倍の放射能強度があり、ほんの微量で相手を死に至らしめることができるのだが、摂取後から時間をかけて悪化していくため、暗殺目的で使用される物質である。

(http://www.yamamotomasaki.com/archives/228より)

 そうすると、中川さんは誰かに暗殺されたとでも解釈せざるを得ません。まるで小説とかドラマのような話ですが、果たしてあり得るのでしょうか。

「中川は高校生の息子を残していた。こんなタイミングで遺書もなく自殺するとは考えにくい」などという指摘もされています。

 

 ところで皆様、田中さん、小沢さん、中川さんがどういう行動をとり、どういう主張をしてきたかというのは気になりませんか。極一部ですが、自分なりにまとめてみました。

 

田中角栄

 第六十四、六十五代総理大臣。中卒にも関わらず、トントン拍子で総理に出世している点が豊臣秀吉に似ていることから、当時は「今太閤」と呼ばれていました。「日本列島改造論」と称する政策を進め、日本中にインフラを充実させます。

 また、アメリとの相談をせずに、日中首脳会談を行いました。これは日中国交正常化という歴史的な成果を挙げます。

 アメリとの意向に反して、ソ連に接近します。北方領土問題の解決を図ったのです。

 オイルショックの際、アメリと敵対する中東諸国との石油資源の取引を拡大します。

 

小沢一郎

 国会議員。自由民主党幹事長、新進党党首、自由党党首、民主党代表、国民の生活が第一代表を経て、現在は国民民主党に所属しています。

 アメリをはじめとするGHQの占領下で作られた現日本国憲法は、無効であるとしています。これに則り、改憲論を主張。

 アジア諸国が結束して共同体を築くべきと主張。これは、アメリが「世界の警察」に位置し続ける世界観に反します。

 

中川昭一

 自由民主党の議員。農林水産大臣を経て、財務大臣を務めました。

 アメリホワイトハウスに向けて「日本はこのまま黙って世界のキャッシュディスペンサー(現金自動支払い機)になるつもりはない」と発言したことがあります。かっこいいですね。

 新興国発展途上国への援助をすべく、IMFを通じて融資を行います。この際、暗黙の了解として「タンス預金」という扱いがなされていたアメリ国債を提供。つまり、使うことがタブーとされていたアメリカ国債を使ったことになります。

 お分かり頂けましたか。

 三人とも、何かアメリカに都合の悪いことをやっていたわけです。世の中、「まさか」というものはあるかもしれませんね……。

 

 くだらないものを読ませてしまって、どうも申し訳ございません。

 

誰でも分かる!好景気にするには 後編



 本稿は前編の続きなので、まだ見ていない人はこちらをどうぞ。https://miyukiyasmaro.hatenadiary.com/entry/2019/07/27/194236

 

 さて、前稿にて、ケインズ先生の唱える景気を良くする方法を解説させて頂きました。その名も「雇用・利子及び貨幣の一般理論」。なかなか難しい名前でしたが、その内容はなかなか納得できるものであったように思います。

 しかし、現在その理論への反論は少なからずあります。特に経済学の主流派は「ケインズは死んだ」という言い回しをします。という訳で、今回はその反論を取り上げ、それが正しいのかどうかを、なるべく分かりやすく検証して参ります。

 

■反論①「クラウディングアウト」

 これは、(僕のような)消費税反対論者について、池田信夫という経済学者が批判した記事です。

 彼らがよくいうのは「財政支出を増やすと景気がよくなって税収が増える」という話だが、これは大学1年の教科書で習う短期の理論だ。教科書を最後まで読めばわかるように、こういう効果は財政支出が終わったら消える。民間投資がクラウディングアウトされて潜在成長率が下がり、残るのは長期停滞と政府債務だ。それが日本の現状である。
http://agora-web.jp/archives/2036042.html

「クラウディングアウト」

 必殺技の名前にしたいようなかっこ良い響きです。一体これはどういう意味なのでしょうか。

 要するに「企業がお金を借りにくくなるよ」という話なのでございます。

 

 国債を発行するということは、主に銀行からお金を持ってくるということになります。そうするとどんなことが起こるか、ゆっくりじっくり想像してみましょう。


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(画 三幸靖麿呂)

 銀行からお金を持ってくると、銀行にはお金が少なくなります。少なくなると、あまり多くの企業に貸すことができなくなるのです。そうすると「銀行からお金を借りる」ことが困難になり、同時に希少になります。希少な物は値段が高いですよね。したがって「お金を借りること」の値段が高くなります。つまり「利子が高くなる」わけです。

利子……お金を借りると、借りたお金を何%か増やして返さなくてはなりません。その「何%」を利子というのです。)

 あまり高い利子でお金を借りれない企業もいることでしょう。もし利子が高くなれば、そうした方々は金融市場(お金の貸し借りなどをする場所)から「締め出される」というわけです。この「締め出される」を英語にすると"Crowding out"というわけで、この現象をクラウディングアウトといいます。

 

 ケインズの言った財政出動をやったら「クラウディングアウト」が起こる!

 そうするとお金を借りれない企業が増えて投資とかが減る!

 だから逆に景気が悪くなるのである!

 結論!ケインズは死んだ!

 

 というのが反ケインズ派の意見なのですが、実際のところどうなのでしょうか。

 

■三幸君の見解① クラウディングアウトは好景気にだけ起こる

 では実際に、利子と国債のグラフを見てみましょう。

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https://youtu.be/noQwVDrdTSsより)

 見辛くて申し訳ありませんが、青い棒グラフが我が政府の負債(漫画でいう国債)で、赤い折れ線グラフが長期金利(漫画でいう銀行が要求する金利)です。

 あら不思議。国債がどんどん増えているにも関わらず、金利が下がり、横這いになっているではありませんか。クラウディングアウトが起こっていないのです。

 これはよくよく考えると当然のことです。

 何しろこの不景気です。銀行は企業にお金を貸し渋っている状態です。つまり、もともと融資(お金を貸すという行為)が活発でないので、銀行からお金をとってきても大して変わらないのです。

 もちろん、このグラフの左端のような、景気の良い時期では金利が上がっています。

 

 景気が良い時に国債を発行しまくれば、クラウディングアウトが起こる。しかし、景気が悪い時にはクラウディングアウトは起こらない。

言い換えれば「景気が良くなったら政府はお金を使うな。景気が悪くなったら使っても良い」

 ん?

 ケインズが言ってたこととそっくりじゃあないか!

 どうやらこの検証は、ケインズの主張の裏付けとなったようです。

 

■反論②「リカードの中立命題」

消費者は将来の所得も考えて支出している。つまり、政府の財政状態に改善の見通しが立てば、将来の負担増を心配せずにお金を使うようになる。
逆に、いくら減税やバラマキ的な政策をしても、その後に増税がくると分かっていれば、政府支出は受け取った人の貯蓄に回されてしまう場合もある。つまり、政府としては思うような効果が期待できなくなるわけで、これは「リカードの中立命題」と呼ばれる。


ニューズウィーク日本版 SPECIAL ISSUE世界経済入門2019」CCCメディアハウスより

 

 つまりは、公共事業などの財政出動を行うと、却って景気が悪くなる場合がある。その理由は二つ。

 

①「財政がヤバくなる!」という不安が「将来に備えて貯金」という行動につながるから

 

ケインズの主張通りに政策を行うとすれば、後で増税が来るということになる。そうすると「将来に備えて貯金」という行動につながるから

 

 これがリカードの中立命題」というお話です。

 しかし、これも飽くまで仮説ではあります。

 実際にグラフを見る必要があるのです。

 

■三幸君の見解② とりあえず今の日本には当てはまらない

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 この表は作るのにとっても苦労しました。

 少し見辛いですが、点線がいわゆる「政府の借金」で、黒線がわたしたちの消費です。

 これを見ると、なるほど、借金が増えるに連れて消費が落ち込んでいるようにも見えます。しかし、経済のグラフは重大な事件も考慮して見るべきです。f:id:miyukiyasmaro:20190803151957j:image

 リーマンショックが起こったり、消費増税が実施されたら、消費は当然落ちます。

 この部分を無視すると、「リカードの中立命題」と矛盾する部分が目立つようにも思われます。それが青い矢印です。この青い矢印の部分では、政府の借金とわたしたちの消費が仲良く坂を登っているようにも見えます。

 

 今度は、財政出動と政府の借金との関係を見てみましょう。

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 鎖のような線が公共事業関係費の予算です。

 これも「リカードの中立命題」と矛盾する部分があります。
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 緑の線は、公共事業関係費予算を適当に右へスライドさせたものです。公共事業の効果はタイムラグがあると言われているので、それを考慮しました。なるほど、公共事業とわたしたちの消費が仲良く歩んでいるようにも見えます。

 

 結論としては、今の日本では「中立命題」の言う通りにはなっていません。つまり、やっぱりケインズの言う通り、財政出動を行うべきだと考えます。

「財政がヤバい」という危惧自体は蔓延しています。それにも関わらず中立命題が当てはまらない理由は二つ推理されます。

 

①あまりに不景気だとそれどころではない

②そういったことを考える人は、日本人には少ない

 

 ただし、この推理が正しいとすれば、景気が良くなったり国民の意識が高くなったら中立命題が当てはまる状態になるかもしれません。

 

■脱線話 リカードという男

 少し寄り道をしましょう。

 先ほど「リカードの中立命題」という話を紹介しましたが、その名の通り、これはリカードという方がおっしゃったことなのです。f:id:miyukiyasmaro:20190803183234j:image

デヴィッド・リカード

出身  イギリス ロンドン

1772年4月18日~1823年9月11日

 この方は中立命題だけでなく「比較優位論」という理論も唱えていらっしゃいました。これは分業の重要さを論理的に証明したものです。

 今日の経営者の多くも、「比較優位論」を参考にしているらしいです。

 

■反論③ 膨らんだ財政赤字

 政治家にはそれぞれ選挙区があります。その選挙区で公共事業をして新しい道路をつくったり橋を架けたりすれば、建設業者の仕事が増えます。そのため選挙運動のときには、建設業者がその政治家を一生懸命応援します。
しかし、景気が回復し、増えた税収で借金を返さなければいけないから「公共事業は打ち切ります」と言ったらどうなるでしょう。選挙を応援してくれていた建設会社は仕事が減るわけですから、次の選挙は応援してもらえなくなって落選するかもしれない。一方で建設会社からは、税収が増えてゆとりが生まれたのだからそのお金でまた公共事業をすればいいじゃないかと言われる。
ケインズにしてみれば、政治家には理性と知性、教養があるから景気がよくなったら税収で借金を返すものと思っていたのに、実際の政治家はそうではなかったのです。こうして借金の返済は後回しになってしまう。財政赤字はどんどん増えていったのです。

 

池上彰のやさしい経済学1 しくみがわかる(日経ビジネス人文庫) より

 そのどんどん増えた財政赤字というのが、こちらです。

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同書より

 

「好景気にしたら増税をして、増えた借金を返済すれば良い」

 これがケインズの主張でしたが、結局借金は増えてしまったようです。やっぱり財政出動はやめた方が良いのでしょうか。

 

■三幸君の見解③ 「ゲーム」をやろう

 これは明治より続く我が国の債務の推移です。

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 黒線は債務の金額ですが、やはり長きに渡って増えてきています。

 しかし、これはよくよく考えると何でもないことです。

 

 なぜなら、我が国の借金だけが増えたのではなく、経済能力や物価も上昇したからです。

 

 突然ですが皆様、テレビゲームはお好きでしょうか特にドラゴンクエストとかポケットモンスターなどのRPGをプレイされたことはおありでしょうか。その思い出をよみがえらせてほしいのです。

 RPGの世界では、序盤の敵は弱いですね。しかしゲームを進めるにつれてどんどん強くなっていきます。そして、いわゆるラスボスの攻撃力は、最初の敵の何十倍、何百倍もしたりするのです。しかし、それにも関わらず我々はゲームをクリアし、感動的なエンディングを体験することができます。なぜでしょうか?

 理由は簡単ですね。

 主人公のHP(数字の実質的な大きさ)や攻撃力(問題に対処する能力)が上がるからです。

 国に例えれば、債務残高は敵の強さHPは物価攻撃力はGDP(経済の大きさ)です。

 どうでしょうこの見事な例え!自画自賛は滅多にしない性格なのですが、我ながら拍手喝采を受けるに値する表現だと思います。気に入りました!

 というわけで先ほどのグラフをもう一度ご覧下さい。

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 実質債務残高は、HP(物価)の部分を考慮したものです。例えばHP10の主人公にとっての1のダメージは、HP100の主人公にとっての10のダメージと同じですね。実質債務残高はHPの割にどれだけの債務(敵)を抱えているかという話なのです。

 ここからさらに、攻撃力(経済能力)を考慮してみましょう。

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 黒い線が実質負債対GDP比率、つまり、攻撃力とHPを考慮した「真の財政のヤバさ」

 そしてこれは、ここ数年で減少しているのであります!

 なんだあんまりヤバくないじゃん!

 このグラフの時代は、一貫して増税ラッシュの時代です。また、安倍政権が成立する2012年までは、財政出動が削減されていました。安倍総理は当初、東北の復興の為ばっちり公共事業費を増やしていました。しかし、最近はだんだんその予算を減らし、消費増税もやっちゃったりしています。

 一方黒線は、安倍政権の成立する2012年までは上昇(悪化)。そこからは急下降(改善)。ところが最近は下降(改善)する勢いが緩やかになり、これからは横這いから上昇に転じるかも。という状態なのであります。

 つまりどういうことか?

 ケインズの言う通りにしなければ財政がヤバくなり、ケインズの言う通りにすれば財政が良くなった!

 やはり財政に面から見てもケインズは正しかったと考えます。

 

■あとがき

 様々なデータから検証するに、やはりケインズは正しかったという結論になりました。本稿は、経済学の教科書とは大きく違う主張をすることになります。

 ひょっとしたら、わたしの考えは間違っていたかもしれません。人の考えとはそういうものです。いつの時代でも、常識的な説の転覆が起こり、その度に科学が発達したのです。経済学も例外ではないと考えます。

 ですので皆様にも、テレビに出演する経済学者、専門家の言うことを疑ってほしいです。それをきっかけに新しい発見をすれば、あなたの世界は何倍にも膨らむでしょう。

 話が脱線したようなので戻します。

 わたしの考える「景気を良くする方法」はジョン・メイナード・ケインズの「雇用・利子及び貨幣の一般理論」。

 すなわち、減税と公共事業をはじめとする財政出動をばしばし進める。

「これ以上借金したら財政破綻が…」などの心配は大丈夫。

 但し好景気になったらちゃんと増税と節約を行う。

 

 以上で筆を置かせて頂きます。最後までお読み頂きありがとうございました。また来週お会いしましょう。

 

■附録

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漫画の制作風景

 ちり紙と、百均のボールペンで頑張って作っています。下手くそですが、徐々に上達していると感じる今日この頃でございます。

 

誰でもわかる!好景気にするには

  皆様、ご機嫌良うございます。

 突然ですが、「景気の良い世界」を想像して下さい。景気が良いと、あなたは物をたくさん買えるようになり、仕事も楽になるでしょう。そうすると暇も増え、好きなことをする時間が増えます。あなたがたくさん物を買えば、それは誰かの利益となり、その誰かさんも幸せになります。

 一方、現実の日本はやはり不景気です。

 

詳しくは摂稿「経済が良いって何?」前後編を参照

(前編)

https://miyukiyasmaro.hatenadiary.com/entry/2019/06/15/115859

(後編)

https://miyukiyasmaro.hatenadiary.com/entry/2019/06/22/185828

 

 不景気から脱却して景気を良くしたい!そうすれば皆が幸せになるんだ!あなたはそう思いませんか。

 では、問題は「どうすれば景気が良くなるのか」ということです。日本の景気を良くしたいなら、わたし達が景気を良くしてくれそうな政治家にその思いを託すしかありません。しかし、景気を良くする方法を知らなければ、そもそも「景気を良くしてくれそうな政治家」が分からないわけです。つまり、景気を良くする為には、わたしやあなたが景気を良くする方法を知れば良いわけです。

 というわけで、今回は「どうすれば景気は良くなるのか?」ということを徹底的に、そして分かりやすく理解していきましょう。 「お前ごときに経済の解説をされてたまるか」という指摘があるかもしれませんが、私には手をハイヒールで踏まれた経験がありますので、そこら辺の方よりも詳しい自信があります。

 では参りましょう。

 

 ■ケインズという男

 時はさかのぼり1929年。ニューヨーク株式市場で株式が暴落。これをきっかけに世界中が不景気になりました。いわゆる世界恐慌です。
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(↑ニューヨーク株式暴落に混乱する人々)

 不景気になるともちろん企業が苦しくなり、そして人をたくさん雇えなくなってクビにしたりします。そうすると発生するのが「失業者」です。

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(↑配給される食糧を求めた失業者の行列)

 こうした問題は世界中の至る国で発生します。

 その頃、イギリス、ケンブリッジ大学の研究室にて、背の高い男が不景気を報じる新聞を見つめていました。その名は、

ジョン・メイナード・ケインズ
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 彼はこの報道に危機を抱き、国が何らかの対策を講(こう)じなくてはならないと考えました。そうして、その国が行うべき「何らかの対策」を明らかにすべく、新しい理論の研究を始めます。

 そして1936年、ケインズは後に経済学を根本的に変える名著を書きました。その名は

 

「雇用・利子及び貨幣の一般理論」

 

 名前はとっても難しくて、何だか最近の若者の小説のように長いタイトルですが、実は簡単な話です。わたし達にもすぐに分かる内容です。

 

■不景気の原因は需要不足だ!

 では、「雇用・利子及び貨幣の一般理論」をざっくり学んでいきましょう。

 それまでの経済学は、「国民に好き勝手やらせたらうまくいくだろう」という自由放任主義でした。したがってほとんどの経済学者は、不景気も放っておけばそのうち解決すると考えていました。しかし、いくら待っても不景気のままです。

 ケインズはその理由を解き明かしました。

 それはズバリ、需要の不足なのです。

 需要とは、誰かが物やサービスを必要とすることです。例えば建設会社の場合は、誰かが家を必要とすることが需要になります。要するに需要とは仕事と考えれば良いでしょう。

 では、その需要が足りないとどんなことになるでしょうか。

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 下手くそな絵ですがご容赦下さい。

①この図において、建設会社は需要不足です。仕事がないのに人件費を抱えていては倒産してしまうということで、建設会社は減給と解雇を実行します。

②すると、建設会社に勤めている従業員はもちろんお金を節約しようとします。

③そのせいで、建設会社の向かいにあるおでん屋さんの需要が減ります。

④そうすると、おでん屋さんに材料を売っている市場の需要も減ります。

⑤なるほど、市場に農作物を売っている農家さんの需要も減ります。

⑥思い切って農家さんが仕事を辞めちゃうと、農家さんに道具を売っている農具屋さんも需要が減ります。

⑦農具屋さんの店員のお給料が減っちゃいます。

⑧かわいそうな店員さん。店員さんは近々家を買おうと思っていたのですが、これでは買えません。

 そして①に戻る。

 

 このように、延々と多くの人々が損をし続けるのが需要不足という状態であり、不景気なのです。

 もし仮に建設会社が努力して、売上を伸ばしたとしても、それは他の建設会社の売上を奪うことに他なりません。

 つまり、みんながどれだけ頑張っても不景気自体は解決しないのです

 

 ■切り札の名は「財政出動

 みんなが頑張っても不景気から脱却できない。そんな時こそ「政府」の出番であるとケインズは考えました。政府がある政策を行えば、景気が良くなるとしたのです。その名は

財政出動

 ケインズによれば、国が財政出動を行えば景気が良くなるのであります。

 では、財政出動とは一体何なのでしょうか。

 ここで、「雇用・利子及び貨幣の一般理論」の一部を読んでみましょう。

 いま、大蔵省が古瓶に紙幣をいっぱい詰めて廃坑の適当な深さのところに埋め、その穴を町のごみ屑で地表まで塞いでおくとする。そして百戦錬磨の自由放任の原理にのっとる民間企業に紙幣をふたたび掘り起こさせるものとしよう(もちろん採掘権は紙幣産出区域の賃借権を入札に掛けることによって獲得される)。そうすればこれ以上の失業は起こらなくてすむし、またそのおかげで、社会の実質所得と、そしてまたその資本という富は、おそらくいまよりかなり大きくなっているだろう。なるほど、住宅等を建設する方がもっと理にかなっている。しかしこのような手段に政治的、現実的な困難があるならば、上述したことは何もしないよりはまだましである。

 

ジョン・メイナード・ケインズ

間宮陽介訳

雇用、利子および貨幣の一般理論 上、下」岩波文庫

 

 難しくて分からない!という方がもしいらしたらこちらを。

 

 今、大蔵省(今の日本でいう財務省)が古ビンにお札をいっぱい詰めて、廃坑の適当な深さのところに埋め、その穴をごみ屑で塞いでおくとしよう。そして、民間企業に埋めた古瓶を掘り起こさせるとしよう( もちろん、誰が掘り起こすかというと、入札でその廃坑を買った企業にやらせる)。そうすれば、これ以上失業者は増えないし、国も国民も企業もハッピーになるのさ。

 いやちょっと待てよ。そんなことをするくらいなら、家とかを建設させた方が良いかなあ。

 しかしまあ、もし「これ以上家がいらない」とかいう状況なら、さっき言ったことをやらせた方がいい。国が何もやらないよりは断然マシなんだぜ。

 

三幸靖麿呂訳

 

何だか訳の分からないことですが、もしこの「古瓶に札束を入れて企業に掘り起こさせる」という政策、一呼んで「古瓶作戦」を行えばどうなるでしょうか。よく想像してみましょう。

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 古瓶に入れたお金が1億だとします。すると、建設会社は1億まるまるゲットとなるわけです。この1億円の一部は従業員の給料となり、その給料は消費に回されます。消費によって誰かが得をすれば、その誰かと取引をする人も得をし……

 需要不足が多くの人々に損害を与えるのと逆で、この古瓶作戦は多くの人々に利益を与えるのです。もうお気づきかもしれませんが、古瓶作戦は、政府が需要を増やす政策なのです。

 建設会社に需要(仕事)がないから、政府がこれを増やす。これによって多くの人々の需要不足が解消され、最終的にあなた自身の手の中に利益がもたらされます。

 このように、財政(政府のお金)を出動させ、誰かに仕事(需要)を与える経済政策を財政出動と言います。

 

 なるほど、住宅等を建設する方がもっと理にかなっている。しかしこのような手段に政治的、現実的な困難があるならば、上述したことは何もしないよりはまだましである。

 

 というのは、政府が誰かに仕事を与えたら良いのだから、別に古瓶作戦でなくともよい。例えば家とかを建てさせたりすれば、①必要な家が建つ ②景気が良くなる で一石二鳥となるわけです。

 

 また、ケインズは好景気になった先のことも考えていました。好景気になると、二つのことが問題となります。

 一つは財政赤字。大抵、財政出動を行うとなると、国債を刷らないと(政府が借金しないと)いけなくなります。好景気になった頃には財政赤字が膨らんだ状態となります。

 二つ目はインフレ。景気が良くなるとインフレになります。インフレとは物の価値が上がり、お金の価値が下がる現象ですから、それまでに頑張って貯めた貯金の価値がだんだん下がってしまいます。

 この二つの問題を解決する手段として、ケインズ増税を唱えました。増税をするとお金が使われにくくなります。そうするとインフレが抑制されるわけです。また、財政出動もこの時期は控えると良いでしょう。これで①の問題は解決。

 また、増税によって大量の税金が政府の元に還ります。これを国債の返還(借金の返済)に充てれば、②の問題は解決されます。

 つまり、インフレ(好景気)の時に増税財政出動の停止を行い、反対にデフレ(不景気)の時には減税と財政出動の拡大を行う。この繰り返しによって、国家は未来永劫発展するとケインズは考えたのです。

 これがケインズの「雇用・利子及び貨幣の一般理論」です。

 

■歴史を変えた一般理論

『一般理論』に対する経済学者たちの反応は当初、様々だった。新しい理論に出合って、旧い世代の経済学者の多くは懐疑的な態度をとった。しかし、もっと頭の柔軟な若い経済学者たちは、いっぺんに新しい経済理論の虜になった。

(中略)

 ケインズの書物が公判された当時、まだ二十歳で、ハーバード大学の大学院生だったポール・サミュエルソン(後にノーベル経済学賞を受賞した最初の米国の経済学者)は、ケインズ経済学と出合ったときの興奮を次のように述べている。

「一般理論は当時、三十五歳以下の大部分の経済学者を夢中にさせた。それはあたかも予期せぬ悪性の病気が南海の孤島の部族を最初に襲い、多数を死に至らしめたような、猛烈なものだった」。

 

「誰がケインズを殺したか」W・カール・ビブン

斉藤精一郎訳

日本経済新聞社

 

 この「雇用・利子及び貨幣の一般理論」は後に新しい理論として世界中に受け入れられます。

 アメリカでも、一般理論を元にしてニューディール政策という大規模な財政出動が行われました。

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(↑ニューディール政策の一環として建設された「ケンタッキーダム」)

 やはり財政出動は、建設会社に道路・ダムなどのインフラを建設させる「公共事業」として行われることがほとんどです。

 アメリカは結局、世界恐慌による不景気から脱却しましたが、それはこのニューディール政策によるものだという見方がなされています。

 また、日本も高度成長期という大変景気の良い時代、公共事業が盛んでした。

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 この写真は高速道路です。東京オリンピックが催かれる際、大量の観光客に対応すべく、関東の高速道路は建設されました。

 ケインズの一般理論は世界の経済政策の参考になったのです。

 この大変な功績もあって、ケインズは二十世紀で最も重要な人物の一人として数えられています。

 では現在の日本はどうでしょう。深刻な不景気である上、南海トラフや首都直下型地震を前に、老朽化しつつあるインフラを抱えている。まさに、ニューディール政策のような公共事業を行う時だという主張があります。

 しかし、一方でこうしたことを言うと、「いや!ケインズは時代遅れだ!」という反論もあります。

 経済って色んな主張があるんですね。

 次回はなぜケインズは時代遅れとされているのか。そして本当に時代遅れなのかという検証をしたいと思います。

 最後までお読み頂き、心より感謝致します。では、もしよろしければまた来週。

 

 

付録

 ・前々回でボツになった「政党マッチング表第一号」

 よくよく考えると読売新聞社の行っているマッチングをやった方が正確で早いのでボツになりました。
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 使用法

①凡例を基準に、各項目に点数をつける。

②各政党との点数のズレを計算する。

(?とのズレは0~3とする)

③何分?が多いので、点数のズレは10~18みたいな具合になってしまう。その為、その中央値を最終的な点数とする。

④点数が少なければ少ないほど、あなたにマッチしている政党ということになる。

 

使用例 わたしの場合
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 結果、一番マッチしているのはオリーブの木ということになりました。

 しかしまあこれは、当てにならないものですな。

奇矯なる候補者 三選

 さて、参院選もいよいよ終わりへと近づいております。

 選挙後の楽しみといったら、やはり開票結果に尽きるのではないでしょうか。「国会の政党はどうなるか」とか、「自分が投票した人は受かるだろうか」ということで手に汗握りながらテレビを見つめるのです。

 というわけで、今回はその楽しみがさらに増すよう、興味深い候補者を幾人か取り上げてみます。

 あなたの選挙区の人もいるかもしれません。

 

その一 平塚正幸氏

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選挙区 千葉

政党 NHKから国民を守る党

職業 YouTuber

 まずN国党の候補者であるということ、そしてこの画像の出で立ちからして、変わった印象があります。シャツにプリントしている数字はやはり自身のマイナンバーです。マイナンバー制度の危険性を知らしめるべくこうしているとのことです。

 では、平塚さんの政見放送を聞いてみましょう。

 まずはじめに、皆様にお伝えしなければならないことがあります。それは、「NHKから国民を守る党」には絶対に投票しないで下さい。そして今回の選挙に限り、わたくし、平塚正幸にも絶対に投票しないで下さい。

  驚くべきことです。前述の通り、彼はNHKから国民を守る党に属する者であります。自分の所属する政党に投票しないで下さいとはどういうことでしょうか。また、自分にも投票しないで下さいとはどういうことなのでしょうか。

 実はN国党は「アンチ枠候補」というものを実施しています。これは、党員の意見を多様にさせるべく、N国党に対して批判的な方を立候補させるという取り組みです。アンチ枠候補の選挙活動資金、供託金(選挙に立候補する際、国に預けなければならないお金。一定の票数をとらなければかえってこない)は全てN国党が奢ります。

 平塚正幸氏はそのアンチ枠候補として今回立候補したわけです。が、議員になったところで、N国党に所属する以上は力を発揮できないだろうと考えておられます。自分には投票するなというのはそういうわけなのです。

 なんだか無茶な印象がする方ですが、その主張はよく聴いてみると理路整然としているようでもあります。

 N国党が掲げる公約、NKKのスクランブル化を図(はか)る政策は大変危険です。公共放送をなくしてしまっては、国会での重要な動きがより報じられず、政治離れがますます加速し、民主主義の根幹である知る権利が脅かされることになります。

 

NHK放送 令和元年参議院選政見放送

NHKから国民を守る党 平塚正幸氏の演説より

https://youtu.be/B0ubrX9DI8w

 平塚正幸氏は、YouTubeにて「さゆふらっとまうんど」というYouTuberとして活動しております。そこで自身の考えを熱く真面目に語っておりますので、もしご興味がございましたら是非調べて頂きたいと存じます。

 

その二 町田紀光氏
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選挙区 栃木

政党 NHKから国民を守る党

 N国党の立候補者は平塚氏も然(しか)り、変わった人が多いです。政見放送では奇抜なパフォーマンスが繰り返され、特に若者から注目を浴びています。過激な発言を連発する候補。独特の口調でまくし立て、終盤において「NHKをぶっ壊す」と連呼する候補。あるいは徹頭徹尾「NHKをぶっ壊す」と連呼する候補。はたまた一言も喋らず、沈黙でお茶の間を支配し、微笑をたたえる候補。全く無茶苦茶な政党です。

 しかし、この町田紀光(としみつ)候補は、NHKの問題点を冷静に、そして真剣に語る唯一の候補です。

 この見た目からは想像し難いことですが、N国党の主張を詳しく知りたいという方には、ぜひ町田紀光さんの演説を聴いて頂きたく存じます。

 

その三 野原善正氏f:id:miyukiyasmaro:20190720123028j:image

選挙区 東京

政党 れいわ新選組

 これは、「れいわ祭」というイベントにおいて、野原善正(よしまさ)氏が発言したことです。

政治改革をするための手っ取り早い方法は公明党を潰すことです。

本当、言葉は悪いんですけどね。言葉は悪いんですけど、本当、潰さなければならない。

https://youtu.be/PPEE3jdce-A

 驚くべきは、野原氏は創価学会の信徒であるということです。ご存知の通り、公明党はこの創価学会を支持母体とする政党です。

 創価学会では、公明党に投票することは功徳(くとく)とされております。そういうわけで、創価学会員は一様に公明党万歳の状態です。あなたのお電話にもそろそろ、学会員のお友だちが「公明党にお願いね」とかけているかもしれません。

 その創価学会の信徒である野原善正さんが「公明党を潰さなくては」と発言するのは、なんとも珍しいことではありませんか。

 なぜ公明党を潰さねばならないのかというと、それは公明党が、創価学会の教えに反しているからということです。

公明党の前身であるですね、公明政治連盟を池田先生(創価学会を開いた池田大作という人)が立ち上げられた時にですね、こう言われました。「将来、公明党が政権になびいて立党の精神を忘れた時には、そして国民をいじめるようになった時には、その時には遠慮なく潰していいよ」っておっしゃられたんです。

(中略)

 創価の変革。これですべて日本が変わる。池田門下生、今すぐ立ち上がれ。

 前身、前身、前身。

 前身、前身、前身。

 以上でございます。ありがとうございました。

https://youtu.be/PPEE3jdce-Aより

 

※()内の解説や中略は三幸によるもの

 野原氏の立候補するのは東京区で、この選挙区には公明党の党首である、「山口那津男(なつお)」氏も立候補しております。

 公明党党首と革命を唱える離反者の対決。実に熱い戦いであります。

 

あとがき

 最後までお読み頂きありがとうございました。

 あなたの選挙に関する興味や関心が、もし少しでも高まれば、極めて幸いであります。

 明日はようやく投開票です。お気が向きましたら、私がご紹介した候補者はどうなったかなどをお楽しみ下さい。

 そして、まだ投票に行かれていない人は是非行きましょう。自分の意思が時代の動きとなるのです。なんと素晴らしい機会ではありませんか。